見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2020/06/15

13th -憲法修正第13条-


◇黒人差別の解説動画 NHKに米国研究の学者らが検証求める要望書
毎日新聞 2020年6月12日

NHKの国際ニュース番組「これでわかった!世界のいま」の公式ツイッターに掲載された動画について日米の米国研究者が12日、「看過できない内容が含まれている」として、問題認識や経緯、再発防止策を明らかにするよう求める要望書をNHKに送付した。

要望書は全5ページ。坂下史子・立命館大教授や藤永康政・日本女子大教授ら日米の大学に所属する研究者13人が呼びかけ人となり、NHKの会長、国際部部長、報道局長宛てに送付した。今後、日米で賛同者を募るという。

要望書が問題としたのは、白人警官による黒人男性暴行死事件への米国の抗議デモについてNHKが解説した6月7日の放送内容と公式ツイッターの発信内容。番組はデモの背景を解説するアニメ動画を放映し、ツイッターにも同じ動画を投稿していた。


◇黒人を描いたNHKのアニメ動画はなぜ差別的で「許されない」表現なのか
ハフィントンポスト紙 2020年6月11日   
by 生田綾(HUFFPOST日本版ニュースエディター)

抗議デモの背景を伝えず、「怒る黒人」という偏見を助長させるとして批判が殺到した。

「首を押さえつけられ、死に至った黒人男性を自分の息子、父親、もしくは兄弟と重ねて見ることができないのであれば、なぜBlack Lives Matterが起きているのか説明する動画は作るべきではありません。」

NHKのニュース番組「これでわかった!世界のいま」が公式Twitterアカウントに投稿したアニメーション動画について、アフリカ系アメリカ人の作家バイエ・マクニールさん(@BayeMcneil)はそう語る。

動画をめぐっては、黒人を差別的に描き、アメリカの人種差別に触れずに抗議デモの背景を説明しているとして批判が殺到した。 NHKは「配慮が欠け、不快な思いをされた方にお詫びいたします」と謝罪したが、マクニールさんは「ただ謝罪をしただけで、問題の本質には向き合っていないと感じた」と指摘する。動画が浮き彫りにした問題とは何なのか。

どんな動画で、何が問題だったのか

問題のアニメ動画はNHKが毎週日曜日に放送している番組「これでわかった!世界のいま」の公式Twitterが6月7日に投稿した。

白いタンクトップを着た筋肉質の黒人男性や、怒りをあらわにする黒人の人々が登場し、「黒人の怒りが噴き出していること」について、「背景には黒人と白人の貧富の格差がある」と説明する内容だ。

動画には、主に以下の2つの点で批判が巻き起こった。

①抗議デモの背景には、奴隷制度時代から続く白人優越主義や、白人による黒人への暴力の問題があるにも関わらず、「経済的な格差」という側面のみに焦点を当てている

②「怒れる黒人」という偏見を助長するような描き方など、黒人をステレオタイプ的かつ差別的に描いている

“『攻撃的な黒人』という偏見を助長させる”

NHKが9日に発表した声明によると、動画は同日放送の「拡大する抗議デモアメリカでいま何が」の中で放映したもので、番組内では、全米で広がる「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ、黒人の命を守れ)」抗議デモの発端であるジョージ・フロイドさんの事件などを説明したという。

しかし、Twitterに投稿された動画では、「#抗議デモ」というハッシュタグをつけているにも関わらず、事件に一切触れず、経済的な問題が抗議の原因となっていると説明していた。

ニューヨークのブルックリンに生まれ育ち、2004年に来日したアフリカ系アメリカ人のマクニールさんは、「最も重要な問題を不正確に表現している」と指摘する。

「白人至上主義と白人による暴力の犠牲者としてではなく、その対照的なイメージである、『怒っていて、攻撃的で、恐ろしい黒人』という偏見を助長させる描き方をしています。」

動画では、抗議活動を行う黒人男性が火を持ったり、店のガラスが破壊された写真を黒人女性が持ったりしているシーンもあった。こうした描写は、抗議をする「黒人が暴徒化している」というイメージを助長したり、強調させかねない。

今回のデモには、黒人だけではなく、白人なども参加している。

一部の抗議者による破壊行為や略奪など起きているが、警察が平和的なデモ参加者に催涙ガスやゴム弾を発射したり、殴打したりする暴力行為を駆使していることも大きな問題となっている。

“黒人に対して誤った偏見があると、問題を見誤ってしまう”

NHKは批判を受け、問題の動画を削除した。声明では、以下のように謝罪している。

視聴者からこのアニメーションについて、問題の実態を正確に表していないなどというご批判をいただき、掲載を取りやめました。掲載にあたっての配慮が欠け、不快な思いをされた方にお詫びいたします。

