見つけた 犬としあわせ

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2026/01/10

ベネズエラ・ボリバル共和国

 


1月3日、トランプ政権のベネズエラ侵略の2ヶ月前に東京大学の岡部明子教授(環境学)が世界バリオ会議に参加するため首都カラカスを訪れていた その時のことを書いている記事を見つけたので紹介します

ベネズエラはアメリカの裏庭なんかではないし、「侵略していい」国であるはずもない

「悪vs.正義」の構図を超えて ベネズエラの「コムーナ」が問う人間の尊厳と民主主義 

2026年1月8日by岡部明子

https://globe.asahi.com/article/16269404

2025年11月、アメリカの軍事圧力が強まり、ベネズエラとの往来が途絶える直前に私は建築家の山本理顕氏に同行して首都カラカスで開催された「世界バリオ会議」に参加した。

約3000人が誇らしげに会場となったカラカスの大劇場に集った。彼らは、都市の周縁部にある低所得者層が多く住む、「バリオ」と呼ばれる居住地の住民たちである。

バリオとは、いわゆる「スラム」という言葉からイメージされるような環境で、お隣の国ブラジルでは「ファベーラ」と呼ばれる地区に似ている。カラカス首都圏の人口の約半数がこのバリオに住んでいるといわれている。

主要メディアによれば、ベネズエラでは反米左派政権の独裁体制が長く続き、経済が破綻し、社会が混乱していると報じられている。国外に逃れた人々の数は800万人にも上るとされ、なかでもバリオに住む貧困層は極限まで追い詰められていると想像される。

果たして、現状はどうか。覚悟してバリオを訪れると、その光景に拍子抜けした。街の随所にカラフルな壁画が描かれ、明るい雰囲気に満ちていた。

バリオの多くはインフラ整備が難しく、都市開発がされないまま残された斜面地に住人たちが自力で家を建ててできあがった場所である。そのため、交通アクセスが大きな課題の一つだった。反面、曲がりくねった坂道の路地には訪れる人を引きつける魅力があり、坂を上り切った先からは眼下に街全体を見渡すことができる。

状況が変わったのは1999年、マドゥロ政権の前身である左派ポピュリズムのチャベス政権が誕生してからだ。公共交通としてゴンドラ(都市型ロープウェー)が導入され、アクセスが飛躍的に改善した。

2010年にいち早くゴンドラが導入されたサン・アグスティン地区は都市の中心部に近く、今では「バリオ文化」を誇る界隈になっている。夕暮れ時には若者たちであふれ、老若男女がサルサのリズムに乗って夜通し踊り明かす姿が見られる。

ラテンアメリカ最大のスラムとも言われるペタレ地区(人口約40万人規模)では、40%の急斜面に赤褐色の薄板れんがで造られた粗末な家々が貼り付いている。マドゥロ政権の路線になってから地区に階段が整備された。

コミュニティー主導の「壮大な実験」

私が参加した「世界バリオ会議」の主役は自分たちのバリオで活動する地域共同体の人々だ。彼らは「コムーナ」という共同体による自治組織として活動している。

コムーナを支える仕組み

コムーナの自治はチャベス政権時代に関連法整備がなされてから徐々に育ち、2013年後継のマドゥロ政権になってようやく実を結び始めた。国、州、市町村の階層的な統治機構とは別建てで、全国に3600ほど組織されたコムーナが事業を提案。それらを全国会議的な選考を経て、政府が予算を付ける仕組みがつくられた。

コムーナに関連する予算は、「コムーナルート予算」と呼ばれる。当初、国家予算の数パーセントに留まっていたが、マドゥロ政権は数十パーセントにまで大幅に増やそうとしていた。

バリオの住人たちは都市開発されていない土地に家を建てて生活しているため、土地家屋を保持できる保障がなく、社会的アクセスも困難だ。そこで、インフォーマル(非公式)に占有している土地に対し、政府が証書を交付し、生活基盤を安定させた。

コムーナを見ていると、「人間の尊厳」について考えずにはいられない。
「貧困をなくし、誰もが尊厳ある生活を」は世界のスローガンだが、経済的な貧困から脱するだけでは人間の尊厳は手に入らない。

現在のベネズエラは、「麻薬組織と結びついたマドゥロ独裁」という「悪」と、「民主化」を掲げノーベル平和賞を受賞した野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏の「正義」という構図で一般的に理解されがちである。

確かにコムーナに関連する法制度は民主的な手続きである憲法改正を経ていない。マドゥロ政権の示す道は、「人民」が権限を勝ち取り、参加型民主主義を実現していくというものだが、政治参加できるのがコムーナ制度の枠内のみで、思想や表現の自由が侵害されているという主張もまた理解できる。

草の根の民主運動vs.形式上の民主化

しかし、バリオに暮らす人々の側に身を置いて同じ世界を見ると、目の前にあるのは「経済的な貧困層であるバリオの人々の民主運動」と「富裕層のエリート民主主義」の対立だ。

