見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2007/06/29

日本を支えるおバカのB層


わたしたちが預けた100兆円規模の年金が消えた!なのに今度の参議院選で与党が勝てるなら、もうどうでもいいよ!という話だよね。そのくらいの気持ちでわたしたちは投票せねばならない最悪の事態だということなんだ。民主党が言うような年金預金通帳を国が作ってすべての国民にいくら積まれているか、その金額が消えていないことを示してくれって!ナショナルがリコール製品の回収で購入対象者であろうがなかろうが「全国民にハガキを出した」ようなこと、民間企業をみならって責任をはたしてくれ!
さて、2年前の小泉「郵政選挙」でどうして与党が勝てたのか。理由のひとつが、彼らが「B層」と名づけた集団にターゲットを絞り、効果的なプロモーションを行ったからだと言われている。
「Wikipedia」によれば:
狭い意味では小泉内閣支持基盤の層を意味し、広い意味では政策よりもイメージで投票を行うなどポピュリズム政治に吸引される層を意味している。
簡単に言うと「政府のことを何となく支持している頭の悪い人たち」ー怒らないでくれたまえ、小泉内閣の郵政民営化政策の広報戦略を内閣府から入札なしに約1億5000万円で請け負った当時の竹中郵政担当大臣が懇意にしていた「スリード」というPR会社がこう定義している。
スリードは、「構造改革に肯定的か否定的か」を横軸に、「IQが高いか低いか」を縦軸に、以下の4つのカテゴリーに分類した。
◇A層(構造改革に肯定的でIQが高い)基本的に民営化の必要性は感じているが、これまで、特に道路公団民営化の結末からの類推上、結果について悲観的な観測を持っており、批判的立場を形成している。
財界勝ち組企業、大学教授、マスメディア、都市部ホワイトカラーなどのエリート層で構成される。
◇B層(構造改革に中立的もしくは肯定的でIQが低い)具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層、小泉内閣支持層。
主婦層、若年層、シルバー層で構成される。
◇C層(構造改革に否定的でIQが高い)構造改革抵抗守旧派
これを構成する層に特に言及なし。小泉「構造改革」に否定的なインテリ層は少なくないが、彼らの存在は意図的に黙殺されている。
◇D層(構造改革に否定的でIQが低い)失業者など、構造改革の痛みに恐怖を覚えている層で構成される。
スリード社のPR提言:
「B層に絞ってPRを展開すべし」という基本方針のもと、ネガティブな表現を極力避け、「B層」に伝わりやすい新聞折込みフライヤー(チラシ、ビラ)やテレビ・ラジオの広報番組を利用し、郵政民営化の必要性を「ラーニング」させること。
「徹底したラーニングプロモーション」とは、テレビやラジオ、フライヤーなどの「彼らが受容しやすい媒体(ビークル)」を活用した徹底的なイメージ戦略のこと、2チャンネルなども含まれ、内容はほとんど「洗脳」や「調教」に近い。
また、「A層はB層に強い影響力を持つ」とされ、A層向けにWebを利用して数万人規模のイベントを開催して「ラーニング」し、間接的にB層にも影響を与えるように提言した。
「IQ」の語を持ち出したため、「支持層や失業者など主権者である有権者を頭が悪いとバカにしている」との批判が上がった。2005年6月29日の郵政民営化特別委員会で共産党議員がスリードの企画書の概略を述べ、当時の竹中大臣に質問した。竹中は、民間の企業の企画書なのでコメントする立場にないと答弁した。
スリード側は、問題となった企画書はあくまで「会議用資料であり、内容の是非はそこで行われた弊社の説明を含めて語られるべき」と反論したうえで、「内部資料とはいえ、こうした誤解を誘発する表現を行った」ことに対して謝罪した。また、このことで、文書が本物であることが確定した。
http://ja.wikipedia.org/wiki/B%E5%B1%A4

郵政民営化は、誰のためのものであり、いったい何だったのか?と思いませんか。
当時の日本のマスコミが報じない興味深い内容の記事が2005年8月8日付ウォールストリート・ジャーナル紙にあった。「郵政民営化が実現すれば、われわれは3兆ドルを手に入れられる、だから選挙で与党を勝たせるために日本のマスメディアを買収しても惜しくない」 ここで言う3兆ドルとは、郵政公社に預けられていた総資産、350兆円に該当する。

写真はSutton Impact Cartoonの作品より、NY Times Magazineの表紙です。
Suttonはヴィレッジヴォイス紙の連載をやめてしまったので、彼の作品を見る機会がなくなり、さみしい。

2007/06/28

極秘の非合法活動の記録


米中央情報局(CIA)は26日、1950ー70年代の海外要人暗殺計画や幻覚作用を起こすLSDなどの民間人投与試験、ジャーナリストの電話盗聴など極秘の非合法活動の詳細をまとめた報告書を公開した。
なかでも際立っているのが、キューバのカストロ国家評議会議長の暗殺計画。60年8月、CIAに雇われた米連邦捜査局(FBI)の元捜査官ロバート・マヒューがギャングのジョニー・ロッセリに接近。カストロ議長暗殺の報酬に15万ドルを提示されたロッセリはマヒューに「サム・ゴールド」と「ジョー」を紹介した。
この2人は、捜査当局が追っていた最重要指名手配者リストの十指に入るギャング。シカゴのアル・カポネの後継者モモ・ジアンカナとサントス・トラフィカントで、CIAから毒薬を6錠渡された2人は、数カ月かけて人を使いカストロ議長の食べ物に毒薬を混入させようとしたが失敗した。
この計画は61年4月、米国に支援された亡命キューバ人兵士らがカストロ政権転覆を図ってキューバに侵攻した「ピッグズ湾事件」の後、取りやめになったが、その後も、カストロ議長に対し別の暗殺が企てられたという。
(東京新聞2007年6月27日)

公開された「家族の宝石」と呼ばれる約700ページの文書は、73年ウォーターゲート事件へのCIAの関与に怒った当時のシュレジンガー長官が違法の可能性のある活動をまとめるよう指示して作成させたものだった。
25日付の共産党機関紙グランマに寄稿したカストロ国家評議会議長が「ブッシュ大統領はインチキをして他の候補から大統領の座を奪う前から私を殺害する計画を立てていた」と非難した。カストロに言わせれば、彼は約650の暗殺計画から逃れるという「世界記録」の保持者だそうだ。
ブッシュの海外要人暗殺計画のリストにはベネズエラのチャベス大統領もいるに違いない。

ベネズエラのチャベス大統領は26日から7月3日まで、イラン、ロシア、ベラルーシの3カ国を訪問する。いずれも米国との関係がぎくしゃくしている国で、チャベス大統領は、ロシアから潜水艦、ベラルーシから防空システムを購入するかもしれないと、米国の神経を逆なでするような発言をしている。 
チャベス大統領はこれら諸国との関係を深めており、米国とその対立国との間に一段と深くくさびを打ち込む狙いがありそうだ。大統領は24日の軍事パレードに軍服姿で臨み、「抵抗戦争は、われわれが帝国主義戦争を打ち破っている武器である」と述べるとともに、「われわれは冷戦に続いて、とりわけ米国で同時テロが起きた2001年9月11日以降、新たなタイプの世界戦争に突入した」と檄(げき)を飛ばした。
またチャベス大統領は、今回のベラルーシ訪問で、200ー300キロの射程を持つ防空システムの購入について最後の仕上げをしたいと述べた。ブッシュ米大統領は今月になって、ベラルーシの民主化の障害になっているとして、ルカシェンコ同国大統領らに対する制裁措置を延長している。ブッシュ大統領はルカシェンコ政権を人権侵害でも非難している。
(AFP=時事2007年6月25日)
写真は、6月14日にカストロと6時間会談した際のチャベス大統領

2007/06/26

シッコで攻撃されるヒラリー



「華氏911」が世界的にヒットしたマイケル・ムーア監督の最新作、米医療保険制度の欠陥を批判したドキュメンタリー「シッコ」が6月22日、ニューヨークで1週間前倒しで公開されることが決まった。
今回はリベラル派はもちろん、かつてムーアに批判的だった人々からの支持も拡大しているとかで、ワシントンで開催されたプレミア試写会には共和党議員の姿もあり「医療危機問題は党派を超えた課題だから」と作品をほめているそうです。
前作では距離をおいて冷静に見ていた政治批評家からも、「ムーアのキャリアのなかでベスト」だという声が上がっているらしい。以下はニュースのカットアップです。

撮影にあたり、ムーア監督は3月、911同時多発テロで救出活動にあたった際に粉じんを吸い込んだのが原因とみられる体調不良に苦しみながら無保険のため治療を受けられない元救助隊員を米政府が自由な渡航を認めていないキューバに連れて行き、医師の治療を受けさせた。この渡航許可申請に不備があったなどとして先月捜査に乗り出した米財務省に対し、ムーア監督が全面対決姿勢を示すなど公開前から注目を集めた。(時事通信)

一般公開を前に6月19日ニューヨークのリージェンシーホテルで「シッコ」の記者会見が行われた。以下はいつものムーア調で爆笑を誘う会見でのやりとりの一部。
Q:政府からいろいろと調査されてることが話題になっていますね。
M:ブッシュ政権から調査を受けている。キューバ入国問題に関してね。ボク自身はジャーナリストとしてキューバに入ったから問題ないけど、いっしょに911のヒーローたちを連れて行ったことがマズいらしい。でもね、ドキュメンタリー撮影は報道活動だろ、映画関係者なのに彼らがその理由で問題になるとしたら、映画撮影がジャーナリズムとしてとらえられないってことになるよな?自由な国であるはずが、これでは矛盾しているとしか思えない。ブッシュ政権としてはおもしろくないからバカげた嫌がらせをしてるとしか思えないよな。
Q:なぜあなたとその映画を「嫌い」と言い続ける人がいるのでしょう?
M:いったいボクが誰に嫌われているのか教えて欲しいね。確かに2003年のオスカー受賞当時はいろいろと批判があったけど、今となってはブッシュ不支持層は70%を越えているんだぜ、ってことはボクの発言が70%支持されてることになる。当時のボクの発言はいま主流ですらあるんじゃないのかな?ボクの撮影スタイルは真実に基づいて作っていくことで、それは今後も変わらないよ。
Q:マイアミのキューバコミュニティから批判を受けるのではないですか?
M:なぜ批判を受けるんだい?彼らはまだこの映画を観てないはずだろ、それに観ればハッピーになるよ。彼らの親戚たちは貧困の国と言われながらも医療保障に関しては最高の治療を受けているというのを証明してるんだからね。ボクは実はキューバではなくてグアンタナモベイの米海軍基地に行った。なぜかと言うと 911で救助中に粉じんを吸って具合の悪い救助隊に対するアメリカ政府の不当な扱いが許せなかったからなんだ。グアンタナモではアルカイダの抑留者らがすばらしい治療を無償で受けている。こんなこと許されるはずがない。だからそこで治療を受けさせるために911の救助隊を連れて行ったんだ。ブッシュはこれがたまらなくイヤなんだと思う。ボクらの英雄が政府に無視されているのを国民に伝えようとしていることがね。

すでに映画の高精度の海賊版がインターネット上に出回っていることについては、「子供の仕業ではない」と指摘、組織的な興行妨害の疑いを抱いていることを示唆した。「シッコ」は高額な米医療保険制度の欠陥や、医薬品業界と政界の癒着などを批判した作品で、日本では8月に公開される。(中日新聞)

