見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2020/07/04

セバスチャン・サルガド


ヴィム・ヴェンダース監督によるドキュメンタリー映画、「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」は確か5年くらい前にヨコハマで観て、圧倒されました
◇フォトジャーナリスト、セバスチャン・サルガド

ブラジルの無謀なコロナウイルス感染症(COVID-19)対応が先住民の生存を脅かしている
デモクラシーナウ!MAY 26, 2020

ブラジルが24時間で800人以上の死者とほぼ40万人の確認された患者に遭遇するとき、その他の人々の2倍の確率で亡くなっているブラジルの先住民に対するCOVID-19の壊滅的な影響を顧みます。わたしたちは世界的に有名なフォトジャーナリスト、セバスチャン・サルガドと話します。彼は、パンデミックは「先住民がまさしく生き抜くために最大の脅威」であると警告するため、ウイルスを「ちょっとしたインフルエンザ」と呼んだ右派の大統領ボルソナロ(Jair Bolsonaro)に宛てて公開書簡を書きました。

エイミー・グッドマン(番組の司会者):こちらは Democracy Now!democracynow.org 隔離報道です。パンデミック震源地のひとつ、ニューヨークのエイミー・グッドマンです。もうひとりの司会者ホアン・ゴンザレスはニュージャージ州New Brunswickの自宅から加わります。ニュージャージは感染者数が2番目に多い州です。

さて、今日の番組はブラジルで始まります。ブラジルは40万人ちかくの患者が確認されて死者の数が約2万3500人とコロナウイルスが急速に広がっており、ブラジルの急激な発生をアメリカに次いで世界で2番目に激しいものにしています。5月25日、24時間で807人が死亡してブラジルの毎日の死者数が初めてアメリカを上回りました。本日午前0時直前にトランプ大統領はブラジルからアメリカへの旅行を停止しました。

これにもかかわらず、右派のボルソナロ大統領はウイルスの深刻さを簡単に片づけ続けています。彼は「ちょっとしたインフルエンザ」と呼んで知事や市長によって課されたロックダウン(都市封鎖)に反対しました。パンデミックの対応に関する意見の不一致からここ数週間でふたりの保健大臣が内閣を去りました。

ブラジルが世界で2番目のコロナウイルス感染症のホットスポットになっている時にボルソナロは大統領宮殿の外で反ロックダウンの抗議者に挨拶しました。彼はマスクをしていましたが支持者とうちとけた時にはマスクを外しました。

ボルソナロ大統領:準備はいいですか?ブラジルを本当に前進させたい人々、他の何よりも自由を望む人々、民主主義を求め、自由を求める人々の自発的なデモに加わるために、わたしたちはいまブラジリアにいます。

エイミー・グッドマン:コロナウイルスの蔓延がブラジルの全先住民を壊滅しているときにこうなります。ブラジルの先住民族連合によると、少なくとも先住民族の患者980人が確認されており125人が亡くなっています。ブラジル全土の死亡率6.4%と比較して12.6%の死亡率を指します。
ブラジルのアマゾン地域にあるマナウス市は1200人ちかくが亡くなってウイルスによって大きな打撃を受けています。先週、マナウスの市長が先住民のコミュニティがコロナウイルス感染症で死ぬのを意図的に可能ならしめたとボルソナロ政府を非難しました。 

ARTHUR VIRGÍLIO NETO市長:わたしは計画的な大量虐殺を危ぶみます、そしてこれを全世界に訴えたいです。先住民族の命なんて構わない政府がここにあります。わたしの州、わたしの地域で行われている人道に反する犯罪です。

エイミー・グッドマン:さらに、わたしたちはフランスのパリに向かいます。そこで、世界的に有名なブラジルのフォトジャーナリスト、セバスチャン・サルガドが加わります。彼はまたブラジル政府がコロナウイルスの大発生から先住民族を保護する手段を講じなければアマゾンの先住民族は大量虐殺に直面すると警告しています。今月初めにセバスチャン・サルガドがボルソナロ大統領に宛てて公開書簡を書き送りました。その請願書には30万人ちかくの署名が集まっています。セバスチャン・サルガドはアマゾンとアマゾンの人々を記録するためにほぼ40年を費やしてきました。

セバスチャン、あなたをこの番組Democracy Now!に迎えることは光栄です!参加してくれたことにとても感謝します。いまあなたの母国ブラジルで起こっていることをどう見ているか話してもらえますか?

