見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2019/08/25

負の歴史は特に学校で教えなくちゃ

◇徴用工や慰安婦の苦しみを私たちが知らなくていいことにはならないし、加害の歴史を隠すべきではない!加害の歴史を直視できない国だと世界から見られることこそ、国益に反している。(安田菜津紀)

◇日本が過去の罪を償わないことがどれほど世界経済を脅かすか
貿易緊張の高まりは世界のテクノロジー市場を混乱させる可能性がある
ワシントンポスト紙 August 11, 2019  by Gregg A. Brazinsky  

サムスンの携帯電話とタブレットの価格はすぐにも上がる可能性がある。理由は第二次世界大戦中の日本の残虐行為にまでさかのぼる論争が日本と韓国を経済戦争の瀬戸際に追いやったから。

日本は最近、韓国経済に損害を与えかねない幾つかの措置を実施した。韓国を輸出優遇国(ホワイト国)のリストから削除し、半導体物質の輸出に規制を課した。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は日本に降伏しないと断言して相互措置を準備している。

日本はいくつかの半導体物質について韓国への出荷を許可したが、状況は解決にはほど遠い。日本の動きはすでにメモリチップの価格の急騰を引き起こしており、世界のテクノロジー市場に衝撃的な影響を与えている。東京(霞ヶ関)は制裁の理由として国家安全保障上の懸念を挙げているが、ほとんどの専門家は、第二次世界大戦中に工場で強制労働を余儀なくされた韓国人に対して賠償金を支払うよう日本企業に命じる最近の裁判所の判決のせいで韓国に報復していると考えている。

何十年もの間、両国は日本が植民地時代の過去をどのように償うべきかについて意見が分かれてきた。目下の事情では、過去の残虐行為に取り組まないこの怠慢は東アジアの範囲をはるかに越えて拡大する経済的影響をもたらすかもしれない。たとえいかに不快(不面目)でも、より平和で繁栄した未来のために国は歴史問題に対処しなければならない。

第二次世界大戦の終焉で日本が帝国を放棄した時から韓国のような旧植民地では日本に対する根深い恨みがいつまでも残った。まず第一に帝国支配力として次に第二次世界大戦の間に日本は記録に残る歴史のなかで最も恐ろしい中にまじる残虐行為に積極的に関与した。これには、“慰安婦”という数十万人の性的奴隷や韓国の学童に日本語学習を強制することで韓国文化を根絶しようとする活動が含まれていた。 

1945年に米軍が日本と韓国を占領したとき、日本と前の犠牲者との間の和解は優先度が高くなかった。代わりにアメリカ合衆国は新しい過去に対する恨みを払いのけて(無視して)植民地時代の間に存在していた経済的つながりを再確立しようと努めた。共産主義を止めることに集中させるアメリカ合衆国はこの脅威に対する抵抗で日本と韓国は団結させる必要があると考えた、そこで米国の外交官は日本政府と韓国政府に協力して両国の歴史的争いを迅速に解決するよう圧力をかけた。

1965年に韓国はようやくジョンソン政権の支援により日本との関係を正常化した。当時の大韓民国の大統領朴正煕(パク・チョンヒ)は2桁の経済成長率を成し遂げることに熱心で前任者より日本と妥協することをいとわなかった。協定はとても不人気だったがパクは強力な警備組織機関で独裁政権を支配して議会のおかげでそれを押し通すことができた。

この協定は首尾よく日本と韓国との間に新たな経済関係をもたらした。韓国政府が植民地および戦時の韓国に対する虐待酷使に対して日本から正式な賠償を求める権利を放棄したと同時に日本は8億ドルの助成金と融資を韓国に提供することに同意した。

次の20年間に韓国は日本から約束の開発支援を受けたのみならずまた日本の貿易と投資の最重要な届け先になった。韓国と日本の経済は新しいパートナーシップから多大な恩恵を受けるせいで、ソウルと東京は歴史問題を通してけんかすることをひどく嫌った。

だが、協定はまた日本が過去の残虐行為を考慮に入れるのを巧みにかわすことも許した。どちらの政府も交渉するときに被害者の視点を考慮に入れなかったので、取り決めは日本政府から補償を求める個々の市民の権利を無効にした。代わりにパク政府はおそらく日本の戦争犯罪の犠牲者に支払われるものだった日本からの一時金を受け取った、そして日本政府は前の犠牲者に対する補償の問題を解決したと考えた。

