We Are All Greeks
◇今では私たち皆がギリシャ人
Truthdig 12 July 2015 by Chris Hedges
アメリカの貧しい者と労働者階級はギリシャ人であるとは一体どういうことかを知っている。彼らは不完全就業や失業の経験がある。彼らは年金なしの生活の経験がある。彼らは一日数ドルの生活の経験がある。請求書未払いのせいでガスや電気が止められる経験がある。彼らは力を失わせる負債の重さを知っている。彼らは病気でもメディケアの費用を負担する経済力がないのを知っている。アメリカで「市民資産没収」として知られている処置、国が彼らの乏しい資産を押収するのを知っている。それは現金と資産(所有物)で30億ドル以上没収することをアメリカの警察機関に認めた。
彼らは、学校や図書館、近所の医療クリニック、デイケアサービス、道路、橋、公共の建物や援助プログラムがおろそかにされるかまたは閉じられる時に生じる深い絶望と自暴自棄を知っている。彼らは、緊縮経済の名のもとに広くいきわたった窮乏を押しつけるため、金融関係のエリートが民主政体の機関を乗っ取るのを知っている。ギリシャ人のように、捨てられるとは一体どういうことかを知っている。
法人資本主義の同じ制度によって襲撃されるためにギリシャ人とアメリカのワーキングプアは同じ貧困に耐える。法人資本主義に関して国内の制約はなにもない。そして存在した少数の国内制約は取り除かれた。
ユーログループ、世界銀行、国際通貨基金、連邦準備銀行を含む、世界で最も強力な金融機関を巧みにあやつる法人資本主義は何をしようと目論んでいるか:
人間や自然界を含むすべてを、使い尽くすこと(枯渇)または崩壊に至るまでずっと食い物にされる商品に追いやる。労働組合がダメになり、監督機関が骨抜きにされる抜き取りプロセスの中で、搾取を合法化し、世界的な独占に法的権限を与えるために、公共事業が民営化されるために法人組織のロビイストによって法律が制定される。文書を見る選ばれた役人でさえ大声で話すことが許されない秘密の貿易協定が、いっそう大きな権力を蓄積して労働者の手当でいっそう大きな利益を積むとして政府に圧力をかける一握りの財閥に法的権限を与える。利益を膨らませるために、法人資本主義は、個人、都市、州、政府から略奪し、抑圧して破産に追いやる。それは最後には資本主義を可能にさせる構造と市場を破壊する。だが、これは、悪に耐える人々にとってほとんど慰めとはならない。それ自体を圧倒する頃には、計り知れない人間の窮状を跡に残している。
もしユーロ圏を離れるとすれば、チリに”倹約の悲鳴を上げさせろ”とリチャード・ニクソンが断言したように1973年チリのサルヴァドール・アジェンデ社会主義政権にしたことを国際銀行システムがギリシャにするとわかっているので、ギリシャ政府は慈悲を懇願してヨーロッパの銀行家に屈服する。銀行家はギリシャの効力を消失させる。たとえこれがギリシャはもはや薬にありつけないことを意味するとしても、それはそれとして。ギリシャはヨーロッパの薬剤メーカーに10億ユーロの借金がある。たとえこれが食糧不足を意味するとしても、それはそれとして。ギリシャは1年に数千トンの食糧をヨーロッパから輸入する。たとえこれが石油やガスの不足を意味するとしても、それはそれとして。ギリシャは石油とガスの99%を輸入する。目下のギリシャ政府が追い出され、法人組織の政治上の操り人形が支配下に戻るまで、銀行家は経済上の戦争行為を最後まで続ける。
