見つけた 犬としあわせ

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2015/06/19

太平洋の世紀

◇日本のナショナリズム:アメリカ帝国主義をおびき寄せるための手段か?
ICH(RT)25 May 2015  by Andre Vltchek

安倍晋三首相の日本政府がアメリカが起草した日本国憲法を改正しようと努め、戦争を行う権限を東京の軍隊(自衛隊)に認めるとき、中には旧帝国主義の風潮の回帰を懸念する者もいる。

日本は戦後の平和憲法をまさに改正しようとする;戦艦を造り、戦闘機を購入して、どんどん完全武装している。新兵補充ポスターがそこら中にあふれている。同時に、日本は従順かつ忠実に占領軍であり最も関係が近い同盟国アメリカに味方して傍らに立っている。

事態に照らして、人はきっと安倍のなにが実際「ナショナリスト」なのかと思うはず。彼の忠誠心は西側諸国、特にアメリカに対して見いだされると思われる。絶対、自分の国やアジア大陸に対してではない。

なんでもアメリカが強く望むことを日本は我慢する。ワシントンはそこで決定的な役割を演じる「パシフィック・センチュリー(太平洋の世紀)」を夢に見ている;「対アジア軸」外交政策を容赦なく進めており、軍事的立場から、そして扇動的にわきにしっかりと日本を構想する;環太平洋パートナーシップ(TPP)を12カ国にせきたてており、日本がさっと動く。

千島列島のジレンマ(苦しい状況)

ロシアの島、サハリンが見える日本最北端の街、稚内では軍事上のレーダーや監視システムがガンガンに活発で、沿岸警備隊の船がいつでも出動できる状態で歴史的な港に待機している。

温泉を訪れる男性客が女性風呂に入れば起訴されることを警告するものを含め、街のほとんどすべての表示が日本語とロシア語で書かれている。

天気が可能にするなら私のホテルの窓からサハリンが見える。夏の間、2隻の巨大な船舶が日本人観光客をサハリンのロシアの街コルサコフと稚内間を往復便で輸送している。ロシアの漁船が定期的に北海道を訪れ、そこで文化交流やちょっとした売買がある。

ペチカ・レストランでは美味しいロシア料理が提供される、ビールがたっぷりふるまわれロシアの歌が歌われる(人気の曲は‘A million red roses’)。駐車場の向かいFukakō市場の施設はサハリンが日本に属した全盛時代のモノクロ写真を誇らしげに展示する。そして実際、クリル(千島列島)のすべてが日本に属した。

列島はいまだかつて解決されていない問題となる。日本のプロパガンダは常にソ連が第2次世界大戦の終わりに千島列島を横取りしたとの主張を繰り返している。何十年間も、日本は列島の返還を要求してきている。

だが、稚内でもロシアがその問題で妥協する必要があることを皆がみな確信はしない。小さな日本の漁船の船長は次のように説明する:

「ここ日本には極右の首相がいる。彼は、敵をつくっている国、そして実際にどうもロシアと中国の両方を潰したいらしいアメリカに非常に忠実だ。千島列島とサハリンが日本に戻るとすれば島は直ちにアメリカの空軍と海軍基地でいっぱいの、そしてロシア本土に非常に近い次の沖縄に変えられる。」
約3000キロほど離れた沖縄の元琉球王国は占領とその結果としての軍事化という継続する悪夢がもとのまま残っている。ここから数千のアメリカと日本の航空機が規則正しく中国と北朝鮮を挑発する。同時に、大規模デモが島を奮起させるとき、島民たちは占領に憤激する;人々は米軍の存在が終わることを要求しており、米軍基地を取り除きたいと思っている。だが安倍政権はもっと多くのアメリカの兵器、もっと多くの滑走路、もっと多くの戦争ゲームを手に入れたがる。

私は二度、沖縄で仕事した。二度目は南米のネットワークTeleSURの米軍基地に関するドキュメンタリー映画「Battle of Okinawa」に関わった2013/14年だった。

今は作家で教授の元アメリカ空軍パイロット、ダグラス・ラミスが那覇市で次のように私に状況を説明した:

「日本の米軍とアメリカの施設の約75%を沖縄が受け入れる。それは本土の大部分の日本人から見えないし念頭にない。沖縄は首都東京から1000マイル離れている。君が沖縄人と話すなら、彼らは60年以上の間どうしても日米同盟をになうよう求められてきたことに怒っているし失望している。アメリカとの軍事同盟はまた批評家がたいていワシントンに対する卑屈な態度というものを同伴する。外交政策でワシントンがしたいことを日本はめったにしぶらない。」