NHKでは、人権を尊重し、取材や制作のあらゆる過程で細心の注意を払うよう取り組んでまいります。

しかし、マクニールさんは、「謝罪をしただけで、問題の本質には向き合っていないと感じた」と語る。

「配慮が欠け、不快な思いをされた方にお詫びいたします」という定型的な言葉だけではなく、動画が問題視された理由や背景などを明確にし、説明すべきだという。

「番組の制作者はこの問題を伝えようとしていたと思うのですが、それを伝える時にも、偏見や差別に基づいている場合があります。白人至上主義が問題の根底にあり、原因は『黒人の怒り』ではありません。黒人の怒りは白人至上主義に対する反応であり、それは適切なものです。黒人に対して誤った偏見があると、そこを見誤ってしまいます」

同じアカウントに投稿された別のツイートでは、「白人警察官には黒人に対する漠然とした恐怖心があって、今回の抗議デモの発端となったような事件がなくならないとも言われているんだヨーソロー」とも説明。偏見や差別を助長するとの批判が相次いでいる。

今回のBlack Lives Matter抗議デモは、日本でも広く報道されている。SNSでも日本に住む多くの人がブラック・コミュニティーに連帯を示し、日本国内でもデモが開かれている。

「Black Lives Matterについて報道したり伝えたりするときは、黒人の命を、あなたのパートナーや子どもなど、大切な人と同じように考えてほしい」とマクニールさんは訴える。

「首を押さえつけられ、死に至った黒人男性を、自分の息子、父親、もしくは兄弟と重ねて見ることができないのであれば、Black Lives Matterについて説明する動画は作るべきではありません。関わるべきではないのです。それは、黒人の命をその他の人間の命とは別だと考え、『黒人の命も同等に大切である』ということを軽視することになるからです。」



◇NHKの黒人の描き方がまるで話にならない訳
人種描写がステレオタイプ以前の問題
東洋経済オンライン 2020年6月13日
by LA在住の映画ジャーナリスト猿渡由紀

「問題の動画」はどういう内容だったか

第1にダメなのは、これが世界のニュースを解説するために作られているにもかかわらず、最低限語らなければいけない部分を語っていないことだ。そもそも、この抗議デモが起きた原因がまったく的外れである。

動画は、「俺たちが怒るその背景には、俺たち黒人と白人の貧富の格差があるんだ!」というセリフで始まる。そこにはご丁寧に「黒人と白人の貧富の格差」というテロップも出ている。

次に、そこへ来て新型コロナの流行があり、黒人がその影響を大きく受けたと説明される。そして「こんな怒りがあちこちで吹き出したんだ」と黒人男性が語る。1分20秒の動画はそれでおしまいだ。

もちろん、これらの要素は今回のことと関係はある。しかし、抗議デモの発端となったのは、ミネアポリスでジョージ・フロイドという名の黒人男性が白人警察によって殺された事件である。

フロイド氏は警察に対してまったく抵抗していないにもかかわらず、日中、周囲の一般人やセキュリティビデオが見守る中で無残にも殺されてしまったのだ。しかも、警察は当初、これらの警官を起訴することに躊躇を見せた。それもまた人々の不満を募らせたのである。

今回のように罪のない黒人が殺害される事件は過去にも数多くあった。1992年のLA暴動の発端となったロドニー・キング事件もそのひとつ。当時、キング氏に暴力をふるった警官は無罪となっている。映画『フルートベール駅で』でも描かれた2008年大晦日から新年にかけての夜、オークランドでオスカー・グラント氏が殺された事件でも同様だ。

殺害まではいかなくとも無実の黒人が根拠なく容疑をかけられることはしょっちゅうある。そのせいで黒人の多くはたとえ何も悪いことをしていなくても、警察による暴力を恐れている。

つまり、今回の暴動はフロイド氏の件だけについて起こったものではない。警察が持つ人種偏見と黒人の命を尊重しない態度について「もうたくさん!堪忍袋の尾が切れた!」という思いによって起きたのである。

だから、この動画の中に「警察の暴力」という言葉が出てこないのは、NHKが事件のことをまったく把握していない証拠だ。

立て続けに起きる「黒人差別」

フロイド氏の事件の直前、ほかの人種差別事件がふたつ起こったことにも触れておきたい。ひとつは、ジョージア州でジョギング中の黒人男性アマド・オーブリー氏が射殺された事件。これは2月に起きた事件だが、先月になって白人によるヘイトクライムだったことがわかっている。

二つ目は、ニューヨークのセントラルパークで犬の散歩をしていた白人女性に黒人男性が「ルールどおりに犬は鎖に繋いでください」と注意したところ、白人女性が警察に電話をしたという事件。この一部始終はビデオ録画されており、白人女性は世間から大バッシングを受けたうえ、仕事もクビになった。

だから、このデモは何をおいてもまず「黒人差別」についてのものなのだ。昔からある差別は、収入面や教育面、健康保険などの面でも格差を生み出し、それが新型コロナの感染率や失業率にもつながっている。

