見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2007/09/16

撤退の始まり


APECで安倍首相が世界に向かって、海自の給油活動がとぎれるようなことがあってはならない(と国民じゃなくブッシュアメリカにアピール)、対テロ特別措置法の延長に「職を賭す」と言えちゃうほど、世界とアメリカが熱い視線を向けて期待していることなのかー?と思っていたら、得意の読み違えで職を辞しちゃったよ。

9月10日、11日と、ペトレイエス・イラク駐留多国籍軍司令官とクロッカー駐イラクアメリカ大使の2名を召喚して米上下両院の公聴会が開かれていた。そしてこれを受けた形で行ったブッシュ大統領の演説から米国の当面のイラク政策の道筋が見えてきた。
13日の演説で大統領は、来年夏までに現在17万弱の駐留米軍を13万5000人程度まで減らせるとの見通しを示した。「増派」が成功したとアピールし、さらに成果があれば部隊を追加帰還させると訴える内容だった。
米国のゲーツ国防長官は14日の記者会見で、イラクの治安が現在のペースで改善すれば、2008年末までに米軍の駐留規模を10万人に減らせるとの「希望」があると述べた。
14日議会に提出されたイラク米軍増派の最終報告書によると、イラク政府の治安改善・復興努力をはかる「達成基準」18項目のうち、満足すべき進展があったのは9項目にとどまった。
7月の中間報告から進展があったのは旧バース党員の扱いを巡る措置だけ。基準は「復職を促すための法制化」だが、今回の報告では「新法は成立していないが、政府内部で合意に達した」ことを理由に進展を評価する苦しい内容になった。
(日経新聞2007年9月16日)

ブッシュ政権の方針とイラク駐留米軍の報告がひとまず議会を通ったということで、この先もこれまで通りに行くかといえば、実態は非常に巧妙な言葉を組み合わせた「撤退の始まり」に等しい。まず、ただちに始まる最大3万人の兵力削減だが、これについては「期限を切っての増派」が完了したことによる「自然な削減」だと言っている。また「新たな増派は行わずに自然の削減に任せる」ことでは、「増派が成功した」からという理由がつけられている。そして都合よく、イラクの治安回復がいっこうに進まないことはほとんどがイラク政府の責任にされている。
このように表面的には「ブッシュ政権の方針は正しかった」、「今やっていることには意味がある」といった言葉を並べながら、実は政治的な失点を最小限にしながら「撤兵」への道筋をつけようとしているのは明白だ。公聴会では、ペトレイエス司令官とクロッカー大使に対して共和党の議員団から非常に厳しい追求が浴びせられた。イラク戦争反対に回れないまでも、彼らがこのまま泥沼化することに危機感を持っているのは明らかだ。つまり、保守層も含めて、アメリカの民意は「撤退」に大きく傾いているということだ。
911から6周年を迎えたアメリカでは、政界からも社会からも「戦時の殺気」が消えている。なので「給油」が継続できなければ「国際公約に背く」とか「反テロ戦争への裏切り」といった日本の一部の政治家のかたくなな思いつめは、テロ戦争をぶちあげた当人の、アメリカ社会のいまの雰囲気から見ると、「困惑する」というのが一番ふさわしい。
政治的そして軍事的スローガンとしての「反テロ戦争」がよい意味で解体されつつあるのは明らかだ。日本の政治家が「日本人の犠牲者も24名いる」と叫びながら「給油は国際公約」だと言い張る姿は不自然としか言いようがない。そうした言動が政治的はずみを得るためのジェスチャーであるなら単に不誠実なだけですむのだが、国際社会を理解する上での情報不足、時間的感覚のズレがそこにあるのだとしたら、これは日本にとって恐ろしいことだ。
(ニュージャージ在住の作家、冷泉彰彦氏のUSAリポートから抜粋) 

写真は昨年のワールドカップ・ドイツ大会決勝でフランス代表のMFジダンがイタリア代表マテラッツィに頭突きを見舞った瞬間です。この後ジダンは退場処分になり、フランスは敗れた。なぜいまジダンかといえば、ロイターによると、8月18日、イタリア代表DFマルコ・マテラッツィが、気の短いジダンがキレるような身内を侮辱した汚い発言の内容を明かした。イタリアのメディアが18日に伝えた。マテラッツィはジダンに、「売春婦のお前の姉の方がいい」と言った。