見つけた 犬としあわせ

ニュースのファンジン、世界のニュースのサンプリング。 一枚のCDを聴くように一枚のコラージュを眺めるようにこれを体験して欲しい。

2007/08/28

19万3千ヘクタールのケシ畑




アフガンのケシ栽培が過去最高になったことは昨年の国連の報告書にありました。
ケシ栽培は違法でも、国民の三分の一がこれ関連で食べている事実がある上に、これに代わる生活の手段がないことで、撲滅と言ってもむなしく聞こえます。今年はさらに生産高が増えているのがわかります。
以下、それを伝えるBBCのニュースより。

◇アフガニスタンのオピウム(アヘン)生産が過去最高を記録
BBC ニュース 28 August 2007 by Alastair Leithead
昨年3倍以上も増えたことで、アフガニスタンのオピウム生産が最高記録に急上昇していると、国連は述べている。

国連の麻薬犯罪局はオピウム生産量が過去2年で2倍に増えていると報じる。
カンダハルに近いへルマンド地方が南米コロンビアのような麻薬で馳せる国々のすべてにまさり、いま世界で一番の麻薬生産地域だと述べる。
いま世界のアヘン剤の93%以上をアフガニスタンが占める。
何億という支援金や何万という国際部隊にもかかわらず、アヘンの原料となる19万3000ヘクタールのポピー(ケシの花)がアフガニスタンで育っている。
<反乱行為とのリンク>
「成り行きは非常にまずい、恐ろしいほどまずい、栽培が歴史に残るレベルにまで17%づつ増えているのだから」と麻薬犯罪局の行政局長アントニオ・マリア・コスタは言った。
「19世紀の中国の他に、こんな広さの土地が違法行為用に供される国はこれまでなかった。」
「南のへルマンド地方は残りのアフガニスタンより多くのオピウムを栽培している。生産と栽培の両方の点からみて、最大の独自の存在になっている」と彼は言った。
全体にわたる増加にもかかわらず、北と中央アフガニスタンでいま麻薬が罪に問われない多くの地方の2倍となって、ますます増えるアヘン・ケシがいまの南の反乱行為と不安定に密接に結びつくと報告は述べる。
それでどうすべきだと?報告は防護措置をこうずることでもっと断固とした奮闘を促す。
政府が腐敗にきびしくなるようにしきりにせきたてる、腐敗が麻薬取引を駆り立てていると言って、この新たな仰天の最高記録に関して、貧弱な統治、脆弱な裁判所制度、そして撲滅プログラムの失敗を列挙する。

◇アフガンの麻薬戦争での失敗 BBC ニュース by Alastair Leithead
「ガンを切り取らねばならないとわれわれみなが同意して今年われわれはもっと確固とした奮闘を委託される」アフガンの米国大使ビル・ウッド