まずはこの動画に肝心の部分が抜けていることを指摘したが、次に、なぜNHKの動画が差別を助長するのかに触れたい。

ひとつは、動画のバックグラウンドにある略奪、暴動と思しき描写だ。抗議デモが始まってすぐの頃、ショップやレストランで略奪や放火といった犯罪行為が起きたのは事実である。筆者の近所もひどい被害に遭った。しかし、抗議デモに参加する人の大多数は略奪を行わず、平和的な抗議デモを行っている。一方で略奪を行う人々は、警察が手薄になるチャンスを狙ってやっているだけの便乗犯であり、抗議デモに参加はしていない。

ニューヨークのクオモ州知事にしろ、LAのガーセッティ市長にしろ、そこをしつこいほど強調している。これをごっちゃにしてしまうと平等を主張する人たちが悪者になってしまうからだ。トランプの場合、恣意的にデモの参加者と便乗犯を混同しているが、NHKの動画は無意識のうちにそれをやっている。

NHKの「ステレオタイプ」な人種描写

そしてもうひとつは、言うまでもなく、ステレオタイプな人種描写だ。これはいつだって絶対にやってはいけないこと。それをわざわざ人種のステレオタイプを崩そうというこの時期にやるとは、無神経、無知にもほどがある。

しかも、なんと日本の公共放送であるNHKがやったというのだから、理解の範囲を超える。このアニメを制作するだけの時間があったのなら、何が正しいのか、知識のある人に聞くくらいの暇はあったのではないか。

そもそもアニメにする必要はなかったのだ。いや、アニメでやってはいけなかった。すでに山のようにあるはずのニュース映像を使ってやればいい。映像ならば嘘をつかないし、不必要な誇張はしなくてすむ。

最後にもうひとつ、今回の件について、アジア人である私たちの立ち位置を意識しておこうと提案したい。私たちに必要なのは、黒人の話を聞き、黒人を支持することだ。

もちろん、人種差別は黒人だけに対してではない。アジア人も、コロナでずいぶん差別を受けた。だが、それはそれ。今は「Black Lives Matter」を語るときである。日本のメディアもとくに慎重な態度と配慮をもって、この問題に挑んでほしいと思う。


まともな報道がないなか、わたしたち日本人が黒人差別の歴史や現実を理解するのを助ける映画を Netflixがまとめて紹介してくれています!

◇黒人男性のジョージ・フロイドさんが警官に首を押さえつけられ死亡した事件を受け、黒人差別や警官の暴力に対する抗議デモが世界に広がっている。
黒人差別はアメリカで奴隷制度が始まった400年以上前から続く、非常に根深い問題だ。この問題について知ることができるドキュメンタリーやフィクション作品を紹介する。

黒人が「逮捕されやすい」のはなぜか? Netflixのおすすめ作品 

動画配信サービスのNetflixは、事件を受け、アメリカの黒人差別問題を取り上げた作品を集めた特設ページを公開した。40以上の映画、ドキュメンタリー、テレビドラマなどの作品がラインナップされている。

その中でも注目が集まっているのが、ドキュメンタリー映画『13th -憲法修正第13条-』と、ドラマシリーズの『ボクらを見る目』だ。

『13th -憲法修正第13条-』(第89回アカデミー長編ドキュメンタリー賞にノミネート)
現代のアメリカの社会問題にアフリカ系アメリカ人の大量投獄がある。公式に奴隷制を廃止し、奴隷制禁止の継続と自発的でない隷属を禁じたのが修正第13条だが、これには例外があり、犯罪者は除かれる。「アメリカの人口は世界全体の5%にすぎないにも関わらず、アメリカ人受刑者は世界全体の受刑者数の25%を占めている。」(冒頭のオバマの発言)奴隷制度が現在も形を変えて残っているとの指摘。黒人が犯罪者として逮捕されやすい事実を学者、活動家、政治家が分析する。冤罪の死刑囚たちのために奮闘する実在の弁護士ブライアン・スティーブンソンさんも登場する。
事件を受け、「システミック・レイシズム(制度的な人種差別)」という言葉に注目が集まっているが、同作はアメリカ社会のあらゆる場面でいかに黒人が不公平に扱われているか、その構造的な問題を明るみにする作品だ。

『ボクらを見る目』
1989年4月にセントラルパークでジョキング中の女性が暴行され、瀕死の重症を負った実在の事件をもとにした作品だ。
BBCによると、当時14~16才の黒人とラティーノの少年5人が自白を強要され、冤罪で起訴。全員が有罪となり、およそ6~13年の刑期に服することが決まった。のちにこの事件の真犯人が自供したことから有罪判決が覆され、ニューヨーク市との裁判の末、2014年に賠償金が支払われた。
この「セントラルパーク・ジョガー事件」の際、大統領就任前のドナルド・トランプは8万5000ドルを出してニューヨークの4つの主要新聞の広告枠を買い、「死刑制度の復活」を訴えた。BBCによると、有罪判決が覆されてから今に至るまでトランプ氏は謝罪していないという。

『フルートベール駅で』
2009年にカリフォルニア州オークランドで実際に起きた白人警官による黒人射殺事件を題材にした作品だ。
事件では、地下鉄駅構内で丸腰だったオスカー・グラントさんが白人警官に射殺され、オークランドで大規模な抗議デモが起きた。