セバスチャン・サルガド:そうですね、ブラジルはいま非常に困難な時期を送っています。ボルソナロ大統領によって握られる中央政権があり、それは世界中のすべての国がコロナウイルスに取り組んで行動するという正常な常態での機能を果たしていません。また、人々の面倒を見て人々を隔離させている州知事、大都市の市長がいます。そしてボルソナロ氏は逆のやり方でやり通しています。それが国の驚くべき不安定化を引き起こしています。

わたしは先住民のコミュニティ、特にアマゾンにとても関心を持っています。わたしはアマゾンで7年費やした緊密な結びつきの仕事を終えたところです。そしてこの先住民には森林から出てくる病気に対する免疫学的な庇護がありません。政府はこのことをわかっています。誰もがわかっています。わたしたちは気づかっていません。わたしたちはこの先住民を守ることを引き受けなければなりません。正反対は本当の(特定の民族をねらった計画的な)大量虐殺になります。

ホアン・ゴンザレス:セバスチャン・サルガド、あなたはウイルスは地球の環境破壊の産物だと考えると過去に言っています。それについて詳しく説明してもらえますか?

セバスチャン・サルガド:そうですね、ご承知の通り、わたしたちはこの惑星の生態系を保護するものすべての運命を破壊しています。そして保護された環境の中にとどまることができる病気をわたしたちは環境の外に大量に出しています。それはわたしたちがなかなか生きにくい時です。おそらく今、地球のすべて、世界中で起こっていることは環境についてわたしたちにもっと注意を払う気にさせ、わたしたちが有しているもの、汚されていないもとのものを保護する気にさせます、そして地球といっしょに平和に暮らせるためにわたしたちがどのように生態系を再構築できるかよく考えることが世界中で起こっていることです。

エイミー・グッドマン:次にトレス・ウニドス(Tres Unidos)の酋長(族長)に話を向けたいと思います。それはもちろんあなたがよくご存じのブラジルのアマゾンの熱帯雨林にある先住民の村です、外部からのすべての訪問者を封鎖したにもかかわらず、村の人々がコロナウイルスに感染しました。村の106人の住民のうち少なくとも16人がコロナウイルス感染症の検査で陽性でした。ウイルスはおそらく5時間離れたマナウスからリオネグロ川をのぼってきたようです。村の酋長のWaldemir da Silvaです。

CHIEF WALDEMIR DA SILVA: このウイルスは安全そうで危険が潜む。まるで風で運ばれたかのように静かにやってきた。わたしたちは気分が悪くなりだして、ひどい風邪をひいたと思った、でも地元で作った薬を服用し抗生物質や抗炎症薬を飲んだ後でも人々は悪化した。わたしたちはどうにか慎重にうまく病気を治療した。

エイミー・グッドマン:セバスチャン・サルガド、先住民の人々が現在どのように対処しているか、また政府が彼らをどのように扱っているかについてお話し願えますか?つまり、市長が大統領をまぬけと呼ぶ中で、あなたにはマナウスで起こっているこの戦いがあるということです。

セバスチャン・サルガド:ご承知のとおり、ブラジルが発見された時アマゾンの人口、つまりブラジルのアマゾン生態系に約500万人が住んでいたのを今は科学者たちが計算できます。外部から病気がやってきて多くのインディアンが姿を消しました。今日、アマゾンに住んでいるのは30万人強のインディアンにすぎません。