ムーアへの対抗戦術を早急に練るはめになっているのは医療業界ばかりではなさそうだ。どうやら2008年大統領選候補者たちもその仲間に入るらしい。ムーアは民主党のリードする3候補者、オバマ、エドワーズ、ヒラリーらの医療制度改革案を「依然として医療保険業界を擁護する妥協案」だと批判する。おそらく一番あわてているのは、映画の中で強烈な批判にあっているヒラリー・クリントンではないだろうか。かつて国民皆保険制度導入を試みたヒラリー上院議員は、最近では医療保険・製薬業界から多額の献金を受けとる議員リストのトップに立ち、2008年大統領選にむけて、「医療危機問題に最も強い大統領候補」と宣伝している。プレミア試写会に彼女の姿はなかったはずでも、ムーアの「医療保険業界廃止プラン」に沿った医療制度改革を唱える民主党候補者、デニス・クシニッチの姿はあった。

「シッコ」の撮影方法などを巡り米国内では論争が持ち上がる
対キューバ禁輸政策に抵触した恐れがあるとして、米財務省に調査されたことが明らかになっているが、それだけではない、ムーア監督の撮影方法に対し、新たな疑問の声が上がっていた。
マイケル・ムーアを尊敬していた2人のカナダ人映画監督リック・ケインとデビー・メルニックがムーアの映画製作をテーマにした映画を作った。ところが、皮肉にもこの映画「Manufacturing Dissent」は、ムーアがどのようにして作品内容と関連のない映像を用い、事実を誇張するかを描く結果になった。
「ムーアの政治志向には賛成でした」と語ったケインは、当初、マイケル・ムーアを称賛する作品を撮るつもりだったという。

医療業界からの攻撃に対抗するため強力なチームを結成
「シッコ」を手がけた映画会社ワインスタイン・カンパニーは、この作品の広報戦略のために、政治戦略家クリス・レハーネを雇った。レハーネ氏は、アル・ゴア元副大統領の報道担当官を務め、ビル・クリントン政権ではホワイトハウスの報道官だった人物。そしてニューヨークの広報活動コンサルタント、ケン・サンシャインもチームに加わった。
「健康管理組織(HMO)から攻撃されれば、やり返すのに2人は必要になる」
ハーヴェイ・ワインスタインは今週、バラエティ誌にこのように語っている。
しかしながら、米医療業界はムーア監督の客観性に疑問を投げかけ、すでに攻撃を始めている。米国研究製薬工業協会は今週、ムーア監督の製作方法に関し、以下のような声明を出した。
「米国の医療制度の批判はバランスの取れたものでなければならず、十分に考慮され、調査されたものでなければなりません」
「マイケル・ムーアからはそんなバランスの取れたものは出てこないでしょう」
「マイケル・ムーアは人気取りをやる扇情主義の政治活動家。彼は公平なバランスなど取ろうとは思っていません」
(AFPBB NEWS)

2007/06/25

グアンタナモ、僕たちが見た真実


マイケル・ウィンターボトムとマット・ホワイトクロスによる、2006年ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞した衝撃の作品「グアンタナモ、僕たちが見た真実」を見たけれど、アメリカの政治家はこれを見てどう思っただろう。聞いてみたいものだ。
ウィンターボトム監督はこの映画を「グアンタナモ基地の閉鎖を願って製作した」と語っている。今もまだ、この収容施設が存在し、アルカイダともテロリストともジハードともなんの関係もない、映画で描かれる3人のただもう行動のタイミングと運の悪い青年同様にもてなされるテロリスト容疑者とか呼ばれる人たちがいることがどうにもオソロシイ。
映画の中に挿入される実際のニュース映像でブッシュがトレードマークのニタリ顔でグアンタナモに拘留されてる「彼らは殺人者だ」と大ボラ吹いてるが、恥ずかしくないのだろうか。国防のトップであるラムズフェルドに至っては捕虜の扱いについて「ジュネーブ条約のほぼ適用範囲」とこれまたすぐバレる大ウソこいている。
こういう邪悪さ、ずるさ、に立ち会っているわたしたちは、DVDレンタルでもいいから絶対に見るべきだよ。世論調査によれば、ここにきてやっと!アメリカ国民の大多数がブッシュ政権にあきれかえり、共和・民主両党と議会にも不信感をあらわにしている。

◇グアンタナモ基地
キューバ東部の116km² におよぶ基地の敷地は、アメリカが約100年前に締結した条約で半永久的に借用しているもの。キューバ政府は返還を求めている。国交のない国の領内にあるため、アメリカの法律も国際法も適用されない。アフガニスタン侵攻以降に捕らえた、テロリスト容疑者約500人が収容されており、そのほとんどが司法手続きを経ず拘束されていると言われる。米国は拘束者を「捕虜でも犯罪者でもない敵性戦闘員」と位置づけ、捕虜に適用されるべきジュネーブ条約を適用せず、独自に裁判にかけることができるという法を軍事委員会で決定した。国連人権委員会は収容者が虐待されていると指摘。閉鎖を求めているが、アメリカはこれを拒否している。

上の写真は、オーストラリアの裁判「パインギャップの4人」関連で、5月29日の裁判初日に裁判所前に到着した4人、ジム、ドナ、ブライアン、アデルです。

2007/06/24

市民査察の日、ミサイル攻撃はなかった


連日行われてきた「パインギャップの4人」の裁判は3週目に入り、6月13日に検察・被告双方の最終弁論が終わりました。あとは14日に予定されている陪審員の評決と判事による判決の言い渡しを待つのみです。(私たちはドナからの報告を待つのみです。)
裁判で問われている市民活動家の市民査察によって基地が一時機能不全に陥ったその日、イラクではミサイル爆撃がなかったんです!

イラクでもアフガンでも米軍の作戦にパインギャップは欠かせない
パインギャップは北部準州アリススプリングス郊外20キロに位置する米軍のスパイ基地。オーストラリアと米国により管理されている。世界最大の通信傍受ネットワーク「エシュロン」の基地のひとつであるとも言われている。その活動のほとんどはなぞに包まれている一方、重要な軍事行動をつかさどる衛星基地としての役割を果たしていると理解されている。(Wikipedia参照)
この基地は軍事情報を収集し衛星追跡システムを使用してイラクとアフガニスタンで米軍がピンポイント空爆を行う目標を指示している。イラクおよびその近隣諸国からのスカッドミサイルの発射も探知することができる。また、米国の宇宙独占支配を可能にする「スターウォーズ」システムに欠かせない「ミサイル防衛システム」の司令部でもある。少なくとも年間1100万豪ドル(およそ11億円)の負担をオーストラリアに強いている。
専門家は次のように述べる。「確かにしかるべき標的を識別することに関してパインギャップは重要である。イラク戦争へのパインギャップの貢献は、どんなオーストラリア兵の派兵よりはるかに意味がある」(オーストラリア国立大学キャンベラ校の戦略問題アナリスト、マイケル・マッキンリー)

それなのに、オーストラリア人はいまだにその役割を知らされていない。
オーストラリア政府は、過去40年間パインギャップの真の任務をオーストラリア国民に説明することを拒否してきた。オーストラリアの市民に隠されたこの真実を暴こうと、2005年12月に4人の市民活動家がこの施設の市民査察を実行しようとして逮捕された。アデル・ゴールディー、ジム・ダウリング、ブライアン・ロー、ドナ・マルハーンの4人の裁判がいまアリス・スプリングス最高裁で双方の最終弁論を終え、陪審員の判断を待つまでになっている。

◇4人の主張
戦争に反対するキリスト教平和主義者および活動家として私たちは、ガンジー、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、ドロシー・デイに端を発する伝統的方法に従い非暴力行動をとらざるを得なかった。私たちの目的は「国家テロによる市民殺害とパインギャップとの関連性を暴く」ことであり、その真実を暴くことである。
権力に真実を突きつけ、連邦政府のぎまんを明らかにするため、私たちはテロ活動の容疑でパインギャップの「市民査察」を実行した。防衛相に私たちの意図を通告し、実行の日時まで伝えておいた。
◇市民査察
2005年12月9日未明、「市民査察」が実行され、パインギャップは5時間機能不全に陥った。防衛相に計画を通告しメディアに広く公表したせいでオーストラリア安全保障情報機関とオーストラリア連邦警察による重警備の特別警察官と常時偵察隊が配備されていたにもかかわらず、ジムとアデルは警備をすり抜けて基地に入りこみ、発見されるまで屋根に登って垂れ幕を掲げ、写真を撮ることができた。1時間後すでに明るくなった日差しのなかブライアンとドナは周辺規制地域を歩いて抜け、最後の警備フェンスに到達すると警備員に止められるまでそのフェンスを切ってあけ続けた。
◇容疑
4人の活動家に重い罪をかぶせられるようにと最長7年の懲役を課すことができる冷戦時代の法律の防衛(特別事業)法1952年を適用しようした政府にフィリップ・ラドック法務長官は法的にも政治的にも前例のない許可を与えた。容疑は、禁止区域に違法に侵入した(最高7年)ことと、禁止区域で写真撮影をした(最高2年)ことに加え、連邦犯罪法の不法侵入と損壊である。これまでにこの防衛(特別事業)法が適用されたことはなかった。
◇裁判
ジム、ブライアン、アデル、ドナの4人は、2007年5月29日アリス・スプリングスの北部準州最高裁裁判に出廷。全員、統一裁判にのぞみ「無罪」を主張する。
裁判期間中アリス・スプリングスで開かれる全国平和大集会はオーストラリア中の活動家をひきつける行動と連帯の1週間となり、7月2日のパインギャップ前での終日行動で集大成となる。
http://groups.yahoo.com/group/ThePilgrim/message/201

