change
昨夜のアイオワでの党員集会から、いまの大多数のアメリカ人の気持ちがブッシュ政権下のアメリカからの「Change」とリセット!であるのがよくわかる。最初の勝利を手にしたバラク・オバマはまったくの未知数なところが、これまでやはり未知数だった若者からの票を得て、支持された。その割を食ったのが既存政治家として経験のあるヒラリー・クリント。そして善戦したのがエドワーズだったのではないだろうか。目立つ2人のあいだにはさまれて彼の可能性にはあまり時間とページが割かれてないように思えるのは、彼の企業に厳しい姿勢、その企業にはメディアコーポレイトも含まれてることが主な理由なのかもしれない。
以下、昨夜のニュースと、私が個人的に注目するエドワーズを推薦すると最近ブログで告白しているマイケル・ムーアのコメントから抜粋ーー。
◇08年大統領選は「変化」への熱い思いで幕を開けた。全米に先駆けて3日、中西部アイオワ州で行われた党員集会は、ともにブッシュ政権のリセットと「希望」を掲げた民主党のオバマ上院議員、共和党のハッカビー前アーカンソー州知事が勝利を収めた。参加者数も予想を大きく上回り、米国を変えたいという草の根の意思が伝わってきた。
この日、州内約1800カ所で開かれた地区党員集会(コーカス)会場のひとつ、アイオワシティーの高校には、零下10度近い厳寒のなか、住民が続々と集まった。民主党会場では開始予定の午後7時を回っても参加者が途切れない。ホールの客席をロープで仕切った「陣地」を、人々が埋めていく。
最終集計でオバマ陣営はリードを広げたが、クリントン陣営はエドワーズ陣営にも抜かれ3位に。オバマ陣営のジム・コンガーさん(67)は「この7年で多くのアメリカンドリームが失われた。他の誰よりオバマはそれを取り戻してくれる」。
州全体で民主党の党員集会には23万人以上が参加。過去最高レベルだった前回04年のほぼ倍で、30歳以下の参加率は3倍だったとの情報もある。
アイオワ大学のコビントン准教授は「オバマ氏が勝ったのは、新たな票の掘り起こしに成功したから。肯定的なメッセージが人々を集会に向かわせた」と分析した。
オバマ氏の「勝利演説」に集った支持者は若者が目立った。クリスティナ・ソラウェツさん(22)は「女性としてクリントン陣営からの働きかけもあったけれど、彼女は言葉がきついし、ワシントンの政界に入りすぎている」。
クリントン氏は全米レベルで当初から優位に立っていた。だが、アイオワ州では出遅れた。夫のクリントン前大統領ともども、手あかのついた旧世代の政治家というレッテルはぬぐえなかった。
「変化」のメッセージを打ち出したのは、共和党でトップになったハッカビー氏も同じだ。
3日夜、勝利を受けて「アイオワ州民の選択は変化だった。民主党員とか共和党員とかでなく、米国人であることに再び誇りを抱けるようにすることがこれからの挑戦だ」。オバマ氏のお株を奪う言い回しで、党派対立を乗り越えた統合の大切さを訴えた。
党員集会を通じては、米国の政治の現状に対する不満と、変化を求める思いが党派を超えてはっきりと示された。ただ、次の関門である8日のニューハンプシャー州予備選をはじめとして、今後の指名獲得レースにどんな影響を与えるかは一様ではなさそうだ。
民主党では、オバマ、エドワーズ、クリントン各氏の「三つどもえの接戦」が崩れる可能性が指摘されるのに対し、共和党では、混戦模様が続くとの見方が支配的だ。
「<現状>が敗退し、<変化>が勝利を収めた」。この日の党員集会の意義は、エドワーズ元上院議員が語ったこの言葉に尽きるといえる。
州都デモインで集会に参加した民主党支持者の一人、リンダ・ベーコンさんは「ブッシュ政権があまりにもひどいので、(有権者から)<ノー>を突きつけられたのだ」と説明した。
「現状」に対する不信の矛先は現政権にとどまらず、「既成候補者」と見られたクリントン、ロムニー(共和)両氏にも容赦なく向けられた。
なかでも、クリントン氏の低調ぶりは大方の予想を超えるひどさで注目を集めた。