その多くがマナウス、バルセロス、サンガブリエルなどの都市に肉薄しています。これらのインディアンは長い間互いに接触しています。彼らはむしろ世界、人間の世界に順応しています。でも、ブラジルの部族の非常に大きな一部はまったく隔離された点在するインディアンです。あなたが思い描くのはもっぱら一度も接触したことのない100強のグループを有するブラジルのアマゾン族です。彼らは完ぺきに孤立したインディアンです。そしてアマゾン川流域の内側にやってくる病気は彼らに打撃を加えることができます。

ご承知のとおり、今起こっていることは、ボルソナロ氏が生態系を保護するためのフィルターをすべて無断で利用し、制度をすべて排除してアマゾンの生態系を保護している制度を弱体化させているという危険状態です。そして彼はインディアン民族財団の予算のほとんどを手に入れました。するとどうなりますか?しばらくするとインディアン保護領のアマゾン川流域の保護された世界が来襲する丸太を積み込む機械、金鉱堀り、宗教団体によって侵略され始めたのです。現在、わたしたちがこうして話している瞬間にアマゾン川流域のヤノマミ保護領だけで2万2000人以上の金鉱堀りが保護領に押し寄せて侵略しています。そしてこの人たちが内部に病気を運んでいます。

わたしたちがこの手紙でブラジルの大統領に依頼するのはこれらの侵略者を止めること、外へ出るよう言って通過を妨げるもの、衛生上のバリアを考案することです。彼らにはこの病気からみずから身を守る免疫抗体がないのです。

ホアン・ゴンザレス:要するに科学をあざ笑い、自身の健康、公衆衛生、役人に注意を払わない、ボルソナロのような大統領がいるということはどういう結果を生みますか?トランプ大統領を有するアメリカで起きている幾つかのばかげたことと非常によく似ていますが、もっと悪い。アマゾンや先住民だけでなくすべてのブラジル人にとってそれはどういう結果を生みますか?

セバスチャン・サルガド:ご承知のとおり、ボルソナロ大統領の大きな問題は彼がブラジルの制度を破壊していることです。ブラジルには非常にすぐれた制度、文化、医療機関、インディアン領土の保護があります。彼は過激派の右派大統領です。彼はこれらの制度(法令)を破壊しています。彼は自分の領土で暮らすインディアンをハンターにしようと採集民にしようと試しました、彼らを農民に変えたがった。信じられません。それは相容れません。そして彼は法律によって保護されるこのすべての保護領を尊重していません。そしてブラジル社会のあらゆるレベルでこれが起こっています。わたしたちはブラジルで非常に困難な時期を生きています。

ご承知のとおり、わたしたちには多くの国々があります。たとえばインドだったり、インドネシアだったりと、ブラジルより人口の多い、アメリカ合衆国より人口の多い国があります。これらの国々では全住民の世話をして大事にします。インドやインドネシアでは同一の隔離期間がありました、彼らはその隔離から多くの死者が出たことを発表していますが、その数はアメリカやブラジルほど厖大ではありません。

国民をまるで頓着しないのはまさにこのふたりの大統領(ボルソナロとトランプ)です。彼らはお金、地代を気にかけます。もし政府だったら?と自分に問いかけます。あなたは利益のためだけの大統領ではありません。そしてそれがここで起きる大問題なのです。

アメリカはコロナウイルスによる死者数がすでに世界最大です。今日、アメリカの死者数は10万人を超えました。数字が不十分で信用できないため、ブラジルでは2万人を超えていると言われています。病院内で死んだ人はコロナウイルスで亡くなったと特定できるため、2万人以上なんです。でも、スラムで亡くなっている人々、非常に貧しい地域に住んでいる人々、彼らが何で亡くなっているかわたしたちは知りません。ブラジルの科学者はブラジルの患者と死者は最小でも公式の数字の9倍はいるはずだと算定しました。

ホアン・ゴンザレス:セバスチャン・サルガド、あなたはアマゾンを侵略している何千もの金鉱堀りについて言及しましたが、ボルソナロのこれらの政策から恩恵を受けている大手の多国籍企業、ブラジルの大企業もあります。人々が識別するためにこれらの企業の中にはどんな企業があるか教えてもらえませんか?

