原発モンスター国家
事故で飛び出した放射性物質(セシウム)は、うちの所有物じゃない。だから除染をする義務もなければ、カネも払えないーー
この発言が飛び出た場所は東京地裁(福島政幸裁判長)、これを考え出したのは東電を弁護するため雇われた、300人以上の弁護士を抱える日本の法曹界で4本の指に入る一流弁護士事務所のお偉い先生方だ。
とっくに知っているとは思うが、まあ、下の記事を読んでくれ。
日本のケーブルTVでここんところ、アメリカの人気TV番組「Law and Order(法と秩序)」を再放送を含め連日連夜流しているが、法廷は、立派な大人がこんな論理を口にできる場所ではないのがよくわかる。これでは日本はいつまでたっても常識の育たない未熟児の国か、国策を背景に権益に固執するあまりモンスター化した連中が牛耳る迷惑な国ってことになる。原発事故で日本の実態が、これまで考えてもみなかった人たちの目にさらされることになったのは吉として。
◇「事故で飛び出した放射性物質(セシウム)は、うちの所有物じゃない。だから除染をする義務もなければ、カネも払えない。」
そう言い張っているのは、福島第一原発の事故を起こした東京電力である。
福島県内でゴルフ場を経営する企業が、東電に対して起こした裁判でのことだ。「サンフィールド二本松ゴルフ倶楽部」の山根勉・代表取締役はこう語る。
「東電さんとその弁護団のメチャクチャな主張には、正直、耳を疑いました。あちらの弁護士さんは、日本有数と言われる有名弁護士事務所の方々なのに..... 」
同社のゴルフ場(サンフィールド二本松ゴルフ倶楽部岩代コース)は、福島第一原発から西方45kmに位置する丘陵コース。今年の冬季休業期間が明け、3月にいよいよオープンしようとした矢先に、東日本大震災が起きた。
ゴルフ場ではグリーンが陥没したり、カート専用道路に亀裂が走ったりするなどの被害が出た。それでも自力で修復を行い、7月の仮オープンを目指していたが、原発から撒き散らされた放射性物質の汚染により、それも頓挫した。
「6月に二本松市役所が場内の放射線濃度を測定してくれたのですが、2つの機器の平均数値が、毎時2.2マイクロシーベルトと同3.2マイクロシーベルトでした。そのため予定されていた公式戦も中止となり、ならば一般のお客さんも入れるわけにはいかないという結論に達し、休業を決めたのです。以来、 現在まで営業はしておりません。」
コース内では、カート置き場の雨樋付近で毎時51マイクロシーベルト以上という高い放射線量を記録しており、最近では芝生や草を検査に回した結果、1kgあたり20万ベクレルという、チェルノブイリの強制避難区域を超える汚染箇所があることもわかったという。
サンフィールド社は、東電に補償を求める書類も提出したが、取り合ってもらえなかった。そのため8月に、東電に対し約8700万円の損害賠償と放射性物質の除染を求め、東京地裁に仮処分の申し立てを行ったのだ。
すると、この裁判において、東電側の弁護団(梅野晴一郎、荒井紀充、柳澤宏輝、須藤希祥、井上聡各弁護士)が出してきたのが、前出の「セシウムはウチのものではない」といった論理だ。
東電の論理:
「放射線の測定精度がそもそも信用できない」
コース内の52ヵ所で放射線濃度の測定を行った。ところが東電弁護団によれば、「たった52ヵ所」だと言う。
「年間1ミリシーベルトを超えたからと言って、直ちに健康被害があるわけでもない」「そもそもゴルフ場を休業する必要がない」
日本国内で平時に年間1ミリシーベルトを超える自然放射線が観測される地域はあるし、海外では、年間10ミリシーベルトの自然放射線が観測される地域もある。大人が娯楽のため任意かつ不定期に利用するゴルフ場において、空間線量率が年間1ミリシーベルトを超えたからといって、直ちに健康被害が生ずるとか、それ故にゴルフ場の営業を直ちに休止せざるを得ないとはできない。サンフィールドが主張する基準を超える空間線量を計測した地点は、福島県内だけでも広範囲に及ぶが、営業を行っているゴルフ場は多く存在する。
「放射性物質は〝無主物〟である」「除染は自分たちでできるはず」
放射性物質のようなものがそもそも民法上の「物」として独立した物権の客体となり得るのか。放射性物質は東電がそれをコントロールし、支配している所有物ではない。だから、責任を取って取り除けと言われても困るーー。
反論:
京都大学原子炉実験所の小出裕章助教
「もともと東電がウランを買ってきて所有し、それを核分裂させて生成されたのが、セシウムなどの放射性物質。れっきとした東電の所有物とみなすべきです。だいたい、これまでずっと東電は"原発は絶対に安全です。決して放射性物質をバラまいたりしません"と、主張していたのですよ。なのに結局は無主物どころか、強烈な毒物をバラまいたわけです。これで"自分たちには責任がない"と言うとは、どういう精神構造をしているのでしょうか。」
裁判結果:
この東電サイドの「セシウム無主物論」は、さすが東京地裁に認められなかった。しかしサンフィールド社が求めた除染実施の仮処分申し立ては、10月31日に却下された。
東京地裁(福島政幸裁判長)は、「サンフィールド社が東電に除染を求める権利はある」としながらも、「除染は国や自治体が行うもの」だから、東電はやるべきではない、だから「申し立ては認められない」と申し渡した。
8700万円の休業補償の請求についても却下。こちらも東電の主張そのままに、「文部科学省が4月に出した学校の校庭使用基準である毎時3.8マイクロシーベルトを下回っているから、ゴルフ場を休業する必要はない」と下した。
