見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの、見つけたとき、 それを作品にしたり、思わずなにかの形にして、人に 伝えたくなります。 見つけたとき感じた、しあわせ感覚が、ひとしずくでも 誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

July 12, 2007

ペドロの「ボルベール」はすばらしい




映画「ボルベール(帰郷)」のペネロッペ・クルズは、全盛期のソフィア・ローレンかクラウディア・カルディナーレを想い起こさせる、他では見られない、「肚のすわったいい女」だった。冒頭からその立ち居振る舞い、態度、特に威風堂々とした腰の動きに圧倒される。日々のタフな肉体労働から、冷蔵庫や夫が入った冷凍庫を運ばせ、湖のそばにつるべで一夜かけて墓掘りさせるまで、女性たちに力仕事をたっぷりさせるのもアルモドヴァルのユニークな人生観、女性観からきている。「ボルベール」に出てくる女性はすべて、監督アルモドヴァルが実際に成長する過程でいつもそばにいて、働きぶりやおしゃべりから彼に人生を教えることになる女性たちの象徴だった。彼の人生の選び方、アートそして作風のインスピレーションの原点だった。その出演者の女性全員にカンヌが最優秀女優賞を与えたのは誠に粋な計らいだった。
「欲望の法則」にノックアウトされて以降、アルモドヴァルはなにがなんでも見なければならない映画監督のひとりになっている。彼の中の女性的なものの見方や、ラ・マンチャからマドリードに出てきてすぐに描き始めたコミックス、組んでいたパンクバンドなどの延長線上にあるポップで滑稽な彼のアートのセンスに魅せられたからだ。

ということで、アルモドヴァルの「ボルベール(望郷)」を見てきました。監督の故郷ラ・マンチャが舞台になっている映画の冒頭、墓を掃除する女性たちを東風と呼ばれる強風が吹き荒れて混乱させるのが、ストーリーの糸を引っぱっていく。
以下、アルモドヴァルのインタビューからカットアップ。
ラ・マンチャにバロック的芸術家が多いところが興味深いところ。平坦な土地 起伏もなく抽象的といえる風景 ただ地面が広がっているだけ そのまま空につながる おかしくなる土地だ。そんなラマンチャの土地が彼の作風に影響を与えてきている。前作「バッド・エデュケーション」もそうだが、前回がダークな部分を選んだとすると今回は明るい部分、どちらの映画も同じ人生の一時期に位置している。
自分の子どもの頃について語ったのははじめてだった。「映画の女性たちはボクが人生について学んだすべての女性たち。お手本にしてきた女性たち」 活力に満ちた女性は人生の象徴 「ボクにとって女性とは愉しみを与えてくれる存在」 彼女たちのおしゃべりがインスピレーションの源、フィクションの原点でもある。
映画が描く死について: 
「孤独な死はいやだ」 ラ・マンチャでは週3回墓を掃除しなければならない 実際、死んだ人といつもいっしょに暮らしているような土地柄 死は自然なもの その意味でラ・マンチャは解決しているが、「ボクは不可知論者だから 死はボクにとって未解決な問題」
映画製作とスペインにこだわる理由について:
映画は大勢の人間と作るものでも、ストーリーとむきあっているときはひとり、自分の頭の中にあることを知っているのは自分だけ 
スペインで映画を撮ることについては、よその文化で映画に活気や勢いがなくなるのはいやだ でも最近は冒険してみようかと思ている
映画で描く暴行や虐待について:
それはスペインの闇の部分だからだ 男尊女卑が際立った気風の土地柄で、男性が女性に性的暴行を加えることがいまでもあるということ。こんな悲惨な情況にあいながらも、痛みをかかえながらも、女性たちはそれを乗り越えることができる ボクは10歳頃までいつも女性に囲まれていた 実際父親は仕事でどこかに出かけていた 男は仕事かバーにいるものだった 女性たちは畑仕事をし家事をして家を切り回していた だから実際には女性が支配している 彼女たちはおしゃべりをして 歌を歌っていた
映画のペネロッペ・クルズが売りに出ていた隣のレストランで急遽、映画クルーのために食事を出すことになったいきさつで、若い頃に彼女がオーディションで歌った歌「ボルベール」を披露するシーンがある。絶品「トーク・トゥ・ハー」にもカエターノ・ヴェローソが歌う、これまた最高の夜のシーンがある(旅行記者マルクにはしびれた!)。ペネロッペの場合は彼女が歌っているわけではなかったが、人生には他のなにより歌を歌うことで表現できる機微なことがあるのをアルモドヴァルに教えたのも女性たちだったはず。
とにかくすばらしい映画!ペドロは最高のストーリーテラー。

写真は、80年代のペドロ、1987年の映画「欲望の法則」続いて1997年のこれまた大好きな映画「ライヴフレッシュ」のポスターです。 

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