見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2022/07/29

日出ずる国の政治と宗教の関係

 


中道右派(保守)として知られるフランス最大の新聞フィガロがちょっとおもしろい報道をしています

安倍晋三殺害の現場警備に関して日本の警視庁トップである中村 格の名前を挙げて、彼はレイプ犯であるジャーナリストの起訴を妨害した人と書いている



◇安倍晋三の暗殺:犯人は元首相によって奨励されたカルト教団への復讐を望んでいた

フィガロ誌 10/07/2022

 

日本の元首相の暗殺は、日出ずる国の政治と宗教の関係について論争を復活させる。


安倍晋三元首相の銃による暗殺から48時間後、日本人は日曜に投票に行き、超現実的な雰囲気の中でほぼ普通の参議院選挙を行った。予想通り、安倍晋三が生涯を通じて追い求めた憲法改正を可能にする十分な票を獲得し、与党はその立場を固めた。


だが、日経が見出しに付けた「陰鬱な勝利(sombre victoire)」の裏で、暴力、特に政治的な暴力がまれなこの国で起きた前例のない行為に与党はショックを受け続けている。犯人像とその動機が浮き彫りになった。孤独でおとなしい元会社員、山上哲也。その日、母親の財産を吸い上げた元首相が推進するカルト教団のトップ(韓鶴子)を狙うはずだったと。


これに国はどよめいた。主要メディアは48時間にわたって事件を再構築するために厖大な人的および物的資源を配置した(全国紙5紙には9,355人の記者がいる)。いつもながら、TVは際立っていた。犯行現場にヘリを飛ばし、再現セットを構成して細部まで分析。特派員はどうでもいい細かな情報を収集するために四方八方に送られた。だが、この努力は骨抜きにされた一つの成果を生み出しただけだった。翌日の日本の主要な日刊紙5紙は「撃たれ死亡」の言葉、フォントサイズとすべて同じ見出しを発行した。


捜査官は、信憑性や妥当性さえも気にせずに印刷する“認定された”記者団に明らかに書き換えられた“供述”を小出しにする。「日本の主流メディアが警察発表を重用するのは否定できない。少なくとも事件の初期段階では。」と日本のマスコミについて論じた書籍“Dernier Empire”の著者、セザール・カステルヴィ(César Castellvi)は言う。


日本の注意深い読者は、安倍元首相が匿名の「宗教団体」に関わっているという「誤解を招く印象を持っていた」(omoikomi思い込み)と犯人が供述したことを読んで驚いている。現在、日本の警視庁は権力(安倍晋三)に近いジャーナリストのレイプ事件の起訴を妨害したことで有名な中村 格が率いている。日曜の夜になっても日本の主流メディアは犯人の標的となった「宗教団体」をまだ名指ししていなかった。だが、これは統一教会(文鮮明の教団、ムーンカルトとも呼ばれる)であり、地元のタブロイド紙、外国メディア、さらには関係する教会によっても明らかにされていた。世界中に300万人の信者を主張するこの統一教会の批判者は、この事件が信者に与える洗脳を批判している。


なぜ?主流メディアは卵の殻の上を歩いているか。伝統的(地元の神道カルトなど)であれ、確立されたもの(創価学会など)であれ、新しいもの(統一教会や成長の家など)であれ、宗教は控えめながらも日本の政治に重要な役割を果たしている。選挙と寄付に忠実な信者を動員する彼らの能力。特に社会的につながる機会が少ない巨大な人口を有する都市で貴重な支持層を集める。


「自民党の多くの議員は政界で代表的な宗教団体と関係がある」とデュイスブルグ・エッセン大学の政治学者、日本の宗教と政治の関係の専門家であるアクセル・クレイン(Axel Klein)は説明する。「他の有権者を敬遠させるので公の場で認めることは決してないが、その関係は現実だし、強力」であると。


公明党は創価学会の分派で何百万人もの信者がいる。「政治と宗教が密接に関係している国は日本だけではない。アメリカと多くの類似点がある」と言う。


日本の主要紙が躊躇していることをまとめて書いている無礼な週刊誌が流通する。「このセクトは安倍晋三を支持した。わたしたちは両者の関係について書くつもりだ」と記者のひとりが請け負った。


https://www.lefigaro.fr/international/assassinat-de-shinzo-abe-le-tueur-voulait-se-venger-d-une-secte-promue-par-l-ex-premier-ministre-20220710

