見つけた 犬としあわせ

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2008/01/26

ジュゴンの勝利


◇米地裁、米政府にジュゴン調査命じる 普天間移設めぐり
沖縄の米軍普天間飛行場の移設予定地(名護市辺野古崎)の沖にすむジュゴンの生息環境が基地移設で破壊されるとして、日米の自然保護団体などが米国防総省と国防長官を訴えていた訴訟で、米サンフランシスコの連邦地裁は24日、移設による生態系への影響調査を国防総省に命じる判決を言い渡した。
判断の根拠は、米国歴史保存法(NHPA)。同法は米政府の行為が国内の文化財に影響を与える場合、事前に保護策を検討するよう求めているが、外国の文化財にも適用されるとの規定がある。原告は、日本の文化財保護法で天然記念物に指定されているジュゴンへの影響調査を行わないまま国防総省が基地建設を許可したのは違法だと主張。国防総省側は、ジュゴンは生物であって、NHPAが対象とする「文化財」にはあたらないと反論してきた。
判決で同地裁はジュゴンがNHPAで保護される文化財にあたるとの判断を示し、影響調査の方法を記した書面を90日以内に提出するよう求めた。AP通信によると、判決にあたり連邦地裁判事は、「NHPAが米国外で適用された初のケース」と述べたという。
(朝日新聞2008年1月25日)

◇サンフランシスコ連邦地裁のマリリン・パテル裁判長は、国防省がジュゴンへの影響軽減策の必要性を把握、考慮していないことを同法違反と認定。「計画が国防長官らによる最高レベルの承認を得ているにもかかわらず、ジュゴンへの影響はよく把握されていない。国防総省は引き返すことができないほど計画に関与しており、法に基づく義務履行を建設直前まで待つことはできない」と判示した。
原告の一人で、米自然保護団体「生物多様性センター」のピーター・ガルビンさんは「地裁決定に基づく見直しと、基地建設の影響が広く知れわたることで、日米両政府がジュゴンを絶滅に追いやる計画を断念することを願う」と話した。
原告の東恩納琢磨さんは「大勝利だ。米国政府に言われて見直すのは恥ずかしいことだが、日本政府はそれをやらないと、世界から大きな批判を浴びる。(基地建設に)高いハードルができたし、この判決を克服するには、相当の労力と時間がかかる。それよりは、辺野古への基地建設を見直した方が早い。ジュゴン保護区の設置を米国民にも訴えていきたい」と話した。
代替施設の建設を急ぐ日本政府に、米司法が高いハードルを突きつけた。
(沖縄タイムズ2008年1月25日)

◇ジュゴン:太平洋、インド洋の熱帯・亜熱帯海域に生息する海牛目の哺乳(ほにゅう)動物。カリブ海などに住むマナティーとともに人魚のモデルとして知られる。1日に数十キロもの海藻を食べ、成長すると体長2・5メートル、体重300キロぐらいになる。寿命は50―70年。生息環境の悪化で絶滅の危機にひんしているといわれ、ワシントン条約で国際商取引が禁止されている。

写真は沖縄辺野古沖で見られるジュゴン