2007/06/23

とてつもない殺しの現場



2005年7月6日にエド・マクベインは亡くなった。彼のことを知ったのは、一番有名な87分署シリーズという南北に細長いニューヨークの街を90度回転させて横長にした架空の街アイソラの警官たちの話で、あるとき古本屋で大好きな形状のポケット版ハヤカワミステリの一冊を発見したことがきっかけだった。最初に読んだのが「警官殺し」かどうかは忘れたが、話の中にたとえばビートジェネレーションや、ジャック・ケルアックの当時大学生のあいだでよく読まれた小説「オンザロード(路上)」、はやった曲など、時代がよくわかるサブカルチャーについての言及が必ずあることに魅了されて、気がつくと日本で出ていたシリーズの全部を読んでいた。いま56冊出ているうちの9割は読んだと思う。
その過程で、たまたまニューヨークから帰った年にエド・マクベイン本人が出版記念のイベントで来日するというのを知り、新宿の紀伊国屋ホールへ彼に会いに行った。なるべく前の方の席で彼のことをよく見ようと思ったら、わたしの前に見える頭は何冊か彼のシリーズを翻訳している田中小実昌さんでその隣にエド・マクベインの美しい奥さまがいた。サイン会では普通、新刊を買ってそれにサインをしてもらうものなのに、わたしは古いポケット版ハヤカワミステリ、それも古本屋で買った一冊を持って行き、多少気が引けたが、それにサインをしてもらった。彼がハンターカレッジで教えていたことがわかったので、わたしもハンターカレッジで少しだけ学んだことやなんかを話そうと思っていたのが、いざわたしの番になるとわたしより先にエド・マクベインが「シーズソーキュート」と言って隣の奥さまに同意を求めた。単にハデハデなニットを着ていたにすぎなかったのだが、それですべてが狂ってしまい、完全に舞い上がって「ずっとあなたのビッグファンです」となんともマヌケなことを言うだけで終わったのだ。
こういうことがあったから余計に思い入れが深まったというのがある。
エド・マクベインは78歳で亡くなった。死因は咽頭ガンでした。
以下、Who's Whoより:
アメリカのミステリー作家。本名はエヴァン・ハンター。1952年のデビュー以来、本名をはじめハント・コリンズ、リチャード・マーステン、カート・キャノン、そしてエド・マクベインといった多数のペンネームを用い、ミステリーだけでなくSFや普通の小説、ラジオドラマから児童書まで、多種多様なジャンルの作品を発表している。
1950年頃から作家を志し始めるようになり、教師をしながら「マンハント」などのパルプマガジンにたくさんの小説を寄稿し、1952年には初めての長編「The Evil Sleep !」を発表して長編デビューも飾る。
そして1954年に長年の教師経験をもとにエヴァン・ハンター名義で長編「暴力教室」を発表するが、高校生の非行をリアルな筆致で描いたこの作品はたちまち大評判となり映画化もされ、一躍人気作家の仲間入りを果たす。
次いで1956年には架空の街アイソラ市を舞台に87分署の警官たちの活躍を描いた87分署シリーズ第1作「警官嫌い」をエド・マクベイン名義で発表。
この87分署シリーズは警察小説と呼ばれる新たなジャンルを確立した画期的な作品となっただけでなく、彼自身一番のヒット作品となり、この後50年の長きにわたって同シリーズを中心に作品を発表していくことになった。
その他にもフロリダが舞台のホープ弁護士シリーズや酔いどれのハードボイルド探偵カート・キャノンなどのシリーズ作品もあるが、そのどれもが歯切れの良い語り口とテンポの良い読みやすい文章で高い人気を集めている。
1986年にはアメリカ探偵作家クラブ賞の巨匠賞、1998年にはイギリス推理作家協会賞のダイヤモンド・ダガー賞を受賞している巨匠だ。

写真は、エド・マクベインの「The Gutter and The Grave(どん底生活と墓場)」と87分署シリーズ最終作で最後の作品となった「Fiddler(最後の旋律)」です。

2007/06/21

今日はスケボー・プッシュの日


今朝散歩の途中で、向こうからスケボーをプッシュしながらやってくる近所のサーファーショップのK-mochi君と出会いました。なんでも今日6月21日は「世界プッシュ・デー」なんだそうです。プッシュとはもちろん、スケボーの基本動作「プッシュ」(片足をボードに乗せて残りの脚でこぐ)のことなんで、今日一日は世界中でスケボーをプッシュするストリートスケーターの姿を普段より多く見かけることになります。彼は午前中はサーフィンを教える先生になります。この辺ではおじさん&おばさんのサーファーもよく見かけます。年齢に関係なく、波がよく見えてる人は上達が「スッゲー速い」と先生は言います。うちのサンバがお留守番中にこの先生にドッグシッターを頼んだことがある縁で、サンバにも波乗り教えて!と頼んだところ、「いいかもしれない!」「犬の散歩でサーフィンもやるよ!っていうんで広げてみようか」、彼も一瞬やるきになってくれました。犬のアウトドアグッズでかっこいいライフジャケットも売っています。カヤックなんかに乗る犬用なんでしょうけど、サーフィンするときには必要になります。ボードも特注で作るか。
K-mochi君は、明日22日の夏至の夜にはキャンドルうんと集めて「キャンドルナイトやります!」と言って、またスケボーをプッシュしながら海に向かいました。うちらも海に向かいまーす!
そうそう、昨日、フィンチャーの「ゾディアック」見てきました。始まりは独立記念日の夜、クルマで流す通りの家々からは花火があがっています。この映画はゾディアックと名乗る連続殺人鬼について語るのではなく、ゾディアックに入れ込む3人の男たちに焦点をあわせます。マーク・ラファロをはじめとする刑事たちが彼らをコケにする犯人を追うのはわかるにせよ、新聞社の記者とその同僚の諷刺漫画家が、どうしても「目の前の犯人の顔を見て、こいつか」と納得するまで他のことすべてをなげやっても取り憑かれるという尋常でなさを見せています。といっても、記者はもともとドラッグやアルコールに浸っているし、諷刺漫画家はパズル好きで、パズルを解くことにはまっていくというのは想像つかないわけではありません。でも再婚相手のクロエ・セヴィーニと3人の子どもたちを忘れて家族崩壊も顧みず、なんですけど。
記者役のロバート・ダウニー・ジュニアはその前に見ていたリンクレーター監督の「スキャナー・ダークリー」でも同じようなタイプを演じていました。この映画はすごいですよ。原作もすごいですけど。人気TVシリーズ「CSI」マイアミに出ていた俳優の演技は、みものです。「D」というドラッグにぶっとんでるようすが実にシュールでリアルでした。俳優が演じているのをアニメーションにするという前作同様の手法で撮っていて、150種類ぐらいの人間の姿を装う服を着て、おとり捜査するエージェントが誰だかわからなくするんですが、この服を表現するのにはアニメーションが適切だったことがわかります。日本では評判よくなかったんですが、原作者のフィリップ K ディックが言いたかったことはうまく伝わってきています。
話戻ってフィンチャーの「ゾディアック」のワンシーン、わりといい地区の通りでタクシードライヴァーが殺されます。写真の通りを歩いているのが犯人。犯人は黒人だとの誤報が流れ、警官たちがすれ違っていたにもかかわらず、みすみす取り逃がします。出演者たちはみなそれぞれによかったですよ。「ER」のグリーン先生(アンソニー・エドワーズ)がマーク・ラファロの相棒役刑事を演じていました。当時のかっこうと当時のヘアースタイルの彼らをお楽しみください。それと音楽と。
マーク・ラファロの声が好きです。

2007/06/19

さわやかに欧州を去るベッカム


スペイン1部リーグのレアルマドリードが17日の最終戦でマジョルカを下し、4年ぶり30回目のリーグ優勝を果たしました。
なんといってもこれを心から喜んだのはレアルマドリードでの試合が最後となる、そしてレアルで苦渋をなめた、デビッド・ベッカムだったはずです。
試合終了後ベッカムは、「すごくうれしい。家族も来てくれているし、本当に信じられない」とコメントしました。
ビクトリア夫人はもちろんスタンドで、友人のトム・クルーズ、ケイティ・ホームズといっしょに夫を見守っていました。アメリカに移籍後は、ビクトリアは女優で親友のケイティ・ホームズといっしょに子供服のブランドを立ち上げるという話を聞いています。いろいろ才能豊かなんですね。
「ジダン、フィーゴ、ラウル、ロナウド、そしてロベカルと一緒にプレーがしたくてレアルに来たんだ」と話すベッカムは、4年間のチーム在籍で157試合に出場。でも、移籍直後の2003年スペイン・スーパー・カップで優勝して以来、レアルでタイトルを獲得したことはありませんでした。
2003年6月に華のマンチェスターUから「世界のアイドル」として「銀河系軍団」レアルに加入。フロントがベッカム路線を打ち出してチームは空中分解します。ずいぶんと悪者扱いされました。家族のことでチームから離れるなどの単独行動や派手な私生活ばかりが取りざたされ、無冠が続いた3季は優勝を逃す原因とまで言われました。ベッカムには初めて味わう挫折や屈辱があったはずです。ファンには納得のいかない、長いことベンチウオーマーをやらされもしました。
今季就任したカペッロ監督の構想から外れ、米MLS・LAギャラクシー移籍を決意すると、「シーズン中に移籍を決める選手など必要ない」とさらに冷遇され、カルデロン会長からも「ハリウッドスターにでもなるんだろう」と非難されました。イングランド代表でもクラブでも定位置を奪われ、MLS行きを決めると練習からも外されました。それでもベッカムは負けませんでした。真摯に練習に励みました。
家族が支えだったそうです。代表戦のテレビ中継に彼の姿がないのを見て、「パパは出ないの?」と言った息子の言葉に出直しを誓ったそうなんです。
そうして出場機会が増え始めた2月から、チームも上昇気流に乗り始めます。ファンから見ると、彼が出れば、必ずやることやってくれてましたから。そして、逆転優勝の原動力となった男に、ついに彼をはずしていたカペッロ監督も、「一番の失敗はベッカムの力を見誤ったこと」だと非を認めます。そしてレアル側からも150億円の違約金を用意して移籍を覆そうとのオファーがありました。
「4年間いろいろなことがあったが、すべてが報われた」「新たな戦いに精いっぱいのぞみたい」
さわやかに欧州を去るベッカムの言葉でした。
そうそう、最終戦で突破口となるゴールのアシストをしたキャプテンのラウルは「チームを去る偉大な選手を優勝で送り出そうと一丸になった」と、ベッカムの存在が起爆剤になったことを明かしました。ラウルもとてもうれしそうでした。2点目のゴールが決まったとき、キーパーのカシージャスが感極まって涙をぬぐっているのが印象的でした。そのときスタンドで観戦していたクレーコートの王者ナダルもまた感極まっていました。彼はマドリニスタです。
また、やはりレアルを去る、ロベカル(ロベルト・カルロス)の胴上げもあって、サイコーの締めとなりました。ロベカルのあの豪快なロングシュートを見れないのは寂しい限りです。TVでは放映しないでしょうから。ベッカムのアシストや、まさに「そこに落とす!」感動もののキックが見れないのもですが。アメリカのサッカーなど見たくないですから、でも絶対に放映はするよな。

2007/06/17

いい犬になる予感


これはヴァーモス、うちのボクサー犬です。顔は、はれてるわけではありません。これが正常なヴァーモスの顔です。まだ訓練所に行く前の、のんきなヴァーモスで、浜で気持ちよくくつろいでいるところです。
海ではよくクサヤ状態の魚を見つけては、全身「狂喜」のかたまりになって、クサヤとじゃれあって転げ回って遊び、ついには食べちゃうんです。そのときの彼はサイコーにうれしそうです。
今日、ヴァーモスに会いに警察犬訓練所まで行ってきました。訓練も大詰めで、4回受ける飼い主と犬とのトレーニングの今日が2回目でした。ヴァーモスはどうして、なかなかやるんです。
ひょっとしてサンバより訓練が入るのかもしれません。でもぜんぜんタイプ違うので、そこが飼い主にとっての訓練のポイントとなります。広いところでノーリードでいるときがボクサー犬の本領発揮なんだそうです。ボクサー犬に無理強いは禁物です。あくまでも伸び伸びとさせて、叱るよりもわかるように教えてやることがだいじです。イメージを描いてそれを犬に伝えてやることなんです。
ヴァーモスを見ていて、なんだかわくわくしちゃいました。きちっ、きちっ、とではないけれど、おおらかに、そして不器用に、飼い主に忠実で家族思いの「いい犬」になる予感がしました。