2022/07/24

なぜ統一教会は摘発されなかったか

 


数々の不法行為を繰り返した『統一教会』が今もなお存続しています。教祖が信者をマッチングする合同結婚式は現在も行われているんですよ。名称は違っても同じ団体のことなので、ここでは、「旧」を付けずに『統一教会』と呼び続けたいと思います。


有田さんがツイートしています:「新聞記者は勇気を持ってほしい。あなた方のうしろには読者がいる」(井上ひさし)。テレビも同じ。製作者のうしろには視聴者がいる。怯むことなく進みましょう。




◇元文科次官、前川喜平氏に聞く

日刊ゲンダイ デジタル 2022年7月22日配信


「1997年に僕が文化庁宗務課長だったとき、統一教会が名称変更を求めてきた。実体が変わらないのに、名称を変えることはできないと言って断った」


文部科学省の事務次官だった前川喜平氏が2020年12月にツイートした冒頭の書き込みが、にわかに注目を集めている。霊感商法や合同結婚式などによる被害が明るみとなり、80~90年代に大きな社会問題となった旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)は、名称変更で実態をごまかし、組織維持を画策。所轄庁の文化庁は突っぱね続けていたが、第2次安倍政権下の15年8月に認証した。一連の動きの背景で何が起きていたのか。97年7月から1年間、文化庁文化部宗務課長も務めた前川氏に改めて聞く。


宗教法人と文化庁の関係は「監督庁」ではなく、「所轄庁」。憲法が保障する「信教の自由」に関わる業務なので、権力的な関与は行わないという建前があるためです。「認証」は事実を認定する行為を指し、「許可」や「認可」とは性質が異なります。宗教法人法は原則、要件を満たした宗教団体にはすべて法人格を与えるとの考え方に立っている。ですから、宗教団体であるという事実を確認する作業が認証なのです。


僕が文部省の外局である文化庁の宗務課長に異動した97年、旧統一教会が「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」に名称を変更したいと認証を求めてきた。「事前相談」があったのです。


宗務課がどう対応したかは、ツイートした通り。組織の実態が変わっていなければ、規則変更は認証できない。そう判断し、申請を受理しなかったのです。申請を受けて却下したわけではありません。水際で対処したのです。


教団側が名称変更を求めた理由は、「世界基督教統一神霊協会」とは名乗っておらず、「世界平和統一家庭連合」として活動しているから、ということでした。


旧統一教会は教祖の故・文鮮明が54年に韓国ソウルで創設。まもなく日本でも布教が始まり、64年に東京都知事が宗教法人として認証した。97年以降、世界各地で家庭連合を正式名称としている。


ですが、霊感商法で多くの被害者を出し、損害賠償請求を認める判決も出ていた。青春を返せ裁判などもあった。「世界基督教統一神霊協会」として係争中の裁判もあり、社会的にもその名前で認知され、その名前で活動してきた実態があるのに、手前勝手に名称を変えるわけにはいかない。問題のある宗教法人の名称変更を認めれば、社会的な批判を浴びかねないという意識はありました。


→オウム事件後の宗教法人法改正で慎重対処に転換した矢先だった


1997年7月から1年間、文部省の外局である文化庁で文化部宗務課長を務めたのは、ある事情がありました。96年9月に施行された改正宗教法人法の初期運用にあたるためです。


法改正はオウム真理教による一連の事件を受けた動きで、当時の与謝野馨文部大臣の政治主導だった。「宗教法人が前代未聞のテロを起こしたのは、宗教法人法が甘すぎるからではないのか」との問題意識から、「宗教界をすべて敵に回す」と尻込みする役人を抑えて決断したのです。実際、宗教界はこぞって大反対でした。


法改正のポイントは大きく2点。全国的に活動する宗教法人の所轄庁を文部大臣とし、文化庁が実務を担う。それまでは宗教法人が本部を置く所在地の都道府県知事が所轄庁でした。オウム真理教は登記上、東京都江東区に本部を置いていたため、当時の所轄庁は東京都知事だったのです。広大な教団施設があった山梨県の上九一色村(現・南都留郡富士河口湖町)を調べることは現実的に困難で、その権限もなかった。これによって、文部大臣の所轄する宗教法人がどっと増えました。


