黒子が表舞台に
◇バラク・オバマ米大統領は21日、国家安全保障について演説し、公約通りキューバのグアンタナモ米海軍基地のテロ容疑者収容施設の閉鎖を実行する方針を改めて表明した。
前日、米上院は収容施設の閉鎖費用や収容者の移送費への支出を認めない補正予算案を賛成多数で可決。民主・共和両党の議員らはそろって収容者の米本土への移送に懸念を示した。
こうした動きに対し、オバマ大統領は、収容施設の設置は「失敗した間違った試み」だと指摘。イデオロギーやテロへの恐怖感に基づいたブッシュ前政権の対テロ政策を非難した。
また、危険度の高い国際テロ組織アルカイダの元メンバーらについては、米国内でも最も警備の厳重な刑務所に確実に移送すると表明。「テロリストは、組織を拡大し米国を同盟諸国から孤立させない限り、成功はできない。われわれ米国民が米国民たることに忠実であれば、決してそれは実現しない」と述べた。
その上で、グアンタナモの収容施設が米国のイメージを損ねたとして、1年以内に施設を閉鎖する方針を改めて強調した。
・チェイニー前副大統領と真っ向対決
一方同日、ディック・チェイニー前米副大統領は米有数のシンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所で行った講演で、ジョージ・W・ブッシュ前大統領の政策を強く擁護。拷問との批判を受けているCIAの過酷な尋問手法や、米法規を超越したグアンタナモの収容施設の設置を改めて正当化し、「同じ状況になれば、また同じことをする」と述べた。
また、グアンタナモに収容されている「最悪のテロリスト」らを米国内に移送することは「大きな脅威となる」と指摘。オバマ政権がブッシュ前政権やCIAの関係者の「魔女狩り」を行おうとしていると警告した。講演は全米にテレビ中継された。
(AFP 2009年5月22日)
◇今日の昼放映(日本)のabcNEWSより かいつまんで
グアンタナモ収容所に関してオバマ大統領:
国外に作れば安全が保たれると言うのは、間違っている。私たちの義務は、核の不拡散問題など、アメリカ国民を安全な環境に置くことだ。長期的に安全を守るには、基本的な価値観が大事である。正当な法律上の枠組みを作る、国民を守ると同時に憲法を守っていく、慎んできた価値。安全にする手段。
過去のは恐怖によるイデオロギー、つまり、私たちはコースをはずれていた。アメリカの敵が望むところにはまっている。これではダメ。水責め、きびしい手法をとれば安全だとする、これは全く違う。私たちの価値観に反する。
グアンタナモは正当なものではない。むしろ、テロを広げる。
同じ日の同じ時間に行ったチェイニー元副大統領による直接反論:
ブッシュのテロ対策を擁護する。きびしい手法はテロ計画を知ることだ。傲慢だというのは名誉毀損だ。
グアンタナモを閉鎖するのは無謀だ。
最近表に出てきてあちこちのメディア(デモクラシーナウ!にも登場)で大声を上げているチェイニーは、今日も、CIAメモを公開したことをはげしく非難。
安全を脅かした。グアンタナモを閉鎖してはならない、と読み上げる。
写真は、今日のabcNEWS から
http://www.abcnews.go.com/politics
◇米上院は20日、キューバのグアンタナモ米軍基地に収容されているテロ容疑者を、米本土に移送することを差し止めた。
オバマ政権は、グアンタナモ基地収容所の閉鎖費用として8000万ドルを請求。しかし上院は、収容者の米国移送を差し止める修正条項を盛り込んだ補正予算案の採決を行い、賛成90、反対6で可決した。下院でも先日、同様の修正法案が通過している。
民主党の上院議員らはオバマ政権に対し、同収容所閉鎖時の収容者の処遇について具体案をまず提示するよう求めており、政権側は厳しい批判を突きつけられた格好だ。
オバマ大統領は来年1月22日をめどに閉鎖する公約を掲げた同収容所を今後どうするかについて、21日に演説を予定している。
(CNN 2009年5月21日)
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