倫理的でないエネルギー
脱原発を決めたメルケル首相に、世界のエネルギー政策には原発は不可欠だと、わざわざ言いに行くって、日本の経団連ってどういう神経よ!? こころある企業は脱会を!
◇玄海原発を韓国が注目 釜山から200キロ△この記事を書いたマーチン・ファックラー氏は、週刊現代(7月9日号)で次のようなコメントを書いている。
九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の運転再開をめぐり、韓国で憂慮の声が上がっている。南部の釜山から玄海原発までは直線距離で約200キロ。反原発の市民団体などは「ひとたび事故が起きれば、韓国にも放射能汚染が及ぶのでは」と懸念している。
玄海原発でのプルサーマル計画の中止を求めてきた韓国の市民団体「環境運動連合」は7月4日、運転再開に反対の立場を表明。別の市民団体「エネルギー正義行動」の李憲錫(イ・ホンソク)代表は「地震の多い日本は脱原発へ進むべきだと思うが、運転再開はその流れに完全に背くものだ」と批判した。
釜山市の古里(コリ)原発1号機の稼働中止訴訟に関わる姜東奎(カン・ドンギュ)弁護士も「福島の教訓は、原発は一国の問題ではなく国境を越えて影響が及ぶということだ」とし、慎重な対応を求めた。
(引用元:朝日新聞 2011年7月4日)
http://www.asahi.com/international/update/0704/TKY201107040425.html
◇米倉経団連 欧州へ訪問団 原発理解求める
経団連は5年ぶりに欧州への訪問団を7月3日に派遣し、東日本大震災からの復興への決意を日本の経済界として伝える。欧州は復興への支援の一方、原発事故では日本に厳しい視線も送っており、米倉弘昌会長(住友化学会長)が存在感を示せるかがカギとなる。
重要なテーマが産業の復旧だ。多くの部品会社が被災し、欧米の自動車メーカーが減産に追い込まれた。5月にフランス・ドービルで開かれた主要国首脳会議(G8サミット)でも議論され、「世界経済の成長に非常に重要な問題」(米政府高官)との懸念が広がった。経団連は部品供給網の回復状況を説明し、各国の不安を和らげる考えだ。
一方、真価を問われるのがエネルギー問題をめぐる議論だ。
米倉氏は「世界のエネルギー政策には原発が不可欠だ」として安全対策の強化を条件に、原発継続に理解を求める方針。しかし、脱原発を決めたドイツを含め、欧米には原発事故をめぐる日本政府の情報開示の姿勢に不満もあり、どこまで主張が受け入れられるかは不透明だ。
楽天の退会届受理
経団連は27日、楽天からの退会届を受理したことを明らかにした。楽天は2004年に経団連に加入したが、三木谷浩史会長兼社長が5月下旬、「電力業界を保護しようとする態度が許せない」と批判。6月23日に退会届を送付していた。
(引用元:朝日新聞 2011年6月28日)
◇ポスト3.11の日本と世界:なぜドイツは原発を止められたか
原発が17基あるドイツでは2002年にシュレーダー政権が22年までに原発を全廃することを決めた。メルケル政権は昨秋、原発の稼働期間を34年まで延長したものの、福島の原発事故後、地方選挙で反原発を掲げる緑の党が大躍進した。政府は原発の是非を諮問する倫理委員会を立ち上げ、「10年以内に脱原発が可能」との提言を受けて、22年までに全ての原発を停止することを決定した。
原発事故が起きた日本より、ドイツでのインパクトの方が大きいのはなぜか。
背景には、1986年に旧ソ連(現ウクライナ)で起きたチェルノブイリ原発事故がある。1000キロ離れていたドイツにも雨などで放射能が届き、1年ほどは「子どもを外で遊ばせない方がいい」「野菜を食べない方がいい」といった騒ぎが起きた。
また、米ソ冷戦の時期で、西ドイツに米国のミサイルを置くという議論があり、第三次世界大戦が起きたら、ドイツがグラウンド・ゼロ(爆心地)になる、という懸念もあった。