もうひとつのポイントは、年1回の書類提出。役員名簿、財産目録、収支計算書などを出してもらいます。宗教法人として活動している事実を確認するためです。


宗教法人の認証は従来、性善説で行われてきた。教義、礼拝施設、30人程度の信者が確認できれば法人格を与えてきました。法改正以前は、宗教法人となった後の教団は糸が切れたタコ状態。どこで何をしているのかサッパリ分からなかった。


もっとも、文化庁が特別な監視機能を持つようになったわけでもなく、テロ組織など危険分子を見分けるのは容易ではない。ですが、宗教法人をより注意深くチェックして慎重に対処し、あやしい教団を認証しない考え方へ大きく変化しました。そうした中、名称変更の認証を求めてきたのが統一教会(現・世界平和統一家庭連合)だったのです。


オウム真理教による一連の事件を受け、1996年9月に改正宗教法人法が施行されました。僕が98年7月まで在任していた文化庁文化部宗務課でも、所轄する統一教会(現・世界平和統一家庭連合)について議論になりました。公序良俗に反する宗教法人を解散させることはできないものかと。


オウムに対しては、当時の所轄庁だった東京都知事らが東京地裁に解散命令を請求。地裁の決定により、96年1月に解散命令が出されました。


宗教法人法第81条に基づく請求でした。


宗教法人法は第81条で解散の事由をこう規定している。


▼法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。


▼第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたつてその目的のための行為をしないこと。


→オウムは法令違反、公共の福祉の侵害、宗教団体の目的逸脱が認定された。


統一教会の霊感商法や合同結婚式はかつて大きな社会問題になりました。法外な寄付、法外な価格の物品購入、法外な労働奉仕は過度の自己犠牲ですし、見ず知らずの人との結婚は理性や自由意思があれば選択するはずのない行動です。統一教会にも公共の福祉の侵害や宗教法人の目的逸脱などの規定を適用できないものか。信者が引き起こした刑事事件はいくつもあり、教団側が敗訴した民事裁判もたくさんある。内部で検討はしたものの、当時は厳しいとの結論に至りました。


こうした経緯からも、統一教会が求める名称変更を文化庁が認証したのは、方針の大転換だったのです。20年近く押し返してきたわけですから。第2次安倍政権下の2015年8月のことで、僕は事務次官に次ぐ文科審議官のポストに就いていました。(後編につづく)


https://news.yahoo.co.jp/articles/5d24a82803d9bb57b8758c3b067493d9ce801e8e?page=3



◇警察はなぜ旧統一教会を放置し続けた? 

1995年の摘発を退けた「政治圧力」

日刊ゲンダイ デジタル 2022年7月22日配信 


「統一教会の被害者にとっては、政治家とのつながりがあるから警察がきちんと捜査してくれないという思いがずっとあると思います。私どもにもあります」


12日に開かれた「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の会見で渡辺博弁護士はこう断言した。


2009年、霊感商法の会社「新世」が通行人に声を掛け、印鑑などを売りつけたとして、社長と従業員らに懲役刑が下された。霊感商法が初めて犯罪認定され、世間の耳目を集めた。

これでようやく捜査の手が統一教会そのものに及ぶかと思われたが、それ以降も警察がメスを入れることはなかった。


渡辺弁護士はその背景をこう明かした。

「後に統一教会の機関誌で、新世事件の責任者が<政治家との絆が弱かったから、警察の摘発を受けた。今後は政治家と一生懸命つながっていかないといけない>と語ったことが、彼らの反省点でした。我々が国会議員に『統一教会の応援をするのはやめてください』と呼び掛けている理由もそこにある」


昨年までの35年間で消費生活センターなどが受けた統一教会に関する相談は3万4537件、被害総額は約1237億円に上る。弁護団によるとそれも「氷山の一角」だという。これほど被害が膨らんでいるのに、なぜ警察は一向に捜査に動かないのか。


「信教の自由」を御旗に放置


そこで興味深いのが、統一教会問題を30年以上、追い掛け続けている参院議員の有田芳生氏の証言だ。


安倍元首相を銃撃した山上徹也容疑者の母親が統一教会に入信したのは、1991年ごろ。有田氏は95年、警視庁公安部の幹部から「統一教会の摘発を視野に入れている。相当な情報源ができた。金の関係から入る」と打ち明けられている。しかし、摘発はなかった。


