見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの、見つけたとき、 それを作品にしたり、思わずなにかの形にして、人に 伝えたくなります。 見つけたとき感じた、しあわせ感覚が、ひとしずくでも 誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

September 17, 2007

国のない男ヴォネガット



日本でやっと翻訳本が出ました。2005年ニューヨークタイムズのベストセラー「a man wihtout a country 」(邦題:国のない男 NHK出版)
結局これが4月11日死去したカート・ヴォネガットの遺作となりました。
どなたか彼に捧げましたでしょうか、「いまカートは天国にいるよ」と。
これは、カートがアイザック・アシモフの追悼会でそう言って会場が大爆笑して以来、彼の大のお気に入りのジョークなんです。
いままともな雑誌はこれくらいとカートに言わせた In These Times に掲載される、ブッシュやチェイニーがふんぞり返る、堕落して貧欲で残酷なアメリカを見かぎる彼のコラムに、わたしはすごく魅せられ元気づけられました。
カート・ヴォネガットの「スローターハウス5」はアメリカのティーンエイジャーにはサリンジャーの「ライ麦畑をつかまえて」より支持されています。
以下、「国のない男」よりーー。

カート・ヴォネガットはドレスデン大空襲のとき、そこにいました。「空襲前の街を見て、地下室に入り、地下室から出て、空襲後の街を見たわけだ。声をあげて笑うしかなかった。こころが何かから解放されたくて、笑いを求めたのだと思う。」と書きます。でも1968年になるまで、このヨーロッパ史上最大の虐殺について書けませんでした。「1945年2月13日、ドレスデンでは約13万5000人が殺された。イギリス空爆隊によって、ひと晩のうちに。とことん無意味で不必要な破壊だった。すべてが燃えた。あの殺戮を行ったのはわれわれではなくイギリスだった。あれは一種の軍事実験で、焼夷弾をばらまくことで全市を焼き尽くせるかどうか試したかったのだろう。」とあります。
23年さかのぼりドレスデンを書く気にさせたのはヴェトナム戦だった。「アメリカの指導力と動機がいかにいかがわしく、どうしようもなく愚かなのがこれによって明るみに出た。このとき初めてドレスデンについて語れるようになった。想像を絶する極悪人たち、つまりナチの連中に対して、われわれがひどいことをしたというのを。わたしが見たもの、わたしが報告すべきことが、戦争がいかに醜いかを教えてくれる。事実には実に大きな力がある。われわれが望んでいないほどの力が。」
この成り行きが、「ボクの本よりよくできてる」とカートがコメントするほどの映画にもなった小説「スローターハウス5」でした。監督はジョージ・ロイ・ヒル、音楽はグレン・グールド。
また、彼は無類の音楽好きです。傲慢さのゆえに世界中から憎まれていても、それでも外国人がアメリカを愛してくれているのはジャズのおかげだと書きます。
アメリカの奴隷時代、奴隷所有者の自殺率は奴隷本人の自殺率をはるかに超えていた、なぜか。奴隷たち黒人には絶望の対処方法があったからで、白人にはそれがなかった。つまり、黒人たちは自殺という疫病神をブルースを演奏したり歌うことで追い払っていた。なるほど、ブルースは絶望を家の外に追い出すことはできないが演奏することでそれを部屋の隅に追いやることはできたのだ。
カートは、いまの若い人たちが気の毒でかける言葉もない、とも書きます。「精神的におかしい連中、つまり良心がなく、恥も情けも知らない連中が政府や企業の金庫の金をすべて盗んでわがものにしている、それがいまの世の中だ。」
だから、カート・ヴォネガットはアメリカを見かぎり、図書館員とIn These Times をよるべにしたのです。
最後にカートからひと言、魔法を使ってでも、「できればあなた方すべてにナバホ族やナイジェリアのイボ族のような大家族を授けてあげたい。大家族に見守られるあかちゃんになりたいと思わないか」
もうひと言、いい?「みんな頭がおかしい。いま地球の免疫システムはわれわれを排除しようとしていると思う。わたし自身、地球はわれわれを排除すべきだと思う。人間っていうのは実に恐ろしい生き物だよ。」

カート・ヴォネガットのMITの卒業式のスピーチとして、おそらく2000以上のウエブサイトに掲載されている気の利いたスピーチがあるのはご存じでしたか。
でも実際にはカート・ヴォネガットのものではなかった。シカゴ・トリビューン紙のコラムニスト、Mary Schmich が自分のコラムに創作として書いたものでした。歌にもなり、本にもなっているそうなんですが、これを気に入ったMITが翌年の卒業式にカート・ボネガットとMary Schmich を招待したというのです。
ちょっとだけ紹介してみます。
みなさん、卒業おめでとう。お祝いとして私からいくつかアドバイスを贈ります。
将来のことを悩んではいけない。悩んだところで、なんの役にも立ちません。頭を抱えるような深刻な事件というのは、ある日突然やってくるからです。不測の事態とはたいてい、なんてことない火曜日の午後4時に不意打ちの形で襲ってくるものです。
「人生の目標がない」と嘆いてはいけない。私がこれまで出会った人のなかでおもしろい人物は例外なく、22歳のときに自分の目標がわからなかった。いや、なかには40歳を過ぎても人生の目標が明確でない人も多い。だが、生き生きとしている人がいるものだ。
せいぜい自分のからだを活用しなさい。他人がどう思おうが、あなたに与えられた最高の道具です。
ダンス!踊る場所がないなら、自宅のリビングでもかまわない。
友人は簡単にできるし、簡単にいなくなる。でも、二三の本当に貴重な親友はこの限りではない。たとえ遠くに住んでいても、生活環境が違っても、親友とのつきあいは努力して続けなさい。年をとるにつれて、若いときの自分を知ってくれている友人ほどありがたいものはない。
一度はニューヨークに住みなさい。人間が鍛えられる。だが、鍛えられすぎる前にニューヨークを離れること。
旅行しなさい。

写真は、本の中にもある、カートのイラストや手描きの文章をシルクスクリーンで作品にしたもののひとつで、オフィシャルサイトから購入できます。
このようにi-Podに貼り付けるサービスともつながっていて、アルミに焼き付ける彫塑作品もあります。スカルプチャーはタイトルが「ワスプのくびれ」

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