こうしたことから、ドイツの市民運動は反原発運動とリンクし、放射性廃棄物の輸送などに反対するデモに何十万人もの人が参加。原発に反対する国際環境保護団体「グリーンピース」のメンバーは30万人にものぼる。日本の数千人とは桁が違う。原子力を支持している人も人口の約1割と低い。
また、ドイツではチェルノブイリ事故後に「脱原発」を掲げる緑の党が、得票率を増加させた。緑の党はこれまで議席の数パーセントしか占めない小政党だったが、1998年から2005年まで社会民主党と連立を組んで政権に入った。この時期に、脱原発政策が決まり、自然エネルギー法ができるなど、緑の党がドイツのエネルギー政策に及ぼした影響は大きい。
原発の是非を諮問する倫理委員会には、元環境相やドイツ研究振興協会の会長、カトリック司祭、財界人、消費者団体など17人の委員がいたが、原子力の研究者は1人もいなかった。どのようなエネルギー政策を求めるかは、社会、消費者が決めるべきとの考えからだ。
原発容認派と反対派が半々くらいだったが、いつかは原発を廃止した方がいいという点で一致した。問題が起きた時のリスクが、ほかのどのエネルギーよりも大きく、国境を超えて世界に影響を与え、放射性廃棄物という問題も次世代に残してしまうからだ。原子力は倫理的ではないエネルギーだと委員会は判断した。
メルケル首相には、原子力はもちろん、CO2を排出する火力も減らすべきだと提案した。ドイツは苦労するだろうが、今それをする必要がある。
そして、再生可能エネルギーに投資すべきだ。1990年ごろ、ドイツで再生可能エネルギーはほとんどなかったが、固定価格買い取り制度を導入した結果、 現在では電力生産量の17%を占めている。2022年までに35%に増やすという政府の目標を達成するのは、そう難しくないだろう。
ドイツが原発を廃止しても、隣のオランダが国境近くに原発をつくる計画を打ち出し、フランスにも多くの原発があるから意味がない、という声も聞く。温暖化対策にしても、ドイツは世界のCO2の3%くらいしか排出していないので、どんなにがんばってもほかの国が削減しなければ意味がないという議論もある。 だが、そういう考え方を持つと、何も変わらない。ドイツが自然エネルギーで成功していい例を見せれば、新しい経済、産業モデルを見せることができ、他国もそれを採り入れるだろう。
(引用元:asahi.com 朝日新聞社 2011年7月4日)
http://www.asahi.com/eco/forum2011/forumcolumn/TKY201107040118.html
▲世界が見たニッポン 「政治もメディアもイカれてます」 他の国ではありえない
日本はいくつもの深刻な原発事故を体験してきているのに、大規模な反対運動は起こらず、常に原発推進国であり続けた。他の国なら大規模な反対運動が起こっているはずなのに、なぜ日本はそうならなかったのか。それが海外から見ると不思議で仕方がなかった。
ところが取材の過程で、補助金と雇用創出につられて原発のある街全体がそれに依存している仕組みが分かってきました。まるでドラッグのように、一度原発経済に依存してしまうともう抜け出せないーこれは私たちから見ると驚くべきことでした。
日本でも原発が建設されるまでは反対運動が起こるのですが、他の国とはそこからが違います。東海村の原発を例にとれば、1960年代〜1970年代にかけて原発建設が進められたとき、地元の漁師たちが建設に反対しました。ところが、一度補助金・保証金が町に下りた途端、彼らは賛成派になってしまうのです。 この変貌には驚きを禁じえません。いま、これらの地域を取材すると、住民が「原発事故は怖い。しかし、原発を誘致したことは後悔していない」と言うのですから、脱原発と口では言っても、現実的には難しいのではないでしょうか。
△マーチン・ファックラー氏は、他にも、「国民の側に立たないメディア」や「菅も反菅もクレージー」といった記事を載せている。
写真は中国電力の島根鹿島原発(ニューヨークタイムズ紙より)
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