有田氏がこう続ける。

「10年後、元幹部に『今だから言えることを教えて欲しい。なんでダメだったのか』と聞いたら、答えは『政治の力だった』の一言でした。警察は個人名を含めた全国の捜査リスト『統一教会重点対象名簿』を作り、実際に動いていたのですが」


「全国連絡会」の紀藤正樹弁護士も、会見でこう指摘していた。

「統一教会のような伝道、経済活動、合同結婚式の3点セットがすべて違法となる集団は世界中どこにもありません。我々はすべて民事事件で解決してきました。普通はどこの国でも、これだけ問題を起こせば途中で刑事事件になります。日本だけが放置され、信教の自由の御旗の下に許されてきたから現実に今、統一教会がある」


山上容疑者は犯行動機について、「新型コロナウイルスで(教祖の)韓鶴子が来日しないので安倍元首相に狙いを変えた。自分が安倍を襲えば、統一教会に非難が集まると思った」と供述している。


90年代、そして2000年代以降も摘発のチャンスはあった。警察が統一教会を徹底的に洗い出していれば、悲劇も、これほど多くの被害者も生まれなかったかもしれない。


https://news.nifty.com/article/item/neta/12136-1762739/

2022/07/22

安倍国葬 問題あり

 



ぶっ潰すのはNHKだけじゃだめです

有田芳生参議院議員(25日まで現職)に対しては、ある民放テレビ局からも「“政治の力”は言わないで」「世界日報、特定の政治家の名前は言わないでほしい」と事前に伝えられたそうだから、さらに今のテレビはそうなんだときた

NHKでも民放でもTV局がこうなったのは、“忖度”ってもんを根付かせた誰かさんの功績ですか、国葬ですもん、ほめたたえるわけですよ!


岸田首相が安倍元首相の葬儀を「国葬」で9月に行うとした政府方針を発表したことをうけ、地方紙で批判や疑問視する社説が相次いでいる



神戸新聞 2022年7月20日

◇社説:安倍氏の国葬 国民への説明が不十分だ


岸田文雄首相は先週、参院選の街頭演説中に銃撃され亡くなった安倍晋三元首相の「国葬」を秋に実施すると発表した。極めて異例の扱いである。

国葬の対象者などを明文化した戦前の「国葬令」は、政教分離を定めた現行憲法の制定で失効し、根拠となる法令はない。首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相が最後で、80年に在職死亡した大平正芳氏の「内閣・自民党合同葬」が原則踏襲されてきた。

岸田首相は、国の儀式を所掌する内閣府設置法があり、閣議決定によって実施は可能とした。費用は全額を国費で負担する。

凶弾に倒れた元首相を悼む声は国内外に広がった。心から冥福を祈りたい。ただ、法的根拠がない国葬を執り行うには相応の理由が必要である。岸田首相が国民に十分納得のいく説明をしたとは言い難い。

国葬の理由として、東日本大震災からの復興、経済再生、日米外交などを挙げた。だが、こうした安倍政権の「実績」には賛否両論があり、政治的評価は定まっていない。

安倍政権は集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更や安全保障関連法成立など、保守色の強い政策を反対意見を押し切って進めた。国会での議論を軽んじ、批判を排除する姿勢は鮮明だった。森友学園を巡る公文書改ざんや「桜を見る会」など、安倍氏を取り巻く疑惑の真相はなお未解明の部分が残る。

安倍氏を「非業の死を遂げた偉大な指導者」と持ち上げ、国葬を営むことで負の側面にふたをする意図はないか。安倍政治の功罪は、引き続き検証されなければならない。

岸田首相は「民主主義を断固として守り抜く決意を示す」と国葬の意義を強調した。だが、安倍氏が民主主義を象徴する政治家だったと考える国民ばかりではないだろう。国葬は違和感を覚える人々の反発を招き、国民の分断を深める恐れがある。

法的根拠も国民的合意も曖昧なまま、国葬を党内基盤の安定や憲法改正などの推進力に利用する思惑があるとすれば、それこそ民主主義とは相いれない。事件の背景も不明な部分が多く、性急な決定は疑問だ。

最近では、2020年の中曽根康弘氏の「内閣・自民党合同葬」に、政府が総費用のほぼ半分に当たる約9600万円を支出し、異論が出た。今回の全額国費負担が妥当なのか、国会の閉会中審査などで議論する必要がある。

