世界の武器商人が儲かる理由
フランスのファーストレディ、セシリア夫人のすばやい行動に注目が集まった。リビアを訪問して一度は死刑宣告されたブルガリア人看護師とパレスチナ人医師を救出しようというのだ。彼女はこれまでも常に直感で動く女性だった、今回のことでも、立場を活用してこの女性的センスで動いたにちがいない。あとに続くフランスとリビアの政治的駆け引きはまた別のはなし。以下はこれについてのニュースより
リビアは2日、フランスとの間でミラン対戦車ミサイルを購入する契約に調印した。契約額は1億6800万ユーロ(約274億円)。リビア当局者によると、リビアに対する欧州の武器禁輸が2004年に解除されて以来、こうした武器売却契約が結ばれたのは初めて。
契約は欧州のミサイルメーカー、MBDAとの間で行われた。MBDAは誘導兵器システムの世界トップメーカーで、英BAEシステムズ、欧州航空防衛最大手EADS、イタリアのフィンメカニカが共同で所有する。
別のリビア当局者によれば、リビアは他にもEADSとの間でテトラ式無線通信システムの購入契約に調印した。契約額は1億2800万ユーロ(約208億円)。
1日付の仏紙ルモンドによると、リビアの最高指導者カダフィ大佐の息子サイフ・イスラム氏はフランスとの契約について、エイズウイルス(HIV)感染事件で拘束したブルガリア人看護師ら6人をリビアが解放したことが契約に道を開いたとコメントした。「仏政府と長期にわたり交渉を続けてきたが、ニコラ・サルコジ大統領には迅速な対応を求めていた。ブルガリア人医療関係者の問題が解決し、絶好のチャンスが訪れた」
しかし看護師ら6人が解放された翌日の7月25日にリビアを訪問したサルコジ仏大統領は、契約は6人解放の見返りではないとして、関連を否定している。
(8月3日AFP=時事)
仏、リビアに原子炉供与 サルコジ・カダフィ会談
フランスのサルコジ大統領は25日、リビアを訪問して最高指導者カダフィ大佐と会談し、同国に原子炉を供与することで合意した。リビアで死刑判決を受けたブルガリア人看護師らをリビアが24日解放したことへの見返り措置とみられるが、核拡散につながりかねない、との批判が出ている。
トリポリからの情報によると、両国がこの日、原子力協定の覚書などに調印。ゲアン仏大統領府事務総長は「国際社会の規則を守る国には原子力を開発する権利がある」と説明。専門家チームがすでに3週間前から現地入りして調査を進めていると明らかにした。
リビアには、仏大統領夫人のセシリアさんが22日から24日まで訪問。死刑判決を受けたままリビアに拘束されて欧州各国との関係正常化の障害となっていたブルガリア人看護師ら6人を8年半ぶりに解放した。
リビアは2003年、核兵器を含む大量破壊兵器を秘密裏に開発していたことを認め、計画を放棄したばかり。国際社会の不信は完全には消えていないうえ、独裁的な政治体制、人権意識の薄さへの国際社会の疑念も深い。
約800団体が参加する仏反核ネットワーク「核からの脱却」は「人質と核技術を取引する企てだ。カダフィが独裁者だということを忘れたか」と非難の声明を発表。原子炉供与を撤回するよう求めている。
(7月26日朝日新聞)
リビアで400人以上の子どもをエイズウイルス(HIV)に感染させたとして、ブルガリア人看護師5人とパレスチナ人医師1人が有罪判決を受けた問題で、欧州委員会は22日、看護師らの釈放へ向けた外交努力の一環として、フェレロワルトナー委員(対外関係・欧州近隣国政策)と、フランスのセシリア・サルコジ大統領夫人が同国を訪問していることを明らかにした。
欧州委員会は声明で「人道的精神に基づいた問題解決を望む」と述べたが、訪問の詳細には言及していない。
看護師らは、リビア北東部ベンガジの病院で故意にHIV感染を広げたとして、昨年12月にいったん死刑判決を受けた。しかし、リビア最高司法評議会は先週、終身刑への減刑を発表。これにより、リビア、ブルガリア間の捕虜交換協定に基づいて看護師らの身柄がブルガリアに引き渡される可能性が出てきた。ブルガリアとEUは看護師らの無罪を主張しており、引き渡し後にブルガリア大統領が恩赦を与えるというシナリオが考えられる。
セシリア夫人は今月12日にもリビアを電撃訪問し、この問題をめぐって最高指導者カダフィ大佐と会談している。EU当局者らの間では、今年5月に就任したばかりのサルコジ大統領が「得点稼ぎ」を狙っているとの批判もささやかれる。
(7月23日 ロイター)
写真は、久々に世界のメディアに登場する、サルコジ大統領を出迎えるリビアの最高指導者カダフィ大佐。アメリカにかみつく世界の悪役だったのが、米国のミサイル攻撃でまだ幼い娘を失って以来、すっかりおとなしくなりました。カダフィには悪役のほうが似合う。
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