サンフィールド社の弁護団の1人:「4月の文科省の基準はもともと暫定値。実際に8月には、"年間1ミリシーベルト以下、毎時1マイクロシーベルト以下"と変更になりました。被曝線量がそれを超えた場合、速やかに除染せよ、というのが新たな文科省の見解です。にもかかわらず、10月末に出た決定で、なんで"毎時3.8マイクロシーベルト"の基準が根拠になるのか、意味が分かりません。」
紀藤正樹弁護士:「"除染方法や廃棄物処理のあり方が確立していない"とまで言うのは、裁判長の個人的な価値観や政策評価が出過ぎています。これでは、現在行われている除染処理のあり方を否定することになってしまう。また"毎時3.8マイクロシーベルト以下なら営業に支障がない"という部分にも、裁判官の価値観が色濃く出ています。風評被害もあるわけですから、営業に支障がないと言い切るのは無理があります。全体に、裁判官の心証、価値観が東電側に傾いているようで、不公平な決定という感じがしますね。」
東電や裁判所が原発の賠償問題と向き合おうとしない背景には「国」の存在があると、前出の小出裕章助教は言う。
「これまで原子力関係の裁判で、国が敗訴したことはありません。裁判官の世界も、国を困らせないような判決を出すことで出世していくシステムができている。原子力の問題に関しては三権分立など存在しないと考えたほうがいい。」
もし東電が敗訴すれば、同様の訴訟が各地で一斉に起こり、収拾がつかなくなる。結果的に困るのは、東電が処理しきれない賠償を肩代わりすることになる国だ。だから、敗訴させるわけにはいかないーー。
渡辺淑彦弁護士:「今後、原発事故の裁判が、かつての公害訴訟のように時間ばかりかかって賠償されないという事態になるのを怖れています。風評被害により、地元企業には経営難が広がっていて、リストラされ無収入になってしまった人も増えています。今後、そうした人がどんどん増えていくでしょう。国の出した指針では、避難区域外で解雇された人も東電に賠償を求める権利があります。ところが私が直接確認したところ、東電は、そのための書類すらきちんと用意していないのですよ。これでは"公平な賠償"など期待できません。」
(引用元:週間現代 「トンデモ裁判、呆れた論理」2011年12月12日)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/29579
◇ストロンチウム、462兆ベクレルが海に流出
東京電力福島第一原発から事故後、海洋に放出された放射性ストロンチウムの総量は、少なくとも約462兆ベクレルになることが朝日新聞の試算でわかった。水産庁は魚介類への蓄積を調べるサンプリング調査の強化を検討している。
試算は東電などが発表した資料をもとに行った。4月に2号機、5月に3号機から流出した放射能汚染水については、流出源である両号機の建屋内のたまり水に含まれる放射性ストロンチウムの濃度を、流出した水の体積にかけて算出。これらに、今月4日に流出が確認された処理水に含まれていたと見られるストロンチウムの量を足し合わせた。大気から海への降下量は含まれていない。
東電は4~5月に海に流出した汚染水中の放射性ヨウ素とセシウムの総量を推定約4720兆ベクレルと発表した。ストロンチウムの量はその約1割に相当する。
(引用元:朝日新聞 2011年12月17日)
http://www.asahi.com/national/update/1218/TKY201112170581.html
◇「公共施設、東電使わぬ」 大磯町議会
12月13日の大磯町議会で、町の公共施設で、東京電力から電力を買うのをやめるよう求める陳情が採択された。2000年の電力自由化で可能になった新規事業者への契約変更を求めるもので、「脱原発」を目指す市民グループが提出した。町も「経費削減になるなら」と、試算した上、新年度からの導入を前向きに検討するとしている。
陳情したのは「町民立環境ネットワーク大磯」(熊谷健二代表)。変更先に求めているのは、特定規模電気事業者(PPS)と呼ばれ、自家発電などを生かして電力を販売している事業者。導入当初は経費削減策として注目されたが、3月の原発事故後、エネルギー政策として再び注目。「脱原発」を掲げる城南信用金庫(東京)が今月、大半の店舗で新年から東電の電力を買うのをやめ、PPSに変更すると発表して話題となった。
東日本大震災後、エネルギー政策を考えてきた市民有志で作る同ネットワークでは、「東電の電気料金には原発の設備投資や交付金が含まれており、町が安価な他の会社を利用することで原発に依存しないエネルギーへの転換を図れる」としている。
電力会社でなくても電力を販売できる自由化に伴い、ガス会社や電機メーカーなどが参入しているPPS。05年には、契約電力が50キロワット以上の施設まで対象が拡大され、すでに横浜や川崎、平塚市などがPPS各社と契約している。05年以降、競輪場や本庁舎、小中学校などで順次導入し てきた平塚市は、本庁舎の電気料金を導入前の年度よりも約2割減らせたという。
大磯町では、年間約3208万円の電気料金を東電に支払うごみ焼却施設を筆頭に、庁舎など12施設が検討の対象になるという。
(引用元:朝日新聞 2011年12月14日)
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000331112140001
写真は2日目の審問の日、奇しくも24歳の誕生日と重なったマニング
証言で性同一性が出てくる(CNN)
http://www.cnn.com/2011/12/17/us/bradlley-manning-hearing/index.html?hpt=hp_t2
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