見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2018/06/15

ローナン・ファロー

◇ハーヴェイ・ワインスタインを手助けしたイスラエル工作員がオバマ前政権の官僚に関する情報を集めていた
ニューヨーカー誌 May 6, 2018 byローナン・ファロー(Ronan Farrow)

2017年6月、元国務省官僚アン・ノリスは普通でない申し出を含むEメールを受け取る。ノリスはバラク・オバマの元外交政策顧問でイラン核合意の著名な擁護者であるベン・ロードスと結婚している。Eメールではエヴァ・ノヴァクと自己紹介し、シェル・プロダクションというロンドンに拠点を置く映画会社で働くと主張した女性は、「All the President’s Men(大統領の陰謀)」と「The West Wing(ザ・ホワイトハウス)」がいっしょになると説明した映画でノリスに顧問をしてくれと頼んだ:映画は「敵対国との核交渉」を含む地政学的な危機の時代を通じて「戦争と平和に決着をつける立場の政府官僚」の私生活を追う。やりとりを思い出して、アン・ノリスはエヴァ・ノヴァクの要請が「とっぴ」であると気づき「決して応じなかった」と述べた。

Eメールは見たところ2015年イラン核合意の著名な擁護者であったオバマの官僚の評判を落とすためにイスラエルの民間情報会社によって秘密に行われているキャンペーンの一環であるようだ。土曜日キャンペーンはイギリスの新聞オブザーバーによって何よりも先に報じられた。しかしながらニューヨーカー誌が手に入手した文書の一節や活動に精通している情報源はもっと知らせることがあることを明らかにする。この作戦はブラック・キューブによって実行されたと日曜にこの情報源の2人がわたしに教えた。ブラック・キューブはハーヴェイ・ワインスタインによって雇われていた会社でもあり、クライアントに“イスラエルのエリート軍隊”やモサドを含む“政府の秘密情報部隊”のスパイに接近する方法を提供する会社でもあった。

ノリスがEメールを受け取った一カ月前にNational Democratic Institute(全米民主党協会)の元プログラム職員でオバマ政権の元外交政策顧問コリン・カールの妻であるレベッカ・カールもわけのわからないEメールを受け取った。アドリアーナ・ガヴリロという女性はロンドンに拠点を置く財産管理会社ルーベン・キャピタル・パートナーズの法人社会的責任長であると主張した。ガヴリロは彼女の会社が教育に関して先駆けて行う発案に着手しておりカールの娘が行く学校のことを検討するために会いたいとカールに伝えた。カールはガヴリロを学校職員に任せたが、ガヴリロは彼女以外の誰とも話すことを繰り返し拒否した。「妙なことにわたしがある種の標的」であることを心配したと言うレベッカ・カールは結局ガヴリロに返答するのをやめた。

エヴァ・ノヴァクとアドリアーナ・ガヴリロは偽名であるらしい。ある目的で二人が結合されるLinkedInのページがセルビア語が流暢と宣伝されるスリムな金髪女性を見せる。この顛末についてニューヨーカー誌がブラック・キューブと連絡を取った直後、ノヴァクのLinkedInページが削除された。ルーベン・キャピタル・パートナーズとシェル・プロダクションのウェブサイトはどちらも無料のサイト構築ツールWixで作成されたひどく貧弱なページであった。両社のアドレスは共有されるオフィススペースに至る。シェル・プロダクションとルーベン・キャピタル・パートナーズがこれまでそこで操業していたという証拠はまったくない。

文書はブラック・キューブがロードスとカールを含む幾人かの(彼らのアドレス、家族の情報、クルマの型にもスポットをあてて扱った)個人の詳細な家柄や学歴といったプロフィールを集めたことを示す。ブラック・キューブのスパイは彼らについての有害な情報をなんとか見つけだすように指示された、それにはロードスとカールがイランのロビイストと親密に働いてイランに関する彼らの政策業務から一個の人間として重要性を高められたという証拠立てられない主張が含まれる(二人はそれらの主張を否定した);ロードスが諜報文書に挙げられたトランプ政権移行チームの“正体を暴露する”ことに責任のあるオバマ・スタッフのひとりだったとうわさする(ロードスはこの主張を否定した);そしてキャンペーンによって攻撃される個人のひとりが関係を持ったとの十分な証拠のない申し立て。