国連はタリバンとアヘン剤生産での高騰とのつながりを報じる。
アフガニスタンで栽培されるアヘン・ケシの量を減らすための英国の奮闘に対する妨げとしてその数字は出てくる、原料はUKとヨーロッパのヘロインの大部分に向けたものなのだ。
彼らは栽培者と運び屋に対する麻薬戦争を戦う指導的立場にある国だ。
英国大使シェラード・カウパー・コールズ卿はこう述べた:「はなはだ深刻な事態を述べており、私どもは深く心配させられる。」
「麻薬問題はより深刻な病気の兆しであり、優柔不断に無秩序と反乱行為に取り組むとき、私どもはああいったあらゆる前線での非常に大きなチェレンジに直面しているが、ケシの生産が落ちるのを見ようと私どもはそれに取り組む。」
「全体にわたる結論は魔法のような解決策、銀の銃弾はないということで、忍耐が欠かせないということだ。パキスタンやタイでの経験が示すように、30年の戦争で弱ったアフガニスタン同様、衰弱させられた社会からこのようなガンを閉め出すには15年か20年かかる」と彼は言った。
腐敗・汚職が麻薬生産の急騰を駆り立てていると国連の報告は書く。撲滅の奮闘が妨げられたいつもの一年は、政府の腐敗ばかりか、地方レベルでの腐敗・汚職によるものなのだ。
<麻薬対抗策>
論議は戦略の変換を進めている、あるキャンペーングループは麻薬の生産を認めるためのプログラムの水先案内をしようと精力的に試みているし、アメリカの大使ビル・ウッドは空中散布が強大な衝撃をもたらしうると考える。
「まだ私の印象にすぎない」と彼は言った。「われわれはみな不正な麻薬はガンであり、医者が専門的助言を与えるというので同意する、あるものは強調する放射線療法、あるものは外科的手術とだ。私自身は外科医だが、ガンは取り去らねばならないことでみなが同意しており、今年われわれはもっと確固たる奮闘を委託される。」
「これに取って代わる農民たちの生計が1つ目の構成要素、2つ目の要素は阻止、3つ目は撲滅(根絶)だ。この3つの要素すべてが麻薬対抗策には欠かせない。」
そして秩序を回復して麻薬の積荷を厳重に取り締まるのにアフガン政府に非常に重きが置かれている。
名前のリストを渡していると国連は述べる、そして英国政府は「大物」のための厳重な警備の刑務所に資金を供給してきているが、まだほとんど前進はみられない。
臨時代理としての麻薬対抗大臣、コダイダド将軍は、これらの標的は追跡されるだろうが、申し立てによると政府の人間が運び屋とつながっていることで、これが起きてる現場でほとんど証拠がない、同時に司法はいまだに対面を保持することで苦労している、と言う。
「不幸にも、われわれはしくじってきている」とコダイダド将軍は述べた。
「防護でわれわれは失敗している、ドラッグ問題でわれわれは失敗している。へルマンドではいい仕事はしてきていない。防護をうまく指揮し、へルマンド地方でケシに取り組むのに、どうやって効果を上げるか、今年、われわれは戦法を変える必要がある。」

◇パキスタン国境付近に約80のヘロイン精製所が新設され、アフガンはケシ原料輸出国から商品のヘロイン輸出国へと転換しつつある(毎日新聞2007年8月28日)

アフガン政府によると、主な生産地はヘルマンド州や東部ジャララバード付近で、タリバンや関連する武装勢力が勢力を伸ばしている地域。米国は昨年、ケシ対策に植物を枯らす特殊薬剤の空中散布をアフガン政府に提案したが、カルザイ大統領は「市民の健康などに悪影響を及ぼす」と拒否し、抜本的な対策は打つ手なしの状態だ。
一方で近年、ケシの「原料輸出国」だったアフガンが、ヘロインの「生産国」へと変化しているという。
薬物の密輸を空港や国境で取り締まっているアフガン国境警備隊幹部によると、2年前からパキスタン国境付近を中心にケシからヘロインに加工する秘密工場が増え始めた。その数は確認されただけでも約80と言い、「実際はその何倍もの工場が乱立している可能性が高い」と指摘した。
幹部によると、ヘロインの主な密輸ルートは国境を接するイランやパキスタン、中央アジアへの陸路だが、国際空路の相次ぐ開設で空からの密輸も増加。特にインド、アフリカ、中国への便の搭乗者の摘発が多い。アーモンドの中やじゅうたんの編み込みの間、靴底、体の中に隠し持つケースが目立っている。
麻薬がタリバンの資金源になっているとの批判が強いが、タリバンのアフマディ報道官は毎日新聞の電話取材に対し、「麻薬ビジネスは政府や州政府幹部こそが手を染めている。彼らの関与なくして麻薬は国境を越えられない」と反論している。

写真は、アヘンを抽出するケシの花とアフガニスタンの一面のポピー畑、そして何千人ものイギリス部隊がへルマンド地方に配置される様子。