見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2014/12/12

北星学園大脅迫

◇戦争を書き直す記事、日本の右翼が新聞を攻撃
ニューヨークタイムズ紙 2 December 2014 by Martin Fackler

札幌:出世する記事(元慰安婦の証言記事)を書いたとき、植村 隆は33歳だった。当時、日本で2番目に大きい新聞、朝日新聞の調査報道記者、彼は第2次世界大戦中に大日本帝国陸軍が女性たちを軍の売春宿で働くことを強要していたかどうか調査した。「記憶がいまでも悲嘆をもたらす」との見出しのもと、彼の記事は韓国からの元従軍慰安婦の顛末を伝える最初の報道だった。

四半世紀早送りして、現在56歳の植村氏をジャーナリズムから退かせたその記事は、日本の国家に関する右翼のターゲット。タブロイド紙(週刊誌)は、日本に恨みを晴らすことを目的とする中傷キャンペーンの一部だったと彼らが言う「韓国のウソ」を広める売国奴の烙印を彼に押す。すさまじい脅しは、ある大学(4月からの神戸松蔭女子学院)の教授の職を彼に失わせて、じきにもうひとつの職を彼から奪う可能性があると植村氏は言う。過激な国家主義者らは彼の子どもたちにも襲いかかる、そして人びとを駆りたてて彼の十代の娘を自殺に追いやるメッセージをインターネットに投稿する。

脅しは右翼のニュースメディアや右翼の政治家による朝日新聞へのあからさまな激しい攻撃の一部である。朝日は、長いこと日本の保守派がひどく嫌うことを賛美する新聞だった。戦いはまた、安倍晋三首相の右に偏向する政府のもとで燃え上がった日本のとがむべき戦時のふるまいをめぐる遠大な論争でのごく最近の一斉射撃でもある。

しかしながら、この最新のキャンペーンは安倍自身を含める国家主義者の政治家のせいで戦後日本がこれまで経験したどれより度を超えていた。それはまた、戦時の女性の強制売春に対する政府の1993年の謝罪の再考を要求する見直し論者を勇気づけもした。