つまり、抗争関係にあるのは「草の根の民主運動」と「形式上の民主化」。反体制が掲げる新自由主義的な民主化は、富裕層のエリート民主主義へ回帰するリスクもはらんでいるのではないか。

歴史を振り返れば、民主主義から遠ざけられた人々の不満が1989年のカラカス暴動を引き起こし、政府は彼らに銃口を向けた。そうして増幅した怒りが、チャベス大統領を生み、世界的に孤立に追い込まれ強権化してきた左派ポピュリズム政権を25年間も持続させる糧になったとは言えないだろうか。

その中でやっと芽生えたコムーナの自律的なプロセスには、世界の都市貧困対策が目指す姿があると私は思う。

これは特異な政治的条件がそろって勢いを得た運動ではあるものの、世界中のさまざまなインフォーマル居住地と連帯していけば、「世界バリオ会議」はグローバルサウス発の大きな運動へと展開していくポテンシャルを持っている。

その先には、グローバルノース(先進国を中心とした世界)の価値観さえも変えてくれる希望が見え隠れしている。

 

歴史的背景
ベネズエラは、1958年の民主化以降、親米政権が続き、南米のなかでは「民主主義の優等生」といわれてきた。1980年代に入り、世界最大の埋蔵量を誇る石油が国家経済の根幹になると、米国の石油メジャーと一部の支配層が権益を独占。「アメリカの裏庭」と呼ばれているとおりだ。

こうした利権と結びついた一部の地元富裕層と貧困層の格差が急速に拡大。1983年、原油価格の暴落を契機に当時の民主政府から事実上排除されていた下層の人たちの不満が1989年、「カラカス暴動」を引き起こした。

貧困層に支持されて1999年に「ボリバル革命」をスローガンに誕生したのがチャベス前大統領の反米左派政権だった。ボリバルとは、ベネズエラを起点に南米を独立に導いた英雄シモン・ボリバルのこと。

カリスマ的なリーダーだったチャベス氏は、「21世紀の社会主義」を掲げ、戦略部門のインフラを国有化、2002年の反政府クーデターを凌いだ後、憲法の大幅修正に踏み出す。「人民権力」を法的に位置付け、貧困層も主役として参加できる民主主義を構想し「コムーナ」制度を創設。他方、新たな所有概念を提示したり、大統領再選を可能にしたりし、国内外から強権化に対する警戒が強まっていった。

2013年にチャベス氏が死去すると、副大統領だったマドゥロ氏が大統領に就任。原油価格の下落と米国をはじめとした国外からの経済制裁があいまって、数万%のハイパーインフレにみまわれ、富裕層に次いで中間層までもが海外に逃れるなか、社会主義政策は急進化し、マドゥロ政権は反米姿勢をさらに強めていった。2018年と2024年の大統領選挙でマドゥロ氏が選出されるが、反政府野党側が公正な選挙ではなかったと主張、マドゥロ大統領を国家元首として承認していない国が多い。

 

#ベネズエラ国民はマドゥロを支持します!メディアはこれを報じません!

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ニューヨークからロサンゼルス、ワシントンDC、ボストン、サンフランシスコ、デトロイト、フェニックス、ミネアポリス、カンサスシティまで、アメリカの主要都市100以上でトランプのベネズエラ軍事介入に抗議する大規模抗議行動が展開されている!

 

トランプのマドゥロ大統領誘拐のおかげでベネズエラは団結。今や「絶対にマドゥロは認めない」と言っていた野党メンバーでさえ、マドゥロ大統領の釈放を要求している。(中東紛争ニュース)

 

ベネズエラから世界と米国へのメッセージ:
ベネズエラは、平和と平和的共存への意志を改めて表明する。わが国は、国際的な尊重と協力の環境の中で外部からの脅威のない生活を目指す。世界平和はまず各国の平和を保障することによって構築されると信じている。 
 
我々は、主権平等と不干渉に基づき、米国とベネズエラ間、およびベネズエラと地域諸国間の均衡のとれた敬意ある国際関係の構築を優先課題と考える。これらの原則は世界の他の国々との外交の指針となっている。  
我々は、米国政府に対し、国際法の枠組みの中で共同開発に向けた協力計画に取り組み、永続的な共同体の共存を強化するよう呼びかける。  
ドナルド・トランプ大統領殿:我々の国民とこの地域は戦争ではなく平和と対話を必要としている。これは、ニコラス・マドゥロ大統領が常に主張してきたことであり、現在のベネズエラ全体の願いでもある。それが、私が信じ、人生をかけて取り組んできたベネズエラである。私の夢は、善良なベネズエラ国民全員が共存できる偉大な大国としてのベネズエラである。  
ベネズエラには、平和と発展、主権、そして未来に対する権利がある。  
2026年1月4日   デルシー・ロドリゲス ベネズエラ・ボリバル共和国大統領代行)