見つけた 犬としあわせ

ニュースのファンジン、世界のニュースのサンプリング。 一枚のCDを聴くように一枚のコラージュを眺めるようにこれを体験して欲しい。

2007/06/08

市民の発言行動を監視する情報保全隊


企業だったらとっくに会社そのものが崩壊するほどのデタラメさ、ひどい不祥事である年金問題に続き、次は、陸上自衛隊の情報保全隊が市民を監視し、情報収集をして、その行動や発言で「分類」していたことがすっぱ抜かれた。おまけに防衛庁のトップが「ジャーナリストがやってることと同じ、なぜ自衛隊がやってはいけないのか」とノータリンのことを堂々とおっしゃる。日本って最低!です。
報道写真家の森住卓さんは、イラクの子どもたちの生活や被害のようすを撮った写真展を行った際に「反戦を主張する内容の写真展を実施」と分類されていた。
フリージャーナリストの志葉玲さんは、東京新聞に掲載されたイラク取材記事が「イラク派遣に対する国内勢力の反対動向」と分類されていた。肩書きは「人間の盾経験者」となっていた。
講演内容を記載されていた情報誌「インサイダー」の高野孟編集長は、「会場に潜り込んでメモや録音をしていたのだろうから、一種のスパイ行為。自衛隊に<高野>ファイルがあるかと思うと不愉快きわまりない」と述べる。
森住さんは、「私の写真は戦争の賛否を訴えるためのものではなく、現状を伝えるためのもの。たくさんの人が知る必要があると思っている。自衛隊による市民活動監視は、自由な意見表明を躊躇させる無言の圧力となる」と言う。
映画監督の山田洋次さんが派遣支持の「黄色いハンカチ運動」を批判した新聞記事については、「市民レベルでの自衛隊応援・支持の動きを、有名人の名声を利用し封じ込めようとする企図があると思われる」と評していた。
また、議員の「自衛隊のイラク派遣に反対」発言はイラク派遣を誹謗する発言とされ、「反自衛隊活動」に分類されていた。
今回明らかになった陸上自衛隊の情報保全隊が作成した「内部文書」は、自衛隊関係者から「許されない行為。告発してほしい」と直接共産党に提出されたもの。
内容は自衛隊のイラク派遣などに反対する全国の市民団体やジャーナリスト、宗教団体などの動向を調査したもので、陸自東北方面情報保全隊が取りまとめた「一般情勢」(04年1〜2月)などと、保全隊本部が作成した「イラク派遣に対する国内勢力の反対動向」(03年11月〜04年2月)の2種類。計11部、166ページにわたっており、対象はイラク派遣へのデモや反対集会に関するだけで全国41都道府県の289団体・個人にも。共産党が文書に基づき調査した結果、事実と異なる例は1つもなく、信ぴょう性が高いと判断したという。
元東京HIV訴訟原告・川田龍平さんの母で元衆院議員の川田悦子さんは、2004年2月、北海道旭川市で「自衛隊派遣反対」の街頭演説を行ったが、この発言が記録されていた。川田さんは「自衛隊が国民の動向を気にするのは分かるが、あらゆる市民運動の発言までメモするというのは監視社会だ。怖い」と不快感をあらわにした。

イラク派遣で陸自、反対市民の情報収集 発言など詳細に
文書は「情報資料」と「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」の2件。いずれも2004年からのイラク派遣の前後に行われた調査活動を記録している。
「情報資料」は「注意」の指定があり、東北方面情報保全隊長名。04年1、2月の市民運動などを一覧表の形で週ごとにまとめたもので、「一般情勢」として、東北各地のイラク派遣反対の署名集めやデモのコース、市民の反応、ビラの内容などを記録している。「年金改悪反対」や「消費税増税反対」の運動にも触れていた。
「ほとんどは形式的な宣伝活動」としながら、「反自衛隊活動が逐次活発化することが予想されることから、引き続き、国内勢力の取組に対する市民の反応、隊員(家族等を含む)工作及び隊員の動向に注目する必要がある」などとの分析も加えられていた。
「反自衛隊活動」の項目には駐屯地への反対の申し入れなどを記録。民主党衆院議員(当時)が会合で述べた派遣反対の発言を取り上げ、「イラク派遣を誹謗(ひぼう)する発言」などとしている。また、朝日新聞記者が青森駐屯地正門前で隊員に取材したことにも触れている。
もう一つの「国内勢力の反対動向」は、03年11月から04年2月までのうち6週間分と03年11月、04年1月の「総括」を含む。全国の反対運動の動きをまとめたとみられる。「駐屯地、官舎、米軍施設等に対する反対動向」「市街地等における反対動向」などが表形式で記載され、高校生が中心となって開催された反対集会も含まれる。デモの写真、件数の推移のグラフなどもある。資料で把握されている市街地での運動の数は、共産党の集計では41都道府県で290団体・個人にのぼるという。

