敵対するふたつのアメリカの精神
今年のカンヌでジュリアン・アサンジが着ているTシャツには2023年以降イスラエル軍によって殺害された5歳以下のパレスチナの子ども、4986人の名前が記載されている(写真はDavid Fisher、背面には「STOP ISRAEL」とあるのが透けて見える)
⌘ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジが2025年5月21日、第78回カンヌ国際映画祭のレッドカーペットに登場した。この日、ユージン・ジャレッキ監督によるドキュメンタリー映画『The Six Billion Dollar Man』が特別上映され、アサンジは妻のステラ・アサンジとともにレッドカーペットを歩いた。おまけに前日のフォトコールでは、シャツの下に着ていた2023年以降イスラエル軍によって殺害された4986人のパレスチナの子どもたちの名前が記された白いTシャツを見せ、注目を集めた。
この作品はウィキリークス創設者であるアサンジの波乱に満ちた人生についてのもの。2006年にウィキリークスを立ち上げ、アフガニスタンやイラク戦争に関する機密情報を公開、世界中に衝撃を与えた。だが、その活動は各国政府との対立を招き、2012年から2019年までロンドンのエクアドル大使館に匿われる。さらに2019年から2024年までイギリスの厳重警備の刑務所に収監されることになる。2024年、アサンジはアメリカとの司法取引に応じ、スパイ活動法違反の罪を認めることで釈放され、母国オーストラリアに帰国した。
カンヌ国際映画祭の公式ウェブサイトでは作品について、『情報への権利』の現代的象徴であるジュリアン・アサンジの物語を描いており、彼の最近の釈放が報道の自由に関する世界的な議論を再燃させたことに焦点を当てていると説明。映画にはエドワード・スノーデンやナオミ・クライン、パメラ・アンダーソンなどの著名人も登場し、アサンジの影響力の大きさを物語っている。
上映後、アサンジは観客のスタンディングオベーションに応え、拳を掲げて感謝の意を示した。彼自身は公の場での発言を控えているが、一部報道によると「彼は健康を回復しつつあり、今後の政治的活動も視野に入れている」と妻のステラ・アサンジが語っている。
https://www.esquire.com/jp/entertainment/movies/a64740524/78th-cannes-film-festival-opening-and-happening-2025/#
#今週末、トランプはゴルフに出かけ、テッド・クルーズはギリシャでバカンスを過ごしている間、メキシコのクラウディア・シャインバウム大統領はテキサス州の洪水に対して力を貸すため、そっと救助隊を派遣した。それこそがリーダーシップというものだ。
4日に発生したアメリカ・テキサス州中西部を襲った大雨による大洪水、メキシコから消防士たちが捜索や救援を手伝いにきてくれる
大規模洪水で被害が拡大している原因として、警報システムの不備や避難呼びかけの遅れが挙げられている
気候変動を無視し、国立気象局の職員を削減してきたトランプ政権の対応が影響しているとの見方も出ている
読売新聞オンライン:地元当局者は4日の記者会見で、警報システムがなく避難指示を出していなかったことを明らかにした。CNNによると、郡は9年前に警報システムの導入を検討したが、資金不足で実現しなかったという。
トランプ政権下で設置された米政府効率化省(DOGE)による政府職員の削減が被害拡大につながったとの見方も広がっている。海洋大気局では数千人規模で職員が削減されており、NBCによると同州の国立気象局の幹部2人が早期退職していた。海洋大気局のリチャード・スピンラッド元局長はロイター通信の取材に、「人員不足により正確でタイムリーな予報を提供する能力は低下している」と語った。
70年代にゲイであることを公言し77年にサンフランシスコ市会議員に当選、翌年暗殺されたハーベイ・ミルク
わたしは彼の名を冠した補給艦があったのを知らなかったが、LGBTQ(性的マイノリティ)への理解を深める「プライド月間」である6月にその名称変更を国防長官が命じていた
アメリカのヘグセス司法長官は米軍施設の名称について「アメリカの歴史や戦士の精神を反映したもの」となるよう尽くしていると述べた
ニューヨークタイムズ紙によると、最高裁のリベラル判事ルース・ギンズバーグやその他の公民権運動家の名前を冠した艦艇も名称変更の対象なんだそう(東京新聞6月5日)
どの名も、わたしが頷くアメリカの歴史とその精神を反映したものと思うけれど、このことが敵対するふたつのアメリカがあることを顕著に表している
トランプが3月14日、「RFAラジオ自由アジア」や「VOAボイスオブアメリカ」を傘下に持つ政府機関「USAGMグローバルメディア局」を縮小する大統領に署名し、USAGMからRFAやVOAへの資金が止まった
RFAは議会が認めた資金を止めるのは違法として政府を提訴、その一方でアメリカ拠点のスタッフの4分の3以上を無給の一時帰休とし、海外スタッフとの契約をほぼすべて終了した
ウイグル、チベット、ミャンマー、ラオス各語のコンテンツ制作を停止するなど報道量は大幅に減少している
一時帰休になったひとり、AP通信やロイター通信などキャリア30年以上のジャーナリスト、マルコム・フォスターは北朝鮮で韓流ドラマを拡散したかどで市民が処刑された事件や中国のチベット人地域でダム計画に反対する市民が多数逮捕された事件などを明るみに出してきた
「あるチベット人にはRFAはライフラインだと言われた」「報道の自由がない国の人々に代わり人権や政治、環境の問題を伝えてきたRFAがなくなれば地元の人々にも世界にも問題が知られなくなる」
「中国は長年RFAを閉鎖させたがってきた。皮肉にも今、アメリカ政府がわたしたちを閉鎖させようとしている」
「RFAとVOAは当局の都合の悪い情報を明るみに出す調査報道を継続してきた貴重な存在」と、一橋大の市原麻衣子国際政治学教授は述べている(東京新聞「こちら特報部」)