法人資本主義者としては人の命は知ったことではない。普通のアメリカ人の受難のように、ギリシャ人の受難は、ゴールドマン・サックスのような金融機関の利ざやを得るには非常に喜ばしい。なんといってもギリシャとのその多くが秘密の入り組んだ財政協定を画策したのは、決してローンを返済できないとわかっている家族にサブプライム住宅ローンを押しつけたゴールドマン・サックスだった。ゴールドマン・サックスは年金基金への投資としてサブプライム住宅ローンを売ったあと、次にはそれらに不利に賭けた。これらの協定は、ギリシャがデリバティブ状況下で返す義務がある負債を二倍にして、借り続けるために実在する負債を覆い隠すことを旧ギリシャ政府に可能ならしめた。そしてギリシャが内部崩壊したとき、ゴールドマン・サックスは現金をいっぱい詰めたスーツケースを持ってさっさと立ち去った。
足かせをはめられていない資本主義の制度は、最も弱い者から平気で金をしぼり取って、エリート層へより以上に金を集めるようになっている。これは常に市や州の予算の不足分を補った増している罰金で確かめられる。教育から情報収集まで、法人資本主義は政府の公共事業のあらゆる面を民営化しようと求める。次はアメリカの郵便業務らしい。公立学校の子どもたちが、スクールバスに乗る、音楽またはアートの授業を受ける、スポーツまたは他の活動に参加するのに、親はすでに何百ドルも払わなければならない。消防署、救急業務、国立公園の制度はすべて企業収益の消耗品になるはずだ。それは市民社会をひどく苦しめる。
刑事裁判は主として、正義または更正(社会復帰)というよりも、アメリカの市や州政府のための歳入の流れのことだ。ファーガソンやどこかよそのところで重要でない違反のために貧乏階級が逮捕されて罰金を科される。ローンをなぎ倒すために、ニューヨーク市の地下鉄の座席に脚を載せるために。多くが払えないように罰金を払えないと、彼らは拘置所に行く。拘置所ではたいてい食事付きの部屋の料金を負担させられる。そしてこの新たな請求を払えないとすれば、再び拘置所に行く。それは貧乏階級の円を描く果てしないふんだくり(強奪)のゲームだ。未払いの罰金は利子がついて逮捕状を発生させる。貧しい人は多くの場合、駐車または交通違反のために何千ドルも借りることになる。
ファシストとコミュニストの射撃隊は時々、犠牲者の家族に処刑に使われる弾丸を請求した。法人資本主義もまた虐待者が支払いを強引に取りつける。たいてい金は執行猶予業務または刑務所や拘置所の管理を行う民間会社に行く。スタンガンで撃たれる費用(26ドル)または執行猶予業務費(一カ月35ドル~100ドル)または電子足首手錠(一カ月11ドル)は貧乏階級のポケットから掃除機で吸引される。そしてこのすべてが幸福な時代とみなされる、そのある日に起こっている。
金融上のおぼつかない計画が再び崩壊するまで待てば、ウォール街が援護に動く。中国で起きていることはよい徴候ではない。そうしてアメリカはステロイドにおぼれてギリシャになる。
政策研究協会の”貧乏階級は刑務所に行く”というタイトルの報告書で「私たちは福祉制度を犯罪制度に変えた国」とKaren DolanとJodi L. Carrは書く。「収容施設を提供する、あまりに貧しい人々の生活を支える活動を私たちは非合法化します。私たちは世界のどの国よりも多くの人を投獄します。そして一度でも服役していたら死ぬまで社会に参加することを禁じるも同然の政策を設けます。私たちは債務者刑務所の復活を可能にしました。彼らのふるまいを不釣り合いに違法として早くから施設収容(投獄)の行路へ近づけて、援助や機会を利用する手段がない貧しい子どもや黒人、ラテン系の子どものために、私たちは二段階の公共教育制度を構築しました。」
ギリシャでは法人組織の市民社会解体がほぼ完了する。アメリカでははるかに進捗する。ギリシャ人のように私たちは世界の寡頭制支配者(政治に圧力をかける一握りの閥)によって遂行される政治的な戦争を耐えている。誰も彼らを選んではいなかった。彼らは世論を無視する。そしてギリシャの場合のように政府が国際的な銀行業コミュニティに逆らうなら、処刑に向けて進められる。銀行は民主主義のルールに基づいて行動しない。