サンバの鼻がスヌーピーに


昨日の土曜日のこと。浜はきっと釣り人とサーファーたちに占拠されてるだろうから、朝の運動は海岸公園でがまんしよう。それがいけなかった。
海岸公園のグラウンドの緑はすでに人間の膝丈だから、サンバは鼻を突っ込むのがひとつの愉しみになっている。黒松の杜は除草剤と駆虫剤をまいたあとだから遠慮しておく。自由に飛び回るサンバは、やはり草むらに鼻を突っ込んでいた。なにか黒いものがぴょんぴょんぴょんとはねた気がした。サンバもそれを追いかけてはねている。でも一瞬、変な間があいた。
うちに帰るや、サンバは家の駐車場で動くものを夢中になって追いかける。ヤモリかイモリかトカゲか、一瞬追いつめたが、するりと抜けて外に逃げた。
午後2時頃、ガラス越しにサンバと目が合った。うぬ、ガラスがゆがんでいるのかな?サンバの顔が変てこにふくらんで見える。しばらくぼーっと見ていたが、やっぱり変だよ。ガラス戸をあけてサンバに近寄ると、うわー、サンバの鼻がスヌーピーになってる!
イエローラブラドールにしてはうちのサンバの顔は細面で、柴犬でもミックスされてるんじゃないの〜と嫌みのひとつも言いたくなるほどなのに、
きっとあのとき草むらでなにかにさされたか?毒にあたったか?あるいはなにかのアレルギーかもしれない。
あわててドクターに電話する。抗生物質はあるから、飲ませるかどうかなのだが、人間社会でも抗生物質をやたら患者(子どもも)に与える日本の医者の態度や抗生物質をもらえば安心という患者側の態度が問題になっていることもあるので、できれば飲ませたくない。
ドクターは夕刻までようすを見るよう指示した。夕方5時過ぎ、サンバの鼻のはれはおさまってきていた。さすが、うちの主治医はいいドクターだ。
今朝は、右側の目が少しだけはれぼったい感じにまで回復していた。
サンバのスヌーピー顔を見てください。
ほっ!

2007/06/16

激烈な反対 うるさい批評


「デモクラシー・ナウ」のエイミー・グッドマンとデイヴィッド・グッドマンの著書
「Static(激烈な反対、うるさい批評)」がNYタイムズとLAタイムズでベストセラーになった!
NYタイムズのベストセラー本の作家たちから、当局のウソと混乱を後退させて、発言なき多数派を表明する新著が出ました。
人気のあるインターナショナルTV&ラジオショー「デモクラシー・ナウ」のホストをつとめるジャーナリストのエイミー・グッドマンと、調査報道に精を出すジャーナリストのデイヴィッド・グッドマンの姉弟チームが、新著「Static」で再び政府のウソと暴利をむさぼる法人どもと、それらの代弁者としてふるまうメディアについて騒ぎ立てています。ブッシュ政権がいかに巧みに操作してニュースをでっちあげてきたか、メディア組織が国民を惑わすためいかに勢力とぐるになって動いてきたか、二人は暴き立てる。断固とした態度を取って押し戻してきても、そのことがあまりにもしばしば報じられてこなかった多くの人々についても二人が報告しています。

声をかけて 励まそう!



昨年10月、自宅アパートのエレベーター内で銃弾で殺害されているのが発見された、プーチン政権の人権弾圧やチェチェン紛争に関する報道で知られ、国際的に高い評価を受けている不屈のジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤの遺作集が6月28日NHK出版から発売されます。タイトルは「ロシアン・ダイアリー 〜暗殺された女性記者の取材手帳」オンライン書店で予約可能です。

「楽観的な予測を喜ぶ力のある人はそうすればいい。そのほうが楽だから。でもそれは、自分の孫への死刑宣告になる」 ロシアのプーチン大統領の政策を批判し、テロによる被害者の声を伝え、国民の政治への無関心に警告を発し続けた著者は2006年10月、凶弾に倒れた。世界中がその死を惜しんだ記者の遺作。(オンライン書店の本の解説より)

30日モスクワ市内でアンナさんの遺作集の出版記者会見がありました。記者仲間らが遅々として進まぬ捜査に怒りの声を上げています。ロシアでは1993年以来、289人のジャーナリストが殺害されるか行方不明になっており、大半が未解決ということです。
モスクワでは国際ジャーナリスト連盟(IFJ)の世界大会が開かれており、ロシアで広がる言論封殺の現状に強い懸念が示されました。
出版された著作集には、アンナさんが勤務していたノーバヤガゼータ紙に掲載された記事・評論のほか、元同僚や親族が整理した未完の原稿や生前の写真も収められています。
ノーバヤガゼータ紙の共同経営者であるゴルバチョフ元ソ連大統領は「今ほど彼女のような誠実なジャーナリストが求められているときはない」と力説し、「事件に国家機関が関与しているとの見方が社会に出ているだけに、捜査の長期化は許されない」と当局の姿勢を批判しました。
ムラトフ編集局長も「捜査がうやむやに終わると思われる場合には、社による独自調査の内容を公表する」と捜査当局をけんせいしています。

ところで、5月3日は「報道の自由の日」でした。ご存知でしたか。
以下は、「チェチェンニュース」によってピックアップされた報道から抜粋しました。

5月3日は「世界報道の自由の日」 97年から設けられているユネスコ報道の自由賞にアンナ・ポリトコフスカヤが選ばれた。本来活動中のジャーナリストを対象にした賞なので、これに故人のアンナが選ばれたのは異例のこと。
松浦晃一郎ユネスコ事務局長は、「行事を毎年行なってきて、ひとつさびしく思うのは、約200人ジャーナリストがさまざまなテーマについて激論を交わしているなかに、日本人を見かけないことだ。<報道の自由の日>についての日本での報道にも接したことがない。...日本の人たちにも問題意識を持っていただきたい」と言います。

「不屈であること 阪神支局襲撃事件、あすで20年」
ところで、この期間の新聞報道を追っていて、意外な場所でチェチェンの名を目にすることができた。ひとつは、5月2日の朝日新聞(朝刊)に掲載された「不屈であること 阪神支局襲撃事件、あすで20年 江川昭子さんと対談」という記事である。記事は、朝日新聞阪神支局が散弾銃を持った男に銃撃され、2人の記者が死傷した20年前の事件について、朝日新聞論説副主幹の臼井敏男氏とジャーナリストの江川昭子氏が「報道の自由」の観点から対談したもので、言論に対する暴力の問題性が語られている。そこでアンナ・ポリトコフスカヤの事件が江川氏によって言及されており、「チェチェン紛争でのロシア当局による過剰な武力行使やプーチン政権の腐敗を批判した女性ジャーナリスト」と説明がなされている。
対談によれば、最近は気に入らない報道や何らかの主張を封殺するためには、その発言を行った人間自身によりも、その人間の自宅や家族に対して暴力が加えられることが多いという。家族を脅した方が効果があるという、あまりにも卑劣な手段である。例えば、暴力団関連の記事を書いたフリージャーナリストの溝口敦氏の息子が路上で刺されたり、加藤紘一議員の実家が右翼の男性に放火されたりなどという事件がそれだ。社会的問題を真摯に告発しようとする人間が攻撃の対象になり、そんなことをしない方が安全でいられる現実がある限り、多様な言論はますます暴力によって封殺されることになる。私たちは、ジャーナリストをはじめとして、社会的問題を意識的に告発していこうとする個人や集団を励まし、協力し、また自ら可能な限り行動を起こすことが必要である。対談の中で江川氏が述べているように、「良い記事と思ったときは<よかったぞ>という声を上げる」こと、関心を持っているという意思表示を行うことだけでも大きなことなのだ。

最近うちには「この記事に励ましを!」新聞社と記者あるいは放送局に「よくやってくれた!」という私たち読者(視聴者)の支持表明をしましょう、というメールが回ってくることが増えています。脚を引っ張ることが多い社会で、困難や非難や危険を覚悟でよくやった!と励まし、盛り上げていくことが、なによりだいじだと思いました。
もうひとつ、とっても納得するニュースを紹介します。

ロシア軍の死者 6割が自殺
ロシア国防省によると、2007年1月以降のロシア軍兵士の死者は139人で、そのうち6割にあたる86人が自殺だった。発表によると、29人がチェチェンでの戦闘で、3人が兵器の操作ミスで、9人が交通事故で、5人が軍隊内での虐待によって、死亡したという。自殺についての詳しい理由は明らかにされていない。
(読売新聞 2007年6月5日)

2007/06/15

Dylanesque


ブライアン・フェリーが4年ぶりにアルバムをリリースしました。それも全曲、イーノとフェリーが好きだったボブ・ディランの曲なんです。すでに試聴版で聞けますが、最近はちょい鼻声のフェリー節「Positively 4th street(寂しき4番街)」も「All Along The Watchtower(見張塔からずっと)」も悪くないです。
アルバムタイトルは「Dylanesque」一度でなしに何度も繰り返し聞いてください。2002年「Frantic」には昔の仲間イーノが参加して、ファンにはうれしかった。フェリーがブライアン・イーノを訪ねたのがロキシーミュージックの始まりだと言われています。今回もイーノが参加しています。
フェリーのカヴァー曲、「煙が目にしみる」はバツグンです。何度かライヴを見てきましたが、腕まくり、といってもスプリングスティーンの労働者風とはまったく違います、やはりそこはダンディズムのおしゃれになっちゃうんですが、このスタイルが大好きで、年下の子たちに「かっこいいとはこういうこと」だと力説したことがありました。でもすでに中年期に入っていたし、若い子にははてな?だったんだと思います。でもね、そのひとりがジョグジャカルタあたりをバスで移動中にー当時国境を越えるバスなんかではスクリーンにMTVを流していたものなんですー彼女、バスの中のスクリーンでフェリーを見たんですって、「おお!これかー!かっこいいじゃん!」と思ったそうなんです。ほらね、時代を超えたかっこよさなんだって。でもね、最近、なんの映画だったか忘れましたが、タクシーの運ちゃん役(ちょい役)で出ていました、彼こそが、実はシリアルキラーだったんです!
最近は以下のようなトラブルもあったようです。

フェリーの個人的声明

私のことをファシズム、そしてもっと悪くナチズム崇拝者と叙述しているメディアでの、最近の新聞記事に応じて私は誤解をただしたい。

ボブ・ディランの歌で構成するニューアルバム「Dylanesque」を進めるうち、私は数ヶ月前のドイツ紙の45分のインタヴューのなかでスタイルとデザインにおける私の長いキャリアについて質問された。

このインタヴューで、私がナチズムを「驚くばかり(すばらしい)」と説明し、私のロンドンのレコーディングスタジオは「独裁者の隠れが」として知られていると言ったと、広範に報じられてきている。そしてまた、ドイツの二人のモダニスト、映画作家レニ・リーフェンシュタインと建築家アルベルト・スピアーの作品についてのたまたまある形式にこだわる面に関心があるのは、政治とヒットラー統治下のドイツ第三帝国を私が容赦する証拠であるとも言われている。

これらは間違った言いがかりだ。現に、そして本質的に、個人にあてつけて気を転倒させているのと同じく、ばかばかしい(非常識)。

私はこういった言葉でファシズムを描写しなかった、これまでにもないし、このインタヴューのなかで私はファシズムを論じてさえいなかった。私のスタジオを「独裁者の隠れが」と言及したことは一度もない。このインタヴューに起因する記事は私の感情、私が使った言葉を誤り伝えている、私が言ったことの意味をねじまげ、ひどく新解釈して、文脈からすっかり省いてしまっている。

