見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2007/06/16

声をかけて 励まそう!



昨年10月、自宅アパートのエレベーター内で銃弾で殺害されているのが発見された、プーチン政権の人権弾圧やチェチェン紛争に関する報道で知られ、国際的に高い評価を受けている不屈のジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤの遺作集が6月28日NHK出版から発売されます。タイトルは「ロシアン・ダイアリー 〜暗殺された女性記者の取材手帳」オンライン書店で予約可能です。

「楽観的な予測を喜ぶ力のある人はそうすればいい。そのほうが楽だから。でもそれは、自分の孫への死刑宣告になる」 ロシアのプーチン大統領の政策を批判し、テロによる被害者の声を伝え、国民の政治への無関心に警告を発し続けた著者は2006年10月、凶弾に倒れた。世界中がその死を惜しんだ記者の遺作。(オンライン書店の本の解説より)

30日モスクワ市内でアンナさんの遺作集の出版記者会見がありました。記者仲間らが遅々として進まぬ捜査に怒りの声を上げています。ロシアでは1993年以来、289人のジャーナリストが殺害されるか行方不明になっており、大半が未解決ということです。
モスクワでは国際ジャーナリスト連盟(IFJ)の世界大会が開かれており、ロシアで広がる言論封殺の現状に強い懸念が示されました。
出版された著作集には、アンナさんが勤務していたノーバヤガゼータ紙に掲載された記事・評論のほか、元同僚や親族が整理した未完の原稿や生前の写真も収められています。
ノーバヤガゼータ紙の共同経営者であるゴルバチョフ元ソ連大統領は「今ほど彼女のような誠実なジャーナリストが求められているときはない」と力説し、「事件に国家機関が関与しているとの見方が社会に出ているだけに、捜査の長期化は許されない」と当局の姿勢を批判しました。
ムラトフ編集局長も「捜査がうやむやに終わると思われる場合には、社による独自調査の内容を公表する」と捜査当局をけんせいしています。

ところで、5月3日は「報道の自由の日」でした。ご存知でしたか。
以下は、「チェチェンニュース」によってピックアップされた報道から抜粋しました。

5月3日は「世界報道の自由の日」 97年から設けられているユネスコ報道の自由賞にアンナ・ポリトコフスカヤが選ばれた。本来活動中のジャーナリストを対象にした賞なので、これに故人のアンナが選ばれたのは異例のこと。
松浦晃一郎ユネスコ事務局長は、「行事を毎年行なってきて、ひとつさびしく思うのは、約200人ジャーナリストがさまざまなテーマについて激論を交わしているなかに、日本人を見かけないことだ。<報道の自由の日>についての日本での報道にも接したことがない。...日本の人たちにも問題意識を持っていただきたい」と言います。

「不屈であること 阪神支局襲撃事件、あすで20年」
ところで、この期間の新聞報道を追っていて、意外な場所でチェチェンの名を目にすることができた。ひとつは、5月2日の朝日新聞(朝刊)に掲載された「不屈であること 阪神支局襲撃事件、あすで20年 江川昭子さんと対談」という記事である。記事は、朝日新聞阪神支局が散弾銃を持った男に銃撃され、2人の記者が死傷した20年前の事件について、朝日新聞論説副主幹の臼井敏男氏とジャーナリストの江川昭子氏が「報道の自由」の観点から対談したもので、言論に対する暴力の問題性が語られている。そこでアンナ・ポリトコフスカヤの事件が江川氏によって言及されており、「チェチェン紛争でのロシア当局による過剰な武力行使やプーチン政権の腐敗を批判した女性ジャーナリスト」と説明がなされている。
対談によれば、最近は気に入らない報道や何らかの主張を封殺するためには、その発言を行った人間自身によりも、その人間の自宅や家族に対して暴力が加えられることが多いという。家族を脅した方が効果があるという、あまりにも卑劣な手段である。例えば、暴力団関連の記事を書いたフリージャーナリストの溝口敦氏の息子が路上で刺されたり、加藤紘一議員の実家が右翼の男性に放火されたりなどという事件がそれだ。社会的問題を真摯に告発しようとする人間が攻撃の対象になり、そんなことをしない方が安全でいられる現実がある限り、多様な言論はますます暴力によって封殺されることになる。私たちは、ジャーナリストをはじめとして、社会的問題を意識的に告発していこうとする個人や集団を励まし、協力し、また自ら可能な限り行動を起こすことが必要である。対談の中で江川氏が述べているように、「良い記事と思ったときは<よかったぞ>という声を上げる」こと、関心を持っているという意思表示を行うことだけでも大きなことなのだ。

最近うちには「この記事に励ましを!」新聞社と記者あるいは放送局に「よくやってくれた!」という私たち読者(視聴者)の支持表明をしましょう、というメールが回ってくることが増えています。脚を引っ張ることが多い社会で、困難や非難や危険を覚悟でよくやった!と励まし、盛り上げていくことが、なによりだいじだと思いました。
もうひとつ、とっても納得するニュースを紹介します。

ロシア軍の死者 6割が自殺
ロシア国防省によると、2007年1月以降のロシア軍兵士の死者は139人で、そのうち6割にあたる86人が自殺だった。発表によると、29人がチェチェンでの戦闘で、3人が兵器の操作ミスで、9人が交通事故で、5人が軍隊内での虐待によって、死亡したという。自殺についての詳しい理由は明らかにされていない。
(読売新聞 2007年6月5日)