セバスチャン・サルガド: そうですね、企業です、でもご承知のとおり、ボルソナロはブラジルの農業界と党派心の強い宗教、宗教団体によって選出されました。そして彼はアマゾン川流域の領土をおもに農家や伐採者、金鉱堀りに開放しました。ご承知のとおり、昨年7月、8月のアマゾン流域の火災については昨年たくさん話しました。今年はさらにひどくなります。わたしたちは非常に速いスピードで森林を破壊しています。そしてアマゾン川流域の至るところを破壊している間、これらの農民は大統領の誘導措置によって区域を拡大しています。

もちろん、そこに企業はあります。彼らはこの政府で取得できるものを絞り取ろうとしています。でも大きな問題はボルソナロ氏のポピュリズムです。次の選挙で彼の考えを考慮している有権者をもてなしたいと思った。そして彼はアマゾン川流域を侵略したいと思う人々にそれを与えています。それは包括的な問題です、特定の大企業だけの問題ではありません。彼らも問題のなかにいます。でも最大の問題は大統領のポピュリズムです。

エイミー・グッドマン:最高裁判所が発表を命じたビデオでブラジルの環境大臣リカルド・サレスが人々がコロナウイルスに気を取られている間に環境政策のさらなる規制緩和を推進するよう政府に求めたとのロイターの報道について話してもらえますか?大臣会議のビデオはボルソナロ大統領が個人の利益のために連邦警察の指導者を任命することに口出ししたかどうかの調査で浮上しました。会議中にサレスを含む他の大臣たちは環境団体と話し、彼の認識はボルソナロ政府が組織的に環境保護を解体しようと努めていることを証明すると言います。

セバスチャン・サルガド:ご承知のとおり、この大統領の弾劾を必要とするのに十分なことをわたしたちはブラジルで経験しています。大臣たちはクーデターに精力を注いでいます。そしてわたしたちは困難な時期に生きています、なぜならこのコロナウイルスという大きな問題と同時に弾劾を行うにはどうすればよいのか?このような時にどんな状態で次の選挙が行われるのでしょうか?そして彼らは利益になっています。彼らの権力をもっと大きくするために彼らは自分のために利益をわが物としています。

あなたが数分前に挙げた例、環境大臣のサレス氏は、ブラジルの体制にまったくの動揺を引き起こすためにこのすべてを破壊しようとしました。

ブラジルにはすばらしい法制度があります。全国インディアン基金(National Foundation of Indians)はびっくるするような制度のひとつです。現在、誰が全国インディアン基金を管理するのか?もう例のごとく人類学者ではありません、例のごとく科学者ではありません。今は警官です。現在、全国インディアン基金はもうインディアンのために本来の機能を発揮していません。それは農民の代理をしています。ブラジルでは正常な機能する状態が完全に逆戻りしています。

ホアン・ゴンザレス:重要な役割は農民が果たしているとあなたははっきり述べています、ブラジルは農産物の大輸出国です。世界中の政府がブラジルを悩ますことができるのはどのような類の圧力でしょうか?先住民コミュニティを保護するために必要な措置を講じさせるボルソナロ政府に対する制裁をあなたは支持しますか?