ニューキャッスル大の美術学生として私はヨーロッパの現代主義を学んだ。他の多くの展覧会に加えて私は昨年ロンドンのヴィクトリア&アルバートミュージアムで開催された「モダニズム」展に行った。それにはスピアーとリーフェンシュタインの作品も含まれる。

アート史の視点から、ドイツ現代主義者の作品はすこぶる承認されている;彼らの作品への審美的興味そして歴史的関心が創作者の政治の是認に同意する証拠だと、あるいは彼らが尽くした人々について同意する証拠だと示すことは、率直に言って、ばかげている。

シンガー&ソングライターとしての私の全キャリアーには、アメリカの黒人とユダヤ人のアートの流儀とアーティスト(ソウルミュージック、ジャズ、ブルース、そしてハリウッドとブロードウェイ・ミュージカルのすばらしい作家とパフォーマーたち)に対する絶賛がある。

正気な人だれでものように、私は嫌でたまらない政治的駆け引きとファシズムのやり方とナチズムに気づき、私のコメントがメディアで誤り伝えられたときに故意でなく傷つけてしまった方々に深くお詫びをする。

ブライアン・フェリー

2007/06/11

プロダクトRED





ロックバンドU2のボノが昨年10月13日に人気テレビ番組「オプラ・ウィンフリー・ショー」に出演しプロダクトREDキャンペーンを紹介したのをきっかけに、同サイトへのトラフィックが前日比で2600倍に激増。さらに、そのうちの66.3%が協賛ブランドのサイトに流れたという(内訳は、Gapが1位で26.89%、Converse Onlineが2位で7.15%、Appleは6位で4.99%となっている)。
サイトを訪れたユーザーは通常だと検索エンジンや競合サイトなどに流れることが多いことをふまえると、REDキャンペーンがユーザーの興味を関連製品や協賛ブランドに向けさせたことは明らかだとこのブログは解説している。
まさに「パタゴニア」創業者イヴォン・シュイナードがめざしてきたこと、「利益より地球を守ることを優先させるやり方はビジネス的にも機能する」というのを示す表れなんだろうと心がちょっとわくわくした。

プロダクトRED(レッド)とは、民間企業から世界エイズ・結核・マラリア対策基金への持続的な資金の流れをつくる寄付の仕組み。ロックバンドU2のボノと国際NGOであるDATAのボビー・シュライバーが発起人となり、2006年1月26日、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムにおいて発表された。
パートナー企業が「RED」と称する共通ブランド商品を開発・製造し、その販売収益の一部を世界基金に継続的に寄付する仕組み。これによって得られた資金は世界基金のアフリカでのエイズ対策支援(なかでも女性と子供に焦点を当てたプログラム)に役立てられる。プロダクトREDは、米ロサンゼルスにあるプロダクトRED事務局により企画・運営されている。
パートナー企業には、立ち上げ当初からアメリカンエキスプレス、コンバース、GAP、ジョルジオアルマーニといったグローバルに商品展開をしている企業が名をつらね、各社は英国を皮切りに、2006年3月から製品の販売を開始した。その後、米国大手携帯電話会社のモトローラ(2006年5月)、アップルコンピューター(2006年10月)が新たに参加している。
現在、世界基金が必要としている資金に対する民間企業の貢献は1%程度、プロダクトREDはその打開策となることが期待されている。
◇アメリカンエキスプレス
商品:従来のアメックスカードをレッドにした年会費無料のクレジットカード
寄付額:カード利用額の1%
◇コンバース
商品:アフリカ製マッドクロスを使用したスニーカーや、オリジナルカスタマイズが可能なスニーカーなど
寄付額:収益の5%〜15%
◇GAP(日本で購入可能)
商品:Tシャツをはじめとした衣料品
アフリカ産のコットンを使用し、全工程アフリカ生産
寄付額:収益の50%
◇ジョルジオ アルマーニ(日本で購入可能)
商品:衣類、サングラス(エンポリオ アルマーニ)、腕時計(エンポリオ アルマーニ)など多数
寄付額:収益の40%
◇モトローラ(日本で購入可能)
商品:携帯電話 MOTORAZR(RED)
寄付額:端末一台につき約1000円(日本)
上記携帯電話利用者の月額請求額の1%
◇アップルコンピューター(日本で購入可能)
商品: iPod nano (PRODUCT) RED Special Edition
寄付額:1台あたり10ドル
◇インディペンデント紙
英国有力紙のインディペンデントはプロダクトREDの取り組みに賛同し、2006年5月16日にボノを一日編集長に迎えた。またその収益の半分を世界基金に寄付した。
当日の1面はプロダクトREDにちなんで赤く塗りつぶされ、「今日、ニュースはない。ただ、予防、治療可能な疾病によって6500人ものアフリカの人々が亡くなった。HIV/AIDS」と記し、読者に対しエイズ問題の深刻さをアピールした。アフリカ特集の記事は20ページほどにおよび、社説ではボノが署名入りでプロダクトREDへの協力を訴えた。
◇ランセット誌
医学界のトップ誌の一つである英国医学雑誌ランセットは、プロダクトREDの取り組みに賛同し、エイズ特集号を発行した。また、3万ドルの寄付も行う予定だ。
本誌は、2006年8月に開催された第16回国際エイズ会議にあわせて発行され、エイズを取り巻く現状と課題についての多くの論文が掲載されている。一部の論文は同会議でも発表された。また、冒頭の論説ではHIV感染者支援における企業の役割の重要性が強調されている。プロダクトREDに参加しているモトローラ、アメリカンエキスプレス、GAPといった医薬品業種以外の企業の広告を同誌が掲載したのも異例のことである。インディペンデント紙同様プロダクトREDにちなみレッドに塗りつぶされた表紙には、「The fundamental challenge we face is to sustain a full-scale AIDS response over at least another generation. (我々が直面している課題は、少なくとも今後一世代、エイズ対策への全面的な取り組みをいかに継続するかである。)」と記されている。
プロダクトRED については以下のサイトでご覧になれます。
http://www.jcie.or.jp/fgfj/productred/

昨年10月12日ボノとオプラ・ウィンフリーがシカゴでキャンペーンのプロモーション用ビデオを収録しました。写真は、GapでRED商品を購入した後の2人です。続いて映画監督スピルバーグが着ているのがGapのRED商品のひとつ。そしてアルマーニの腕時計とコンバースのREDキャンペーン用スニーカーとなります。

2007/06/10

ローマで暮らすとハイかもね



イタリアの国家機関が行った大気汚染調査で、「ローマの大気中にコカインの粒子が含まれていることが分かった」というニュースにおもわず鼻がクンクン(スニッフスニッフ)うずく。
以前、イタリアだかスペインだかの下水道を調べると使用されてるコカインの量がわかるというような報告を読んで、なるほど!と目を見張ったことがあった。
31日の発表によると、コカインの他にもマリファナやハシッシの成分であるカンナビノールや、ニコチン、カフェインなどが含まれていた。「コカインの濃度が最も高かったのはローマの中央部、特にラサピエンツア大学の周辺」というのがおもしろい。ニューヨークで言ったらさしずめウォール街とかになるんだろう。調査報告は、「同地域でコカインの使用や密輸が頻繁だというわけでは決してなく、さらに詳しい調査が必要」と述べている。コカイン濃度が最も高かったのは1立方メートル中0・1ナノグラムで、冬期に観測される。
南部のタラントおよびアルジェリアのアルジェも調査の対象になったが、タラントのコカイン濃度はずっと低く、アルジェではコカインは検出されなかった。ニコチンとカフェインはこれら3つの都市すべてで検出された。 (AFP=時事)

最近、プリンセス・ダイアナのことを想った。今年のカンヌで審査委員長をつとめたスティーヴン・フリアーズ監督の映画「クイーン」を見たからだ。当時の英国市民の悲しみ、喪失感を思うと、ダイアナは永遠にプリンセス・ダイアナでいいんだと思う。
そしてまた、配信されたさまざまなメディアでダイアナの写真を目にすることになる。チャンネル4が、ダイアナの事故現場の写真を公開することで事故を検証しようとするドキュメンタリー番組を放映することで王室から「待った」がかかったというのだ。
英王室は6月5日、声明を発表し、ダイアナ元皇太子妃の死を検証するドキュメンタリー番組の放送を計画している民放テレビ「チャンネル4」に対し、ダイアナさんが乗っていた自動車が衝突した現場で撮影された写真を放映しないよう長男ウィリアム王子と二男ヘンリー王子が要請したことを明らかにした。
声明は「王子たちは、そのような写真が放映されるのは全く不適切であり、自分たちや他の遺族を深く悲しませるだけでなく、自分たちの母親の思い出を軽視することになると考えている」と指摘した。 
チャンネル4は「ダイアナ—トンネルの目撃者」というタイトルのドキュメンタリー番組の放映を予定している。同テレビは先週、ダイアナさんや恋人だったドディ・アルファイド氏、運転手のアンリ・ポール氏の画像は放映されないと説明。放映する写真は注意深く慎重に選んだと強調し、「ダイアナさんの最後の瞬間を公開することは考えたこともない」と述べた。(AFP=時事)
英民放テレビ「チャンネル4」は6日夜、ダイアナ元英皇太子妃が10年前にパリで事故死した際の真相に迫るドキュメンタリー番組「ダイアナ、トンネルの目撃者」を放映した。
番組は、事故が起こったトンネルでの現場写真を放映したが、大破した車両の中にいた元妃は、詳しい状態が分からないように画像処理された。ただ、元妃を追いかけたカメラマン「パパラッチ」が、瀕死の状態でありながら体が動いていた元妃の様子を証言するなど、事故直後の生々しい場面が明らかにされた。
同番組を巡っては、元妃の長男ウィリアム王子と二男ヘンリー王子が放映に猛反対したが、テレビ局側はこれを受け付けなかった。7日未明までに、英王室からコメントは出ていない。(読売新聞)

上の写真は、大気中にコカインの粒子が含まれるローマの街の遠景と、プリンセス・ダイアナが乗っていたクルマ。事故の瞬間を想うと痛ましいです。ローマの街の上空はなんだかハイにも見えてきます。

