アメリカはグルジアとロシアに手を出すな
アメリカの元司法長官ラムゼー・クラークが1992年に創設した団体、国際行動センター(International Action Center:IAC)が、ブッシュ大統領とチェイニー、ライス、ゲイツなど米政府高官や米議会指導者らに次の3点を要求する手紙を出すよう署名運動を呼びかけている。
「アメリカはグルジアとロシアに手を出すな 」
「 NO NEW WAR」
「END NATO NOW!」
◇こういうことです:
また新たな危険、今度はロシアに対する戦争の危険をともなう新たな軍事行動をアメリカ政府が威嚇するのを私たちは心配をつのらせながら監視する。
ブッシュ政権とアメリカの新聞雑誌TVなど企業ニュースメディアは憎しみの反ロシア・キャンペーンに着手してきている。イラクとアフガニスタンの占領やイランに対する脅迫のときのように、ロシアとの軍事対決の威嚇もまたウソに基づいている。
大部分の企業ニュースメディアによって隠される真実は、グルジアのミハエル・サーカシビリ大統領が米国とイスラエルの兵器で身を固め、訓練された彼の軍隊を南オセチアの小さな自治州に向けてけしかけて、一般市民を殺害し、そこに駐留するロシアの平和維持軍を攻撃したということだ。そのときロシア軍は応戦したにすぎない。
サーカシビリはアメリカ主導のイラク占領に加わるため2000人のグルジア青年を送った大統領だ。アメリカは彼の軍隊に兵器を支給する。アメリカ特殊部隊とイスラエルの軍事顧問と傭兵請負人らがグルジア軍を指揮する。グルジア軍は7月にアメリカ陸軍と海兵隊と一緒に3週間の合同演習を行ったばかりだ。
中央アジアの石油の主な輸送ポイントとして、イラクやイランのようにグルジア自体がアメリカの石油企業のお宝、目的物であることに私たちは注目する必要がある。
アメリカのグルジア武装とグルジアをNATOに加盟させようとのふんばりが、南オセチアへのグルジア侵攻を設定して新たな大戦争の脅威を引き起こしたことにまず疑いの余地はない。いまワシントンはそこの圧倒的多数の国民の意志にさからってポーランドとチェコ共和国にミサイル基地を置くことでロシアを脅してもいる。新たなNATO同盟国の軍事同盟でロシアを包囲することは、世界規模での平和と安定にとって最も危険なことだ。
第二次世界大戦によって弱体化したヨーロッパの植民地主義勢力において社会主義革命を妨げて資本主義支配の強化をめざす反ソ連軍事同盟としてNATOが設置されたのを思い出すときだ。ソ連崩壊とワルシャワ条約の消滅以降、アメリカはNATOを大いに拡大しようともくろんできており、ロシアと中国を包囲して元植民地世界を再征服するアメリカの企業権力を強化するための軍事的道具(手先)に変えている。
◇以下に挙げる例を斟酌してくれ:
・ユーゴスラビア
NATOは小国を防衛してきたとのウソに基づいてアメリカとNATOが介入、爆撃が多民族国家ユーゴスラビアを破壊してバルカン諸国をアメリカと西ヨーロッパ勢力によって支配されるミニ独立国家の山に変えた。
・アフガニスタン
これはテロリストに対する治安活動だったとのウソに基づいてアメリカとNATOがこの国をだいなしにし、奴隷状態のまま放置する7年間の占領を行ってきている。
・イラク
大量破壊兵器に関するウソはあまりにもあくどく、アメリカの論拠はあまりにも説得力がなかったため、ほとんどのNATO加盟国が占領とイラクの完全破壊に加わるのを拒絶した。
◇グルジアでブッシュが和平を推進しているなどと誰が信じられようか。この拡大を止めるばかりか、NATOを解体することでNATOという戦争マシーン(機構)を完全に終わらせるときである。
グルジア人みずからがサーカシビリ派閥をとがめる声明を出していることは世界中の反戦市民への励ましである。
「この同胞殺しの戦争と、子どもや女性や高齢者数千人の死者と、南オセチアとグルジアの居住者に対する全責任はもっぱら、グルジアの現大統領と議会と政府にある。」(8月11日)とグルジア平和委員会は言っている。
少なくとも、現大統領に反対してNATOの役割を欲しがらないグルジア市民ぐらいのことは私たちにできる。ワシントンから私たちは以下のことを要求した:
1)グルジアとコーカサスへの介入をやめよ
2)東ヨーロッパの国々とロシアと国境を接する国々にNATO軍組織を拡大する挑戦をやめよ
3)好戦的なNATO軍事同盟を終結せよ
4)No New Wars !