セバスチャン・サルガド:政治的な制裁、政治的圧力だと思います。ブラジルは国外に対して非常に敏感ですぐ気にします。ブラジルは原料の大輸出国です。わたしたちは圧力をかけられると思います。ブラジル製品の輸出禁止は適用しません、ブラジル人は生きる必要があるからです。でも、わたしはブラジルに投資する企業に対する政治的圧力を適用します、投資の傘になること、環境を大事にすること、ブラジルの企業であるならブラジルで資金調達することを受け入れること。ブラジル政府は少なくとも環境だけは尊重すること。圧力は政治的および経済的圧力でなければならないと思います。

エイミー・グッドマン:セバスチャン、少なくとも37の異なる民族からなる3000人のマナウス州地域のParque das Tribosの先住民リーダー、Messias Martins Kokamaについて話してもらえますか?彼は今月初めにコロナウイルス感染症COVID-19で亡くなりました。この方は地元の先住民居住者Vanderlecia Ortega dos Santosで「先住民の命も重要」とあるマスクをしています。

VANDERLECIA ORTEGA DOS SANTOS:わたしたちには良質の教育や健康状態という夢がまだあります。なぜならまだ援助を提供されていないからです。彼の死もまた、なにが欠けているか、健康管理の欠如、都市に住む先住民にとってなにが欠けているかを表しています。

エイミー・ グッドマン:このエリア、マナウスについて話してもらえますか?そして人々になにがあったのか、そのうえ、ものすごい量の注目を集めた30万人が署名したこの手紙であなたが要求していることについて話してください。署名した人々の中には、オプラ・ウィンフリーとマドンナ、ナオミ・キャンベル、作家のマリオ・バルガス・ロサ、アーティストのアイ・ウェイウェイ、女優のメリル・ストリープ、ブラッド・ピット等がいます。

セバスチャン・サルガド:そうですね、わたしたちの希望、この手紙はブラジルの大統領だけに向けて書かれたものではりません。わたしたちは行政機関の長、大統領、立法府と司法の権力、裁判官宛てにこの手紙を書きました。この3つの権力にわたしたちを援助するよう依頼しています。これは人道的な手紙です。わたしたちはボルソナロ氏の政府に対してどのような政治的攻撃も行っていません。これらの部族を保護することを人道的な俳優に申し込んでいます。

このインディアンはブラジルのアマゾン川流域にいて一度も接触しあっていません。このインディアンは人類の先史時代にいます。現在この地域の全住民を失う全くの危険があります。このさらにいっそう孤立したグループを保護すること、侵入者を取り除いてバリアを築くこと、しばらく人がこの領域内に入ることを許可しないこと、この全住民を保護することをわたしたちは申し込んでいます。

この請願書、この手紙に対するブラジルの反応はとてもとても満足のいくものでした。わたしたちはブラジルのすべてのマスコミを招いています。すべての新聞に通知をしました。そしてこのインディアンの人道的保護を創設することができるかどうか判断するために、わたしたちは裁判官との会談、ブラジルの司法制度のすべてのグループとの会談を続けています。

エイミー・ グッドマン:最後にセバスチャン、ブラジルの将来についてもっと広くコメントしていただけませんか?あなたは1969年にブラジルからのがれました。そこの軍事独裁政権からのがれ去りました。あなたはパリに行きました。ブラジルの将来について、またあなた自身のこれまでについて語ってもらえますか?わたしが最後にあなたに会ったのは数年前ニューメキシコですばらしい会談をしたときです、ウルグアイの偉大な作家エドアルド・ガリアーノ (Eduardo Galeano)との公式会談です。そのときあなたは息子のことを語っていましたが、ダウン症の息子と一緒に暮らしていると。それについてお書きになってもいます。あなたが今やっていることで、ブラジルの将来には多くの疑問があります。

セバスチャン・サルガド:わたしが子どもだったとき、ブラジルには田舎の住民数がブラジルの全住民の90%以上いました。今は都市の人口が90%以上いるはずです。そして、このブラジルの都市部への大規模移動に関連する多くの問題があります。ブラジルには独裁政権がありました。今日わたしたちには民主主義の制度があります。そして進化の途上にあります。ブラジルで起こっていることは簡単ではありません。世界第5位の人口の、世界で5番目に大きい国です。ブラジルは重要な国です。そしてわたしたちが現在ボルソナロ氏と共に生きているという大きな災難がほんの一時的であるとの大きな期待がわたしにはあります。これは進化の一歩に過ぎない、経済国のなかで社会的に真の協力者になることができるとの大きな希望があります。