2007/06/08

市民の発言行動を監視する情報保全隊


企業だったらとっくに会社そのものが崩壊するほどのデタラメさ、ひどい不祥事である年金問題に続き、次は、陸上自衛隊の情報保全隊が市民を監視し、情報収集をして、その行動や発言で「分類」していたことがすっぱ抜かれた。おまけに防衛庁のトップが「ジャーナリストがやってることと同じ、なぜ自衛隊がやってはいけないのか」とノータリンのことを堂々とおっしゃる。日本って最低!です。
報道写真家の森住卓さんは、イラクの子どもたちの生活や被害のようすを撮った写真展を行った際に「反戦を主張する内容の写真展を実施」と分類されていた。
フリージャーナリストの志葉玲さんは、東京新聞に掲載されたイラク取材記事が「イラク派遣に対する国内勢力の反対動向」と分類されていた。肩書きは「人間の盾経験者」となっていた。
講演内容を記載されていた情報誌「インサイダー」の高野孟編集長は、「会場に潜り込んでメモや録音をしていたのだろうから、一種のスパイ行為。自衛隊に<高野>ファイルがあるかと思うと不愉快きわまりない」と述べる。
森住さんは、「私の写真は戦争の賛否を訴えるためのものではなく、現状を伝えるためのもの。たくさんの人が知る必要があると思っている。自衛隊による市民活動監視は、自由な意見表明を躊躇させる無言の圧力となる」と言う。
映画監督の山田洋次さんが派遣支持の「黄色いハンカチ運動」を批判した新聞記事については、「市民レベルでの自衛隊応援・支持の動きを、有名人の名声を利用し封じ込めようとする企図があると思われる」と評していた。
また、議員の「自衛隊のイラク派遣に反対」発言はイラク派遣を誹謗する発言とされ、「反自衛隊活動」に分類されていた。
今回明らかになった陸上自衛隊の情報保全隊が作成した「内部文書」は、自衛隊関係者から「許されない行為。告発してほしい」と直接共産党に提出されたもの。
内容は自衛隊のイラク派遣などに反対する全国の市民団体やジャーナリスト、宗教団体などの動向を調査したもので、陸自東北方面情報保全隊が取りまとめた「一般情勢」(04年1〜2月)などと、保全隊本部が作成した「イラク派遣に対する国内勢力の反対動向」(03年11月〜04年2月)の2種類。計11部、166ページにわたっており、対象はイラク派遣へのデモや反対集会に関するだけで全国41都道府県の289団体・個人にも。共産党が文書に基づき調査した結果、事実と異なる例は1つもなく、信ぴょう性が高いと判断したという。
元東京HIV訴訟原告・川田龍平さんの母で元衆院議員の川田悦子さんは、2004年2月、北海道旭川市で「自衛隊派遣反対」の街頭演説を行ったが、この発言が記録されていた。川田さんは「自衛隊が国民の動向を気にするのは分かるが、あらゆる市民運動の発言までメモするというのは監視社会だ。怖い」と不快感をあらわにした。

イラク派遣で陸自、反対市民の情報収集 発言など詳細に
文書は「情報資料」と「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」の2件。いずれも2004年からのイラク派遣の前後に行われた調査活動を記録している。
「情報資料」は「注意」の指定があり、東北方面情報保全隊長名。04年1、2月の市民運動などを一覧表の形で週ごとにまとめたもので、「一般情勢」として、東北各地のイラク派遣反対の署名集めやデモのコース、市民の反応、ビラの内容などを記録している。「年金改悪反対」や「消費税増税反対」の運動にも触れていた。
「ほとんどは形式的な宣伝活動」としながら、「反自衛隊活動が逐次活発化することが予想されることから、引き続き、国内勢力の取組に対する市民の反応、隊員(家族等を含む)工作及び隊員の動向に注目する必要がある」などとの分析も加えられていた。
「反自衛隊活動」の項目には駐屯地への反対の申し入れなどを記録。民主党衆院議員(当時)が会合で述べた派遣反対の発言を取り上げ、「イラク派遣を誹謗(ひぼう)する発言」などとしている。また、朝日新聞記者が青森駐屯地正門前で隊員に取材したことにも触れている。
もう一つの「国内勢力の反対動向」は、03年11月から04年2月までのうち6週間分と03年11月、04年1月の「総括」を含む。全国の反対運動の動きをまとめたとみられる。「駐屯地、官舎、米軍施設等に対する反対動向」「市街地等における反対動向」などが表形式で記載され、高校生が中心となって開催された反対集会も含まれる。デモの写真、件数の推移のグラフなどもある。資料で把握されている市街地での運動の数は、共産党の集計では41都道府県で290団体・個人にのぼるという。

情報保全隊:2000年の海上自衛隊幹部による秘密漏出事件を機に、防衛庁(当時)は情報保全体制の強化に乗り出し、2003年3月、陸海空の各自衛隊の「調査隊」を改編して発足させた。
任務内容について、2002年4月の衆院安全保障委で中谷長官(当時)が、「自衛隊に対して不当に秘密を探知しようとする行動、基地、施設などに対する襲撃、自衛隊の業務に対する妨害などの外部からの働きかけから部隊の秘密、規律、施設などを保護するのに必要な資料や情報の収集など」と答弁している。定員は陸自668人▽海自103人▽空自156人の計927人(06年度末)。

2007年6月7日 琉球新報:
文書は情報保全部隊が作成した「イラク派遣に対する国内勢力の反対動向」(2003年11月—04年2月)と陸自東北方面情報保全隊が収集した情報を週単位で一覧にまとめた「一般情勢」など(04年1—2月)の2種類あり、県内の団体・個人名は「反対動向」の文書にある。
一週間ごとに行動内容や場所、人数、発言など詳細を記載。沖縄平和運動センターが04年2月に那覇市内で開いた集会では議長が「米国の占領支配を支援するものだ」との発言が実名で記載されている。
団体・個人を「革新政党」「新左翼等」「諸派および反戦市民(マスコミ)」「労組」などに区分。参加者の写真なども含まれていた。
「一般情勢」の文書にはヘリ騒音などの苦情電話も挙げられ、実名や住所も記載している。ジャーナリストに関しては取材状況や報道内容のほか、懇親会で質問した記者の実名や質問の概要、市町村議会では決議の経緯なども分析されていた。

2007年6月7日 京都新聞:
京滋でも7つの市民団体と地方議員など6人が調査対象になっていた。当事者は「気味が悪い」「言論弾圧につながりかねない」と批判した。
動向監視の対象となったとされる日本バプテスト京都教会(京都市上京区)の大谷心基牧師は、「薄気味悪い。国の方針に反対する市民や団体の監視が今後、さらに強まるのではないか」と懸念する。イラク戦争開戦日(3月20日)前後に毎年、集会やデモを続ける大谷牧師は「米国に追従する自衛隊派兵は世界の緊張を高めるだけ。監視されたからといって、私たちの信条や行動は変わらない」と話した。
「戦争協力・君が代押しつけお断り宇治・城陽・久御山市民連絡会」で中心的な活動を担う宇治久世教職員組合の北村文一書記長は、「自衛隊が戦前の公安警察のような活動をしていたとは、驚きと同時に強い憤りを感じる」と語った。
「有事法制反対滋賀県連絡会」の中野善之助元代表は、「言論や表現の弾圧につながりかねず、自由主義の国にあるまじきことだ」と不信感をあらわにする。高島市の「あいばの平和運動連絡会」の早藤吉男事務局長は、「市民団体に対する不当な行為で、怒りを感じる」と憤る。リストの中の「滋賀県議」とみられる県議は、「(この段階で)コメントのしようがない。自衛隊は事実関係を認めないだろうし」と困惑した様子だった。

上の写真は、個人の言論や表現の自由に関する意識がとてつもなく低く、いつまでたっても根付かない日本の社会とはまったく関係がない、アメリカのTV番組「サウスパーク」の共同製作者、マットストーンとトレイパーカーの写真です。悪ノリ2人組が健在なのはうれしい限りです。ローリングストーン紙に掲載されたこの写真の記事についてはいずれまたメールマガジンのほうで紹介します。

2007/06/07

浜に打ち上げられたアオウミガメの子ども


6月4日、キューバにあるグアンタナモ米海軍基地で、テロに関与したとの容疑で収容されている外国人2人の罪状認否が行われ、軍事裁判判事が罪状を取り下げました。米国がグアンタナモ基地で外国人容疑者を裁くことへの疑問が新たに浮上しています。
以下、CNN、AP、ロイター通信より
罪状が取り下げられたのは、アルカイダのオサマ・ビンラディン容疑者の運転手兼護衛とみられていたイエメン出身のサリム・アフメド・ハムダン容疑者と、アフガニスタンで手投げ弾で米兵を死亡させたとの疑いが持たれていたカナダ国籍のオマル・カディル容疑者。理由は、米議会が昨年可決し、ブッシュ米大統領が承認した軍事裁判新法に基き、裁判権を確立できなかったためとされる。
新法は「不法な敵性戦闘員」のみを軍事裁判で裁くと規定している。しかしカディル容疑者とハムダン容疑者の場合、敵性戦闘員と断定されたものの、起訴に必要不可欠な「不法」認定はなかった。
同基地に収容されている約380人についても「不法」認定はなく、仮に2人と同様に罪状が取り下げられた場合、新法に基く軍事裁判手続き全体を揺るがしかねない。ブッシュ政権側は状況解明に乗り出している。

だからといって2人が解放されて自分の人生に戻れるわけではないのです。カディル容疑者とハムダン容疑者の釈放は今のところ予定されていないとのことですから。容疑者とはいえ、まだ380人もの人々がグアンタナモのああいうコンディションのなかにいるかと思うとゾッとします。こういうことが許されるアメリカから、限りなく遠く距離を置きたいものです。
昨日、ズドンと肚(ガッツ)に響く映画を作るので一目置いているアントワン・フークアの新作「シューター」を見てきました。「共和党も民主党も関係ない、金持ちか貧者かなのだよ」と言ったセネターの言葉、最近実際にアフリカがらみの賄賂(汚職)で逮捕された黒人議員がいましたが、企業への配慮、お先棒を担ぐことで、アフリカではなにをやっているかわかったものじゃないという監督の考えがよく反映されていて、興味深い映画でした。
もうひとつ、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港の燃料タンクとガスパイプラインの爆破テロを企てたとされる4人の容疑者のうちの1人は、航空写真を得る手段として「Google Earth」を利用して、より詳細なJFKの画像を得るように指示したということなんですが。
確かに詳細な航空画像を提供する情報源としてGoogle Earthは飛び抜けています。でも、これの恩恵を受けるのはなにもテロリストと呼ばれる人たちばかりではありません。それに、商業用の高解像度人工衛星や世界中のあらゆる国の航空画像がさまざまな情報源から広く提供されているのが現実です。画像を収集して配布する企業や政府機関のセキュリティ問題に対する意識の低さにも問題があります。
写真はジョン・F・ケネディ国際空港(The Smoking Gunより)

おまけ:今朝散歩に行った海で50センチほどのウミガメらしきカメが上がっているのを発見しました。うちのサンバは周囲をくんくんやって臭いで観察です。
平塚博物館で市民研究員をしている隣人に携帯で教えると、彼女、すっ飛んできました。
館長にすぐ電話して、カメの解剖に目のない不思議な研究家にも連絡を済ませます。館長は飛んできたそうだったとのことです。たったいまその研究家から威勢のいい連絡が入りました。「いま解剖を終えました。アオウミガメのオスの子どもでした。海藻をたくさん食べていて栄養状態はよかったですよ。レポートを博物館のほうに提出しておきます。ありがとうございました。」
こういうのってなんだか元気が出るね。

2007/06/06

自転車ドロボー




4日にも、ドイツ北東部ロストクでG8(主要国首脳会議)ハイリゲンダム・サミットに反対するデモ隊と警官隊が激しく衝突して取材中のジャーナリスト1人が負傷したほか、デモ隊の数人が拘束されたそうです。警官隊と衝突したのは、2日と同様、黒いフーディに顔マスクの「ブラックブロック」の面々およそ400人。
先進国の移民政策に反対するおよそ800人のデモ隊が当初、ロストクの移民局前で平和的に抗議集会を行っていたのが、過激な黒ずくめの反乱分子が警官隊に向かって投石などを始めたため、警官隊が反撃し、現場は一時、騒然となりました。
2日のときにもかなりの数の外国人について触れられていましたが、独政府は外国人過激派の国内流入を防ぐため、国境の監視も強化。これまでに85人が入国を拒否されたと言います。
以下は、G8 絡みで自転車ドロボーについての報告です。

5月29日、トラック15台と数台のクルマから成る「Wendlandkarawane」がキャンプ地に向かう途中、警察によって止められた。キャラヴァンは優勢な警官隊によって封鎖され、捜索された。警察は盗難自転車を捜索するふりをしてキャンプ地に行くはずだった9台の自転車を押収した。数時間ものあいだ人々は警察が「仕事」を終えるのを待たねばならなかった。他に結束して通りの近くで待っている約50人ほどが歌を歌ったり必要物を補充する。夕刻遅く、キャラヴァンは警察のコンボイに護衛されてキャンプ地まで行くのを許された。キャンプ地でも深刻な問題があるとみなされた。警察は許可を取り損なっていると言い、人々がキャンプを組み立てるのを禁じた。それにもかかわらず、集中センターから約30人ほどが救出しにやってきて、キャンプする人たちに食べ物を持ってきた。
その日は他にも乗り物が特別長く捜索されるためにそのエリアで止められている。多くの駐車スペースがたくさんの警察のクルマによって占拠された。私が話をした地元の人たちは、明白な理由なしに警察が道路をふさいで人々をコントロールするのに怒り心頭だった。

写真は、長時間捜索のために止められたキャラヴァンと、キャンプ地に行くはずの自転車を捜索し、押収する、腕っぷしの強い警官隊、そして結束を示すためキャラヴァンの近くに集まる支援者たち。

2007/06/05

ブラック・ブロックって何者?


