見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2023/09/01

ALPS処理‘途上’水

 


画像は、“その他もろもろにもかかわらず笑顔を見せるパレスチナの青年”

Palestine Culture 8月28日のTwitterから

パレスチナのことを考えると絶望なんてしてられない


18世紀の文学者サミュエル・ジャクソンの名言、”Patriotism is the last refuge of a scoundrel(愛国心は悪党の奥の手)”

日本のマスコミは8月24日に始まったALPS処理途上水の海洋放出の問題点について政府と東電におもねる以外に国民になにを伝えたか


日本のフリージャーナリスト志葉玲は下記のように書いている。


政府と東電はALPS(多核種除去設備)で処理した処理水を大量の水で薄めて海に放出することを開始した。そうしたプロセスを経てもなお残存する放射性物質を海洋に捨てていることに変わりないし、そもそも海洋放出以外の代替案もいくつかあった。ところが日本のメディアでは政府と東電が代替案について公平に議論すらしなかったことよりも、海洋放出に反発して日本からの海産物を輸入禁止にした中国の対応を批判する。国内の海洋放出に反対する声に対しては「風評被害を広げる」「国益を害する」と叩くような記事やTV報道が目立つ。ジャーナリズムの最も重要な役割の一つに権力や大企業の暴走を批判するというものがあるが、今の日本にはむしろ内外の海洋放出反対派を敵視し、本来批判すべき政府と東電に利するようなメディア関係者があまりにも多い。

今月26日付の朝日新聞の社説「中国の禁輸 筋が通らぬ威圧やめよ」では「日本は国際原子力機関(IAEA)と協力して処理水対応を進めてきた。他国の理解も徐々に広がっていた。今なお強硬姿勢をとる中国こそ国際社会で突出している」と主張している。


海洋放出、無視されてきた代替案


実際のところ、膨大な量の「ALPS処理汚染水」を海洋放出することにはいくつも問題がある。最大の問題は、海洋放出しない代替案はいくつかあったのに政府と東電は外部の専門家を交えた公開の議論を行ってこなかったということだ。これについては「モルタル固化処分」、つまりALPS処理汚染水をセメントと砂でモルタル化し、半地下の状態で保管することを「原子力市民委員会」(座長・大島堅一龍谷大学教授)等が推奨してきた。


いずれにせよ、現在のやり方のままではALPS処理汚染水はどんどん増えていく。実は、現在の福島第一原発の事故対応そのものを見直す必要もあるかもしれない。原発作業員としての経験を匿名で綴った『福島第一原発収束作業日記』(河出文庫)の著者は次のようにTwitterに投稿している。


「海洋放出はタンクを減らし燃料デブリ保管施設等の敷地を確保し廃炉完逐するためと東電は言うけど、あと40年で燃料デブリ取りだしなんて無理だし燃料デブリに冷却水を使う限り海洋放出はずっと続く。もうそろそろ冷却水を使わず汚染水が増えないように石棺にするか空冷方式を本格的に検討すればいいのに」と。


福島第一原発事故以降、熱心な取材、発信を続けているおしどりマコさんも、東電発表の資料を元にALPS処理汚染水の中にトリチウム以外にも多数の放射性物質が含まれており、とりわけヨウ素129が多いことを指摘する。


“4月13日経済産業省は「ALPS処理水」の定義の変更を通達…

これまで議論していた「ALPS処理水」と呼ばれていたうちの7割にトリチウム以外にも規制基準値以上の放射性物質が残っているために「処理途上水」と呼ぶことにしたとある

経済産業相のデータによれば、トリチウムの次に多い核種はヨウ素129、トリチウムの半減期が12年であるのに対しこれの半減期は1570万年

(おしどりポータルサイトより)と、危惧している。


△8月28日付フリージャーナリスト志葉玲による記事からの抜粋

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b4248fb0b74562523152eb3843b6cc75919d04aa


8月24日に始まったALPS処理途上水の海洋放出の問題点


1 福島第一原発1号機、2号機、3号機原子炉内に残る溶けて固まった核燃料、燃料デブリを冷やすための冷却水と原子炉建屋およびタービン建屋内に流入した地下水や雨水が混ざり合うことで発生した汚染水をALPS(多核種除去装置)で処理した水のことを政府と東電は「ALPS処理水」と呼ぶ