沖縄人の学者(沖縄国際大学准教授)友知政樹はアメリカと日本の両国の帝国主義の風潮と彼が考えるものによって警戒を表明している。彼は地元民の苦労を十分承知している。

「私たちはアメリカ帝国主義が私たちに対する日本の植民地主義を利用していると思う。日本政府はアメリカ合衆国と安保条約を締結した、そして次にアメリカが私たち沖縄人に米軍基地を受け入れさせるために日本を利用した」と彼は説明した。

上の写真:沖縄嘉手納基地の上空を飛行するUSAF F-15

ロシアに加えて中国と北朝鮮を刺激するためにそして反感を買う(敵に回す)ためにそこに基地があることを疑わない。多くの人々が第3次世界大戦はわけなく沖縄から始められると考える。

一流のオーストラリアの歴史家で長崎大学の名誉教授、ジェフリー・ガン(Geoffrey Gunn)はその地域における日本のますます好戦的な役割を心配する。

「安倍政権が日本名尖閣諸島(釣魚諸島)を国有化したときすべてが変わった。いま日本が、いわゆる係争諸島をめぐり実はまったく論争はないと断言するので現状が変わった。従って、東京政府は中国を怒らせた。中国はこの現状の変化に怒っている。」

矛盾の地、日本

長年日本は信じられないほど情け深い社会モデルを創り出すことに加えて、世界でだいたい富者と貧者との最も少ない格差を誇ることができた。多くの点でその統治者の一部がいかに右翼でも、日本は文句なく”社会主義者”の国として大目に見られた。

だが、一つ重要な問題がある。それが日本の国民に対してだけの社会主義者にすぎないことだ。

何十年間も、日本の企業は東アジアのいたるところで植民地主義者の凶悪犯のようにふるまってきた。たとえば、日本の自動車メーカーは多くの都市を破壊し、地方施政を買収し腐敗させて幅広い公共輸送機関網を構築しないよう強要したと、私は繰り返し知らされた。現在、クルマやスクーターの有害な煙霧に窒息させられているジャカルタやスラバヤのような非常に多くの超巨大都市圏は、単一の地下鉄路線または市街鉄道網がない。

この理由は、主としてアジア民族に西欧びいきの世界観を吹き込むことでの日本の奮闘によって説明される。何十年間も日本の大学は貧しい東南アジア諸国出身の学生に”奨学金”を提供してきた。彼らはこれらの学生に西欧びいきのドグマ(独断的見解)を吹き込み、革命の精神を弱めた、それ以上に日本人にされたことをどうしても他のアジア人にすること、若者を帝国の下僕としてふるまうよう改心させる。

第2次世界大戦で負けた後に結局日本は西側の勝者に忠実になった。マレーシアのマハティール・モハマド元首相を含め多くのアジアの総統は「日本がアジアに戻る」ことを要求した。日本は決して戻らなかった。朝鮮戦争を通じて日本は富者になり、西側の巨大軍事力のために物資や装備を製造する。ベトナム戦争を通じて日本は同じことをし続けた。現在日本は同じ方向に進んでいる。

東京の名門ソフィア大学のアイルランド人教授、デイヴィッド・マクニールもまた日本の公共放送局NHKのために働く。軍国主義化して吹き込まれるこれまでにない日本に彼はますます批判的だ:

彼らは教科書を書き換えている;彼らは第2次世界大戦を飛ばして読む、それに捧ぐのはわずか8ページ… ナショナリズム(右翼化)が激しくなっている。コメディ作家(放送作家)百田尚樹が「永遠のゼロ」と題するカミカゼ戦士についての小説を出版した、小説は500万部売れた!あのね、日本ではまさか500万部は売れない!