週刊紙ビルト日曜版が見出しに「G8の恥」と掲げた騒乱状態を引き起こしたのは、デモ主催者の声も届かない、「ブラック・ブロック」と呼ばれる人たちだった。前回書いた、黒づくめでエミネムのラップで行進していた人たちのことだ。
ブラック・ブロックなるグループが気になって検索しまくってみると、もっとネガティヴな意味でこころが動かされる記事やエッセイにぶちあたった。
以下、感性が選ぶにまかせて列挙してみます。

■2001年のジェノバサミット(2001年7月21日)
私たちは、ブラック・ブロックの一員として、はっきり言おう!
私たちは強者の政治に決して無力のまま屈したくないのだと。私たちは「レッドゾーン」へ戦闘的に侵入し、G8会議を止めようとした。
そして昨日、警察は抗議者に対して残忍にふるまった。抗議者はさんざんなぐりつけられた。催涙ガスにまみれ、銃弾を受け、拘束され、拷問された。警察の残忍さは、1人の抗議者を殺害することで頂点に達したのだ。
公にされた意見によれば、その責任はすべてブラック・ブロックの暴力にあることになっている。
日々、資本主義者の世界秩序は、多様な暴力を生み出しているというのに。貧困、飢え、債務、排除、何百万人もの死、そして、人びとの生活維持に必要な空間の破壊が、彼らの政策なのだ!
これこそ、私たちが拒絶するものじゃないか。
銀行と多国籍企業の窓をこなごなに潰すことは、私たちの象徴的な行動だ。だが、私たちは小さな商店とクルマの破壊と略奪には決して同意していない。これは、私たちの方針ではないのだ。
しかしながら、私たちもまたその動きを排除することはできない。抵抗を排除することは行動力を弱めるもっともありふれた方法だ。連帯感に裏付けられた批評を望む。そしてそれを期待したい。
家の窓がガタガタいえば、あなたは叫び声をあげる。だが、人びとが死ぬとき、あなたは黙りこくったままだ。
歴史は決して終わらない。(ブラック・ブロック参加者の声明)

■反サミット行動に全世界から20万人が結集
7月20日からのイタリア・ジェノバサミットでの反対闘争には、NGO、労働組合、農民など様々な社会運動を構成する人々たち、実に20万人以上が結集した。イタリア当局の暴力的弾圧や事前規制、それに「ブラック・ブロック」などの破壊分子の跳梁がなければ、デモ参加者はさらに増えて空前の数字になったと思われる。明らかに、99年のシアトル以降の反グローバリゼーションのうねりは1つの転換点に差しかかったと言える(エリック・トゥーサン「ジョノバG8反対行動を終えて—これからの運動の発展に向けたメモ」参照)。
■要塞に閉じこもるサミット
「8人対60億人」ーこれが全世界から1000の団体を結集した反サミット連絡センター「ジョノバ社会フォーラム」(JSF)の主要スローガンだった。このスローガンを裏付けるようにイタリア当局はジョノバ市内を戒厳令の状態におき、G7・G8首脳らはあたかも要塞に閉じこもった状態でこそこそと会議を行った。EU(欧州連合)のプロディ欧州委員長は「治安部隊に守られ、市民から隔離されて開催せざるを得ないような会議のあり方を考え直そう」と呼びかけた(朝日新聞)。
イタリア当局の「暴徒対策やテロ対策」に名を借りた暴力的弾圧は欧州ではしばらく見られなかったほど酷いものであった。まず、サミット会場周辺が封鎖され、レッドゾーンが設けられた。その上で、当局は住民に恐怖を煽り、町から離れるよう求めたのだ(実際、50%以上の住民が町を離れた)。次ぎに、EU内での国境の往来の自由を保障するシェンゲン協定を停止し、活動家などの入国を阻止した。その上で、治安警察2万人、陸海空軍から3千人を動員し、市街戦に対応する特殊部隊や空からの攻撃に備えた地対空ミサイルまで配備するというものものしさだった。
ジェノバ警察長官は、スウェーデンの警察がEU加盟15カ国の首脳が集まった際にイエーテボリで行ったような実弾の使用は行わないと確約した。だが20日には治安警察はデモ隊の先頭にいた青年を射殺した。また、治安警察は「ブラック・ブロック」などの挑発的行動を利用し、平和的デモを行っている人々にも襲いかかった。そのため負傷者が数百人という単位で、20日、21日のデモ参加者に現われた。その上、連絡センターであるJSFを「暴徒を扇動した組織」としてでっち上げるために、21日深夜現地本部などを急襲し、多数の負傷者と逮捕者を出した。
このような民主主義とはほど遠い雰囲気の中で、G8首脳も動揺し、フランスのシラク大統領は「これだけ大きな抗議行動が示している人々の不安を考慮しないわけにはいかない」と述べた(朝日新聞)。
サミット終了後、警察の暴力に抗議してミラノで10万人、イタリア全土で30万人のデモが行われた。
結局、ジェノバでは死者1名、負傷者600人あまり、不当逮捕数100件。そして何よりも、まぎれもない政治的策謀が働いていた。ジェノヴァのいくつかの区域を荒らし回った挑発者グループ「ブラック・ブロック」と警察当局が通じていたことは、おおぜいの人々に目撃されている。
聖職者ドン・ヴィタリアーノ・デッラ・サラは「ブラック・ブロック」が憲兵隊の輸送車から出てくるのを見たと語っている(ラ・レプブリカ2001年7月22日付、ル・モンド2001年7月24日付)。

今回のサミット会場にハイリゲンダムが選ばれたのは、もともと街の周辺がフェンスによって囲まれていることから警備しやすいというのが一番の理由、それにまた経済格差の広がる元東ドイツの街に人の目を集めて経済効果を生ませたいとの首相の思惑もあるようだった。バルト海では哨戒艇が警戒。ハイリゲンダムの周囲12キロを包囲するのは高さ2.5メートルのフェンス、サミット関係者と約300人の住民以外の立ち入りや、フェンス近くでのデモを禁止するなど当局は厳戒態勢で臨んでいる。
上の写真は6月2日のG8に抗議する大規模デモの際に、警官隊とやりあった「ブラック・ブロック」のメンバーの姿です。彼らは黒いフーディと顔をマスクで隠しますが、ほとんどのデモ参加者が顔を見せることに喜びを感じているようでした。

2007/06/04

シャットダウンG8


G8に反対する、いろいろな動機から一カ所に結集した多様な人々からなる大規模なデモについて書かれたニュースを読んだなら、ぜひライヴの映像も見てほしい。
独立系のオルタナティヴメディアでは「G8 TV」というのを立ち上げています。6月2日から連日午後9時より(日本時間は翌日の夕刻5時)ドイツの閑静な街で沸き立つ人々のようすを見ることができます。「百聞は一見にしかず」です。

反サミットデモで125人拘束=500人重軽傷
ドイツ北部のロストクで2日、今週開かれるハイリゲンダム・サミット(主要国首脳会議)に反対する大規模な抗議デモが行われ、警察が3日明らかにしたところによると、125人前後が拘束された。デモの主催者は、少なくとも165人が拘束されたと主張している。
暴徒化したデモ隊は、警察に火炎瓶や石、瓶を投げ付け、警察官140人以上が負傷、このうち30人が重傷を負った。デモ隊は、自動車にも火を放った。
デモの主催者は、警察がデモ隊の拘束に当たり、暴力を振るったと訴え、一部が病院に搬送され、20人が重傷を負ったと説明した。デモ隊の負傷者数は公式には確認されていない。軽傷者も合わせたけが人の数は、全体で500人に達するとみられる。
警察は、デモには約2万人が参加したと発表。これに対して主催者は、反グローバリズムや貧困撲滅を訴える団体のメンバーら約8万人が参加したと語った。警察は、警察官1万6000人を投入し、警備に当たった。 (AFP=時事)
サミット開催に反対し、反グローバル化を訴える団体などがデモや集会を開催。集会は野党幹部や反核団体代表らの演説、反戦歌手の演奏などで当初は平穏に進んだが、ニュース専門テレビN24によると、近くにいた約2千人の過激派が警官隊に投石を始め、催涙弾や放水車で応じた警官隊と衝突した。(日本経済新聞)

他のインディメディアによると、大規模デモを予測した警官隊の事前の道路検問などで自転車を没収された人々がいるなど、当局側の行き過ぎた警戒態勢が目を引きます。
写真は結集したデモ隊のようすです。G8 TVを見ると、デモに向けた人びとのアイディアに目を見張ります。牛の着ぐるみのお乳を搾る「おなか」のできとか、エタノールができるコーンのかぶりものとか、キュートです。メディアが過激派と称しているのはエミネムのラップで行進(ときどきモッシュ)する黒づくめの人たちのことでしょうか。こういうのに当局はめちゃくちゃ刺激されるんだろうね。
g8-TV.org/

パインギャップから目が離せない


これまでも罪なき一般市民を数多く犠牲にしてきたことで実績のある、アメリカの戦闘機B52がイラクで爆弾を投下できないようにするため、違法とはいえ、基地に潜り込み、B52に欠かせない支援車両に細工をしようとした、イラク攻撃に反対する世界の圧倒的多数の市民と気持ちを同じくする英国の市民たち。そして米軍を支援する国オーストラリアの、国民の目から隠されている基地に、やはり違法とはいえ、潜入して市民査察を行い、秘密を暴こうとしたオーストラリアの市民たち。法というものがちゃんと働いて生きてるものならば、どうして彼らに罪をなすりつけて罰することができるというのか。イラクへの攻撃と占領こそが違法なのはいまや誰の目にも明らかなのに。
先日、英国では、陪審員たちが全員一致で無罪にしました。
さて、これまでに適用されたこともないような時代遅れの法律を持ち出してきて裁こうという魂胆のオーストラリアのパインギャップではどうなるか、目が離せません。
被告のひとり、ドナ・マルハーンが、連日ネット上にその日の展開を書いて世界中に知らせてくれています。以下は5月30日の彼女のニュースの一部です。
「オーストラリア放送協会の法律部門が、フィリップ・アダムスがやるラジオ・ナショナルのレイト・ナイト・ライブ・プログラムに対して、私たちとのインタビューも入っている裁判の話を放送しないように勧告したというのを、今日午後になって知らされました。プロデューサーは心から気落ちしている様子で、裁判が終わり次第できるだけ早く放送するつもりだと言っていました。でも、今夜の番組も興味深いものになるはずです。兵器を損傷しようと共謀した容疑の裁判で先週英国の裁判所で無罪判決を勝ち取った<B52の2人>の片方とのインタビューが放送されます。」

