見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2010/05/15

宮下ナイキ"マネー"パーク




◇米スポーツ用品大手ナイキ(NIKE)が、東京渋谷の宮下公園を「宮下NIKEパーク」に変える計画の改修工事が、反対運動の阻止によって立ち往生している。

・反対派、公園に住み着ついて抗議
 
宮下公園はJR山手線の線路脇にある約1ヘクタールの区立公園。高層ビルが建ち並ぶ渋谷の繁華街では数少ない緑地を提供しているが、渋谷区は数カ月前、ナイキパーク計画のために公園に住んでいたホームレスの人たちを立ち退かせた。しかしその後、反対運動を行う数十人が公園内に住み着き、計画に抗議している。

公園のフェンスには「宮下公園のナイキ化に反対」の立て看板。反対している人たちは1日のほとんどをコーヒーや紅茶を片手に過ごしながら時々公園内を見回り、工事が始まらないよう監視している。その1人、小川てつオ(Tetuo Ogawa)さんは「営利目的のためのスポーツ施設を、1私企業であるナイキによって、公共空間である公園に建設させる区の計画に反対している」と語る。

・企業の「社会的責任」か、誰もが使える「公共空間の確保」か

計画は3年前に持ち上がり、当初工事は前年9月に着工される予定だった。それが4月に延期され、その後も抗議運動によって阻止されている。日本国外の反グローバリゼーション運動もこの反対派を支持し、オーストラリア、フランス、タイの日本大使館前やナイキの店舗前で抗議集会などが行われた。

地元では計画を歓迎する声もある一方、公園や橋の下に段ボールやビニールシートで覆いを作って暮らす東京のホームレスを排除する動きのひとつだという批判もある。

一方、ナイキの広報担当は、計画は同社のCSR(企業の社会的責任)活動の一環だと反論する。24時間オープンのナイキパークとして生まれ変われば、今より安全になり、 もっと多くの人に利用されると言う。区職員によると、ナイキは向こう10年間、ネーミングライツ(施設命名権)料として渋谷区に対し、年間1700万円を支払うほか、改修工事費を負担する。

AFPの取材に対しある渋谷区職員は、老朽化のためいずれ公園は改修が必要で、ホームレスが住むことに周辺住民から苦情もあり、ナイキパーク計画は区にとってもナイキにとっても有益だと説明した。区ではホームレスシェルターへの入所支援や、ビニール小屋を近くに移動させる手伝いまでしたという。さらに、 反対派の人たちが居座っているため、一般の人が公園を利用できなくなっていると腹立たしげに指摘した。

反対している人たちには自称アーティストが多い。彼らが公園に作り出した光景を不思議そうに眺める通行人もいる。公園のフェンスには破れた傘や、上下逆さまの自転車のフレームが吊り下がる。

「アーティストの目から見ればこれもゴミじゃない」――小川さんによると、ホームレスの立ち退き後に残された家財道具などを使ったアート作品で、ナイキ化計画への反対を表現している。けれどアーティストだけではなく、もっと多くの人たちにそのスペースをオープンにしていかなければと言う。「誰でもコーヒーやお茶を飲みに来てください」

(AFP 2010年5月14日)

◇宮下公園をナイキ化計画から守る共同声明
みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会


私たちは、様々な立場を越えて宮下公園をナイキ公園化計画から守るために集う有志の者です。


現在、渋谷区宮下公園では、全面にスケートボード場とカフェを新設する改修計画が、区民や利用者に知らされない状態で進められています。改修後はスポーツ施設として使用料をとり、運営費に振り分けるそうです。総事業費(4億5千万円)を投資するのは、大手スポーツ用品メーカーのナイキ社。その名を冠したナイキ公園という名称変更までも計画されています。渋谷区は命名権により、5年間で1億5千万円を得るとの見込みです。

私たちは、以下の観点から、ナイキ公園化計画に反対します。

(1)今回の改修計画によれば、宮下公園はスポーツ愛好家だけの公園として変質することになります。本来、誰もが能動的に、自由に利用することのできる公共性の高い空間が、一企業が利益をえるための商業スペースに変わってしまいます。サービスを購入する人以外は、一休みすることもできない。このことは、社会や人と人のつながりに深刻な影響を与えるのではないでしょうか。

(2)宮下公園は長年、市民運動の集会場やデモコースの出発、終着地点として利用されてきました。また野宿を余儀なくされた人たちが、生活の場所を確保することによって命をつないできました。今回の計画は、表現の自由や生活の場を一方的に奪うことに他なりません。

(3)この計画は、渋谷区長と一部の区議が、トップダウンで強引に進めていると言われています。区議会や都市計画審議会では諮られておらず、公開された資料にもほとんど情報がありません。また、なぜはじめからナイキ一社の名前が出ているのでしょうか。ナイキはアジア諸国での過酷な児童労働が問題化した企業であり、経営者による虐待や性的暴行も報じられています。渋谷区は計画を進める上で本当に民意を反映し、民主的なプロセスを踏んでいるのか、大いに疑問があります。

http://minnanokouenn.blogspot.com/

◇宮下公園の改修工事着工が4月1日と迫る中、「のじれん(渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合)」と「みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会」が3月31日午後6時頃、緊急デモを行い約180名が参加した。参加者は原宿NIKEショップ、渋谷区役所、渋谷繁華街、工事施工会社の東急建設前をデモして歩いた。

一方、渋谷区議会では、3月の定例議会本会議にて、宮下公園に関わる2つの条例「宮下公園運動施設管理条例」「都市公園管理条例」が賛成多数により可決された。宮下公園の改修計画には、様々な疑問点があがっており、新聞などでも取り上げられているものの、質疑と討論はともになく可決された。

可決されると同時に、傍聴人から「ナイキ化反対!」などの声をあげ議場は一時騒然となった。宮下公園のネーミングライツと改修工事計画に反対している人々は、4月1日以降、工事着工をとめるための行動を継続する予定にしている。

(OurPlanet 2010年3月31日)

写真は「みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会」のタグと、「宮下NIKEパーク」のポスター(守る会ブログより)