「歴史を否定する手段として彼らは脅しを使っている」と植村氏は言った、彼は申し立てをするせきたてる力で話して自分の正しさを証明するため書類の山と共にこの北の都市での会見にやって来た。「彼らは私たちを脅して黙らせたい。」
解説者が「朝日新聞戦争」と呼んでいる戦争は、1980年代と90年代前半に発表した少なくとも12の記事を朝日新聞がおおっぴらの批判に屈して撤回した8月に始まった。これらの記事は、軍の売春宿として韓国人女性を誘拐するのを手伝ったと主張した元兵士の吉田清治(朝鮮人慰安婦強制連行証言)を引用した。吉田氏は20年前に信用に値しないとされたが、日本の右派は朝日新聞の意思表示を激しく非難して、創業135年の新聞を廃業に追い払うため、ボイコットを要求した。
10月議会委員会に話しかける安倍氏は、朝日新聞の「誤った報道は多くの人に名誉毀損、悲しみ、苦痛、怒りをもたらした。それは日本のイメージを傷つけた」と述べた。
今月の選挙で保守派は国の主要な中道左派新聞を妨げて困らせようとしていると情勢分析解説者は言う。朝日新聞は長いこと日本の戦時軍国主義に対する大償いを支持してきており、他の問題で安倍氏に反対した。しかし、2年前の選挙で惨敗したあと、国のリベラル野党が混乱したままでいるとき、朝日新聞はますます孤立を深める。
安倍氏と彼の政治的同盟者らはまた、もっと大きな標的、日本軍が戦時中に何万人もの韓国人や他の外国人女性に性的奴隷を強要したとの現在国際的に認められる見方に襲いかかる待ちに待ったチャンスとして朝日新聞の災難をすばやくとらえた。
大日本帝国軍が占領地の女性を戦利品として扱い、女性たちをかき集めて中国から南太平洋へと広がる公衆便所として知られる軍運営の売春宿制度で働かせることに大部分の主流の歴史家が同意する。多くの女性が工場や病院での仕事の申し出でウソをつかれたあとに公衆便所で帝国軍兵士にセックスを提供することを強制された。東南アジアでは日本兵が単に女性を誘拐して売春宿で働かせた証拠がある。
兵士とのセックスを強制されたと言うために進み出た女性の中に当時オランダの植民地だったインドネシアで捕らえられるオランダ人女性に加えて中国人、韓国人、フィリピン人がいる。
慰安婦を支援する女性や活動家は女性がしばしばだまされて彼女たちの意志に反して強制されたと言うが、日本軍が誘拐するまたは朝鮮で女性を罠に掛けることに直接関与した証拠はほとんどない、朝鮮は戦争が始まったとき何十年も日本の植民地だった。
しかしながら、どんな女性も性の隷属で捕虜にしておかれたことを否定するためや、慰安婦は金持ちになるために単に駐留地に随行する売春婦だったと主張するために、修正論者らは誘拐の証拠不足をすばやくとらえた。
慰安婦問題の学者にとって驚愕は吉田氏がウソをついたとの朝日新聞の結論ではなくて、正式な撤回を出すのにこれほど長くぐずぐずしたことだった、新聞は彼の答弁の真実性を証明できなかったことを1997年に認めた。安倍政権の一部が朝日の記者を批判するのにその記事を用いていたのでついに行動し、誤解を正すことによって攻撃を鈍らせたいと願ったと朝日新聞の社員は言った。
それどころか、動きは弾劾の嵐を吹き込んで修正論者らに彼らの見地からの歴史見解を進めることで新たな好機を与えた。彼らはまた、外国の専門家を信じられぬ思いで戸惑うままにしておくとの主張を押し通してもいる、朝日新聞だけが慰安婦が強制の犠牲者だったと世界に説きつけることで責められるべきであると。
多数の女性が苦しい体験について証言で前に進み出たけれども、国際的な日本非難に起因したのは朝日新聞の報道だったと日本の右派は強く主張する。それには「20世紀の人身売買の最大の事件のひとつ」として日本に謝罪を求めるアメリカ下院による2007年の決議も入る。
保守派にとって朝日新聞を卑しめることは、あまりにも不愉快と彼らがみなす帝国日本の記述をぬぐい去り、1993年の慰安婦への謝罪をついにくつがえすという、待ちに待たれる課題を前進させる道程でもあると分析解説者は言う。日本の一般市民に対するアメリカの爆撃を含め、日本のふるまいは他の第2次世界大戦の戦闘員のそれより少しも悪くなかったと右派の多くが主張している。
「朝日新聞の容認は修正論者の右派にとって、”わかった!私たちの言ったとおりだ”と言う機会です」と東京上智大学の政治学者、中野晃一は言った。「これは日本の国家名誉を傷つけていると彼が考える歴史問題に襲いかかるチャンスと安倍は見ます。」
朝日新聞の保守的な競争相手、世界で最も発行部数の多い新聞、読売新聞は慰安婦に関する報道での朝日の誤りに強い光をあてるチラシを配ることでライバルの災難に乗じた。約700万部に対して、8月以降、朝日新聞の毎日の発行部数が23万797部まで落ちている。
右翼の週刊誌はそれ以上をする、たとえ彼の記事が朝日新聞が撤回した記事にまじってなかったとしても「慰安婦のうそつき」として植村氏を選抜する。
彼を守るまたは新聞自体を守るでも、朝日新聞は気遣いすぎていたと植村氏は言った。9月、朝日新聞の社長がテレビで謝罪して編集長を解雇した。
「安倍は他のメディアをおどして自己検閲させるために朝日の問題を利用している」と、植村氏を支えるために請願をとりまとめる手助けをした政治学者の山口二郎は言った。「これは新しいマッカーシズムのやり方です。」
植村氏が地域文化と歴史について講義する小さなキリスト教大学、北星学園大学は、過激な国家主義者による爆破のおどしのために彼の来年度の雇用契約を見直していると言った。最近の午後、かなりの植村氏の支持者が国家が意見の相違(不同意)を踏みつぶした戦前の不吉な時代の誤りを繰り返すことのないように警告する説教(訓話)を聞くために集まった。
植村氏は出席しなかった、そして人前に出ることに今は気が進まなかったと説明する。「これは他のジャーナリストをおどして黙らせるのに都合の良いやり方です」と彼は言った。「彼らは私と同じ運命を経験したくはない。」
http://www.nytimes.com/2014/12/03/world/asia/japanese-right-attacks-newspaper-on-the-left-emboldening-war-revisionists.html?action=click&contentCollection=Asia%20Pacific&region=Footer&module=MoreInSection&pgtype=article
△写真は、非常勤講師をする北星学園の前に立つ植村 隆さん