見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2007/03/15

ボビーのスピーチに感動




昨日、エミリオ・エステヴェスの映画「ボビー」を見てきました。久々に映画館で大泣きしてしまいました。単に1968年6月5日のLA アンバサダホテルをめぐる22人の群像劇として見てもおもしろくできているし、兄のケネディ大統領もそうですけど、2ヶ月前のキング牧師の暗殺、悪化するヴェトナム情勢、次々に到着する若者の死体袋の数、いまにも前線に送られようとする大学生たちといった、当時のアメリカのマイノリティや社会的弱者、そして公正な社会を希求する若々しい世代、リベラルな考え方の人々にとって、ボビーがどんなに夢と理想の実現をもたらす希望の存在であったかということ、また「ロバート・ケネディの精神を称える物語」という監督の当初の目的という意味でも、それがよく伝わてくる物語になっていたと思います。
「キングオブポルノ」の監督でもあるエミリオ・エステヴェスは2001年911の前に脚本を仕上げていたらしいのですが、5年間、これ一筋に集中していたそうなんです。6歳のときにこの悲劇に遭遇した監督にはそれほどボビーの顛末が運命的なものに思えたということなのでしょう。TVでボビーが銃撃され死亡したことを知ったエミリオ少年は、ケネディの支援者であったハリウッド・リベラルの父マーティン・シーンにすぐこのことを教えたそうなんです。父が電話しながら泣いていたのを憶えているそうですよ。
ところで、1968年というのはなにか象徴的な年だったんですね。ボビーが撃たれる前日に東部ではアンディ・ウオーホールが撃たれています。そんな会話が東部の社交界の名士夫妻の会話から聞かれます。
エステヴェスと婚約までしたデミ・ムーアやシャロン・ストーンがもう若くはない女性たちを好演しています。デミ・ムーアの現在の恋人アシュトン・カッチャーが60年代の西海岸ドラックカルチャーを体現するLSD の水先案内人を演じているのも監督の人柄がうかがえてなかなかよかったです。
アンバサダホテルのまるで住人みたいな、元従業員の案内人を演じるアンソニー・ホプキンスが製作総指揮に名を連ねていました。弟のチャーリー・シーンもずっと兄貴を支援してたとか。ドラッグと女性関係で評判悪いとはいえ、誰かの人生を傷つけてるわけじゃなし。歴史的重要事件の現場ホテルに13歳の少年を連れていった親父はすごい!と思いました。
ボビー暗殺後に流れるボビーのスピーチは、「心なき暴力の脅威」というマーティン・ルーサー・キング師が暗殺された夜のスピーチなんだそうですが、「暴力は国をおとしめるだけ」という、いまでも世界を納得させるその力強い普遍的メッセージに、おもわずこころが震えました。感動です。

ところで、ケネディ元大統領の特別補佐官でケネディ暗殺後は弟ロバート・ケネディ元司法長官のスピーチライターも務めた米国の著名な歴史家、アーサー・シュレシンジャーがつい先日2月28日に心臓発作で亡くなったのはご存知でしたか。89歳という高齢でした。
ハーバード大卒業後、歴史学の研究を続け、第二次大戦中は現在の中央情報局(CIA)の前身である戦時情報局などに勤務。終戦後、同大助教授などを歴任。60年の大統領選でスピーチライターとしてケネディ陣営に加わり、政権発足とともに大統領特別補佐官に就任したという経歴の持ち主です。
米国を代表するリベラル派の重鎮で、ルーズベルト元大統領のニューディール政策を強く支持するなど民主党の活動を支援しました。一方、ウォーターゲート事件などを背景に、共和党のニクソン政権を憲法の権限を超越した「帝王的大統領制」と批判。最近もブッシュ大統領の「先制攻撃論」を「悲劇的な過ち」と痛烈に批判し、イラク戦争反対の論陣を張りました。
こういう人物がいなくなるのは、どんどん魅力のない世界になっていくようで、寂しい限りですね。きっとボビーのスピーチにも彼の影響が色濃くあるんでしょう。
(2007年3月2日の毎日新聞の記事を参考にしました。)

写真は、うちのボクサー犬ヴァーモスです。最近、警察犬訓練所に行っちゃったのでとっても寂しくもあり、載せちゃいました。3枚も。今日、訓練所に電話してみました。心配で。最初の夜からドックフードをちゃんと食べ、ちゃんとやってるよ〜とのことでした。よかった!
写真はクリックすると拡大版で見ることができます。