クジラの歌声が低音に
◇クジラは一体どんな感じなのか
今週、国際捕鯨委員会が捕鯨の将来について討議するため会合するとき、本当に討議したとして、水生動物の騒音公害は議事日程の急を要しない議題のはずだ。だが、人類の船から出る騒音は堂々とした生き物に、追跡する船隊の銛(もり)ほどの大きな脅威を与えるかもしれない。
クジラは、視界は限られても音は実質的になにひとつ妨げるもののない環境で進化した。彼らは餌を見つけるにも進路を決めたりコミュニケートするにも聴覚をあてにし、シロナガスクジラ(blue whale)の低音波周波数のような種の場合にも、海洋の全域に、数百マイルにおよび聞こえる精巧な発声法を用いて互いに信号を送る。それ以上でないにしても、クジラにとって聴覚はヒトの視覚ほどに重要だ。
過去10年、科学者たちは、船がまねく騒音がたびたび海の自然の音をかき消すのを実感してきている。特に軍用艦が使用するソナーのタイプは数百マイルにおよび聞こえる。エンジン騒音と一斉に、これらが地球の海洋全域に聞こえる水生の轟音を生み出す。それはヒトが空港やロックコンサートを連想するレベルの轟音によくなる。(アメリカ海軍が配備しようとする強力な低周波ソナーに至っては戦闘機やロケット打ち上げの際のレベルになり、騒音はヘビメタ級とされる)
クジラは一体どんな感じなのかについて、最も重要な人間の分別をもつために、あなたのコンピュータにヘッドフォンをつなぎ、目を閉じてこのザトウクジラの歌を聴くことだ。
http://www.wired.com/images_blogs/wiredscience/2009/06/humpback_whale_noise-free.mp3
これは騒音公害のない環境で録音された。そうして次の歌、こちらはニューヨーク港の沖合で録音された。
http://www.wired.com/images_blogs/wiredscience/2009/06/humpback_whale_noisy.mp3
海洋の騒音公害の影響はさらにその量を計られてきている。現象の意識は比較的新しいし、クジラの生態研究は面倒だ。だが、大騒音は大量のクジラの浜への乗り上げや、ある種に見られる従来の生息地からの逸脱に関連があるとされてきている。特にそれがクジラのコミュニケーションと文化への騒音の影響となるとき、ほんの始まりに過ぎないのかもしれない。
「騒音公害について私たちはほとんどわかっていないが、知れば知るほど怖くなる」とダルハウジー大学生物学者でクジラの発声法で世界有数の専門家のひとり、ハル・ホワイトヘッドは言った。「そして、私たちはクジラの話し方(なき声)についてほとんどわかっていないが、知れば知るほど興味深い。」
写真はシロナガスクジラ
(WIRED SCIENCE 22 June 2009)
水生の騒音は20世紀半ばと比べ12デシベル以上増えている。クジラの鳴き声の低音化現象は、異なる海洋のどのクジラの群れとも共通する(海洋ほ乳類保護団体カスカディア・リサーチ・コレクティブの調査結果)。騒音の他にも温暖化影響説があるが、基本的にはわかっていない。
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