見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2020/03/31

安倍晋三はフーディーニ


3月9日、トランプ大統領は下記のようにツイートした。
「昨年よくある風邪で3万7000人のアメリカ人が死亡した。1年につき平均2万7000人~7万人だ。なにも閉鎖されないし人生や経済は続く。この時点で死者22人に加えコロナウイルスの確定患者は546人だ。これを考慮してくれよ!」

9000人以上が感染、死者数145人にまで増えた18日、トランプ大統領は記者会見で、「これは戦争だ」「わたしは自分のことを戦時下の大統領とみなしている」と述べた。そして重要な医療用品の増産を民間企業に求めることができる朝鮮戦争下の1950年に成立した「国防生産法」を復活させる。ただし、会見後に「将来、最悪のシナリオに陥ったときのみ発動させる方針だ」とツイートした。 
◇日本の政治上のフーディーニ、安倍晋三はコロナウイルスの反発をまぬがれることができない
(フーディーニ:“脱出王”の異名を持つアメリカのマジシャン)

日本の首相は数週間人目に付かないよう心がけた後、より露骨な行動をとったが、記録的な長期在任期間の最大な危機を悪化させただけだった。

NYTimes March 6, 2020

コロナウイルスが日本の健康状態と経済を脅かしている時、ほぼ1カ月のあいだ、安倍晋三首相はほとんど見えなかった。

クルーズ船の問題を抱えた隔離期間が乗船中の何百もの感染症と陸でのさらなる症例のリスクにつながった時、安倍氏ではなく厚生労働省が政府の不適切さ、愚かさの顔になった。この当局者たちはまた、近隣諸国が1万人まで検査しているにもかかわらず政府のウイルス検査が一日約900人の患者で止まっている理由を説明することも任されてきた。

先週、怒り困惑した国民からの反発がついにもっと最前線の役割を担うことを安倍氏に余儀なくさせたが、日本の首相のなかで最長任期7年以上の在職で最大の政治危機を深めることに成功したにすぎなかった。

一部の世論調査では安倍氏の支持率は30%後半まで急落した。先週末、「まだ質問があります」と対応を求めて声を上げる日本のジャーナリストを置き去りにする事前に準備された記者からの質問で書いた原稿を読み上げる世間の関心を呼ぶ事柄、危機に関する安倍の最初の記者会見後、ツイッターには彼の辞任を要求する何百万もの投稿が殺到した。2日前、何週間も無活動の後に彼は国内の学校に一カ月の閉鎖を求めて両親に不意打ちをくらわせた。  

その間、ふるい分けが制限されたままであるにもかかわらず、ウイルスの患者は増え続け、かなりの感染がほとんど検出されないことになるとの多くの気づかいを置き去りにする。

かつて厚生大臣として安倍氏に仕え、国内で数十人の死者を出した2009年の豚インフルエンザ流行病に対する日本の戦いを指揮した舛添要一は、急激な発生への政府の対応は「安倍さんがあまりにも長く政権を握っていた」ために「非常に惨憺たる」ものだったと述べた。

安倍氏の政権への首の締めつけは官僚間の異議を抑えつけ、情報をため込む政府の傾向を激化させ官僚をひとりよがりにしたと桝添氏は言った。「ウイルスとの戦いで開放性、率直さは非常に重要」だと彼は述べた。「すべての大臣が安倍さんの管理下にある。大臣は彼に逆らう言葉を言えない。」

再選キャンペーンに直面する時、政府の最初の反応に対する批判をなんとか避けようとしているトランプ大統領を含めて、多くの世界の指導者にコロナウイルスは容易ならない試金石をもたらす。

とはいってもウイルスに対する政府の受け止め方を妨げるように思われるまさしく現実の勢力の地固めはどんなに国民が安倍に対する熱意を失っても、結局しっかりと彼を同じ場所のままにしておくかもしれない。日本の野党はだらしなく分裂し、報道機関はますますもって守勢になり現職の首相に取って代わる選択肢はないという広くはびこった感情を国内に留める。

「彼のように政府を支配する人は全くだれもいない」と東京の多摩大学統治戦略センター(Center for Rule-Making Strategies)の日本政治専門家であるブラッド・グロッサーマンは述べた。

「この時点で野党には信頼できる取って代わる人物がいないので、日本人は悪徳の権化とわかっている悪魔に忠実に支援を続けている」とグロッサーマンは付け加えた。そしてこの難局が、「民主主義はまったく機能していないという思い」を引き起こしたことに注目した。

コロナウイルスは単に公衆衛生のみならず安倍のレガシー計画という大きな側面も危険にさらしている。彼が沈滞しているほぼ20年から引き出した日本経済は不況の瀬戸際にある。中国の国家主席、習近平は10年以上ぶりとなる共産党最高指導者による初の訪日を延期した。そして東京での夏季オリンピックを中止または延期する話が日ごとに増している。それはいきなりの失意だ。これまで65歳の安倍氏は「魔法で守られたうれしさいっぱいの人生を送ってきた」とテンプル大学日本の政治学助教授Michael Cucekは述べた。