私たちの政治家は法人組織の使用人である。そしてアメリカが初の女性大統領を有する可能性について子どものように無邪気になるならば、1994年の北米自由貿易協定で製造業を壊滅させたあと、次に1996年の個人能力仕事好機調整法(Personal Responsibility and Work Opportunity Reconciliation Act)で福祉を破壊し続けたのがヒラリー・クリントンの夫だったことを思い出すように。それは連邦の現金扶助プログラムを停止して期限のある州の限定包括的補助金を押しつける。ビル・クリントン大統領のもと、福祉を受け取る大部分(その受取人の70%が子ども)が振り落とされた。民間会社が失業中の余剰労働者を飲み込んだので、刑務所産業に従事する複合体は爆発的に大きくなって、一人が収監されるごとに1年で4万ドル以上になった。クリントンのもと、連邦と州の刑務所の人口を組み合わせると67万3000人まで膨れあがった。ロナルド・レーガンに加えて、クリントンはアメリカ合衆国のギリシャ化に土台を整えた。
大銀行や金融会社によるギリシャの破壊は、アメリカの破壊のように、たとえば銀行家が主張する緊縮経済または合理的な支出や均衡予算を押しつけることが本質ではない。それは責任を取れるとかちゃんとした政府のことではない。それは階級戦争の不道徳な形態だ。それは大いに反民主的である。それは貧乏になって無力になる奴隷のような国と全権を有する法人寡頭制支配者の強欲なエリートを作り上げることが本質であり、人間の歴史において最も高度な防衛監視装置と、無責任に羽目をはずして武器を持たない市民に発砲する軍隊化した警察によって、支援される。Barbara Ehrenreichが書いたように、それが貧乏階級に押しつける法律と規則は「組織化されたサディズム」も同然だ。
企業収益は神とあがめられるもの。誰が損害を受けようと構わない。ギリシャでは子どもの40%が貧乏暮らしをする。失業率は25%あり、15歳から24歳の間の失業数がほぼ50%。そしてそれは悪くなるばかりだ。
きちんと組織化された人間の品行は世界市場の命令によって決定されるべきだと私たちに納得させた経済と政治の考え方は、(相手の信用につけこむ)信用詐欺だった。私たちはカモだった。トリクルダウン理論による経済学と自由市場から約束された繁栄は、代わりとして、少数の選ばれた人の中に富を集中し、ありったけの民主主義のなごりに加えて労働者階級と中産階級を破壊した。共通の利益と統治される者の同意を無視する腐敗した政府は、この略奪をけしかけた。化石燃料産業は生態系を破壊することを認可されヒトの生存能力を脅かす、おまけに贅沢な政府助成金を渡される。このどれもが道理に適わない。
この組織的な方法を維持する官僚は、危機の時に理性的に責任を果たすことができない。彼らは搾取の組織的な方法を機能させるだけのために鍛えられる。彼らは飽くなき強欲とインフレを抑制することや公的資産を民営化することや貿易の障壁を取り除くことが唯一の経済優先事項だと据えるネオリベラルの考え方によって判断力を失わされる。彼らは私たちを崖の高所に導いている。
これらの全世界の投機家が活力を剥奪されるまで、私たちはまともな経済に戻らないし、民主主義もまた回復しない。これは、ただヨーロッパやアメリカの主要都市の通りが大規模抗議で身を震わせる場合にのみ起こる。これらの金融エリートの横暴な行為は限界を知らない。私たちが降参するかまたは反乱を起こすまで、彼らは絶えず大きな苦しみと抑制を押しつける。私はむしろ後者(反乱を起こすほう)を選ぶ。だが、私たちに長い時間はない。
http://www.truthdig.com/report/item/we_are_all_greeks_now_20150712
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