何より弔意は国が求めたり、強要したりするものではない。政府は国葬にこだわらず、政治的な立場の違いを超えて元首相への哀悼を静かに表明できる場を再考すべきだ。


https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/202207/0015485321.shtml


新潟日報 2022年7月16日

◇安倍元首相「国葬」 納得のいく説明が必要だ


異例の対応に国民から賛否の声が出ている。政府には納得のいく説明が求められる。

参院選の街頭演説中に銃撃されて死去した安倍晋三元首相の葬儀について、岸田文雄首相が記者会見で、秋に「国葬」として実施することを明らかにした。

首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来だ。最近の首相経験者の葬儀は、内閣と自民党が費用を分担する「合同葬」が通例だった。

安倍氏を国葬とすることについて、岸田首相は「わが国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く決意を示す」と強調した。

憲政史上最長の8年8カ月、首相の重責を担い、外国首脳を含む国際社会から高い評価を受けていることなども理由に挙げた。

これに対し、国民からは「功績の大きさから国葬は当然」との見方がある一方、「国葬までする必要があるのか」と否定的な意見も出ている。

国葬の決定も唐突だった。冷静に幅広く意見を聞き、議論の末決めていくべきではなかったか。

国葬は国の儀式として全額国費が充てられ、費用も高額となるとみられる。

税金で賄うことに理解は得られるのか。どういう形で国民が参加するのかも不明だ。

安倍氏の実績を巡っては、さまざまな功罪が指摘されている。今後検証すべき点も多い。

強いリーダーシップや政策実行能力などが高く評価されている半面、森友・加計学園や「桜を見る会」を巡る問題では、説明責任を尽くさなかった。真相は依然として闇の中だ。

桜を見る会に関しては、国会でうその答弁を積み重ねた。国会軽視の姿勢も忘れてはならない。

岸田首相が国葬の決断をしたのは、自民党役員会で「国葬にしたらどうか」との意見が複数上がったのを受けてのことだとされる。党幹部と方向性を確認し、安倍氏の妻・昭恵さんに電話で伝えて了承を取ったという。

安倍氏は党内最大派閥を率い、保守層の支持も厚かった。岸田首相には、国葬にすることで党内対立を避ける狙いもあるのではないか。政治的な意図が透ける。

安倍氏が志なかばで凶弾に倒れたことに、多くの国民は衝撃を受け、深い悲しみを抱いていることは事実だろう。

一方で、国葬とすることにより懸念される点もある。安倍氏の負の側面に向き合わず、ふたをしてしまうことにつながらないか。

言論の自由と民主主義を守る意義をもう一度確認したい。


https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/87280


京都新聞 2022年7月16日

◇社説:安倍氏の国葬 法の根拠がなく疑問だ


国民の賛否は分かれるのではないか。岸田文雄首相は、参院選の街頭演説中に銃撃されて死去した安倍晋三元首相の「国葬」を今秋に行う方針を発表した。

国葬は法的根拠がなく、費用は全額が公費負担となる。首相経験者では1967年の吉田茂元首相以来、実施されていない。

岸田氏は「暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く決意を示す」と強調したが、事件の衝撃とは切り離して冷静に判断せねばならない。安倍氏に国民の同情が集まる一方、政権運営を巡っては評価だけでなく批判も根強い。

ムードに乗じて岸田氏の判断で決めていいのか。政治利用ともみえるだけに疑問と危うさを禁じ得ない。再考を求めたい。

戦前は国葬対象者などを規定した「国葬令」があったが、政教分離を定めた現憲法施行で消えた。吉田氏の場合は当時の佐藤栄作内閣の閣議決定による特例だった。

首相経験者の葬儀は大平正芳氏が在職中に死去して以降、「内閣・自民党合同葬」が原則踏襲されてきた。2年前の中曽根康弘氏の合同葬では政府が約9600万円を分担することに批判も出た。

国葬とする理由として、憲政史上最長の8年8カ月にわたり首相の重責を担った▽国際社会から極めて高い評価を受けている▽国内外から幅広い追悼の意が寄せられている-を挙げた。

だが、安倍氏は国論を二分した安全保障関連法や特定秘密保護法を強引に押し通した。森友・加計学園や「桜を見る会」を巡って不誠実な答弁を繰り返し、疑惑は残った。官僚の「忖度(そんたく)」も生んだ。

