福島県全域が汚染される
△写真には、「津波から1カ月後いまだ日常生活の基本供給なしに暮らす宮城住民らが廃墟のなかで風呂に入る」とのキャプションが付く(記事はアルジャジーラ、写真はAFP通信)
http://english.aljazeera.net/news/asia-pacific/2011/04/201141643344977371.html
◇汚染「チェルノブイリ級」 矢ヶ崎琉大名誉教授、現地調査
福島第1原子力発電所の事故の影響調査を目的に、原爆症認定集団訴訟(2003~04年)で内部被ばくを証言した矢ヶ崎克馬・琉球大名誉教授(物性物理学専門)が3月25日に福島県入りし、1週間にわたって空気中や農地、水などの放射線量や放射能汚染のデータ収集を実施した。調査を終え、14日本紙の取材に応じた。矢ヶ崎氏は「現時点でチェルノブイリと同程度の状況にある。さらに深刻化する可能性がある」などと被害の大きさを語った。
矢ヶ崎氏は3月25~31日の日程で、福島市、いわき市、会津若松市、喜多方市、南相馬市、郡山市、飯館村、北塩原村の8カ所を回り、福島第1原発から半径20キロの外側で放射線量計測器を使って汚染度合いを調べた。
その結果、「場所により1対10の差はあったが、福島県全域が汚染されていた」と汚染範囲の広さを指摘。A地点では空中の放射線量が通常0・02~0・ 03マイクロシーベルト毎時のところ、1・2マイクロシーベルト毎時を観測。わらが敷かれた田では4・8マイクロシーベルト毎時、わらを取り除いた地表は3・2マイクロシーベルト毎時だった。土を2センチ掘ると1・2マイクロシーベルト毎時まで下がった。
矢ヶ崎氏は「地表から2センチ掘るだけで3分の2程度汚染を除去できるが、膨大な面積があり、農家だけでやるのは難しい」と汚染除去の厳しさを語った。
その上で原子力発電そのものの危険性に触れ「今は放射能を安定させる技術がなく、封じ込めるしかない。そういう未熟な状態で原子力を使い始めたのがそもそも間違いだ」と話した。
福島で感じた、沖縄の類似性にも言及。「沖縄に米軍基地が押し付けられた歴史と、内部被ばくが隠され、福島に原発が押し付けられた歴史は同根」と断言した。
(引用元:琉球新報 2011年4月15日)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-176078-storytopic-232.html
◇政府は15日、被災した福島第1原発から低濃度汚染水1万トン超を海に放出した件に関する報告書を公表した。周辺国で高まる海への汚染拡大に対する懸念を軽減する狙いとみられる。
経済産業省原子力安全・保安院が日本時間15日夜に公表した報告書によると、東電が今月4日~10日に福島第1原子力発電所から海へ放出した比較的低濃度の放射能汚染水は合計1万0393トンに上った。放出量の内訳は地下水排水設備が1323トンと、集中廃棄物処理施設が9070トン。
原子力安全・保安院は分析の結果、海に放出した汚染水の濃度は非常に低いことが明らかになったと表明した。含まれる放射性物質の大半は、東日本大震災後1週間以内に原子炉内で発生した一連の水素爆発により生じ、その後の降雨で降下したものとみられているという。
また、保安院の石垣宏毅審査官によると、サンプリング調査が示すところでは、放出された汚染水に含まれる放射能の量はヨウ素131やセシウム134と137など合わせて約1500億ベクレルと、原子炉等規制法が定める海水での濃度の基準の100倍程度にあたる。
これに先立ち、特に韓国と中国は日本から同計画に関する事前連絡を受けなかったとし、さらに、海への汚染水放出により環境汚染が脅威にさらされる可能性があるとして批判していた。
低濃度汚染水の海への放出は、過熱した原子炉の冷却のための放水作業から生じた高濃度汚染水の移送先を確保するための判断だった。
原子炉の冷却に使用された合計2万7000トンの水のうち大半は大気中に蒸発するか、原子炉の損傷部分から漏出し施設内にたまるなどして、作業員の復旧作業の妨げとなっていた。
(引用元:ウォールストリートジャーナル 2011年4月15日)
http://jp.wsj.com/Japan/node_223182
◇福島第1原発:前知事が批判「破局招いた無分別」
福島県の佐藤栄佐久前知事は3月29日付フランス紙ルモンドのインタビューで、福島第1原発の事故について、原発の運営に関わった人間の「無分別がもたらした破局だ」として東京電力や日本の原子力行政当局を強く批判した。
佐藤氏は福島県知事時代の98年、全国で初めてプルサーマル計画を了承。プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料が福島第1原発に搬入されたが、02年に東電の原発トラブル隠しが発覚、了承を撤回した経緯がある。
佐藤氏は「(今回の事故で)恐れていたことが現実になってしまった」と指摘。日本の原発行政を推進する経済産業省と監視機関の原子力安全・保安院を分離すべきだとの声があったのに実現していないことを挙げて「日本は民主国家だが、浸透していない分野がある。正体不明の利益に応じて、数々の決定がなされている」と原子力行政の不透明性を暴露した。
また「今回の破局は(原発に関する)政治決定プロセスの堕落に起因している」と指弾した。(共同)
(引用元:毎日新聞 2011年3月29日)
http://mainichi.jp/select/today/news/20110329k0000e040028000c.html
