いっしょうけんめい仕事する女性たち
ついこのあいだ、朝のabc放送で女性上院議員の集まりを特集していて、こんな質問をしたのです。「男性議員とは違い、女性議員は○○○」と入れるとしたらなんと答えますか?「流動的で、いっしょうけんめい仕事する」
そう!「いっしょうけんめい仕事している女性たち」に感動することがたびたびある今日このごろです。
昨年2月24日、米国サウスダコタ州議会が中絶をほぼ全面的に禁止する内容の法案を可決しました。
真っ向から中絶を禁ずる法律が問題となるのは、1973年にテキサス州の中絶禁止法を違法とした(中絶の是非が議論になるときアメリカ人なら誰でも知っている最高裁の判例)Roe v. Wadeから実に30年ぶりのことなんだそうです。ブッシュ政権下で任命された2人の最高裁判事によって、Roe v. Wadeで示された判断が覆されるかどうかが、この先アメリカの大きな議論の焦点になってくるのは間違いなさそうです。
1973年当時、テキサス州では母体の生命を救うための医師の助言がある場合を除いて全ての中絶を禁止する法律が定められていたのですが、テキサスの2人の若い女性弁護士、Linda CoffeeとSarah Weddingtonは、妊娠中の未婚の女性であった原告Jane Roe(匿名)を代理し、この妊娠中絶禁止法は違憲であるとしてテキサス州の連邦地裁にクラスアクションを起こしました。
違憲の理由は、プライバシーの権利の侵害。
1868年に成立した修正第14条には、「いかなる州も、正当な法の手続きによらないで、何人からも生命、自由または財産を奪ってはならない。またその管轄内にある何人に対しても法律の平等な保護を拒んではならない。」とあり、「個人が自分で決定すべきことについては、政府はとやかく干渉してはならない」というプライバシーの権利が導かれるようなのです。
Roe v. Wadeでは、中絶をする権利というのが憲法上の権利かどうかが問題になりました。最高裁ではコモンローの歴史から振り返り、「プライバシーの権利の中に、女性がその妊娠を終わらせるかどうかを決定する中絶の権利」を認め、他方、プライバシーの権利も絶対ではなく、州(政府)は、母体の安全を確保する利益、誕生前の生命を確保する利益を主張できるとしました。
この判決は、妊娠初期の中絶の自由をプライバシーの権利として、「女性個人の権利である」と認めたことでアメリカ社会に大きなインパクトを与えました。この判決以降、アメリカの世論は生命擁護派と選択擁護派にまっぷたつに別れ、激しい感情対立にもなり、時に中絶を行う医師を殺害する事件にまでエスカレートすることになります。そしてまた大統領選の大きな争点となる政治問題にもなっているのです。
ところでRoe. v. Wadeの原告側弁護士Sarah Weddingtonは、それはいっしょうけんめい仕事した女性だったわけですが、彼女は女性であるという理由から法律事務所に就職することができなかった26歳の若き弁護士でした。そして、最高裁で勝訴した最年少の女性弁護士になったのです。この判決後、テキサス州議会議員となり、女性初の合衆国農務省のジェネラルカウンセルとなって、カーター大統領の任期中、ホワイトハウスの特別アドバイザーにまでなりました。
写真は中絶禁止法に反対する女性たちの抗議のようすです。元気な女性たちの姿にはどきどきします。男性も含まれます。オルブライトもヒラリーも元気です。ここに見えている女優たち、常に闘う女性の先頭に立つスーザン・サランドン、キャンディス・バーゲン、キャサリン・ターナー、懐かしい「タクシードライバー」のシビル・シェパードもいます。アシュレイ・ジャッドなんかもいるんですね。
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