見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2023/02/24

世界の片隅から日本を憂える

 


15%の市民がいっせいに行動すれば、社会の空気を変えることができる


世界を駆けめぐるルポライター、伊藤千尋(いとう・ちひろ)さんの名前を見つけたのは数日前の東京新聞の書籍紹介コーナーだった

彼のルポを読んでいたのは朝日新聞を購読している頃だからかなり前のことになる

今回、彼が評を書いている本は『アマゾンに鉄道を作る 電気がないから幸せだった。大成建設秘録』なるもので、著者は風樹 茂という作家、開発コンサルタントだ


 1980年代、アマゾンの奥地で悪名高い日本の政府開発援助(ODA)により「地獄の鉄道」と呼ばれた線路の修復工事が行われた。

日本式に仕事をする建設会社と現地の労働者はしばしば衝突し、「日本人は出て行け」と石を投げられた。悪党も受け入れる現地の寛容な社会は「世界の片隅にあるがゆえの強さ」を持っている。先住民は「電気などいらない。開発などまったく興味がない。ただ生き残りたい」と叫ぶ。鉄道は完成し援助の目的は達成したが、南米ボリビアの辺境にある小さな村の村人たちは「損害を被ったと恨む」とある。


80年代のボリビア、「猛烈なインフレ」とあり、84年から85年初頭にボリビアに滞在していた者としてそのすさまじさを思い出し、思わず笑った

一週間ごとに滞在するホテルに支払いをするにも、銀行に行って両手で抱えきれないくらいの荷造りした札束を持ち帰らないといけない

路上のチョコレートは昨日の何十倍にも跳ね上がり、ここでも価値のなくなった紙弊を払うことになる

そうそう伊藤さんは本書の隠れたテーマは「世界の片隅から日本を憂える」だと書いている


伊藤さんはコロナのために停止していた平和をアピールするNGOピースボートが4月に出航することで船内で講演する水先案内人のひとりとして横浜からインドネシアの区間に乗船し、アジア情勢や世界から見た今の日本について語るそうだ


以下、彼の公式サイトにあるプロフィールから抜粋:

彼は1974年、朝日新聞に入社。サンパウロ支局長、バルセロナ支局長、ロサンゼルス支局長などを歴任、40年におよび主に国際報道の分野で取材を続けた。現在はフリーのジャーナリストとして各国の取材を続け、精力的に執筆と講演を行っている。「コスタリカ平和の会」共同代表。「九条の会」世話人。

大学時代にサトウキビ刈り国際ボランティアとしてキューバで半年間働いた。4年生の夏休みに朝日新聞社から内定を得るが産経新聞社が進めていた冒険企画に応募して選考される。悩んだ末に朝日新聞の内定を断り、スペイン語とルーマニア語の知識があったことから、「東大ジプシー調査探検隊」を結成して東欧へと旅立った。

東欧では「日本のジプシー」を名乗り、現地のジプシーと交わって暮らした。日本初のジプシー語辞書を作り、帰国後は新聞にルポを連載、ジプシーを扱った映画『ガッジョ・ディーロ』ではジプシー語の監修を担当した。ジプシー調査でジャーナリズムの醍醐味を再確認し、1974年、再度入社試験を受けて朝日新聞社に入社した。

https://www.facebook.com/chihiro.ito.1069


70年代、社会の空気を変えたい若者がキューバにサトウキビ刈りに行くというちょっとしたブームがあった

政治的なフォークソングを歌っていた岡林信康もキューバに行くと言っていたが持病のためか吉田日出子との出会いからかドタキャンした

ということで、彼の著書がまた読みたくなりました

(下記参考までに)

著書から見える伊藤千尋という個性:

・燃える中南米 特派員報告 岩波新書 1988

内戦の続くニカラグア、エルサルバドル。戒厳令のくり返されるチリ。そして貧困、インフレと累積債務に悩む国々。だが、中南米は、相次いで軍政から民政への転換を果しており、カーニバルやサッカーに熱狂する民衆は陽気でしたたかだ。戦場、スラムから教会、タンゴ酒場まで、各地を3年間駆けめぐった記者がその光と影を伝える。


