見つけた 犬としあわせ

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2011/09/14

記者クラブの言葉狩り


フリージャーナリストの取材と情報ブログ「田中龍作ジャーナル」より

◇鉢呂経済産業省辞任 「藪の中」とはこのことだ 2011年9月11日

鉢呂吉雄経産相を辞任に追い込んだ「放射能すりつけてやる発言」。10日夕の緊急記者会見で鉢呂氏は「そんなことを発言したという確信を持っていない」と否定した。

件の発言はオフレコ懇談会の中で出たものだ。

オフレコ懇は日本の記者クラブ特有のものだ。出席できるのは、クラブ詰の記者だけである。極端な話、記者全員が一致団結して大臣のコメントを捏造すること さえ可能だ。本来オフレコのはずの、それも真偽の定かでない発言が、表に出てきたのが不思議である。今回、経産省記者クラブが全社一致したのか。それを知ることはできないが、発言をめぐって鉢呂氏は「定かに記憶していない」としている。

大臣を辞任に追い込んだ記者クラブの面々は鼻高々だ。記者会見室には哄笑が響く。得意絶頂のあまりヤクザ言葉で鉢呂氏に答を迫る記者もいた。社名も名乗らずに無礼千万な態度で質問するのである。同業者として恥ずかしい。

筆者はその記者をドヤシ付けてやった。後で名刺交換し社名を聞こうと思っていたが、当人は記者会見が終わるとソソクサと記者室に逃げ帰った。大手メディアの記者であることだけは確かなようだ。

社会人としてもお粗末な連中だが、「藪の中のオフレコ懇」と「言葉狩り」で大臣の進退をも左右することが可能なのである。記者クラブが国を滅ぼすことを確信した会見だった。

小沢一郎氏の例が物語るように記者クラブと官僚の目障りになる政治家は陥れられる。鉢呂氏の場合「脱原発と反TPP」が、記者クラブメディアと官僚の機嫌を損ねていたことは確かだ。

http://tanakaryusaku.jp/2011/09/0002887
鉢呂大臣の辞任はいまも謎の部分が多い。報道も東京新聞の「放射能うつしてやる」から朝日の「放射能つけちゃうぞ」、FNNの「放射能わけてやるよ」まで、まちまちだ。ただし、「防災服をこすりつけるようなことはなかった、そんなことがあれば憶えている」と本人は言う。以下、現代ビジネス「ニュースの深層」の長谷川幸洋が、13日午後、鉢呂氏本人に衆院議員会館の自室でインタビューした中から引用する。

−−8日夜の記者懇談はどういう状況だったのか。

「あの夜、視察から赤坂の議員宿舎に戻ってくると、記者さんが5、6人待っていた。みんな経済部の記者さんだと思うが、私はそれまで経済部と付き合いがなかったので、顔見知りはだれもいなかった。後ろのほうに政治部の記者さんが2人いたと思う。こちらは知っている。」

「原発周辺では線量計を持っていた。私は一日で85マイクロシーベルトだった。その数字を記者たちに喋ったのは、はっきり覚えている。朝日の検証記 事(13日付け)で『私が線量計をのぞいて数字を読み上げた』というのは間違いだ。線量計はJビレッジ(原発作業員の基地)に返却してきた。」

−−朝日の検証記事によれば「放射能をうつしてやる」発言の第一報はフジテレビだったとされている。フジの記者は懇談の場にいたか。

「フジテレビはいなかった。フジの記者は○○さん(実名)という女性なので、それは、あの場にいれば分かります。」

−−ずばり聞くが「大臣は経済産業省にはめられたのではないか」という説がある。これをどう思うか。

「それは憶測でしょう。私は推測でモノは言いたくない」

−−脱原発依存やエネルギー政策はどう考えていたのか。

「政府はエネルギー政策を大臣レベルの『エネルギー・環境会議』と経産省の『総合資源エネルギー調査会』の二段構えで検討する段取りになっていた。 前者は法律に基づかないが、後者は法律(注・経産省設置法)に基づく会議だ。調査会は今年中に中間報告を出して、来年、正式に報告を出す方針だった。」

「このうち総合資源エネルギー調査会は私が着任する前の6月段階で、すでに委員の顔ぶれが内定していた。全部で15人のうち3人が原発反対派で残りの12人が賛成派だ。私は事故を受けて、せめて賛成派と批判派が半数ずつでないと国民の理解は得られないと思った。それであと9人から10人は反対派を加えて、反対派を合計12、3人にするつもりだった。委員に定数はないので、そうすれば賛成と反対が12人くらいずつで半々になる。」

−−それには役所が抵抗したでしょう。

「役所は『分かりました』という返事だった。私が出した委員候補リストを基に人選を終えて、後は記者発表するばかりのところだった。」

フジテレビはなぜ報じたのか

以上の点を踏まえたうえで、フジの第一報に戻ろう。

もし鉢呂の話が真実だとしたら、フジはなぜ自分が直接取材していないのに、伝聞情報として「放射能を分けてやる」などという話を報じられたのか。

経産省は鉢呂が原発エネルギー政策を中立的な立場から見直す考えでいることを承知していた。具体的に調査会の人選もやり直して、発表寸前だった。そういう大臣が失言で失脚するなら当然、歓迎しただろう。

そして「死の町」に続く決定的な"失言"をテレビが報じたのを機に、新聞と通信各社が後追いし既成事実が積み上がっていった。いまとなっては真実は闇の中である。

全文はこちらからお読み下さい↓
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/19475
写真は8月17日、衆院第1議員会館で友達40人のメッセージを官僚に渡す福島の子供たち
大人の不誠実な対応は目に余るものがある

「みんなと疎開させて下さい」「将来ガンになると困っちゃう」「死にたくない」
被曝した福島の子供たちが17日、国会内で政府の役人と交渉し現状の改善を求めた。(主催:子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク)

中学2年生橋本さん:「私たちが学校の友達と安全に避難できるように考えて下さい。」
内閣府:「除染して早く帰れるよう努めてまいりたい。」
原子力安全保安院:「安全の確保に努めている所です。」
文科省:「関係各省庁と連携を取ってやってゆきたいと思います。」
官僚答弁に場内から失笑が漏れた。

司会者:「集団疎開をどうやって実現して頂けるのか、子供たちは質問しているのですが?」
官僚らはマイクを回し合って、答えるのを避けようとした。一巡したところで
文科省の石田さん:「友達と一緒に学校に行きたいと受け止めました。原子力発電所が安定し、学校がきれいになれば、みんな安心して学校に行けます。」
中学2年生の橋本伽耶さん:「学校がきれいになっても町がきれいになっても安心できないから、こうやって手紙を書いてきたんです。よく考えてお話しして頂きたいです。」
内閣府のキンジョーさん:「地元と話しあって避難区域の解除に努めてまいりたい。」
これでは子供たちの要望とは逆の答えである。
小学5年生の小林茉莉子さん:「集団疎開のことを聞いているんですけど、まだ答えて頂けていません。」
官僚:沈黙

子どもたちの感想:
「将来ガンにならないために疎開しないといけないんだけど、あのオジサンたちは真剣に聞いてない感じがした」(小林茉莉子さん・小5)
「大人なのになんで子供の質問を聞いていないのか?」(宗像留椰君・小5)
「集団疎開が決まっていないなら『決まっていない』と答えてくれればいいのに。質問をはぐらかされてガックリ」(橋本伽耶さん・中2)

被曝し、クラスメートとも離れ離れになり心身ともに傷ついている子供たちを、政府の役人がさらに傷つけた。

http://tanakaryusaku.jp/2011/08/0002800