「安倍が本を読んで喜んだ。彼は百田尚樹をNHKの取締役会に加えた!そしてNHKの会長は例の右翼の凶悪犯だ。」

デイヴィッドはますます憤ってこう続けた:

現在、日本のメディアには非常に多くの自己検閲がある。そして、たとえば、なんでも”人から人へとうつりやすい”もの…またはなんでも歴史に関連するものをどう表現するか、政府がガイドライン、”オレンジブック”とやらを発行している。たとえば「外国人専門家を引用する場合を除き、南京大虐殺のような言葉はいかなる時にでも使用しない」、または「靖国神社は、それに関連して”議論の的となる(問題の多い)”という言葉はいなかる時にでも使用しない」といった作家や翻訳者への指示がある。私たちは第2次世界大戦から”性的奴隷”について書くことができない。

私はまた日本国民が時事問題について一方的な解釈を提供されると知らされる。ロシア、シリア、中国のような話題になると日本人はもっぱら欧米のプロパガンダを丸呑み状態にされる。

「そして現に日本人はNHKが言うことを信じる」とデイヴィッドは述べる。 
写真:靖国神社にある第二次世界大戦の戦闘機(Photo by Andre Vltchek)

私のノーム・チョムスキーとの映画の中に香港の”アンブレラ革命”の画像を与えるとき、私の映画編集者、畑 武志は微笑む:

「日本では人々があの”カラー革命”や最近の香港の出来事に欧米が味方していることを理解しない。香港は自由と民主主義の運動だったとの総意がある。どんな選択肢の情報源もほとんど入手可能ではないからだ。」

アブダビやベイルートのような場所でさえ、すべての主要ホテルでRTのようなTVチャンネルが利用できる。日本では利用できない。大きい国際ホテルチェーンはどこでも、主としてお決まりのローカルチャンネルにプラスCNN、BBC、そしてFoxだ。

例によって政治に不満を抱かせる

日本の現在の政治方針への不満はどこでも認識できるようだ、そして一部の小さな反体制社会ばかりではない。大手土木会社の元副社長、瀨木さかし(79歳)が、最近私に憤りを表明した:

アメリカとの極端に緊密な関係、そしてロシア、中国、その他に向かう敵対的取り組み方で、安倍首相は高圧的に隣国すなわち韓国と中国との軍事衝突にこの国を導いていっているように思われる、しかるに全住民はこれについて全く知らずに、絶えず減少する社会的便宜(恩恵)を押しつけられる。

「このすべてについて非常識でばかげているのは、何にせよ私たちの隣人を敵にまわすどのような必要性も存在しないことだ。中国は日本の主要な貿易相手国のひとつ。韓国もそう。私たちは相互の利益と損失から経済的に成長(または縮小)してきた。全くのところ、安倍は1960年のアメリカとの安保条約のために我々がこのようにふるまう必要があると企てる非常に愚かなゲームをしている。」

(中略)

日本の先導者らは、アジアの多くの地域で憤激に向き合っているが、欧米では大きな支持と賞賛に向き合う。日本の偉大な哲学者、100年以上も前に研究書「茶の本」を書いた岡倉天心の言葉を想起するよい折だ:

「西洋人にとって東洋の風変わりでおもしろい幼稚さの構成要素となる無数の変人という別の事例を除いて、平均的西洋人はこぎれいな自己満足で茶会を判断する。日本人が穏やかな平和の芸術を思いのまま満たす間、西洋人は日本をよく野蛮とみなした:日本人が満州の戦場で無差別虐殺を犯し出して以来、西洋人は日本人に文明化を命じる。」

日本が茶会に忠実であるならば、アジア大陸は非常に喜んだろうに、特に太平洋を渡ったイデオロギー的に借用される母国に安倍首相を行かせたあとだから。

△Andre Vltchekは、哲学者、小説家、映画作家、調査報道記者。 彼は何十カ国で戦争や紛争をニュースとして報道した。彼の新著は以下の通り:「Exposing Lies Of The Empire(帝国のウソをあばくこと)」、「Fighting Against Western Imperialism(欧米の帝国主義に対する戦い)」。ノーム・チョムスキーとの討論:「欧米のテロリズムについて」。「Point of No Return」は、彼のきわどく喝采される政治小説。南太平洋における欧米の帝国主義の本、「オセアニア」。彼のインドネシアについての挑発的な本、「Indonesia--恐怖の群島」。彼はteleSURとPress TVのために映画を製作している。彼は長年ラテンアメリカとオセアニアで暮らしたあと、現在は東アジアと中東に駐在して仕事をする。彼にはウェブサイト(http://andrevltchek.weebly.com)またはツイッター(https://twitter.com/AndreVltchek)を介して連絡を取ることができる。

http://www.informationclearinghouse.info/article41964.htm