見つけた 犬としあわせ

ニュースのファンジン、世界のニュースのサンプリング。 一枚のCDを聴くように一枚のコラージュを眺めるようにこれを体験して欲しい。

2007/05/08

キャプテンハリバートンはいつ退場するの


世界銀行のウォルフォウィッツ総裁が交際相手の女性職員を昇進や昇給で厚遇したとされる問題で、世銀の特別調査委員会は5月7日、総裁が世銀の倫理規定に違反したとの報告書をまとめた。複数の米メディアが報じた。
総裁は「規定に違反していない」と主張し、辞任を拒む姿勢を強調してきたが、調査委の報告書で一段と厳しい立場に立たされそうだ。世銀理事会は、報告書を踏まえ、週内にも総裁への処分を決定する見通し。
一方、世銀は同日、総裁側近のケルムズ上級顧問が辞意を表明し来週中に辞任すると発表した。同顧問は総裁が米国防副長官だった時代から仕え総裁とともに世銀入りしたが、「側近政治」との批判が強まっていた。(毎日新聞より)
ここまできても、ポール・ウォルフォウィッツは世界銀行総裁の職を辞する必要はないとブッシュ大統領は擁護する。
アメリカの戦争を主導してきたネオコングループの中心的存在のポール・ウォルフォウィッツが辞任を要求されている。2005年3月、国防副長官だったウォルフォウィッツは世界銀行総裁へ転出。その彼に恋人優遇スキャンダルが持ち上がったのは今年4月上旬のことだった。総裁就任にともなって恋人がアメリカ国務省へ出向、その際に世界銀行の規定を上回る昇給があったと報道され、辞任を要求する声が高まったのだ。アメリカ政府は彼の支持を表明しているものの、イギリスやドイツなどはアメリカに同調していない。
渦中の女性、シャハ・リザは、2001年あたりから世界銀行で中東・北アフリカ地域の広報を担当。ウォルフォウィッツは妻と30年以上も別居していることからリザとの交際は容認されていた模様。実際、総裁就任の際にウォルフォウィッツがふたりの関係を公表しても大きな問題にはならなかった。規則に従ってリザが国務省へ出向させられただけのことだった。だが今回は規則に反した昇給が指摘され、スキャンダルに発展した。つまり2005年の昇給で彼女の年収は約4割増え、コンディ・ライス国務長官の18万ドルを上回る19万3590ドルになったというのである。
だが問題はこれだけでない。リザと軍需産業との関係が浮上してきたのだ。有力軍需企業SAICによると、国防総省政策担当次官オフィスが2003年、同社に対してリザを雇うように指示してきた。この会社で彼女は働いていたと政府監視団体GAP(政府説明責任プロジェクト)も主張しているのだが、ダグラス・フェイス政策担当次官はこの件に関して「記憶にない」と言う。ちなみに、当時の国防副長官はウォルフォウィッツ。ペンタゴン側は問題ないとしているが、疑惑を招くできごとだったことに間違いはない。
その頃、リザはイラクを視察、アメリカ軍による軍事侵攻後のイラク再建について世界銀行の幹部に報告している。このため、アメリカ政府は「イラク復興」に世界銀行の資金を利用しようと計画していたのではないかとの憶測も生まれている。
今年4月中旬、リザの出向先に注目が集まる。彼女はエリザベス・チェイニーの下で働いた。エリザベス・チェイニーとは、ディック・チェイニー副大統領、つまりイラクへの軍事侵攻で最も利益を得たといわれる軍需企業ハリーバートンのCEO(最高経営責任者)だった人物の娘なのだ。そしてエリザベスの上司はC・デイビッド・ウェルチ中東問題担当次官補だった。
エリザベスは「未来基金」なる政府系の組織を本格的に始動させようとしていて、中東地域に「民主主義」を広げるため、草の根組織を育てることを目的としているんだそうだ。アメリカ政府が言うところの「民主化」や「民主主義」がどういうことを意味するか、あるいはどういう世界をもたらすかは、その他の世界には痛いほどよくわかっている。(いい加減にしろ、こりごりだ!)
4月14日付ワシントン・ポスト紙によると、基金のオフィスで実際に働いているのはリザだけなんだそうだ。今年から彼女は正式に基金の仕事を始めているが、まだ世界銀行から給与をもらっているとも報道されている。
ウォルフォウィッツは親イスラエル派であるが、もうひとり、辞任を要求されている人物にイスラエルのオルメルト首相がいる。彼の方は今回なんとか首をつないだようである。
上の写真は、久々のWard Suttonの作品でーす。キャプテンハリバートンだい。金儲けには長けているかもしれないが、どう見てもマヌケ。