日本の希釈政策
◇ブラッドリー・マニングの弁護証言で元グアンタナモの検察官が漏洩はアメリカになにひとつ被害を生じさせなかったと述べる
(引用元:デモクラシーナウ!10 July 2013)
http://www.democracynow.org/2013/7/10/testifying_for_bradley_mannings_defense_ex
国連のある委員会の席で、アフリカの委員のひとりが「日本は自白に頼りすぎではないのか。中世のなごり」と指摘。これにむかつく日本の人権人道大使が「日本は世界一の"人権先進国(の一つ"と訂正)」と言い返して、会場からおもわず苦笑が漏れる。すると、冷静な一国の代表であるはずの上田人権人道大使は、こともあろうに国連拷問等禁止条約委員会の場で、うんと格下のこどもを叱りつけるような、「何がおかしい?!笑うな!」「黙れ!黙れ!」と暴言を吐いた。
これは、まさに"的を得た"指摘に、高慢ちきに反応したこの人、この人物というより、こんな人を人権人道大使に任命する国に対して、おもわず漏れた苦笑だというおはなし。
日本はこの20年、人権ではなにも変わっていない。2009年に国連から人権状況で是正を求められる122件の勧告を受けていたが、ヒューマンライツナウの調査で、そのほとんどが改善されてないと報告される。
福島第1原発事故後の日本の対応では、世界の反応は苦笑どころではないはず。
参議院選まもないこの時期、ひとりの人間として恥ずかしくないか自分に聴くために、忘れていたニュースや記事をほじくり返して考えてみることにする。
がれきも、野菜も、海のものも、放射能汚染されたものを汚染されてないものに混ぜて「危険ではありません」とするのは、放射線防護の国際合意で禁じられている。
日本はこの"希釈禁止合意"に違反していると、ドイツ放射線防護協会が一昨年12月に政府の"希釈政策"を早急に撤回するように警告していた。
FOE Japanのプレスリリースより 07 December 2011
◇放射線防護の基本規則は、福島原発事故後も無視されてはならない
放射線防護の国際的合意として、特殊措置をとることを避けるために、汚染された食品や廃棄物を、汚染されていないものと混ぜて「危険でない」とすることは禁止されている。
日本政府は現在、食品について、および地震・原発事故・津波被災地からのがれき処理について、この希釈禁止合意に違反している。ドイツ放射線防護協会はこの「希釈政策」を至急撤回するよう勧告する。撤回されない場合、すべての日本の市民が、知らぬ間に東京電力福島第一原子力発電所事故の「二次汚染」にさらされることになるだろう。空間的に隔離し、安全を確保し、管理された廃棄物集積所でなければ、防護策は困難である。
「汚染を希釈された」食品についても同様である。現在の汚染がれきおよび食品への対応では、日本市民に健康被害が広がってしまうだろう。
日本ですでに始まっている汚染がれきの各県への配分、焼却、および焼却灰の海岸埋め立て等への利用は、放射線防護の観点から言えば重大な過ちである。焼却場の煙突から、あるいは海洋投棄される汚染焼却灰から、がれき中の放射性物質は必然的に環境に放出される。ドイツ放射線防護協会は、この計画の至急撤回を勧告する。
(中略)
日本の現行の食品中放射性物質暫定基準値は、商業と農業を損失から守るためのものであり、人々を被曝から防護するためのものではない。ドイツ放射線防御協会は、この基準値が、日本政府ががん死亡者数、がん発症者数の甚大な増加、およびその他のあらゆる健康障害の著しい蔓延を許容する姿勢であることを意味するとして、厳しく指摘する。
このようなやり方で自国民の健康を踏みにじることは、いかなる政府にも許されない。当協会は、原子力エネルギー利用のもたらす利益と引き換えに、果たして日本社会がどれだけの死者と病人を受容できる準備があるのかについて、全国民参加による公開の議論が絶対不可欠であると考える。このような議論が必要なのは日本だけではない、これまで原子力ビジネスと政治的思惑によって阻まれてきた世界のすべての国々において必要なのである。
ドイツ放射線防護協会は日本の皆さんに強く訴える:
できるだけ専門知識を身につけるよう努めてください。そして、食品における基準値の大幅な低減と厳密な食品検査を要求するのです。すでに各地に開設されている市民測定所を支援してください。
ドイツ放射線防護協会は日本の専門家の皆さんに訴える:
日本の市民のサイドに立ち、放射能とはどんなものか、どのような障害をもたらしうるものであるかを市民に説明してください。
ドイツ放射線防護協会 会長 セバスティアン・プフルークバイル(博士)
全文はここに▼
http://www.foejapan.org/energy/news/pdf/111127_j.pdf
△ドイツ放射線防護協会は、1990年に設立された放射線防護を目的とする専門家団体。ドイツ連邦政府下の放射線防護規制当局であるドイツ放射線防護局とは全く別。国際的な核利益共同体の影響からは全く独立し、一般市民の立場からの放射線防護に関する一種のシンクタンク。さまざまな調査研究報告や提言を随時発信している。会長はセバスチャン・プフルークバイル。副会長のインゲ・シュミット・フォイエルハーケは欧州放射線リスク委員会(ECRR-European Committee on Radiation Risk)の運営機関であるアジェンダ委員会の委員長でもある。
http://www.gfstrahlenschutz.de/en/index.html
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