情報保全隊:2000年の海上自衛隊幹部による秘密漏出事件を機に、防衛庁(当時)は情報保全体制の強化に乗り出し、2003年3月、陸海空の各自衛隊の「調査隊」を改編して発足させた。
任務内容について、2002年4月の衆院安全保障委で中谷長官(当時)が、「自衛隊に対して不当に秘密を探知しようとする行動、基地、施設などに対する襲撃、自衛隊の業務に対する妨害などの外部からの働きかけから部隊の秘密、規律、施設などを保護するのに必要な資料や情報の収集など」と答弁している。定員は陸自668人▽海自103人▽空自156人の計927人(06年度末)。

2007年6月7日 琉球新報:
文書は情報保全部隊が作成した「イラク派遣に対する国内勢力の反対動向」(2003年11月—04年2月)と陸自東北方面情報保全隊が収集した情報を週単位で一覧にまとめた「一般情勢」など(04年1—2月)の2種類あり、県内の団体・個人名は「反対動向」の文書にある。
一週間ごとに行動内容や場所、人数、発言など詳細を記載。沖縄平和運動センターが04年2月に那覇市内で開いた集会では議長が「米国の占領支配を支援するものだ」との発言が実名で記載されている。
団体・個人を「革新政党」「新左翼等」「諸派および反戦市民(マスコミ)」「労組」などに区分。参加者の写真なども含まれていた。
「一般情勢」の文書にはヘリ騒音などの苦情電話も挙げられ、実名や住所も記載している。ジャーナリストに関しては取材状況や報道内容のほか、懇親会で質問した記者の実名や質問の概要、市町村議会では決議の経緯なども分析されていた。

2007年6月7日 京都新聞:
京滋でも7つの市民団体と地方議員など6人が調査対象になっていた。当事者は「気味が悪い」「言論弾圧につながりかねない」と批判した。
動向監視の対象となったとされる日本バプテスト京都教会(京都市上京区)の大谷心基牧師は、「薄気味悪い。国の方針に反対する市民や団体の監視が今後、さらに強まるのではないか」と懸念する。イラク戦争開戦日(3月20日)前後に毎年、集会やデモを続ける大谷牧師は「米国に追従する自衛隊派兵は世界の緊張を高めるだけ。監視されたからといって、私たちの信条や行動は変わらない」と話した。
「戦争協力・君が代押しつけお断り宇治・城陽・久御山市民連絡会」で中心的な活動を担う宇治久世教職員組合の北村文一書記長は、「自衛隊が戦前の公安警察のような活動をしていたとは、驚きと同時に強い憤りを感じる」と語った。
「有事法制反対滋賀県連絡会」の中野善之助元代表は、「言論や表現の弾圧につながりかねず、自由主義の国にあるまじきことだ」と不信感をあらわにする。高島市の「あいばの平和運動連絡会」の早藤吉男事務局長は、「市民団体に対する不当な行為で、怒りを感じる」と憤る。リストの中の「滋賀県議」とみられる県議は、「(この段階で)コメントのしようがない。自衛隊は事実関係を認めないだろうし」と困惑した様子だった。

上の写真は、個人の言論や表現の自由に関する意識がとてつもなく低く、いつまでたっても根付かない日本の社会とはまったく関係がない、アメリカのTV番組「サウスパーク」の共同製作者、マットストーンとトレイパーカーの写真です。悪ノリ2人組が健在なのはうれしい限りです。ローリングストーン紙に掲載されたこの写真の記事についてはいずれまたメールマガジンのほうで紹介します。