見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2007/10/02

トスカーニのNo Anorexia



ミラノファッションウィークが開催されているイタリアで9月24日、拒食症の女性モデルを起用したヌード広告が新聞紙面や広告掲示板に掲載された。
体重31キロのフランス人モデルを起用したのはファッションブランド「Flash&Partners」。広告には「No Anorexia(拒食症)」と書かれており、イタリア人写真家オリビエーロ・トスカーニ氏が撮影した。
同ブランドによると、トスカーニ氏は、拒食症の現実を人々に示すため裸の写真を用いたという。同氏は1992年、ベネトンの広告キャンペーンで死期の迫る男性エイズ患者を撮影するなど物議を醸している。
やせすぎのモデルをめぐっては、スペインで昨年行われたマドリードファッションウイークで、BMI(肥満度)の数値が18を下回るモデルの起用が禁止され、大きな注目を浴びた。BMIで標準とされる数値は18.5〜25だ。(ロイター通信9月27日)

◇写真家オリビエーロ・トスカーニの仕事は一般にはベネトンの広告のなかで知られている。
彼のベネトンにおける最初の功績は1989年に始められた「反人種差別キャンペーン」で、黒人女性が白人の赤ちゃんに授乳をしている写真には「人種の混交」という彼のアイディアが込められていた。 当時まだアパルトヘイトが存続していた南アフリカ共和国のベネトン代理店はこのポスターに難色を示してポスターを作り直すよう依頼したが、ルチアーノ・ベネトンがこれを拒絶する。後に南アフリカ初の黒人大統領になったネルソン・マンデラは彼らを賞賛し、南アフリカに招待した。(wikipediaより抜粋)

ベネトンの広告にある、「世界がいま注目すべきこと」になんとしても人々の注意を惹きつけようとするオリビエーロ・トスカーニの努力の成果には、人の心をつかんで放さない目の覚めるような写真がたくさんある。1994年の「Bosnian Soldier 」もそんな写真のひとつだ。
ボスニア紛争で戦死した若い兵士が着ていたシャツとパンツを並べた写真。ユーゴスラビアの内戦が激しかった時期に、国連と共同で「反戦と難民の救済」を呼びかけるキャンペーンポスターとして使われた。その日のニュースで報道される戦死者はその他残りの世界には数字でしかない。このポスターでは、血染めのシャツとパンツという若い兵士の遺品を大写しにすることで、記号化された「死」や「戦争」を排除して、ひとりの若者の死というパーソナルな文脈へ見るものを導こうとする。このポスターもまた映像の衝撃の大きさから、多くのヨーロッパ諸国でメディアへの掲載拒否があったが、一方で高く評価され、日米で広告賞を受賞した。日本では1994年に一度、朝日新聞の30段広告として掲載された。
その切り抜きは、新聞紙の黄ばみから「過去」に思えても、アンソニー・ミンゲラの映画「こわれゆく世界の中で」のように、ロンドンで暮らしていようがボスニア難民という、いまの問題でもあるのだ。

写真は、拒食症の衝撃のキャンペーンポスターと1994年のBosnian Soldier