見つけた 犬としあわせ

ニュースのファンジン、世界のニュースのサンプリング。 一枚のCDを聴くように一枚のコラージュを眺めるようにこれを体験して欲しい。

2008/11/28

あくまで異色のグレース・ジョーンズ


かつてのスーパーモデル、映画「007」に出演した女優、アンディ・ウォーホル、そしてシャネルやシトロエンのTVコマーシャルで知られるグラフィックデザイン、イラスト、写真、映像と幅広い活躍のフランス人アートディレクター、ジャン・ポール・グード(元夫)の霊感の源、グレース・ジョーンズが20年ぶりニューアルバム「ハリケーン」を完成させた。ゲストにはスライ&ロビー、ブライアン・イーノ、アフロビート創始者のトニー・アレン、そして久々のトリッキーなど、まぶしいほどのラインナップがそろう!(10月22日発売)

◇歌手であり、映画女優、スタイルのイコン、グレース・ジョーンズが音楽デビューを果たして30年以上にもなるのに、なお堂々とした存在で人の心をえぐる。

ロンドン南西にある彼女の家に近いスマートなイタリアレストランで、ジャマイカ生まれのスターは赤ワインをちびちびやりながら上品にカットされたレアな牛肉を少しずつ噛みながらファンと話し合っている。

歌手がスパでリラックスしていた故に、打ち合わせは当世風の2時間遅れになっていた。

彼女の色の濃いサングラスとシガレットはすぐかたわらに、そして華麗な毛皮のコートはそばのイスにかけられる。

非凡に見える60歳(今年5月彼女は60歳になった!)はゲイのラジオ局の番組を収録していて、少人数の集まりに耳障りなジョークを言っては、笑いが広まってピシっときまる。

ジョーンズはブロードキャスターをきれいに忘れて20年ぶりのアルバム「ハリケーン」について詳細に論じる前に、彼女特有のひどくリッチな声でマイクロフォンに安全なセックスのメッセージを咽を鳴らすように話す。

「アルバムにしようなんて決めてなかった、二度とアルバムは作らないと決めていた。偶然だった」と彼女は説明する。

「私のモチベーションはそのレコードが大好きだからってだけ」と、新発売のアルバムに付随しているひとしきりの宣伝に彼女は言い足す。

かつてのファッションモデルでアンディ・ウォーホルのミューズは、厄介なディーヴァではあるが、それは彼女が完全主義者であるからだとそれとなくにおわす評判が知れ渡ってきている。

「他の誰かがやってることは絶対にやらない。音楽から立ち去って農夫になるかクロケット(ゴシック建築の天蓋に付ける葉形やつぼみの飾り)を作ってもいい。私にとって人生最悪なのは愉しくないことをすること。」

・エイミー・ワインハウスに目をやる

実は、彼女はレコードプロデューサーのスライ&ロビーに一度ならず歌を録音させる唯一のアーティストだと公言する。

「明日は来ないわよと言うだけ」と彼女の説得方法について教える。

彼女のメイクアップアーティストと男友達とレストランにやってくるジョーンズは、彼女のニューアルバムは「音楽との情事(恋愛関係)」だったと言う。

新譜を補足するため、来年ツアーが行われることになっているが、ショーは檻に入ったタイガーやムチの傷跡と乏しい装いの男性ダンサーを含める伝説的なスペクタクルからは遠く離れたものになると彼女は言う。

「音楽に集中したものになるはず、つまり爆弾が落ちても、私の声は続き、客を楽しませることができる。」

「けばけばしさ(ハデさ)はあるでしょうが、圧倒させるものではない。流行のロックンロールになる」と、奇怪な服のセンスで有名になるジョーンズは言う。

「なにか特別の楽器、ちょい役のアコーディオン、カウベルやパーカッションを習うつもり」と彼女は言い添える。

1980年代に「Slave To The Rhythm」や「Pull Up To The Bumper」がヒットするジョーンズは時の試練に耐えてきており、ミュージカル「ローナー(単独行動派)」であるのを認めてきている。

だが、「存在する唯一おもしろいニューヴォイス」エイミー・ワインハウスとのコラボレーションに照準をあわせてきている。

困ったスターの災難に動じないジョーンズは、過去の中毒での自分の問題に苦しんできている。

・ちょうどラッセル・ハーティ・ショーの時

「ねえ(ダーリン)」と彼女はものうげに言う、「私たちにはみな浮き沈みがあるわ。他の誰かというよりむしろ彼女の一番の関心ごとのために彼女にはアドヴァイスが必要。」

「私は実地を踏んできたから十分知り尽くしている。突然急激に変化するローラーコースター人生」と彼女は名声(評判)に潜在する落とし穴についてコメントする。

「今のところ私にはやるべきことが山ほどある。でも、私が彼女のことをよく知っていて喜んで会うのを彼女はよくわかっている。」

主題がリアリティTVの話に変わると、瞬間、ラッセル・ハーティの時の恐怖が蘇る。1981年、ラッセル・ハーティの番組でジョーンズはおしゃべり番組のホストをりっぱ(すてき)に攻撃した。

「リアリティTVでしゃべる出演料、数百万ドルを私は断った。完ぺきな立ち入り禁止」と彼女は声高に言う。

「ああいう番組には芸術的趣とか激励されるものなどなにもない。行く手をはばむものがどれほど低いか?私は自分に値を付けてそれを維持しなければならない、そして誰になんと言われても構わない。」

ジョーンズが彼女の並外れたキャリアのハイライトについて尋ねられると、ムードはたちまちソフトになり、彼女の人生に形を与える人物に謝意を表す。

「それは、あなたの声は他の誰にもないあなたの声だと言った私の声楽コーチだった。それが誰にも匹敵しない明快さを私に与えた」と彼女は説明する。

会話が終了となった後、歌手はパーティに出るつもりである。私は呼び返される、そうして息子の誕生が彼女の人生の真のハイライトだったと彼女は私に教えることができる。

まねのできないグレース・ジョーンズによって呼び出されるとき、君は応える。

グレース・ジョーンズの「ハリケーン」はいま発売中、ニューシングル「Williams' Blood」は12月8日に発売される。彼女のUKツアーはバーミンガムで来年1月19日に始まる。

(BBC NEWS by Michael Osborn 24 November 2008)

「Williams' Blood」のヴィデオはこちらで見ることができます。これが60歳!さすがグレース・ジョーンズ!やってくれます。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/entertainment/7747504.stm

写真はウォーホルの作品「グレース・ジョーンズ」です。