見つけた 犬としあわせ

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2015/11/07

イラク戦争のあやまち

ジョージ・ブッシュのオヤジが自伝を出版。ディック・チェイニー元副大統領を、「非常に強硬(very hard-line)」「我々の思い通りにするためにあまりにもしきりに武力行使したがる」「冷酷ないやなやつ(iron-ass)」と表現し、ラムズフェルドを「尊大なやつ」「いばりの大家」と酷評している。

http://www.theguardian.com/us-news/2015/nov/05/george-bush-sr-book-reveals-a-more-dangerous-dick-cheney-than-anyone-knew

◇トニー・ブレアがイラク戦争の”あやまち”を後悔して、戦争がISISの出現に役割を果たしたと認める

イギリスの元首相が誤った情報や戦争を計画するというあやまちを陳謝して戦争がISISの出現を引き起こしたとの主張には一理あると認める

トニー・ブレアがイラク戦争の側面を陳謝して、チルコット報告書(イラク戦争審問の調査結果)より先に工夫(独特の解釈)をしようとしたとの主張を誘発する。

2003年サダム・フセイン打倒の余波についてきちんと備えることを怠ったことや、それを正当化するのに用いられるウソの情報に対して遺憾の意を表明するために、UKの元首相は、日曜にCNNヨーロッパで放送されることになっているアメリカのテレビのインタビューを使った。

「私たちが得た情報があやまちだったという事実を陳謝します」と彼はCNNに伝えた。「立案における一部のあやまち、そしてひとたび政権を取り除いたら何が起こるかについて、確かに、私たちの飲み込みの思い違いについても陳謝します。」

番組の司会者ザカリア(Fareed Zakaria)にイラク戦争がISの出現の主因だったかどうか尋ねられて、「それには一理あると思う」と彼が認めたことが日曜のMail紙によって報じられた。

「2003年にサダムを片づけた私たちが2015年の状況に何も責任を分担しないと、もちろん言えるはずがない」と彼は付け加えた。

あとで元首相の報道官が以下のように言った。「誤った情報や立案におけるあやまちをトニー・ブレアは常に陳謝しました。また彼は、しかしながらサダムを取り除いたことは誤りだったとは思わないと常に言っていたし、またここでも言います。」

「彼は、2003年にサダムを取り除くとの決定が”ISISを引き起こした”とは言っていません、ISISは、要するにアルカイダが打ちのめされた2008年末の時点では、やっとうわさを聞かされたことを指摘したのです。」

「2009年にはイラクはむしろ比較的しっかりしていたと彼は言い始めました。それから起こったことは2つの事態の組み合わせでした。イラクの政府によって進められた宗派心の強い政策がありました、それは判断を誤った政策でした。」

「けれどもまた、アラブの春が始まったとき、ISISはイラクからシリアに移動し、シリアから自らを拡大したのち、イラクに戻りました。」

「これが、以前に彼が言った全部です。」

長いあいだぐずぐずしているチルコット報告書の調査結果がついに発表されるとき、予想される批判の種に備える覚悟をし始めたとして、初のスコットランド自治政府首相(スコットランド民族党の党首)ニコラ・スタージョンがブレアを非難した。

「ブレア・スピン工作が始まりますがこの国はいっそう真実を待ちます」とスコットランド民族党の党首はツイッターに投稿した。「チルコット報告書にとって遅れはスキャンダルです。」

1年かかると自信を持って審問が当時のゴードン・ブラウン首相によって設定されて6年以上が過ぎて、まだ最終的な結論の発表の日付は言い渡されていなかった。

ブレアを含めると思われる批判に直面するかもしれない人たちにゆだねられて、“最大限入念化する(Maxwellisation)”として知られる手順によってひどく遅れた進行は、発表の前に応酬する機会を与えられる。

戦闘で殺された兵士の親族らは、日付がすぐに決定されないなら法的措置を実行すると言って脅している。

軍事行動に加わるとの決定の時に内務大臣だったブランケット卿は、余波のための計画に関してブレアから確信を求めたがむだだったと言った。

「戦闘作戦が終わったときどうなるかトニーは断言することができなかった。彼はただディック・チェイニーやドナルド・ラムズフェルドを信じることにした」と、彼は当時のアメリカの副大統領と国防長官に言及して日曜メール紙に話した。

「あとになって判断してみれば、政府の土台全体を分解することで、彼らがサダムのイラクの完全なる非バース党(シリアに生まれレバノン、イラクなどに広がった政党、アラブ統一と独自の社会主義を唱える)化に乗り出すことに決めたことが今はわかる。」

