見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの、見つけたとき、 それを作品にしたり、思わずなにかの形にして、人に 伝えたくなります。 見つけたとき感じた、しあわせ感覚が、ひとしずくでも 誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

June 22, 2007

とてつもない殺しの現場



2005年7月6日にエド・マクベインは亡くなった。彼のことを知ったのは、一番有名な87分署シリーズという南北に細長いニューヨークの街を90度回転させて横長にした架空の街アイソラの警官たちの話で、あるとき古本屋で大好きな形状のポケット版ハヤカワミステリの一冊を発見したことがきっかけだった。最初に読んだのが「警官殺し」かどうかは忘れたが、話の中にたとえばビートジェネレーションや、ジャック・ケルアックの当時大学生のあいだでよく読まれた小説「オンザロード(路上)」、はやった曲など、時代がよくわかるサブカルチャーについての言及が必ずあることに魅了されて、気がつくと日本で出ていたシリーズの全部を読んでいた。いま56冊出ているうちの9割は読んだと思う。
その過程で、たまたまニューヨークから帰った年にエド・マクベイン本人が出版記念のイベントで来日するというのを知り、新宿の紀伊国屋ホールへ彼に会いに行った。なるべく前の方の席で彼のことをよく見ようと思ったら、わたしの前に見える頭は何冊か彼のシリーズを翻訳している田中小実昌さんでその隣にエド・マクベインの美しい奥さまがいた。サイン会では普通、新刊を買ってそれにサインをしてもらうものなのに、わたしは古いポケット版ハヤカワミステリ、それも古本屋で買った一冊を持って行き、多少気が引けたが、それにサインをしてもらった。彼がハンターカレッジで教えていたことがわかったので、わたしもハンターカレッジで少しだけ学んだことやなんかを話そうと思っていたのが、いざわたしの番になるとわたしより先にエド・マクベインが「シーズソーキュート」と言って隣の奥さまに同意を求めた。単にハデハデなニットを着ていたにすぎなかったのだが、それですべてが狂ってしまい、完全に舞い上がって「ずっとあなたのビッグファンです」となんともマヌケなことを言うだけで終わったのだ。
こういうことがあったから余計に思い入れが深まったというのがある。
エド・マクベインは78歳で亡くなった。死因は咽頭ガンでした。
以下、Who's Whoより:
アメリカのミステリー作家。本名はエヴァン・ハンター。1952年のデビュー以来、本名をはじめハント・コリンズ、リチャード・マーステン、カート・キャノン、そしてエド・マクベインといった多数のペンネームを用い、ミステリーだけでなくSFや普通の小説、ラジオドラマから児童書まで、多種多様なジャンルの作品を発表している。
1950年頃から作家を志し始めるようになり、教師をしながら「マンハント」などのパルプマガジンにたくさんの小説を寄稿し、1952年には初めての長編「The Evil Sleep !」を発表して長編デビューも飾る。
そして1954年に長年の教師経験をもとにエヴァン・ハンター名義で長編「暴力教室」を発表するが、高校生の非行をリアルな筆致で描いたこの作品はたちまち大評判となり映画化もされ、一躍人気作家の仲間入りを果たす。
次いで1956年には架空の街アイソラ市を舞台に87分署の警官たちの活躍を描いた87分署シリーズ第1作「警官嫌い」をエド・マクベイン名義で発表。
この87分署シリーズは警察小説と呼ばれる新たなジャンルを確立した画期的な作品となっただけでなく、彼自身一番のヒット作品となり、この後50年の長きにわたって同シリーズを中心に作品を発表していくことになった。
その他にもフロリダが舞台のホープ弁護士シリーズや酔いどれのハードボイルド探偵カート・キャノンなどのシリーズ作品もあるが、そのどれもが歯切れの良い語り口とテンポの良い読みやすい文章で高い人気を集めている。
1986年にはアメリカ探偵作家クラブ賞の巨匠賞、1998年にはイギリス推理作家協会賞のダイヤモンド・ダガー賞を受賞している巨匠だ。

写真は、エド・マクベインの「The Gutter and The Grave(どん底生活と墓場)」と87分署シリーズ最終作で最後の作品となった「Fiddler(最後の旋律)」です。

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