国葬は負の面に目をつぶり、言動の美化にならぬか懸念がある。

安倍氏が率いた党内最大派閥や保守派に対する岸田氏の配慮もあろう。遺志を引き継ぐ形で憲法改正に意欲を示す姿勢と軌を一にしているようだ。

銃撃事件は民主主義を破壊する暴挙であり、断じて許されるものではない。ただ、その死を政治的に利用して、首相の足場を固めたり、同調圧力を増したりするなら、広く国民の理解は得られまい。

中曽根氏の合同葬の際には、文部科学省が全国の国立大などに弔意を表明するよう求める通知を出し、問題となった。今回も弔意を国民に押しつけるようなことはあってはならない。


https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/837989


△政府は安倍元首相の「国葬」に関し、9月下旬(27日)に東京・北の丸公園の武道館で実施する方向で調整に入った。近く閣議決定する。政府関係者が19日、明らかにした。


琉球新報 2022年7月16日

◇社説:安倍元首相「国葬」 内心の自由に抵触する


史上最長の在任期間、国際社会からの高い評価、国内外から追悼の意が寄せられていることを理由として挙げたが、全く納得できない。憲法が保障する内心の自由に抵触する国葬には反対する。

国葬とは、国費を投じて国民に追悼を求めるものにほかならない。戦前の「国葬令」は皇族、軍人、政治家など対象者も定めていた。戦後、言論・表現の自由、内心の自由(19条)、政教分離(20条)を定めた現行憲法の制定によって失効した。
戦後、首相経験者の国葬とされるのは1967年の吉田茂元首相だけで、そもそも異例だった。岸田首相はこの例に倣い閣議決定で可能だとする。しかし、根拠法がなく定義もない。国会で説明もせずに公費が使われていいのだろうか。
吉田元首相の国葬では、当時の佐藤栄作首相が「追悼の辞」で吉田元首相の功績として、敗戦後の苦難の時代に長く首相を務めたこと、サンフランシスコ講和条約を締結して日本の独立を回復したことを挙げ「戦後史上最大の不滅の功績」とたたえた。
その「功績」の裏側で、沖縄は日本と切り離され、米統治下で人権を制限され核基地化が進められた。吉田氏が調印した日米安保条約、日米行政(地位)協定は現在も沖縄を苦しめている。
その後の首相経験者の葬儀は、内閣と自民党の合同葬が大半だ。佐藤元首相の場合は自民党と国民有志による「国民葬」だった。内閣として公費を使ってきたことにも批判があった。それなのに今、なぜ国葬なのか。
安倍元首相の功績の評価も疑問だ。在任期間の長さは功績といえるのか。米国と軍事的一体化を進めたことを米政府関係者が高く評価するのは当然だが、国内には根強い批判がある。誰もが認めるような外交成果はあるだろうか。
沖縄の立場からはさらに厳しい評価をせざるを得ない。安倍元首相は、沖縄の民意を踏みにじりながら辺野古新基地建設を力ずくで進めてきた。地位協定見直し要求も無視し続けた。「台湾有事は日本有事」などの発言は、沖縄を再び戦場にしようとするものとして批判された。
岸田首相は「暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く決意を示す」とも述べた。しかし安倍元首相は民主主義を空洞化させた。安全保障関連法などで強行採決を重ね、森友・加計問題、桜を見る会問題では、長期政権のおごり、権力の私物化と批判された。国会でうその答弁を積み重ね、公文書改ざんなどを引き起こした。数々の疑惑に口を閉ざしたままだった。
銃撃は民主主義への挑戦であり、今求められることは民主主義の精神を守ることだ。「国葬令」が失効した歴史をかみしめるべきである。


https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1550385.html

2022/07/15

安倍と日本と統一教会

 


◇安倍晋三と日本がいかに文鮮明の統一教会にとって不可欠になったか

ワシントンポスト紙 July 12, 2022 

by マーク・フィッシャー


故文鮮明の多大な影響力のある精神的および経済的な全世界にわたる帝国を研究する調査官によると、深く悲しむ高齢者を標的にした訪問販売戦略と著名な政治家の教化により、※世界平和統一家庭連合(統一教会)は、日本を最も頼みになる収益金の源泉として確立するために数十年を費やしてきた。

※統一教会、世界基督教統一神霊協会(1954年に韓国人 文鮮明が始めたキリスト教系の宗教団体:その活動は原理運動ともいう)