「これが、機能する政府のいかなる枠組みの崩壊にも導いて完全なる権力の空白を引き起こした。テロリストがイラクに潜入して不満をかきたてた。」

「私はトニー・ブレアに罪をきせようと努めていない。ワシントンに対して私たちにはもっと強い影響力があると私たち自身をだまして信じ込ませる責任がひとまとめにして私たち全員にあった」と彼は言った。

ジョン・チルコット卿が彼の調査結果の中間報告書を急いで発表しないとすれば、彼はその全能力の行使をまったく信用に値しないとされる危険を冒すことになるとブランケットは付け加えた。

http://www.theguardian.com/uk-news/2015/oct/25/tony-blair-sorry-iraq-war-mistakes-admits-conflict-role-in-rise-of-isis?CMP=twt_gu
△BBCのロビン・ブラント政治編集委員は、ブレア氏が「すでに謝ったことについて」あらためて誤っていると指摘する。
イギリスではイラク戦争開戦について「チルコット委員会」が事実関係を調査しており、同委員会は最終報告書完成までの予定表を近く発表する見通し。

<分析>ロビン・ブライアントBBC政治編集委員
元首相は以前すでに謝ったことについて謝っている。戦争を始めた全般的な判断そのものについては謝っていない。
新事実という意味で最も大事なのはむしろ、サダム・フセイン排除がいわゆる「イスラム国」の台頭に関係したかもしれないという点だ。
元首相はCNNに一理あると認めた上で、フセイン打倒後のイラクや周辺地域の情勢がいかに複雑かについて説明しはじめた。
特筆すべきことはもうひとつ。トニー・ブレアは、今のイギリスや欧州がシリアについて武力行動に参加していないのは誤りだと考えているようだ。
この記事を読んだり、インタビューを見たりする際には、タイミングを念頭におく必要がある。チルコット報告書がいつ発表されるか、その最終的な予定について間もなく明らかになるというタイミングでの発言だということだ。
チルコット報告書で自分がどう批判されるか、ブレア氏には予想がついている。それを念頭に置く必要がある。
報告書で批判されるだろう誰もが、ブレア氏を含めて、これからどうなるか分かっているのだ。

「真実の要素」
元首相はさらに、イラク進攻では「準備段階でいくつかミスがあり」、「(フセイン)政権を取り除いたら何が起きるか、我々の理解に誤りがあった」と認めた。
しかしその一方でブレア氏は、フセイン元大統領がまだ在職だった方が「世界にとって良かったか」と尋ねられたら、「そうだという人たちに同意するわけにはいかない」と述べた。
イラク戦争がいわゆる「イスラム国」の主な要因だったのではないかと問われると、元首相は「そこには真実の要素がある」と認めた。
「もちろん、2003年にサダムを排除した我々に、2015年の情勢について何の責任もないとは言えない。ただし、2011年に始まったアラブの春も、現在のイラクに影響を及ぼしただろうと認識するのも大事だ」
ブレア氏は、連合国がイラク戦争後に「幅広い支持基盤を持つ政府」をイラクに樹立しようとしたし、比較的安定した状態が2009年には実現できていたが、当時のイラク政府の宗派対立や「アラブの春」の影響で安定が損なわれてしまったとの見方を示した。
そのタイミングでISはイラクからシリアに入り、基盤を確立したのち、あらためてイラクに戻ってきたのだとブレア氏は語った。

イラク戦争開戦への流れを検証するサー・ジョン・チルコット主導の委員会の最終報告書は、現在まとめの段階に入っている。委員会設置から6年たつが、報告書発表のタイミングはまだ明らかになっていない。
英自由民主党のミンギス・キャンベル元党首は、ブレア氏の新たな発言がなんであれ、「重大な判断ミスがあったという世論は変わらない」と批判した。
バリー・モーガン・ウェールズ大主教は、ブレア氏が「開戦についてずいぶんと熱心で好戦的だった」と批判した。
一方で、イギリス独立党(UKIP)の国防担当報道官で欧州議会議員のマイク・フーケム氏は、チルコット報告書を「ただちに」公表するよう要求した。
スコットランド自治政府のスタージョン首相は、「ブレア陣営の広報作戦が始まったが、国はまだ真実の発表を待っている。チルコット報告書の遅れはとんでもない話だ」とツイートした。
しかしブレア氏の事務所は、今回インタビューに応じたのは、報告書発表前に批判をかわそうという狙いからではないと説明。広報担当者は「トニー・ブレアはすでに、(開戦前に得ていた)情報に誤りがあり、計画にも誤りがあったことについては謝罪している。その一方でサダム排除は間違いだったとは思わないとこれまでも発言してきたし、今後も発言し続ける」と述べた。

http://www.bbc.com/japanese/34634904