日本の他のほとんどの政治家を一掃していたはずのこれまでの幾つかの政治スキャンダルを安倍氏は逃れた。日本では有権者にじゃがいもを送るような見たところ取るに足らない不正でも結果として辞任に帰することがある。

過去1年だけでも閣僚2人が辞任(菅原経済産業相と河井法相)、安倍政権は公的資金の不適当な割りあてに関連する記録を破棄したとして非難されており、少なくとも彼の党の代議士2名(カジノを含む統合型リゾート、IR事業担当副大臣だった秋本衆議院議員は収賄容疑で逮捕)がカジノ算入を目指す中国企業から賄賂で買収されたことに関連づけられた、そして妻が選挙資金法に違反したとの申し立てに対して検察官が親しい政治的盟友(河井法相)の事務所を急襲した。

その間ずっと、国民は顔色一つ変えずにびくともしなかった。2006年の最初の首相就任からわずか1年で第一次安倍内閣は終わり、2012年に首相に再び選出されて第二次安倍内閣を発足させる。安倍氏は長い間、日本の有権者の中の手助けを享受してきた。

彼は7年間首相に在任した、そして彼が大きく跳躍しているように見せる昇進時、福島大災害に対する政府の対応が不手際とみなされたちょうど1年後には何人かの有害な選択肢のなかで最も好ましいとあまねく考えられた。

しかしながら、彼のコロナウイルスの手際は在職7年以上にわたって築いた評判の宝庫をどんどん消耗させた。

彼の過去のスキャンダルとは異なり、ウイルス対策は「すべての人々の健康に影響を与えます」と早稲田大学教授で元衆議院議員(元アメリカ合衆国連邦議会上院予算委員会補佐官)の中林美恵子は語る。「それは各個人につながりがある重要なものです。」

「彼が分別のある大人か強い指導者であるかどうかにかかわらず、この種の間違いは人々に彼の優先権を疑わせます」と彼女は付け加えた。

まさに日本が観光客が殺到するものとあてにした隣国中国でのコロナウイルスの患者の爆発的急増に対する政府の対応が遅いように思えた1月に問題は始まった。

政府がダイヤモンドプリンセス号の隔離をへたに処置した2月上旬に状況は急速に悪化、そして港湾都市横浜で2週間の隔離期間を待っていた3700人以上の乗員乗客の間にウイルスを次々に循環させる。

陸では、政府はコロナウイルスの検査の需要の高まりに追いつくことができないように見えた。地域の他の国々がすぐに診断上の能力を増やしたのに、日本は検査を実施するために苦闘している。

にもかかわらず、問題が山積みになっても安倍氏は無関心に思えた。彼はコロナ対策の戦略会議に短時間(10分かそこら)出席しただけで夜は友人や閣僚を得て食事をして過ごした、政府が国民一般の集まりを避けるように呼びかけている間も彼はパーティに現れた。

一週間前にあからさまな自己満足で彼が全国の学校を休校にするように命じる決定をしたことはまったくひどいように思われる。日本の政治家と両親はその科学的根拠に疑問を思い、彼らがどれほど仕事と子どもたちの世話の両方を求められるかわかってくれるよう迫った。

安倍氏はまたウイルスに対処するために緊急事態の権限を彼に認める法律をせきたてることでかなりの人の懸念を招きもした。

しかしながら、自民党内で彼に反対論をぶっても安全だと感じる人はほとんどいないと、ニューヨーク大学の政治学助教授Amy Catalinacは言った。

「安倍は異常な程度まで党内で彼の批判を起こしにくくした」と彼女は述べて「彼の支持率の低下がどこまで進めば自民党が彼を棄てることになるのかそれだってわたしにはわかりません」と付け加えた。

安倍氏が自分の政治上の将来を斟酌するとき、これは重大な問題だ。

与党自民党の党首として現任期終了後、どうするつもりか彼は沈黙を守っている、任期は2021年9月まで続く。彼が前例のない強烈な4期目をなんとか説き伏せようとする可能性があるとの憶測があり、首相としてもう3年彼の任期を延長する可能性がある。

問題は次に何が起こるかだと、コロンビア大学の政治学名誉教授Gerald L. Curtisは言った。

「野党はこの状況を利用するにはあまりに絶望的な状態にある、そして安倍の後を継ぎたいと考えている与党の指導者の誰もこの前例のない危機の最中に政権を握りたがらない」と彼は述べた。

確実なことを彼は付け加えた。安倍氏の後を継ぐ者は「懐疑的で信用しない国民に直面するだろう」と。