さて、日本の元首相 安倍晋三の暗殺容疑者が母親の経済的破綻の責任は宗教団体にあると警察に話したあと、統一教会は銃撃者の母親が日本の支部の信者であることを認めた。日本で長きにわたり問題の多かった統一教会の役割が再び細かに調べられている。


日本の報道によると、山上徹也容疑者は母親が宗教団体に多額の寄付を迫られたあと破産したと警察に供述している。


統一教会の日本支部を運営する田中富弘は、月曜の記者会見で、山上の母親は1998年に組織の仲間に加わり、その後しばらく離れ、今年に信者の集まりに戻ったと述べた。母親の組織への寄付について情報はなく、山上自身が統一教会に所属したとの記録はまったくないと言った。警察は今までのところではまだ宗教団体を名指しで呼んでいない。


火曜日、日本のマスコミは奈良の統一教会の建物正面に銃弾の穴が見つかったと報じた。日本のテレビ局フジ・ニュースネットワークによると、容疑者は安倍を狙撃する前に銃を試したと捜査官に供述した。


統一教会は、金曜に安倍が撃たれたところから数百ヤード離れた奈良のそこを含め、日本で何十とたくさんの聖職者の活動の場を監督している。


他の多くの世界のリーダーと同様に、安倍は統一教会関連のイベントで有償の講演者として最近は9月にヴィデオメッセージを介してプログラムに出演した。それにはドナルド・トランプ前大統領も特別出演している。


統一教会のサークルでは“真の母(True Mother)”として知られる文鮮明の未亡人、韓鶴子(Hak Ja Han Moon)が主催した“希望の集会(Rally of Hope)”でのコメントでトランプは彼女のことを「すばらしい人」と呼び、「世界中の平和のためにすばらしい仕事」と彼女を称賛した。彼は文鮮明と彼女に、「ふたりが地球全体にもたらしたインスピレーションは信じがたいほど」だと謝意を添えた。文鮮明は2012年に亡くなった、それ以来、妻と子どもは彼の事業や他の組織の支配をめぐって争ってきている。


トランプが話をしたのと同じプログラムで、安倍は韓鶴子に「特に朝鮮半島の平和的統一に関連して、世界の紛争を解決するためのたゆまぬ努力に心から感謝します」と述べた。


自分のことをメシアと呼んだ文鮮明は、イエスが彼に地球での仕事を続けるように指示したと説教した。


その由来を通して、文鮮明の教会とその関連会社は世界の政治指導者やセレブ、他の宗教の著名な聖職者を誘致して会議で講演させるために最高額を支払ってきた。これは統一教会の組織を有名で尊敬される人物と関連付けることによって信頼を勝ち取るための長年のキャンペーンの一部である。


アメリカや世界中で文鮮明のビジネスと政治的イニシアチブに焦点を合わせた長年の研究者、ラリー・ジリオックス(Larry Zilliox)は土曜日、「彼らはだれでも組織に正当性を与える人にカネを払う」と述べた。「広く知られた有名人、大物は、地元のおもわく的事業で彼らを助けることができる平凡な人々を引き寄せる。」


たとえば、1990年代半ばにはコメディアンのビル・コスビーや元ソビエトのミハイル・ゴルバチョフ首相に加えて元大統領のジョージH・W・ブッシュとジェラルド・フォードが日本とワシントンで文鮮明が主催する会議で講演した。ブッシュは、日本の裁判所が統一教会と文鮮明が所有する会社ハッピーワールドを訴えた何千人もの日本人に1億5000万ドル以上の損害賠償を認めたわずか数カ月後に話をした。訴えたのは、亡くなった愛する人たちのあの世での幸せを保証するために高額の寄付をするよう圧力を加えられた人たちだ。

(ワシントンポスト紙が彼の出演について報道したあと、ブッシュは講演料を寄付することを決めた。当時、だいたい約8万ドルが慈善事業に流れた。)


学術研究者や政府の調査官による統一教会に関する幾つかの研究によると、60年以上のあいだ、統一教会とそのさまざまな支流はアメリカを含め世界中で彼らの活動を助成するのを助けた利益の中心地として日本に依存してきている。