キャンペーン(一連の作戦行動)はブラック・キューブがハーヴェイ・ワインスタインの代理として動いた作戦に著しく類似する、それは昨年秋にニューヨーカー誌によって報じられた。ワインスタインの弁護士のひとり、デイヴィッド・ボイスはワインスタインに対する性的違法行為の申し立ての公表を止めるためブラック・キューブを雇った。ブラック・キューブのスパイは申し立てを有する女性を突きとめるために、また顛末を暴こうとする記者を突きとめるために、虚偽の身分証という手段を使った。2017年5月に旧ユーゴスラビアからイスラエルに移住したイスラエル国防軍元士官がブラック・キューブの秘密捜査員として働いていた。その女性は女優ローズ・マッゴーワンと連絡を取り、ルーベン・キャピタル・パートナーズで働くと主張するがダイアナ・フィリップの身分証を使う。マッゴーワンへのフィリップのEメールはノリスやカールに送られたEメールのそれと同じ戦術を広げて見せた、そして場合によってはほとんど同一の言語を使った。(フィリップはわたしにもルーベン・キャピタル・パートナーズから手紙を書き送り、またもや同様の言語を使った。)

ワインスタインのための工作活動と同じく、ブラック・キューブはイラン工作で時々ジャーナリストのふりをしたスパイを使って記者や他のメディアの人物にその仕事の多くを集中させた。同社はオバマ政権の官僚と気脈を通じていたと思われた30人以上の記者のリストを集めた、そしてネガティブな情報をどうやって捜し求めるかをめぐって指示で注釈を付けた。

トランプ大統領の側近が、ブラック・キューブが否定する申し立て、イラン核合意を陰険な手段で傷つける目的で活動を行うためにブラック・キューブを雇ったとオブザーバー紙は報じた。活動に精通した情報源のひとりは、それは実際イランに対する制裁に関連した商売上の利益を追い求める民間部門のクライアントのためのブラック・キューブの仕事の一部だったとわたしに話した。(トランプ政権のスポークスマンは申し立てに関してオブザーバー紙にコメントするのを断った。)

ブラック・キューブはイスラエルの政界と諜報機関の現実力者、元実力者との親密な関係によって知られている。モサドの元長官、故メイア・ダガンはかつて会社の社長として働いた。イスラエルの元首相バラク(Ehud Barak)は、彼がブラック・キューブの指導部をワインスタインに紹介したと公然と認知されている。(バラクは、その時はワインスタインの懸念の本質について知らなかったと言った。)大統領としての最初の外遊を通じてトランプが2017年5月にテルアビブを訪問したあと、トランプのチームにつながる官僚がブラック・キューブに接触したとオブザーバー紙は報じた。その訪問の間にネタニヤフの隣りに立って、「イランが決して核兵器を持たないとわかる」とトランプは請け合った。

△ローナン・ファローはニューヨーカー誌に寄稿する記者、TV番組の司会者であり、またその仕事ぶりがHBOでも見かける徹底した調査報道記者だ。
彼が「“War on Peace: The End of Diplomacy and the Decline of American Influence.」を書いた。

https://www.newyorker.com/news/news-desk/israeli-operatives-who-aided-harvey-weinstein-collected-information-on-former-obama-administration-officials
△ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラが告発されたことで明らかになったハリウッドのセクハラ体質。実は今回の一連の告発で最初のワインスタインに関する記事を雑誌『ニューヨーカー』に書いたのはミア・ファローの息子でジャーナリストのローナン・ファロー。今回の告発記事に関してコメントしている。

ミア・ファローとウディ・アレンの息子であるローナン・ファロー。ローナンは長年、アレンの子どもに対する性的虐待を批判してきた人。ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ行為も長年追ってきたという。

先週、スティーヴン・コルベアのトーク番組に出演したローナン。「みんなに『なぜこんなにたくさんの告発が今までずっと隠されてきたんだ?』と聞かれる。これがどれほど悪化していたかについてはこれからまだ語られることがあると思う」とコメント、告発がまだまだ続くことを匂わせた。

ローナンは「ハリウッドだけでなくこの国で権力と金を持っている人はそういうものだし、どんな業界でも彼らはそういうやり方をするんだ」とも。

「確実に沈黙させるための非常に醜く強大な力を持つ仕組みがあることにも衝撃を受けた。でも肉体労働についている女性であれ、ハリウッドの女性であれ、性的虐待のサバイバーたちがこれまで声をあげなかった様々な理由が他にもある」というローナン。次の記事ではこの「沈黙を守らせる仕組み」について告発するとも明かしている。

今回の告発ではセクハラだけでなく、見て見ぬふりをしてきた周囲に対しても批判が集まっている。その隠蔽体質についてもこれから明らかになるのは確実。続報にも注目したい。

http://www.elle.co.jp/culture/celebgossip/ronan-farrow17_1107