中東にたれこめる混乱の霧
5月6日早朝、イスラエルの空爆の後に続き、炎と煙がダマスカス上空のスカイラインを埋める
日曜早朝のイスラエルのダマスカス攻撃はアサドのエリート共和国防衛隊から少なくとも15師団を殺害する
日曜の出来事から重くのしかかる混乱の霧が晴れるとき、死者の総数は120人を上回るらしい
(引用元:テレグラフ紙 7 May 2013)
◇シリアの首都ダマスカス近郊で5日未明、イスラエル軍の戦闘機による空爆があった。この攻撃について、西側やイスラエルの当局者は、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに輸送される予定だったイラン製ミサイルを標的にしたものだと明らかにした。イスラエル側は攻撃を公式に認めていないが、当局者は同国軍が攻撃を行ったことを匿名で認めた。イスラエルは3日未明にも攻撃を行っている。西側情報筋によると、空爆はヒズボラに向けて搬送中だったイラン製ミサイル「ファテフ110」を狙ったものだという。シリアの国営テレビは、ジャムラヤにある軍研究施設などが攻撃を受け、民間人の死傷者が多数出たと伝えたが、詳細は明らかにしていない。イスラエルは1月30日にも、ジャムラヤに攻撃を行った。◇シリア空爆:イスラエルの「真の標的」はイランイスラエルが3日と5日にシリアの首都ダマスカス近郊で行った空爆は他でもないイランを見据えたものだった。イスラエルにとっての「レッドライン(越えてはならない一線)」が侵された場合、単独でも軍事行動に踏み切る用意があることを見せつけた攻撃だと言える。このところ、シリア政府軍による化学兵器の使用疑惑がメディアをにぎわせており、オバマ大統領にシリア内戦への軍事介入を求める声が新たに湧き起こっているが、米政府は事態をなお傍観する姿勢を崩さない。こうした中、シリアでの軍事行動に打って出たイスラエルは、シリアの内戦というより、イランとの間で起き得る戦争を想定した場合に戦略的重要度の高い標的に狙いを定めている。イスラエルや西側情報筋によると、3日と5日の空爆ではレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに輸送される予定だったイラン製ミサイルが攻撃された。こうした武器は、将来紛争が起きた場合、イスラエルにとっては大きな脅威となり得る。ヒズボラは他にも約6万発のロケット弾を保有するとみられている。ネタニヤフ首相は昨年9月の国連演説で、イランのウラン濃縮計画をめぐり爆弾のイラストを使ってレッドラインを示したが、その基準は状況に応じて変化するとみられる。同首相はイランが今年半ばにも一線を越えると予想したが、先週にはそのラインにまだ達していないとの見方を示した。イスラエルはイランの核兵器開発を阻止するために単独攻撃も辞さないとされているが、首相のこの指摘は、イスラエルが米国の助言に反してまで単独攻撃に踏み切るのかという問題にさらなる疑問を投げ掛けた。イスラエルにとっては、核爆弾に直ちに転用可能な純度20%の濃縮ウランをイランが相当量製造した場合、分岐点に達したということになる。イスラエル軍の元情報部長アモス・ヤドリン氏は、今回のシリア空爆はイランに対して、ネタニヤフ首相が虚勢を張っているわけではないという強いメッセージになったと指摘。「イランはレッドラインについて、イスラエルと米国の決意を試しており、シリア情勢では少なくとも当事者の中にレッドラインを真剣に考えている者がいるとみている」と述べた。オバマ大統領は4日、スペイン語ネットワーク、テレムンドとのインタビューで、イスラエルは高性能兵器がヒズボラに譲渡されることから自国を当然守る必要があるとコメントした。シリア空爆後、イスラエル国内では政治的な問題は生じていない。ヒズボラの封じ込めはイスラエルにとって党派の垣根を越えて国民を結束させるコンセンサスだ。イスラエルの占領地であるゴラン高原では、シリア内戦の流れ弾が着弾することもあるが、ネタニヤフ首相はこれまでシリアに軍事介入する考えを示していない。米当局者によると、3日の空爆でイスラエル軍機はシリア領空に侵入せず、アサド政権軍との直接衝突を避けるため、隣国レバノンの上空から攻撃を行ったとみられる。5日の攻撃も同様かどうかは今のところ不明だ。ネタニヤフ首相の友人で保守政党「リクード」所属の国会議員であるTzachi Hanegbi氏は5日のラジオ番組で、「われわれが求めるのは、シリアの混沌の中で、ヒズボラの力が強まるのを確実に阻止することだ。ヒズボラが力を持てば、われわれに敵対行動を取る動機になり、多くの死傷者が出る紛争に引き込まれることになる」と話した。(引用元;ロイター 2013年5月7日)◇レバノンのヒズボラ イスラエル攻撃示唆9日、レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラの指導者ナスララ師はテレビ演説し、隣国シリアのアサド政権がイスラエルの空爆に対抗するため、盟友関係にあるヒズボラに最新式の兵器を供与するとの見方を示した。ロイター通信が報じた。ナスララ師は「(イスラエルが占領を続けるシリアの)ゴラン高原の解放に協力する」と述べ、イスラエルへの攻撃を示唆した。イスラエルは今月、2度にわたり、シリアの首都ダマスカス近郊を空爆したとみられている。アサド政権は報復を示唆していた。ナスララ師は演説で「シリアは対抗手段として、我々が持っていなかったような最新兵器を供与するだろう。兵器は、レバノンや(シーア派の)聖地を守るために使う」と述べた。AP通信によると、イスラエル外務省報道官はナスララ師の発言に対し、「我々は言葉にではなく、行動に対して応える」と述べた。一方、ケリー米国務長官は9日、ローマで記者会見し、ロシアがシリアに地対空ミサイルS300の輸出を検討しているとの報道に関連して「ミサイルはイスラエルを不安定にする可能性がある」と反対の考えを示した。(引用元:毎日新聞 2013年5月11日)◇内戦下にあるシリアの隣国レバノンで一定の実権を握り、シリアやイランの武器、財政援助を受けているとされるイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」は2日までに、米国などがシリアのアサド政権転覆を図った場合、これを阻止するため介入すると警告した。
米国やイスラエルは軍事部門も抱えるヒズボラをテロ組織と指定。レバノン南部などに拠点があるヒズボラはイスラエルとの軍事衝突を過去に繰り返している。
同組織はこれまでシリア内戦に関し、同国居住のレバノン国民保護やシリアの首都ダマスカスの南方にある寺院サイーダ・ゼイナブ寺院などの防御が必要になった場合のみシリア情勢に介入すると主張している。ただ、ここ数カ月間、ヒズボラは対シリア国境でアサド政権打倒を目指す反体制派武装勢力と交戦しているとのメディア情報が流れていた。
シリアはイスラム教スンニ派が多数だが、アサド政権はシーア派の分派アラウィ派で構成されている。同国の内戦は、イスラム教の宗派抗争につながる様相も呈している。(引用元:CNN 2013年5月2日)
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