安保法制について CWニコル
◇<安保法制・私はこう考える>
海外の戦争、参加不要
作家、C・W・ニコルさん(74)
国際情勢に合わせて安全保障のあり方を変えることはやむを得ない。自衛隊が海賊行為を取り締まり、テロ対策に協力することは必要だが、他国が攻撃された場合に集団的自衛権を行使することは反対だ。海外の戦争に出かける必要はない。
安倍政権は米国と約束したからと安保法制を推し進めており、法案を巡る説明は信頼できない。国民的議論をし、憲法改正など適正な手続きを踏むべきだ。自衛のための戦争は否定しない。平和維持のために永世中立国スイスのような自衛力を持つ選択肢もある。
実父は第二次世界大戦で戦死した。育ての父もインド洋で旧日本軍と戦った。英国人捕虜への残忍な行為を知った母が日本に憎しみを抱く気持ちはよくわかった。それでも私が日本に来たのは、森に恵まれ、北に流氷、南にサンゴ礁が見られる他にはない島国で、思うがままに旅ができ、言論の自由もあるからだ。「戦争の放棄」を掲げ、平和を守ってきたことは海外からも尊敬され、日本国籍の取得にためらいはなかった。だが、特定秘密保護法の制定で言論の自由は脅かされ、今度は憲法9条も危うい。
英国では米国との同盟を重視したブレア政権(当時)が国民の反対を押し切り、イラクやアフガニスタンとの戦争に参加した。英国はテロの標的となり、イスラム過激派に加わる若者がいる。
海外での武力行使を認めれば、国際的な日本の信頼は崩れ、テロの標的になりかねない。中韓やイスラム諸国との関係悪化も招く。
(毎日新聞 2015年7月3日)
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20150703org00m010007000c.html
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