・歴史は急ぐ 東欧革命の現場から 朝日新聞社 1990

平和革命を達成したチェコスロバキアと流血革命になったルーマニア。2つの対照的な革命を通して、統合へ向け加速する東西ヨーロッパの政治状況をつぶさに検証する。


・バルセロナ賛歌 朝日新聞社 1992


・狙われる日本 ペルー人質事件の深層 朝日文庫 1997

1996年12月、ペルーの首都リマで発生した日本大使公邸人質事件。この大事件は、なぜ、今、ペルーの地で、日本を巻き込む形で起こったのか? 朝日新聞の元中南米特派員が事件の経過を報告し、この事件が暴き出した、世界と日本の政治・経済の現状と問題の本質を解説する文庫オリジナル。


・「ジプシー」の幌馬車を追った 気ままな探検隊が見た自由を生きる東欧の民 大村書店 1998

自由でありたい、生活も精神も。だから出かけよう、すべてを捨てて自由な旅に。決まっていた就職をとりやめ、「ジプシー調査探検旅行」に飛び出した著者が、迫害の中にも力強く生きる流浪の民・ロム(ジプシー)と過ごした青春の記録。そこで見つけた、ほんとうの自由、ほんとうの人間らしさとは。


・太陽の汗、月の涙 ラテンアメリカから問う すずさわ書店 2000

ラテンアメリカの社会に生きる人びとの中には、現代の私たちが失いかけた人間の真の姿がある。南米ペルーのインカ帝国では金を「太陽の汗」、銀を「月の涙」と呼んだ。昼は汗を流して働き、夜は物思いにふける。それが人間ではないか。輝く女性たち、「寅さん」の世界のような中南米から「緊張社会」日本を見すえる。


・たたかう新聞「ハンギョレ」の12年 岩波ブックレット 2001

1988年、軍政下の韓国でユニークな新聞が生まれた。その名は「ハンギョレ(1つの民族)」。“国民の声と民族の良心を代弁する勇気ある新聞”をモットーとする同紙は財政的困難ものりこえ、今日、全国紙10紙中、第4位の部数(60万部)を確保している。その誕生と苦闘、今日の新しい課題を現地取材にもとづいて報告。


・人々の声が世界を変えた!特派員が見た「紛争から平和へ」大村書店 2002

20年信念を貫いた女性歌手、銃弾をかいくぐる少年、闘う神父、スズメバチで米軍に刃向かう村人、大統領にただ一人反対する女性議員、広場で抗議する母、そして平和を輸出する国コスタリカ…信念を貫いて、彼らはいかに平和を勝ち得たか。世界63カ国の現場を歩いた朝日新聞記者の渾身のルポルタージュ。


・君の星は輝いているか 世界を駈ける特派員の映画ルポ

シネフロント社 2005

世界65カ国を現地取材したジャーナリストである著者が、「シネ・フロント」誌に連載してきたルポルタージュが1冊の本になった。グローバルな体験と視点から、映画を通して世界の躍動が伝わってくる。


・反米大陸 中南米がアメリカにつきつけるNO! 集英社新書 2007


・活憲の時代 コスタリカから9条 シネフロント社 2008

人はだれも愛される権利がある。アフリカ沖の9条の碑からコスタリカまで、憲法を活かす世界の人々の姿を熱く語る。ほか『シッコ』『白バラの祈り』2編を収録。


・世界一周 元気な市民力 大月書店 2009

日本の常識は世界の非常識。生きづらい社会に我慢する必要はない。


・ゲバラの夢熱き中南米 君の星は輝いているか シネフロント社 2009

今、中南米に実現するゲバラの夢! 中南米を見つづけること38年。現地報道の第一人者が明らかにするアメリカから自立した中南米の激動の歩み。映画雑誌「シネ・フロント」に掲載した記事などのうち、中南米に関するものをまとめた1冊。


・変革の時代 理想は実現できる!シネフロント社 2010

世界から基地は消えている。「平和を創る-基地はなくせる!」「変革の先頭に女性がいた、芸術があった。」「ベネズエラ-変革の現場から」など、自分たちの住む社会を自分たちの手で変えようとする人々の姿を語る。


・一人の声が世界を変えた!新日本出版者 2010

憲法を盾に獄中でも書き続けたチリの記者。チャウシェスクの大演説に一人で非難の声を上げた技師も。9・11後の米国では、アラブ系の子どもたちを守ろうと日系人が立ち上がった――社会変革の歴史にはいつでも一人一人の、この世界を変えたいという意志と行動があった。世界68カ国をめぐる記者がしるす熱き闘いのルポ!