ワシントン・タイムズ紙や他の多くの国のメディアベンチャーなど、統一教会の最も有名なイニシアチブの幾つかがたとえ金を失っても、統一教会は主に“霊感商法”と呼ばれるものに基づいて強力な収入の流れを生み出すために日本の部門を頼りにすることができた。


日本の統一教会の信者は「死亡記事をスキャンし、人々の家の訪問して、“あなたの死んだ愛する人がわたしたちと意思を通じ合っています、あなたに銀行に行って統一教会に送金してほしがっています、そうすればあなたの愛する人は霊界で高められます”と伝える」と、かつての統一教会の信者、スティーブ・ハッサンは土曜日に語った。彼はメンタルヘルスのカウンセラーになり、破壊的なカルトについての本の著者になった。


統一教会を研究した歴史家によれば、教会のルーツは韓国にもかかわらず、教会の財(富)の70%を伝統に忠実に提供したのは日本だった。文鮮明の組織は1970年代の半ばから80年代半ばにかけて日本からアメリカに8億ドルをもたらしたと日本の高位の元教会員はかつてポスト紙に語った。


日本では韓国の文鮮明が所有する会社によって作られたミニチュア石塔などの宗教的なアイテムや高麗人参製品を統一教会が販売するのをかなり長い間よく見た。製品には精神的パワーがあるとの主張に加えて、教会の信者のしつこく強力な売込みは日本で集団訴訟を引き起こし、何百人もの原告が和解を勝ち取った。


1958年に統一協会を最初にうまく日本に入れたのが安倍の祖父である前首相 岸信介だった。文鮮明は1975年に日本で最初の新聞を発行し、その後すぐに彼の選んだ信者の合同結婚式を日本にもたらした。


文鮮明の持論では、母国である韓国は世界を支配する運命にある支配民族の本拠地、「アダム」の国であり、日本は韓国に従属する「イヴ」の国だとハッサンは言った。イヴはサタンと性的関係にあり、人類を失墜を招くまずいふるまいに導く、そこで人類に救いをもたらすために文鮮明が任命されたと統一教会は教えた。


文鮮明の未亡人が現在、公式に統一教会に取って代わるもの、世界平和統一家族連盟を支配している。文鮮明の息子、ショーンとも呼ばれるヒョンジン(Hyung Jin)が立ち上げたライバルグループもまた日本で事業を広げている。ペンシルバニア州ニューファンドランドに本拠を置く世界平和統一聖域教会は鉄の聖職者の子孫としてよく知られ、襲撃用ライフル AR-15は「攻撃的なサタンの世界から身を守るために」設計された宗教儀式の重要な一部だと説いている。


教会仲間で「真の息子」として知られるヒョンジンの兄弟クックジン(Kook Jin)はペンシルバニア州グリーリーに武器製造会社カーアームズ(Kaha Arms)を私有しており、教会の法的地位を剥奪する行動を後退させるために2010年に父親によって日本に送られた。


「非常に困難な時期でした」とその年、クックジンは演説で言った。「警察が教会のかなり広範囲に及ぶ調査を行っていたからです。彼らは教会を調査するのに1万人ちかくの警察官を動員していました。彼らは教会メンバーの逮捕を指揮し、教会を襲撃しました、ひとつとか2つではなく、それはたくさんの教会を襲撃しました。」


スピーチのなかでクックジンは、日本人に亡くなった愛する人の霊を救うために多額の寄付をするよう圧力をかけていることを否定した。日本で教会の大口寄付者の多くにインタビューしたと彼は言った。「あなたにこれほど多額の金を寄付させる動機はなんですか?と彼らに尋ねました。多くの場合、わたしたちの兄弟姉妹がご先祖様がやってきてそうするよう告げたということがわかるでしょう。」


△マーク・フィッシャー:

ほとんどなんについても書く上級編集者。彼はワシントン・ポスト紙の冒険的な事業編集者で地元のコラムニスト、ベルリン支局長、30年間国内外のデスクで政治、教育、ポップカルチャー、その他多くをニュースとして報道し取材してきている。


https://www.washingtonpost.com/world/2022/07/12/unification-church-japan-shinzo-abe/


2022年7月13日、前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民)のツイート:

日本にはカルト(セクト)対策の政策が全くないに等しい。カルトは反社会な存在だ。フランスの反セクト法まではいかなくても、何らかの法制度による対策が必要だろう。まずは、カルトと繋がっている政治家をあぶり出すことから始めるべきだ。