見つけた 犬としあわせ

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2008/05/29

キューザックのWar,Inc.


◇ジョン・キューザック 戦争に行く

ジョン・キューザックは怒っている。そして君らもまた怒るべきだと考える。型にはまった戦争の風刺を進歩させた、自殺的な映画の機会かもしれないものを受けるほど彼は怒っている。

主題としてイラク戦争は大作映画にはさえない墓場だった。だが、ロサンゼルスで5月23日公開された映画「War,Inc.」で、キューザックはいちかばちかの冒険をやっている。ヨシュア・セフテルが監督し、キューザックが共同で書いている映画は、軍隊の民営化に証拠を挙げて反対するのに、辛辣なユーモアと、独創性と個性的演出をはっきりうちだす映画監督の不条理主義者のレンズを使うことで、観客を揺さぶり強い影響を与えることだろう。

「すべてが外部委託される、すべてがもうけるため」だと、ヴェニスプロダクション事務所でのインタヴューで42歳の俳優・作家・監督は言った。「人が実際にこれを理解しているとは思わない。戦争自体がコストプラス方式(原価に協定利益を加算する方式)のビジネスだと言ってもよい程度まで、企業が戦争を民営化してきている。彼らは政府がすることになっている非常にコアな職務を掘り抜いている。彼らはATMとして国務省を活用しているんだ。」

「彼らは刑務所に送られるべきだよ。彼らは有罪と宣告されるべきだ。彼らのイデオロギーは面目をつぶされるべきだ。ボクたちは彼らに反抗すべきだ。ボクたちは彼らをもの笑いの種にしてあざけるべきだ。」

そこで彼が主役を演じるのは、ブランド・ハウザーという人物、「War,Inc.」の堕落した法人の暴利をむさぼる者だ。(「セイ・エニシング」から彼の映画の多くでたびたび共演するキューザックの姉のジョーンがハウザーの秘書を演じる。)

武装した従業員のいる民間企業が中東で米軍といっしょに軍事行動をとっていたのを初めて国民に気づかせた、イラク・ファルージャでの軍請負人グループの殺害の後、キューザックと友人のジェレミー・ピクサー(映画「ブルワース」を共同で書いた)とマーク・レイナーはこの映画のためのアイディアを考え出した。

今日、ブラックウォーターのような民間企業に雇われて、アメリカの元兵士らがイラクで整然と組織された軍の役割を演じて、国務省との契約の下に米国外交官の安全確保の手段を提供する。

政治が常に激しく議論される、シカゴのリベラルなアイルランド系カトリック教徒の家庭で成長したキューザックは、問題を黙殺したままではいられないと感じた。

「ボクたちが許しているのは、政府お気に入りの戦争で金持ちになる企業のための保護貿易主義のいかがわしいやり口だ」とキューザックは言った。彼は映画を作ることで「Baghdad Year Zero」の作者、ジャーナリストのナオミ・クラインの著作を激しく頼りにした。「ブラックウォーターのような会社は、ボクが市政学のクラスで学んだ、考えられる抑制と均衡(米国政治の基本原則)をどこで保たれるのか?」

確かに、キューザックは俳優としてエッジーな役柄を引き受けるのを決していやがってきていない。彼の成果は軽い作品(「理想の恋人」05年)から冷酷でグロテスクな作品(「アイスハーヴェスト氷の収穫」05年)まで幅広い。そしてインディ映画界のイコン(「ジョン・マルコヴィッチの穴」)。彼の演じたキャラクターのように、彼は危険を冒す人間だ。

メジャースタジオが「War,Inc.」を後援しないのを彼はよく承知している。代わりに、自主的に配給されればいいことになる(この映画の場合にはFirst Look Internationalから)。「従って、うまくやりとおせるか心配せずに、ボクらは、なんであれしたいことをすることにした。」とキューザックは言った。

ボックスオフィス(劇場のチケット売上金)の結果がどうであれ、映画は彼の意見を正直に表すとキューザックは考える。「まさしく君自身を表現して成功することが必要だ」とキューザックは言った。「この映画は会話を始めることを意味する。」

キューザックは「War,Inc.」のおどけた感性を、キューブリックの「博士の異常な愛情」のさっそうたる突進を有するマルクス兄弟の映画になぞらえる。キューザックが映画をどう描写するか紹介しよう。「原子破壊器に風刺と超現実主義と誠実をいっしょに入れて、それを全部まとめてブレンドする。」

そのアプローチを誰もが好きでないのは明らかだ。トライベッカ映画祭で上映された映画は賛否両論の評価を得てきている。ある批評家はそれを「気むずかしすぎる」と呼んだ。

アーティストのスタジオ産業ベニスの中にこじんまりとおさまるキューザックは、巨大な天窓のあるスペースを占有する。大部分のモノは彼の過去の作品で使われる小道具と家具だ。最も人目を引くのは2002年の映画「アドルフの画集」のセットで使われた大きな絵画だ。映画でキューザックはヒットラーを助けたユダヤ人アートディーラーを演じた。

ごたごたを起こすのが好きなのを彼は認める。ありきたりの映画スターになりたければ、彼は間違いなくそれになれた。彼には女性が愛する感じやすいあこがれの的(すてきな男性)的なアピールがあった。だが、それは彼向けのものではなかった。

彼は政治と映画の問題になると、俳優で第二次世界対戦の退役軍人の父親、ディック・キューザックの助言を重く頼りにしてきている。

「父はボクに多くのことを教えてくれた」とキューザックは言った。「正しく生きれば、後ろめたさを示さずにどんな男をもまともに見ることができ、くたばってしまえと言えるんだと彼は言った。温室に石を投げることになるので、多くの人たちに対してそれはできない。オヤジのようにボクはりっぱではないが、戦争で暴利をむさぼる連中はどうなんだ?彼らはくたばっていいよ。」

(By Tina Daunt, Los Angeles Times Staff Writer May 23, 2008)
tina.daunt@latimes.com