アメリカ人がイラクでしたこと
アメリカのイラク侵略について詳細に記録した本なら、あってしかるべきチャプターが、米兵はもちろんのこと、アメリカ人が訓練してしつけたイラク人平和維持部隊だか治安部隊だかの兵士や警官の、同じイラク人の女性に対するレイプ事件です(イラク人男性に対するレイプ事件もかなりあるという話)。
その筆頭にあがるのが、2006年3月12日バグダッド南部の町マハムディヤのある一家を襲撃した事件で、14歳の少女がひとり別室に連れて行かれ、レイプされ、火をつけられて燃やされ、妹と両親も殺害されるという冷酷なものでした。
その実行犯の米兵に対する審理が2006年8月10日に終了しました。
以下はAFPが配信するニュースからの抜粋です。
<バグダッド・イラク 10日 AFP>
イラク駐留米軍兵士らによるレイプ、殺人事件に関する審理が終了した。同事件は、3月12日にバグダッド南部の町マハムディヤ(Mahmudiyah)で、イラク人少女をレイプし、家族計4人が殺害されたもの。バグダッドの米軍事法廷で、この兵士らを軍法会議にかけるかどうかについて審理され、9日に終了した。
実行犯とされる米兵は5人。うちジェームズ・バーカー技術兵、ポール・コーテズ軍曹、ブライアン・ハワード兵卒、およびジェシース・ピールマン兵卒の4人は、同事件でそれぞれ異なる役割を果たしていたとされ、個別の容疑で告訴されている。検察から同事件の首謀者と指摘されているスティーヴン・グリーン兵卒はレイプと殺人の罪で起訴されている。グリーン兵卒は「人格障害」を理由に除隊となっており、米国ケンタッキー州の民間法廷で裁判にかけられる予定。グリーン兵卒は無罪を主張している。
3日間にわたり法廷で論争を繰り広げた後、軍の検察官は8日、兵士らの論告求刑の中で、この犯罪は兵士らが綿密な計画に基づき実行したものだとした。ピックランズ大尉は、兵士たちが以前から少女のことを知っていた点を指摘している。
「パトロールの際に見かけて、彼女が若くて魅力的だったから、犠牲者に選んだのだ。手近にいるか弱い存在だった」
弁護側は、事件の起きたマハムディアの検問所にいた兵士らが異常なストレスにさらされていたと主張したが、検察官のアレックス・ピックランズ大尉はこの主張を退けた。
「兵士らは集まってカードゲームを行い、飲酒し、犠牲者の少女をレイプし、殺害する計画を企てたのだ。本日ここで話し合っているのは戦争についてではなく、殺人やレイプについてだ」と、ピックランズ大尉は主張する。
一方、デイヴィッド・シェルドン弁護士は、「あれほど過酷なストレスにさらされている状況では、誰もが爆発寸前の爆弾になるはずだ。全員で犯行計画を話し合ったのではなく、グリーン兵卒が自分の計画を実行しただけで、他の兵士には責任はない」と、今回の事件の責任の大半はグリーン兵卒にあると主張している。
なお、アンソニー・イーライブ軍曹が、事件後にレイプと殺人が起きたことを知ったにもかかわらず報告をしなかったことに関し、同軍曹を職務怠慢の罪で起訴すべきかについての是非も審理された。
なぜレイプの話なのかというと、つい最近(18日か19日)にも二十歳のイラク人女性が家から拉致されて警察の駐屯地で集団レイプされました。レイプ犯は警察官だったそうですが、同じイラク人同士でも警官はほとんどがシーア派、女性はスンニ派という宗派間の恨みつらみがこういう形になったようです。日常茶飯事的にレイプ事件はあって、どの家族にも犠牲者が必ずひとりやふたりはいるというのがいまのイラクの現実。アメリカが占領する前には、フセインがいたとはいえ、レイプされて女性がじっとがまんするなんてことはなかったそうなんです。フセイン時代には、きちっとそれは違法行為であったということです。
写真はつい最近のイラク人警官による集団レイプ事件の犠牲者です。彼女は既婚者でした。
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