トリチウムやその他の放射性物質が残留しているので、正確には「放射性物質が残留する処理水」または「ALPS処理途上水」と呼ぶべきもの

現在タンクに貯められている水の約7割についてはトリチウム以外の放射性物質も基準を超えて残留しているため、実際には処理水とは呼べない

2018年8月、共同通信をはじめとしたメディアの報道により、ヨウ素129、ストロンチウム90などで多くの基準値超えが発生していたことが明らかになった

この時点で、処理汚染水全体の約67%が基準を上回っている


2 東電が詳細な放射線測定を行っているのは3つのタンク群のみで、タンクの水全体の3%にすぎない

IAEAのレビューは、日本政府と東電のこの情報をもとに行ったもので、日本政府の言い分を繰り返す内容になっている


3 原子力市民委員会から提案されている代替案もあった

「大型タンク貯留案」、これは石油などの備蓄に多くの実績がある

「モルタル固化処分案」、アメリカのサバンナリバー核施設の汚染水処分に用いられた手法で、汚染水をセメントと砂でモルタル化し、半地下の状態で保管するというもの

どちらについても、提案はされたものの、きちんと議論されなかった


4 世界の原子力施設でもトリチウムは海や河川に放出されている

ただ、福島原発のは直接燃料デブリ(核燃料が溶け落ちたもの)に触れた水の放出であること、つまり、これはトリチウム以外にもさまざまな放射性物質を含んでいることを意味し、発生原因が他の施設とは異なる


以上、FoE Japanの資料より

https://foejapan.org/issue/20230801/13668/


5 デブリの取り出しにはまったく終わりが見えないのに岸田首相は「30年後に廃炉完了」と言っている 

8月29日フライデーデジタルによると、

専門家からは、いまあえて海洋放出を強行せずとも、まだ処理水の保管場所はあるとの指摘も出ている。

汚染水は134万トンに達する。政府はこのままでは保管場所がなくなるとして海洋放出に踏み切った。計画では少なくとも2051年度までの長期間、放出が続くことになる。

岸田首相は海洋放出する理由を「廃炉を進める場所がなくなっている」からだと話している。ここで言う廃炉を進めるための場所とは今後原子炉から取り出す燃料デブリを保管する場所のことだが、専門家からはそもそもデブリの取り出しなどできるのかとの疑問の声が上がっている。(全国紙社会部記者)



◇「核燃料の取り出しは50年無理」


高い放射能を持つ燃料デブリは全部で880トンあるとされる。取り出したらどこかに保管場所が必要になるのは確かだが、簡単に取り出せないと指摘する意見は多い。元東芝の原子力設計技術者の後藤政志氏もその一人だ。


「現在の1~3号機の原子炉内は高レベル放射能を帯びたデブリが原子炉の床や壁などにこびりついている状態です。東電はロボットで取り出そうとしていますが簡単にできるはずはなく、わずか数グラムを採取する試験取り出しですらスケジュールが遅れていまだにできていません。

本格的な取り出しが進むことなどこの先50年は無理でしょう。デブリの取り出しがほぼ無理なのに保管場所が必要だとの議論は技術的にも科学的にもリアリティを持った感覚を持ち合わせていないと言わざるを得ません。」


デブリの取り出しに時間がかかるのであれば、取り出したデブリを保管する予定地に処理水タンクを増設することは可能だ。国は燃料デブリの一時保管施設には最大で6万平方メートルが必要と試算。


それとは別に、燃料デブリの貯蔵施設などを建設する際に掘り出した土の置き場として敷地北側に約4万平方メートルを確保しているため、合わせて約10万平方メートルが使えることになる。現在の処理水タンクエリアは約23万平方メートルあり、両方を活用すれば海洋放出する必要もなくなる。後藤氏が説明する。


「現在の1000トンクラスのタンクに変えて10万トン級のタンクを空きスペースに作り、処理水を移設する。そうして空になった既存のタンクを大型のものに立て替えていけば、保存容量は格段に増えます。


もしくは処理水をモルタルで固めて放射性物質が漏洩しないようにして地下に埋めておく。トリチウムの半減期は12年と3ヵ月ほどなので、100年もすれば放射能は無視できるほどになります。いずれにしても、いま海洋放出などしなくて済むのです。」


同じく、大事故を起こしたチェルノブイリ原発でも、デブリの取り出しなどしていない。


「当初よりずれ込んでいる理由は……」


「チェルノブイリでも福島第一原発と同じく原子炉内にデブリが大量に溶けましたが、取り出しなどせずに石棺で原子炉を固めることで放射性物質を封じ込めています。そもそもデブリを取り出すのは環境に放射性物質を出さないためなのに、トリチウムが残る処理水を海に放出するのは矛盾しています。」(後藤氏)


東京電力に燃料デブリの取り出しなどについて尋ねるとこう回答した。


「取り出した燃料デブリの一時保管場所の場所や広さについては検討中です。試験取り出しが当初よりずれ込んでいる理由は、新型コロナウイルスの影響で敷地内への入域人数に制限があったのと、取り出しに使うロボットアームがデブリを正確につかめるよう制御プログラムを改良中のためです。


本格的な取り出しは試験取り出しの後になりますが、時期は未定です。原子炉建屋の解体はデブリの取り出しが終わらないと取り掛かれないため、いつになるのかはお伝えが難しい段階です。」(広報室)


今後、30年以上、太平洋に処理水放出は続く。…日本はリスクの高い火種を抱え込んだことになる。


取材/文:桐島 瞬(ジャーナリスト)

https://news.yahoo.co.jp/articles/a3b9b81f03a9a76c0635dcc461a073ca66156047?source=sns&dv=pc&mid=other&date=20230829&ctg=dom&bt=tw_up