・地球を活かす 市民が創る自然エネルギー シネフロント社 2011

政治家が権力争いのための不毛な論議をしている中で、世界はすでに脱原発の道に入っている。私たちが今すべきは福島の教訓から学び行動すること…。3・11後の新しい社会をどう創るか。世界の事例から提案する。


・観光コースでないベトナム 歴史・戦争・民族を知る旅 高文研 2011

小国が超大国に勝ったベトナム戦争。あれから40年、戦争の傷跡がいまも残る中、果敢に、ダイナミックに新たな国づくりに励むベトナムの「今」を伝える。いまベトナムは、世界で一番エキサイティングな国。戦争を知らない若い世代に、ベトナム戦争が青春だった団塊の世代に、経済交流で南へ向かうビジネスマンに―贈るベトナム案内。


・辺境を旅ゆけば日本が見えた 新日本出版者 2012

世界各地を取材してまわる特派員人生。辺境を東奔西走して出会った人びとは、複雑怪奇な世界情勢の荒波にもまれつつもしたたかに生き、強烈に自分の主張を訴え、貧しいながら輝く心をもっていた。日本の私たちはどうだろう?カネ儲けだけじゃない、真に豊かな社会をみんなの力で手に入れよう! 読む者を励ます応援歌的紀行文。


・キューバ 超大国を屈服させたラテンの魂 高文研 2016


・凛とした小国 新日本出版者 2017

世界に通じる価値観を持ち、胸を張って独自の国づくりをする凛とした小国。人権や民主主義を勝ち取ろうと支配権力に立ち向かう姿は、人間の尊厳を感じさせる。そこに注目して、中米のコスタリカ、民主化したばかりのミャンマー、米国と国交を回復したキューバ、シルクロードの中心地、中央アジアのウズベキスタンを巡る!


・今こそ問われる市民意識 わたしに何ができるか 女子パウロ会 2018


・9条を活かす日本 15%が社会を変える 新日本出版者 2018

世界の82の国を現地で取材してきた著者は体験と実感から、15%の市民がいっせいに行動すれば、社会の空気を変えることができると言う。米国の9・11、ベルリンの壁の崩壊、南米の民主化等の経験を生き生きと語る書。安倍改憲の野望を打ち砕く、さまざまな力がこの日本に息づいていることが実感できる、渾身の書き下ろし。


・凛としたアジア 新日本出版者 2019

私たちが理解しやすいのは遠い大国よりも近隣のアジア。それも小さな国。しかし、侮ってはならない。そこには日本が抱えている問題を見事に解決した見本のような例もあれば、知るべきなのになおざりにしてきた歴史もある。日本と似ているようで違うことも多い韓国、ベトナム、フィリピン、スリランカを活写した書き下ろし。


・世界を変えた勇気 自由と抵抗51の物語 あおぞら書房 2019

抑圧や人権侵害とたたかった人々の経験をまとめた本。身におよぶ危険や不利益をかえりみず行動した人々の物語が、全51話、世界7地域(南米、中米・カリブ、米国、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、日本)に分けて綴られている。現状を憂える日本人に、あきらめなければ明日はよくなる、だれにでもできることがある、と呼びかける。


・連帯の時代 コロナ禍と格差社会からの再生 新日本出版者 2020


・心の歌よ!歌から見える世界 新日本出版 2021

中南米、ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど、世界を駆け回った「歌の探偵」記。



写真は1984年ボリビアに渡る前に寄ったジャマイカのバーの様子です

この時に移転前のボブマーリーのスタジオやサードワールドのスタジオに行きました