しかしそれほど簡単ではなかった。1980年代後半から1990年代初めにかけて韓国で軍事政権が民主主義に道を譲ったとき、以前は語りたがらなかった日本の残虐行為の犠牲者が進んで証人になった。その中にまじる日本軍による性的奴隷状態の犠牲者、“慰安婦”は最も感情的ないきどおりを誘発した。協定は彼女たちの不満に対処するのにまったく不十分であることがわかった。

同様に、今日、第二次世界大戦の歴史的不当な処置(不公平)は両国の仲を裂き続ける。韓国人にとって怒りの多くは、犠牲者を金銭的に補償する闘争と彼女たちのことを聞かない日本の両方に起因する。

2015年、朴正煕(パク・チョンヒ)の娘、韓国の元大統領朴槿恵(パク・クネ)は慰安婦問題に対して50年前に父親が交渉した協定とほぼ同じ不備のある合意を日本と締結した。日本は元慰安婦を支援する財団に一時金として890万ドル支払うことに同意した。またしても、犠牲者たちは交渉に関して発言権を拒まれ、合意は批判の嵐を引き起こした。

文在寅(ムン・ジェイン)は進路を180度転換させて昨年11月に協定によって支援される財団を解散し、合意を役に立たなくした。その代わりに彼は韓国と日本の企業の両方が一助となる共同補償基金という新たな提案を提唱した、だが、東京はこれをにべもなく(きっぱりと)拒否した。日本からの被害弁償を求める徴用工(強制労働者)に味方する最新の韓国最高裁の判決は、日本企業は第二次世界大戦中の行いに対して責任を負うべきであるという文在寅大統領の提案と同じ原則を反映する。

だが、それはただお金と被害弁償を待つことに従事しているのではない。日和見主義の韓国の指導者らは、自分たちの人気が悪くなっているとき日本が攻撃するのに都合のよい標的であることを知った。ほぼすべての大統領職の在任期間が一桁の支持率で終わる国では、歴史の怒りを弱まることなく保ち続けることが有用な政治的武器になり得る。

日本はまた深い悔恨をはっきりと表明することに対して不誠実な行動で論争をあおり続けてきている。1990年代以降、日本の指導者らは自国の過去の悪行に対する謝罪と反省を表明する数十の声明をしている。しかしながら、彼らは誠実さについて疑問を起こさせる悪名高い靖国神社を訪れるといった他の行動に乗り出すことによりこれらの声明を一貫して傷つけてきている。

日本社会は第二次世界大戦中に軍隊が一体なにをしたかを認めて後悔の念を示すことを怠ってきた。ドイツとは異なり、日本は第二次世界大戦の残虐行為について人々に知らせ、記念となるための公共の記念碑または博物館を建設してこなかった。現行の首相、安倍晋三は前任者よりも歴史問題に非情な姿勢で臨んでおり、彼の政権下ではさらなる謝罪は手近に用意されていないことを明らかにしている。学校で20世紀初めに日本は単に利益を追求していたに過ぎないと教えられ、日本の若い人たちもまた彼らの国の過去の行為について謝罪する必要はほとんどないと考えている。これらの風潮、傾向のすべてが、国家主義者の知れわたっている(評判の)記憶を強化する恐れがあり、現在の貿易紛争を悪化させる恐れがある。

伸びゆく貿易戦争が地域経済および世界経済全体に波及する前に日本と韓国が合意に達する可能性はある、だが、現在の紛争が解決したとしても、日本が近隣諸国との和解を達成するためにより一貫した遠くまで及ぶ努力をしない限り、アジアは常に次の経済危機または軍事危機にあてずっぽうに接近する。扱いにくい歴史と取り組まないと将来に向かって繁栄(好景気)を制限することになり、世界の残りの地域はおそらくはその結果をこうむることになる。

△グレッグ・A・ブランジスキー(Gregg A. Brazinsky)はジョージワシントン大学の歴史および国際問題の教授です。

https://beta.washingtonpost.com/outlook/2019/08/11/how-japans-failure-atone-past-sins-threatens-global-economy/