ニューヨークタイムズ紙(4日付電子版)は「指名獲得は既定の流れだと示そうとする(クリントン陣営の)戦略はズタズタになった」と指摘。米タイム誌エディターのハルペリン氏に至っては「これでオバマ氏が次の大統領になる可能性が強まった」とまで言い切った。
(朝日新聞2008年1月4日)
◇ローリングストーン誌が指名獲得に最も近い3人の民主党候補者にマイケル・ムーアがなんでも聞いていいよ!という企画をムーアに持ち込んだ。その際、3人ともがこれを受けるのが条件だった。バラク・オバマとジョン・エドワーズはこれを受けた、ところがヒラリー・クリントンが参加しないと言ってきた。これで企画はおじゃん。「オレに聞かれちゃ困るってか!」ヒラリーを推薦しない理由のひとつにマイケル・ムーアはこのことを挙げている。では彼がバラク・オバマを推薦しない理由についてはどうなんだろう。以下、彼のブログからーー。
「バラク・オバマは有能で人を奮起させる男だ。なんて気分をさわやかにしてくれるんだ!この国の事態をなんとかまともにしようとする彼の誠実さや肩入れは疑いようもない。だが、彼を知ってるか?つまりすごいスピーチをするって以外にだよ?どれくらいの国民が現実に彼のことを知っているか?彼がイラク戦争に反対だったのは知っている。どうやってそれがわかるか?開戦前の彼のスピーチでだ。でもな、上院に仲間入りして以降、彼は一方で撤退すべきだと言いながら、イラク戦争への資金拠出に賛成した。彼は重要でない微力の人を擁護すると言うが、重要でない微力の人の子どもが中国製のおもちゃの鉛の入った塗料を飲み込むとき、集団訴訟を起こすのをますます困難にさせる大企業に味方する法案に賛成する。それどころかオバマはウオールストリートが腐った有害なところとは思わない。彼は健康保険企業にオレらが新しい医療ケアプランを創出する手助けをしてもらいたがっている、そもそもこの混乱を引き起こしてきたのと同じ会社にだぜ。彼はまあどちらかといえば気苦労のないしあわせな状態だ、もし選ばれでもしたら、共和党候補者には朝飯前だろうと思うよ(ブッシュの懐刀カール・ローブはオバマに選挙戦の助言をしている。つまり彼が民主党大統領候補に指名されれば共和党にも勝ち目があるとみたのだろう。いくらでもつぶす手はあるってことだよ)優秀なスピーチなんかしていられなくなるぜ。」
では彼がジョン・エドワーズを推薦する理由についてはどうなんだろう?
「あまりにも多くの人々の暮らしをそれは惨めにさせている富裕な権力層と徹底的に対決し通している男であることに気づく。<この企業の食い意地と企業権力が私たちの民主主義の破ることのできない急所を握っていると完全に信じている>ってなことを言う候補者だ。ドードー。少なくとも世論調査の上位にいるやつで、このようなことを話すのを聞いてきていない。エドワーズがアイオワでうまく支持を集めているのはこのせいじゃないかと思う、他の2人が持つ金の隠し場所にはとうてい近づけないとはいえね。彼は企業の政治献金から高額チェックを受け取らない。それに選挙資金に制限を設けるのと公的資金の供給に同意するのは上位3人の候補者で彼だけだ。製薬会社と石油会社とアメリカの労働者を困らせている企業はどこもあとを追い回すと、彼はずばり言っている。メディアは明らかに彼を脅威と見ている、たぶんメディアの独占的権力もまた彼が追い回すだろうからだ。これはいわばルーズベルトとトルーマンの会話だ。そこがアイオワの有権者を共鳴させているところだ、オバマやヒラリーほどには注意を向けられてないけどな。彼に関する報道の欠如が明日の夜の第一位を損なわせるかもしれない。
先頭を行く3人のなかで唯一エドワーズだけに、他のすべての文明国にある共通の基準の支払人のようなものへ導く万人共通の健康保険介護計画がある。彼の計画はオレがほしいようには進んでいないが、健康保険会社が害であり、連中が地位を保つべきでないと正確に指摘しているのは彼だけなんだよ。」
(maichaelmoore.com 02 January 2008)
写真は3日のアイオワの様子。クリックすると拡大版で見ることができます。
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