エイミー・ グッドマン:そして最後に、あなたはたった今パリに住んでいますね。もっと多くの時間を息子といっしょに過ごしていらっしゃいます。

セバスチャン・サルガド:はい、ご存じのようにわたしたちは1969年にパリに来ました。ここに来た当時、わたしは経済学者でした。博士号を取得するためにここに来ました。そして独裁政権の間、わたしたちはここにとどまりました。わたしたちにはパリで生まれ、パリで成長したダウン症の子どもがいます。そしてわたしはここで写真家になりました。わたしは世界中を旅しています。わたしたちはブラジルでたくさん働きました。両親の農場を国立公園に変えました。この農場、熱帯雨林は、完全に破壊されました。妻のレリアといっしょに、わたしたちはこの森を植え替えなおしました。現在わたしたちは270万本以上の木を植えています。わたしたちはブラジルで最大の環境保護団体を設立しました。そしてわたしたちは働き続けています。ブラジルにずっと行き続けています。わたしの専門は写真家なのでところどころフランスに住みます。わたしはパリで創り出しますが、ブラジルで作業する環境を維持しています。わたしたちはいつもブラジルにいます。

エイミー・ グッドマン:アマゾンとそこに住む人々を記録するためにほぼ40年費やしてきた世界的に有名なブラジルのフォトジャーナリスト、セバスチャン・サルガド、ご一緒してくださったことに感謝します。2001年からユニセフの親善大使をなさっているサルガドはフォトジャーナリズムのために百カ国以上を旅してきました、その幾つかは、Migrations(移住者たち):Humanity in Transition and Workers(移動と労働者の人間性):An Archaeology of the Industrial Age, Gold and Terra(工業化時代の考古学、ゴールドとテラ):Struggle of the Landlessを含める彼の著書のなかにまとめられています。



孤高の報道写真家セバスチャン・サルガドの眼差し

徹底した取材によるドキュメンタリー写真で世界的に知られる写真家のドキュメンタリー「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」は2015年8月1日にBunkamuraル・シネマで公開された。

セバスチャン・サルガドは1944年にブラジルに生まれ、サンパウロ大学で経済学を学んだ。60年代、軍事政権下の祖国を逃れてフランスに移住しパリ大学で博士課程を修了。エコノミストとしてロンドン国際コーヒー機構で働いたが、アフリカ訪問をきっかけに29歳でフリーランスの写真家へと転身した。何ヶ月も被写体と共に過ごし、経済学を基盤にした徹底した取材を行う制作スタイルで知られ、現在までにアフリカの飢餓を捉えた。

「SAHEL(サヘル)」や、近代化で消えていく肉体労働者を取材した「人間の大地 労働」などを発表。緻密さと美しさを兼ね備えた報道写真家として国際的に高い評価を受ける。

戦争、難民、虐殺と、人間の闇と弱さに向き合い続けたサルガドが種の起源を見つめるプロジェクト「ジェネシス(根源)」に取り組む姿に追ったのが「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」。作中ではサルガドが熱帯雨林から北極圏までの僻地に赴いて独自の生態系を育む動物たちに密着。少数民族との共同生活から地を這いながらセイウチに近づく様子まで、緻密さ・美しさでも知られるサルガド作品が生まれる瞬間の姿を捉えた。

メガホンを取ったのはサルガド作品の大ファンでもあるという巨匠ヴィム・ヴェンダース監督とサルガドの実子で共にジェネシスに取り組むドキュメンタリー作家ジュリアーノ・サルガド。過去の自身のプロジェクトに対する考えや故郷への思いなどにも言及し、40年にもわたって独自の視点で写真を撮り続けてきた孤高の写真家の秘密に迫る。