◇戦争は最悪の環境破壊。戦争はすべてを破壊して子どもを含める罪なき人びとを傷つけ殺すだけで、なにも解決しない。私たちには21世紀を戦争のない世紀にする責任がある、次の世代に平和な地球を残す責任がある。
署名サイトは以下にあります。
http://www.iacenter.org/anti-war/handsoffcaucasus/
◇国際人権団体「ヒューマンライツウォッチ」は15日、グルジア南オセチア自治州を巡る軍事衝突で、ロシア軍が使用したクラスター爆弾によってオランダ人記者を含む民間人11人が死亡したことを明らかにした。100カ国以上が禁止条約案を採択した同爆弾を使用し、外国人記者にも被害が出たことで、ロシアは国際的な批判を浴びそうだ。
同団体調査員が現地で聞き取り調査などを行った結果、ロシア軍が12日に空爆したグルジア中部ゴリで8人、カレリで3人の民間人がクラスター爆弾によって死亡したことが確認された。負傷者も数十人に上った。死者にはオランダ人記者1人が含まれており、他にイスラエル人記者も重傷を負った。ロイター通信の車両にも被害が出ているという。
また、現地住民がクラスター爆弾の不発弾を不用意に持っていたことも確認された。不発弾による民間人被害が今後、多発することが懸念される。
クラスター爆弾を巡っては、ノルウェーや日英独仏など100カ国以上が参加する軍縮交渉「オスロプロセス」が5月に事実上の全面禁止条約案を採択。だが、ロシアは米中両国などとともにプロセスに参加せず、クラスター爆弾の廃棄に抵抗を続けている。
・ロシア側は使用を否定
ロシア軍のノゴビツィン参謀次長は15日、ロシア軍がクラスター爆弾を使用したとの指摘について「その必要性はなく、使用していない」と否定した。
(毎日新聞 2008年8月16日)
◇ロシア深まる孤立 ウクライナ黒海艦隊に許可制導入
ロシアとグルジアの軍事衝突を受け、ウクライナがロシア黒海艦隊の出入港に許可制を導入するなど、近隣国からロシアへの風当たりが強まってきた。ポーランドは、ロシアが強く反対してきた米国のミサイル防衛(MD)施設建設に同意。バルト三国もグルジア支持を表明し、ロシアは孤立している。
ウクライナのユーシェンコ大統領は13日、同国のクリミア半島セバストポリにある基地を借りているロシア黒海艦隊について、出入港を許可制とする大統領令に署名した。
同艦隊が海上封鎖などの措置を取れないようにするのが狙い。ユーシェンコ氏は、ともに親欧米路線で北大西洋条約機構(NATO)加盟を目指すグルジアのサーカシビリ大統領との連帯を、あらためて示した。ロシア軍は「ナンセンスだ。ロシア海軍はロシア大統領の命令にのみ従う」と猛反発している。
(北海道新聞 2008年8月16日)
◇グルジアの首都トビリシで12日、ロシア軍の撤退を求める約10万人規模の大集会が開かれ、ポーランドやウクライナなど5カ国の近隣国の首脳が参加、グルジアへの連帯を表明した。
参加したのは、ポーランドのカチンスキ大統領、ウクライナのユーシェンコ大統領のほかバルト3国の各首脳。サルコジ仏大統領は市内に滞在していたが、出席しなかった。
グルジアのサーカシビリ大統領がまず「グルジアは国家の統一性を守る」と演説。これに続いてカチンスキ大統領は「ロシアが占領しようとしているグルジアは欧州でもある」、ユーシェンコ大統領は「最後に勝つのは自由だ」などと述べ、ロシアの軍事介入に反対した。
カチンスキ大統領はワルシャワを出発する際、記者団に「武力攻撃の犠牲となった国に連帯を表明する」とグルジア支援を宣言し、「ロシアはその正体を現した」とロシアを批判した。
連日開催されている大集会は、この日は昼下がりと夜の2回にわたり開催。国立図書館司書のトルコシュビリ(50歳)は「グルジアが民主国家であることをロシアが納得すれば状況は変わる。私たちは平和を望んでいる」と力説していた。
(毎日新聞 2008年8月13日)
写真は、「共通の敵」ロシアに反対して大統領と共に団結するグルジア人
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