ウォルター・サレス いい線いってる
◇ウォルター・サレスの「オン・ザ・ロード」で2人を演じるべきスターは誰か?
ロンドン発:今週、ラテンアメリカ映画の繁栄で復興を導く人のひとりであり、ブラジル人映画監督のウォルター・サレスと遭遇する幸運に恵まれた。彼は共同監督のダニエラ・トーマスと共に最新作「Linha de Passe」(今年のカンヌのコンペティション作品)のプロモートでロンドンに来ていた。
父親がそれぞれ異なる4人の兄弟と4人を妊娠したチェーンスモーカーで大酒飲みの母親のきびしい話としても、サンパウロで始まる映画は美しい。彼らはブラジルの広漠たる広がりの下層階級の一員で、それぞれのやり方で全員が運命を克服し彼ら自身にとって違うもっとましな未来を創り出そうともがいている。
いまのブラジルの映画製作の文脈で実際この映画がおもしろいのは、「シティ・オブ・ゴッド」や今年のベルリン映画祭で金獅賞を受賞した「Elite Squad」といった映画がおそらく表現した風に、スラム街の暮らしの暴力を魅惑的に見えるようにするのを拒むことだ。(「Elite Squad」はジョゼ・パジーリャ監督の血と混沌にまみれた犯罪アクション映画。受賞の際のファシズム寄りで警察の残忍さを美化するとの批判の声に監督はリオデジャネイロの現実を映し出していると反論する。)
超飽和度に達したカラーと気まぐれな編集の代わりに、「Linha de Passe」はサレス監督がこの5人のキャラクターとその生きざまに焦点を合わせることで、もっと沈思黙考する成り行きの作品に向かう。灰色の空とさめた色のパレットが彼らが毎日直面するうわべ絶望的な社会的障害を補足する。
コベントガーデンでサレスに会うと、彼は、私と会う前にいっしょに朝食を食べた作曲家フィリップ・グラスのような友人たちと会うチャンスがあるので、どんなにロンドンが大好きかを私に伝えた。
サレスはジェットラグ(時差による疲労)に苦しんでいて、「映画を作るのは1800メートル走るようなもので映画を市場に出すのはマラソンを走るようなもの」と言う。彼は100%チャーミングで、まもなくのフランシス・フォード・コッポラとの、ジャック・ケルアックの50年代のカルト小説「オン・ザ・ロード」の脚色はもちろん、「Linha de Passe」について大量に話した。彼が「オン・ザ・ロード」を脚色する背景には、彼の映画「モーターサイクルダイアリーズ」でのチェ・ゲバラの初期の日記の脚色の成功がある。
そのようなカルト小説を脚色する困難についてと熱心な本のファンを満足させられる自信があるのかどうか彼に尋ねた。
「モーターサイクルダイアリーズを脚色したとき自問しなければならなかったのと同じ問題」だと彼は言った。「エルネスト・ゲバラの熱心なファンがそれはたくさんいるのはわかりきっていたから、それでボクは最も確実な頼りになる手法でやろうと務めた、できる限り本の本質に忠実であろうと務めること、で、オン・ザ・ロードでボクがやろうとしてるのもこれだ。」
映画でサル・パラダイスとディーン・モリアティの二人の主役を誰に演じさせようと思っているかについて彼はたいして漏らしてくれなかった。彼とコラボしてきたラテンシネマのスターとか、なんかアイディアはあるのかどうか聞いたとき、「まだないよ、ボクを助けてくれませんか?」と彼は言った。
ということで、サレスに手を貸そうじゃないか。君は映画「オン・ザ・ロード」で誰がサルとディーンを演じるのがいいと思う?
(CNN.com 19 September 2008 From CNN's Mairi Mackay)
わたしは、うんと前にコッポラが映画の権利を買ったと聞いたとき、すぐにも映画化されると思って、マッチョ系とびぬけた行動力のディーン・モリアティはブラッド・ピット(映画「12モンキー」や「ファイトクラブ」の彼の狂い方から)で、サル・パラダイスことケルアックはやはりショーン・ペンかな、と思っていました。でも今となっては世代交代ですね。先日見たショーン・ペン監督の「イントゥーザワイルド」の主役なども候補に挙げられるのかもしれません。映画じたいがよかった。彼はワイルド(荒野)のワナにはまって死ぬことになり、モリアティはスピードのワナにはまって死んでしまう。なにはともあれ、「オン・ザ・ロード」はわたしの人生に欠かせない本なので、サレスはいい線いってると思うし、期待しないわけにはいきません。
写真は映画Linha de Passe」から、「セントラルステーション」もサレスの作品です。
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