漂流する巨大な氷山
◇巨大な氷山がオーストラリアに向かって進む
ニューヨークのマンハッタン島の2倍以上(香港島の2倍以上とAFP通信、日本の川崎市とほぼ同等の面積と共同通信)の大きさの巨大氷山がオーストラリアに向かってゆっくりと漂流していると、9日水曜、科学者たちは言った。
面積140平方キロメートルの氷山は、異常な北への旅を始めるに先だって、およそ10年前に南極の棚氷から割れ目を作って分裂し、南極大陸近くに漂流してきていた。
オーストラリアの南極局によると、B17Bと命名される氷山はオーストラリアの西約1700キロの海上にあった。
「十分に完全なままの大きさでこれほど遠くまで北上してきていることで、B17Bは非常に暗示的な氷山」と、オーストラリア南極局の氷河学者ニール・ヤングは言った。彼はNASAとヨーロッパ宇宙機関によって撮影された衛星写真を用いてそのスラブを見分けた。
「あの地方で見つかった最大の氷山のひとつです。」
現行の形状で沿岸のすぐそばまで漂流することはありそうもないとヤングは言った。より暖かな水域がそれを溶かす原因となる。
「水が温まると、氷山はゆっくり割れ目を作って分裂し、結果としてそのエリアに何百もの小さな氷山が生じる」とオーストラリア南極局のウェブサイトでヤングは言った。
11月、ニュージーランドに向かって進む、推定横幅500メートル・高さ500メートルの氷山が南太平洋のマッカリーアイランド近くで見分けられた。
島で働く科学者らはその大きさにたまげた。
「私たちがアザラシ(オットセイ)に関する研究で使う双眼鏡を引き出すと、要するにそれは漂流する巨大な氷の島だった、ああ、まったく信じられない光景でした」とオーストラリアの研究者ディーン・ミラーはCNNの系列会社TVNZに語った。
オーストラリア南極局は、その氷山は南極最大のロス棚氷(Ross Ice Shelf)から分離した可能性のある大きめの氷の流出から別れた小集団の一部だったと言った。
この領域の船舶の規定行路は特に11月に忙しくはなかったが、氷山が、船舶航行警告を発するよう海に接したニュージーランドに促した。
これより3年早く、ニュージーランドのサウスアイランドの東海岸に沿って氷山が漂流したとき、別の氷山仲間がちょっとした観光ブームをもたらした。
海洋学者マイク・ウイリアムズは、氷山は「だいたい同じ起源」を持つが、潮流によって北に運ばれる前、たぶんあるものは長いこと南極の氷におおわれた海に閉じ込められていたと、ラジオニュージーランドで語った。
しかしながら彼は、大規模な氷の動きの理由として地球温暖化を引用するのに気が進まなかった。「2006年に私たちはこれは"人生に一度"のできごとだと考えたので、私たちの見解を少し変えなければならない。」
「だが、氷山がやってくる大きな棚氷の分解は、今まで通り、もっぱら30年から50年の周期で分解している。」
(CNN 9 December 2009)
◇氷河学者のニール・ヤングは、イギリスとオーストラリアの間で高速帆船が往来していた19世紀から今日まで、この海域でこれほど大きな氷山が見つかったことはなかったはずだと語る。
(AFP通信 2009年12月9日)
◇南極では温暖化が進み、棚氷が崩壊するなどの異変が相次いでいる。
(共同通信 2009年12月9日)
写真は
・巨大氷山に気づいたNASAの衛星写真(共同通信提供)
・ニュージーランドの南西の島マッコーリーアイランドの北端で撮影されたアイスバーグ
・マッコーリーアイランドの西海岸、バウアーベイビーチでばらばらになるアイスバーグ
(CNNの記事より)
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