見つけた 犬としあわせ

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2016/10/31

いまどきの子 ミレニアル世代

◇トランプ大統領をミレニアルのせいにする

恐怖を覚えさせるたくさんの若い有権者とサンダース支持者は、これまでは歯を食いしばって耐え、クリントンに投票することに気が進まないようだ。物事がどれだけいっそう悪くなってしまうか、彼らはつらい思いをして学ぶことになるかもしれない。

the daily beast 16 September 2016 by James Kirchick

われらが社会史において最も嫌悪を抱かせて、不人気な、鬼のような大統領候補、ドナルド・トランプは、どちらかと言えば、リベラルによってラボでこしらえられたほうがよかった。

では、一体どうして、ヒラリー・クリントンはやっと彼に勝っている状態なのか?

確かに、恐ろしいほどの情況について相当量の非難はクリントン自身の罪である。彼女は実に不快な候補者で、ぎこちない演説者、そして好意的に言っても倫理的に正当性を疑われる。

だが、彼女にはまた彼女にとって有利な非常に重要なものがある。

彼女は選挙でドナルド・トランプに対抗している。

言うまでもなく、トランプはアメリカの大政党の指名を獲得することで、ますますはっきりと最も不適任な大統領候補だ。彼は人種差別主義者である。彼は最低の権威主義者である。彼は自由世界にとって危険な人物である。

「今日も人種隔離を!明日も人種隔離を!永遠に人種隔離を!」とアラバマ州知事就任演説で叫んで支持者から大歓声を浴びたジョージ・ウォレスの人種分裂に、ヘンリー・ウォレスの親ロシア賛成を併用する候補者に対抗しているにもかかわらず、ヒラリー・クリントンは全米のどの世論調査でもかろうじて48%をブレークできるばかりだ。

リバータリアンのゲイリー・ジョンソンと緑の党の党首ジル・スタインへの支持を表明する有権者の取るに足りないどころでない数のおかげで、彼女は事実上の4者の選挙戦より一対一の直接対決でかなりうまくいく。この少数派の候補者への支持は、非常に重要な人口統計的特性、私の人口統計的特性、ミレニアル世代の間で最も表明される。18歳から29歳までの有権者の26%がジョンソンに投票すると言い、10%がスタインを支持する。

トランプ大統領の地位を危うくしたいミレニアル世代のやる気をどう読むか?もし紛れもない嫌悪でなかったら、その多くはクリントンや彼女が象徴するすべての方を向いているシニシズムに由来する。見込みのあるすべての有権者の65%と比較して、18歳から34歳の有権者の77%がクリントンは信頼できないと痛切に感じる。また民主党予備選でバーニー・サンダースを支持した人々からのいつまでも残るかなりのいやみもある。エコノミスト誌・YouGov世論調査によると、そのわずか52%が党の指名候補者を支持することを考慮に入れるのみである(サンダースは圧倒的にミレニアル世代をひきつけた、そして有権者に片手でしぶしぶながら受け入れてもう一方の手でクリントンに協力するようになんとか説得するため、土曜日はオハイオにいる)。

クリントンがサンダース支持者を獲得できないのはクリントンを「戦争屋」とみなす左翼・反帝国主義から由来するのではないかと私は思った。

だが、ミレニアル世代のクリントン反対やトランプ大統領の地位の見込みに向かって伴う軽率さについて、何かもっと不可解でもっと隠されたものがある。倫理的な相対主義と歴史の無知、そしてナルシシズムのごちゃ混ぜと最もよく説明される。対照的にベビーブーム世代は第二次世界大戦のアメリカのヒロイズム(英雄的行為)のおはなしを親から聞いて成長し、毎日、国際的な共産主義の略奪行為について勉強した。彼らの形成期の年月を通して、アメリカ合衆国は拡張主義者のソビエト帝国に対抗する冷戦の苦闘に閉じ込められる。そして世界は核のホロコーストの脅威下で生きた。ベトナム反戦運動はアメリカの全世界にわたる役割について懐疑論の発生源となったかもしれないが、世界で自由を守るのにアメリカの力が必要だったとの概念は大多数の人に存続する。

対照的に、ミレニアル世代は世界とその危険性について気づかないで幸せに若い頃を過ごした。もちろん、それは911で変わった。だが、他の年齢層とは異なり、私たちの半数以上がアメリカの行動がこの攻撃を引き起こしたかもしれないと思う。「もっと年のいった人たちは“われわれは偉大な国民だ、われわれはこの狂った人たちに攻撃された、そしてわれわれは今ではもうそれに対処していて、用心深くないといけない”と考える」とミレニアル世代と外交政策の研究論文の共著者Trevor Thrallは昨年ヴォイスオブアメリカに語った。「ミレニアル世代は、その大多数がアメリカは911を引き起こすために何かしたにちがいないと考える唯一の世代です。」ミレニアル世代は「世界を年上の人たちよりかなり脅威が少ないと考える」「国際協力について以前の世代よりもっと支援する」そして「また軍隊の行使には決して支援するとは言えない」とTrevor Thrallの研究論文は締めくくる。ミレニアル世代はトランプのような例外的状況について強く懐疑的でもある。ベビーブーマー世代の64%と比較して、ミレニアル世代の32%がかろうじてアメリカは他の国々より優れていると思うことが2011年のPew 世論調査でわかる。

だが、トランプ勝利の可能性に対するミレニアル世代の無関心の主な理由は歴史に疎いことではないかと私は思う。

ミレニアル世代、特にアメリカのミレニアル世代には、あまりにも若すぎて冷戦のどんな記憶もない、ファシストがヨーロッパを統治し、その結果、数百万の人々が死んだ第二次世界大戦は別にどうでもいい。トランプの過去のファシスト運動の模倣(なごり)には私たちに反響を呼び起こす性質がない。

私がこれまで読んだ最も気がかりな世論調査の結果は、1980年代生まれのアメリカ人のかろうじて31%が、「民主的に統治される国に住むことが最も重要(不可欠)」という、最近のWorld Values Surveyの調査結果だ。ヨーロッパでこれに匹敵する数字は約44%だ、ヨーロッパでの全体主義の記憶は、物理的そして時間的の両方でもっと間近で肉薄している。私たちアメリカのミレニアル世代は自由と繁栄をもちろんのことと思っている。

私たちの三分の二以上が民主的でない社会に暮らしてもかまわないと簡潔に言うほど私の世代には権威主義や反自由主義の経験がほとんどない。私たちには歴史上の評価基準がないので、トランプを見るとき、発生期の独裁者ではなくて、愚かなリアリティ番組のTVスターについてしか考えない。

もしもトランプが勝利したとすれば、私たちはそうなって当然の報いを受けることになる。

http://www.thedailybeast.com/articles/2016/09/16/if-america-elects-a-president-donald-j-trump-blame-millennials.html
ミレニアル世代:新千年紀世代、ミレニアルズ、エコブーマーともいう。
主にアメリカで1980年代から2000年代初頭に生まれた10代、20代の若者の総称。Y世代やデジタルネイティブと呼ばれる世代と重なる。
インターネットが普及した環境で育った最初の世代で、情報リテラシー(情報を十分に使いこなせる能力)にすぐれ、フェイスブックやツイッターなどのSNSに積極的に参加している。
ミレニアル世代は、自己中心的であるが、共同体への帰属意識が強く、社会奉仕やボランティアに積極的。
97%が自分のパソコンを、94%が携帯電話を、56%がiPodなどのMP3プレイヤーを持っているという調査結果もある。