◇福島第1原発:フランスが技術者2人派遣 東電が要請
東京電力は26日、福島第1原発の事故処理で、フランス政府に対し、放射能除去に関する専門家の派遣を要請した。仏政府はこれに応じ、仏原子力産業大手アレバ社の技術者2人を同日派遣した。技術者は原発付近の放射能汚染水の除去や除去への助言、将来的には原子炉の解体作業などにあたりたいという。
福島第1原発:汚染水対応 班目氏、「知識持ち合わせず」
班目春樹・原子力安全委員長は28日夜の記者会見で、東京電力福島第1原発のトレンチでみつかった高放射線量の汚染水への対応について、「どのような形ですみやかに実施できるかについて、安全委ではそれだけの知識を持ち合わせていない。まずは事業者(東京電力)が解決策を示すとともに、原子力安全・保安院にしっかりと指導をしていただきたい」と述べた。首相への勧告権限も持つ専門家集団トップの発言だけに、その役割について議論を呼びそうだ。
同委員会は原子力利用時の安全確保のために基本な考え方を示し、行政機関や事業者を指導する役割を担い、他の審議会より強い権限を持つ。だが、班目委員長は23日に会見するまで、国民に対して見解や助言の内容などを説明することがほとんどなく批判を浴びていた。
(引用元:毎日新聞 2011年3月29日)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110329k0000m040183000c.html
◇原子力監督機関と電力会社は一心同体
日本の原子力監督当局は、監督対象の業界に近づきながら権力を増大してきた。この傾向が福島第1原子力発電所の事故を引き起こした過ちにつながった可能性がある。
世界の標準に反して、経済産業省は原子力業界の監督と国内外での日本の原子力技術の推進という二つの役割を担っている。この二つは相反することも多い。
この体制は、昨年のメキシコ湾での原油流出事故以前の米国の沖合掘削の監督体制を思い出させる。つまり、同じ機関が業界を監督しつつ、沖合ガス・油田開発を促進していたのだ。事故後にまずオバマ政権がしたことの一つが、この機関の解体だ。
米国では、原発を監督する原子力規制委員会は、原子力の研究・推進をするエネルギー省から独立した組織だ。フランスはかつて日本と似たような体制だったが、2006年に独立した機関を設置した。
日本の監督当局がより強い独立性を確保していたら、原発の安全性に関する規則はより厳格であった可能性があり、福島第1原発の危機は回避できた、あるいはこれほど深刻化しなかったとの批判がある。
経産省は2006年に原発の耐震性評価を命じたが、期限は設けなかった。同原発を運転する東京電力が中間報告をしたのは2009年。津波については、研究を続けているとしただけだ。
環境エネルギー政策研究所の飯田哲也氏は「保安院も、電力会社もみんなお仲間なので、いろいろなことをみんな容認してしまう」と述べた。
2007年の中越沖地震では、東電の柏崎刈羽原発が損壊した。日本弁護士連合会は調査を行い、東電による震源断層の評価が誤っており、監督当局がこの間違いを発見できなかったために地震への対策が足らなかったと指摘。「早急に」独立した監督機関を設置すべきだとしていた。民主党は2009年に政権を取る直前にこの考えを支持した。
経産省はかつて日本経済を広範にわたり監督してきた。しかし近年は、自動車など他産業で規制緩和が進んだためエネルギーや電力に比重が移っている。
業界を公然と批判する数少ない議員の一人、自民党の河野太郎議員は「経産省は電力会社や無数の外郭団体にどんどん天下りをさせ、政治家は(電力会社)からお金をもらっている。そのかわりに電力会社は地域独占を守ってもらっている」としている。
昨年夏、資源エネルギー庁前長官の石田徹氏が東電の顧問に就任した。昨年6月まで同社取締役副社長だった白川進氏も経産省出身だ。関西電力や四国電力など、全国の電力会社の上層で同省出身者が幅を利かせている。
2人が死亡した1999年の茨城県東海村の施設での臨界事故など90年代の一連の事故を受けて、政府は2001年に同省が二つの役割を持つ問題に対処しようとした。これで誕生したのが原子力安全委員会だ。
しかし、同委には企業を調査したり変更を命じたりする権限はない。業界幹部によると、原子力技術の研究で同委をサポートする団体のスタッフや原子力学者4000人は、福島第1原発の問題ではおおむね傍観者だという。
2006年まで18年にわたり福島県知事を務めた佐藤栄佐久氏は、知事生活終盤で原発反対に転じた。同氏によると、ある出来事をきっかけに経産省を信用しない人から内部告発を受けることが多くなった。東電の安全違反を告発したとされる元作業員の身元を経産省が同社に知らせたことが2002年に明らかになったのだという。佐藤氏はインタビューで、「国もそんないい加減な安全管理をしていたということがわかってしまった」と語った。
原子力安全委員会の副委員長を務めた経験を持つ大阪大学の住田健二教授は次のように語った。「原子力の行政に携わる人たちは、原子力の推進と規制を同時にやろうと頑張ってきたが、その結果は多数の事故やトラブルということになってしまった。いま行政の仕組みを変えずに、原子力ヘの国民の支持を保つことはもはや困難だ」
(引用元:ウォールストリートジャーナル 2011年3月28日)
http://jp.wsj.com/Japan/node_211377
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