ダークサイドから立ち退きたい
今年のアカデミー授賞式はなかなかでした。主演女優賞も男優賞も「文句なし」ってところだし、なんでも共同で行うというコーエン兄弟の兄さんの淡々ぶり、初めて弟と撮影したときと何も変わってないしそのへんで映画作って遊んでいられるのもみなさんのおかげと言うのも、ダニエル・デイ・ルイスが「誰かにキスする必要があった」と言って一番近くにいたノミネートの同僚、ジョージ・クルーニーにキスして壇上にあがったのも、「その人らしく」てよかった。ダニエル・デイ・ルイスはもっと前の映画俳優組合でも主演男優賞をもらっていて、その受賞スピーチでは映画「チョコレート」や「ブロークバックマウンテン」での演技が彼にもたらした影響について触れ、「この賞をヒース・レジャーに捧げる」と言って感動を呼んだ一幕もあったらしい。
彼は俳優業から遠ざかっていた時期に、イタリアで靴作りに専念しているという話を聞いたことがあったが、こちらでも職人のアートにこだわってのめり込んでいたに違いない。
ところで、今回のアカデミーでの大きな拍手は、ドキュメンタリー映画の受賞場面ではなかったか。米国の拷問の実態を調査した、以前にもここに書いた「Taxi to The Dark Side (闇へ)」が受賞したのだから。
以下、デモクラシーナウ!の25日のヘッドラインからーー。
◇昨夜、ドキュメンタリー映画の最優秀作品に「Taxi to The Dark Side (闇へ)」が選ばれました。映画は、米国によって身柄を拘束されたあと、拷問されて死んだアフガンのタクシードライバーの顛末をあばく。これはアレックス・ギブニー監督の受賞スピーチです。
アレックス・ギブニー:「どうもありがとう、アカデミー。すべてのドキュメンタリー映画作家を祝します。ボクの妻アンはまあロマンチックなコメディでも作ってもらいたかったんだろうけど、正直、グアンタナモ、アブグレイブ、特別レンディション(尋問のため他国にテロ容疑者を引渡す)の後、それはとうてい無理だったというのが真実です。これは、もはやいっしょにはいない2人の人間、若いアフガンのタクシードライバーとボクの父に捧げられています。父は海軍の尋問者です、父は法の支配に対して行われていたことへの激怒から、この映画を作れとボクを激励しました。さあ、この国を方向転換できると希望を抱きましょう。闇から光へと立ち退きたいものです。どうもありがとう。」
ディスカバリーチャンネルがこの映画の放送権を買ったにもかかわらず、予定された放送を「論議がましい」という理由からやめにしたことは今月初めのヘッドラインでお伝えしました。
先週、HBOが映画の権利をディスカバリーから買いました。
写真は、受賞したダニエル・デイ・ルイスです。彼は両耳にピアスしています。今回もダブリンではお祭り騒ぎでしょうか。
もうひとつ、
◇米国支援のトルコによる、また別のイラク侵攻
2月21日、米空軍による協力のもと何千ものトルコ軍兵士がサダム・フセイン政権崩壊以来最大のイラクへの越境攻撃を開始した。トルコ政府は、クルド労働党(PKK)がイラク北部をトルコへの攻撃地点に利用していると非難している。トルコは、武器や情報などのほとんどを米政府から入手している。
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