写真はパインギャップのサイトのバナーからいただきました。
http://pinegap6.livejournal.com/

2007/06/02

モッシュとダイブはコムニタス


月刊オルタにある「高円寺一揆」というのが気になった。昔、20代の頃に高円寺に住んでいたということもあり、「もう騒ぎはじめるしかない」というかけ声になんだかわくわくして惹かれたからでした。
「今回、選挙という制度を見事にリサイクルして、<高円寺一揆>がやってみせたのは、自分たちが実現したいと思っている社会の姿を単なる公約として語るのではなく、それを、いま・ここでリアルに体感できるものとして差し出すことだった。
..... 文化人類学が教えるように、社会的危機の時代には社会的地位や階級、財産の有無などによって分断された社会が、自由で平等な人間同士の実存的なつながりをとりもどす場が出現し、人類学者たちはそれを「コムニタス」と呼んできたが、駅前で何度も繰り返された激しいモッシュとダイヴは、まさにコムニタスだった。見ず知らずの他人となまみでぶつかり合い、お互いの身体を受けとめあうそれは、一揆後の社会の原型のように思えた。」
ということで、コムニタスにわくわく。コムニタスとは、文化人類学者のヴィクター・ターナーが考えた概念で、通過儀礼(イニシエーション)の中での人間関係のあり方を意味する。コムニタスとは、「身分序列、地位、財産さらには男女の性別や階級組織の次元、すなわち、構造ないし社会構造の次元を超えた、あるいはそれを棄てた反構造の次元における自由で平等な実存的人間の相互関係のあり方である」のだそうだ。つまり非日常的な人間関係のあり方をいい、日常的・固定的な人間関係をあらわす「構造」とは対立するものなのだ。私たちは人生の大部分を構造のなかで過ごすが、そこでは世俗的な身分・役割・職務でもって語られる一面的な存在に過ぎない。そこにとどまり続ける限り、私たちは不安や攻撃性、妬み、恐れといった情緒的反応に取り囲まれてへとへとに消耗せざるをえない。私たちはときに社会的地位や役割から自由な非日常、つまり構造と対立するコムニタスの世界に身を投じて自己の再活性化を果たす必要があるとのことだ。
しかしながら、コムニタスには社会的身分も役割もないから、常になまみがさらされる、きわめて緊張をはらんだ互いに傷つきやすい関係であり、長くそこにとどまるのは苦痛でもある。ターナーは、「コムニタス状況は長期に渡って維持されることはない」と書いている。また、コムニタスはそこを通過してあらたに社会関係へとつながっていく場でもあるんだそうだ。(もとはラテン語の「コミュニティ:共同体」が語源)
ある意味でネット空間はこのコムニタス状況に近い。インターネットはきわめて境界例と親和性が高く、とても居心地のいい空間ということになる。最近周辺に増えているように思えるウツ的人間たち(ウツ系)というのは、実は鬱病とは切り離して考えたほうがいいかもしれない、日常的な構造社会が苦手な「境界例的心性の持ち主」ではないだろうか。

もうひとつ、全国にぼちくらこういう「学びの学校」が登場していることに気づいていましたか。
■大阪コムニタス・フォロ:「ニート」「ひきこもり」など、なにかと若者をバッシングしたがるご時世ですが、バッシングしているオヤジたちも、なんだか希望をもって働いているようには見えません。私たちは、若者をバッシングするのでも、訓練するのでも、支援するのでもなく、いっしょにオルタナティブな生き方を模索していこうと、若者の居場所を設立することにしました。
変だと思う社会に自分を合わせるのではなく、自分の感じているものを大事にしながら生きていくことはできないのか? コムニタス・フォロでは、NPOや、オルタナティブな活動をしている、さまざまな分野の人たちにご協力いただき、若い人たちが生きていく足場をつくっていくことを、いっしょに模索していきます。(ここのサイトより抜粋)
たとえば、学びの例として、目を引くものをあげてみますね。
●フリージャーナリストを招き、その目で実際に見たイラクの現状や、クラスター爆弾の不発弾で吹っ飛んだ一般市民の人々の現状などの話を聞く。
●ゴミの埋立地に行ったり、犬管理事務所(保健所)に行ったり、葬儀の話を聞いたり、コムニタス・フォロでは、ある意味での「死」に関心を抱いている。日常生活から排除されたものは、その後、どうなっているのか? その現場を知りたい! そして、その現場の未踏峰に、下水道がある。日本下水文化研究会なるNPOがあることを知り、そこの支部長に話を聞く。
「下水文化は、じつに深い。世界の下水の歴史に始まり、日本の下水文化について、世界のトイレ事情など、あれこれお話をうかがった。ヨーロッパで歩道が整備されていたのは、車道部分に糞尿を垂れ流していたためだったこと、ヨーロッパでは19世紀まで糞尿のために非常に不衛生だったこと、それに比べ日本は鎌倉以降、糞尿を肥料として活用したため、きわめて衛生的かつ合理的な都市を形成していたこと。また、飛鳥時代から奈良時代にかけて20回も遷都したのは、都が糞尿にまみれて耐えきれなくなったからだという説など、歴史を下水から考えると、いままでにない視点で見えてくることがたくさんあった。話は、どれも興味深く、下水文化の深さを堪能した。
とくに興味深かったのは、人糞を肥料にしていたのは中国、韓国、日本だけで、しかも人糞に経済価値を見いだして、制度的に取引するシステムをつくっていたのは、鎌倉以降の日本だけだという話だった。しかし、この偉大なるシステムも、戦後の日本では廃棄され、高コストで、しかも江戸に比べれば不衛生な、下水システムにとって代わられた。」
●映画の時間もあるんですよ。

上の写真は、京都祇園にあったおせんべい屋さんのショーウインドーです。
量り売りのおせんべい屋さんって減りましたね。変わったおせんべいがあったので、どんな味かしら?ちょっと食べてみたいねー、とくっちゃべっていたら、店番のおじいさん、こぼれたおせんべいを出してきて味見させてくれました。おいしい!たくさん買いました。

2007/06/01

さよならアメリカ シンディの辞任の手紙


「反戦の母」と言われてきたシンディ・シーハンがその活動を停止したことをDaily Kosに書いています。
以下はそのほぼ全訳です。(29 May 2007)
それにしても、すごくいやーなやつになることを楽しむ風潮とかがあるんでしょうか。シンディ母さんの息子が死んだ戦争は、始まる前に世界中が反対した戦争なんです。ブッシュには彼女の息子が死ななくてはならなかった理由を説明する責任があるはずです。

息子のケーシーがイラクで殺されて以降、特に私がアメリカの反戦運動の「顔」とやらになって以降、私はたくさんの中傷と憎悪に耐えてきました。特に民主党の手に帰している縁を切って以降、デモクラティック・アンダーグラウンドといった「リベラルなブログ」で無用の者とさんざんなぐられてきました。「注意の売春婦(アテンションホア)」と呼ばれること、「いい厄介払い」だと言われるのは、寛大な叱責以上のものです。
この戦没者記念日の朝、私はひどくつらい結論に達しました。私の抗議をジョージ・ブッシュと共和党に限定さえすれば私は左派とやらの愛情を一身に集めている人だったというのが最初の結論です。もちろん、私は民主党の「道具」だと右派によって誹謗中傷されました。このレッテルは私と私のメッセージを社会の主流から取り残し社会的に無視するためのものでした。どうやって女性はオリジナルの考えを持てるのでしょう、または私たちの「2大政党」システムの外でどう役に立つことができるのでしょう?
しかしながら、私が共和党を支えたと同じ規範で民主党を支え始めたとき、私の主張(大目的)のための支援が減退し出して、右派が使ったのと同じ侮辱で左派が私にレッテル付けを始めました。平和と、理由もなく人が死ぬことの論点は、「右か左か」の問題でなしに「正しいか間違ってるか」の問題だと私が言ったとき、誰も私に注意を傾けなかったと思います。
等しく民主党と共和党によって支援されたウソに基づく戦争のために何十万という人間が死んでいるとき、党派心の強い政治は路傍に捨てられるべきだと信じるから、私はラディカル(急進派)に重きを置いたのです。論争で活発な人々やレーザービームのようにウソや虚偽の陳述(誤伝)や政治的方便(ご都合主義)に注意を集中できる人々が、党となるとわが党のウソや虚偽の陳述や政治的方便を認めるのを拒絶することに私はびっくり仰天します。どちらの党で生じるにせよ、盲目的な党の忠義は危険です。私たちが政治指導者らにひどく流血をともなう許容範囲を許すせいで、世界の人々は物笑いの種として私たちアメリカ人を見ています。そして、もしこの腐敗した「二大政党」システムに取って代わるものを見つけなければ、議員代表共和政体は死ぬことになり、私たちがどんどん身を落としていっているただのチェック機能もバランス機能もないファシズム的集合体の不毛時代に取って代わられるでしょう。人物を見るときに私は所属の党や国籍を見ないせいで悪霊に取り憑かれます、私はその人の心を見ます。もし着ているものや振る舞いや話や投票が共和党員のように見えるとして、その人が自分自身を民主党員と呼ぶせいで支援に値するというのはなぜなのでしょう?
また、私がこういうことをしているのが「注意の売春婦」だからなら、献身的である必要があるという結論にも達しています。私はすべてを注ぎ込んでいます、なんとかして国に公正に平和をもたらすことに私はのめり込んできました。彼らが息子を殺したとき、「感謝に満ちた」国が私にくれたお金から得た利用できる小銭をことごとく、そして講演や本の印税で受け取ったすべてを費やしてきました。私は29年の結婚生活を犠牲にし、ケーシーの兄弟姉妹から遠く離れて長期間旅してきました。そして私の健康が犠牲になりました、罪のない人間を虐殺するのをこの国になんとか止めさせることに私の全エネルギーを費やしてきたせいで、ほとんど死にそうになった昨年夏から病院の支払いが積もりにつもっています。私は卑劣な人間が考えつく見下げはてた名前ことごとくで呼ばれてきていますし、私の命は何度も脅されてきています。
しかしながら、今朝、私が達したさんざんな結論は、ケーシーがまったく無駄死にしたということでした。私たちが考えることをコントロールさえする戦争マシーンによって動かされ恩義を受ける自分の国によって殺された彼の尊い生命のもとは愛する家族から遠く離れた国で尽きました。以来、私は彼の死になんとか意味を見いだそうとしてきました。民主党と共和党が人命で政治ごっこをするなか、この先数ヶ月でどれだけ多くの人々が死ぬことになるかより次のアメリカの崇拝の的に誰がなるかのほうに関心を持つ国のためにケーシーは死んだのです。何年もこのシステムに巻き込まれたことを知るのは私にはとても苦しいことです。そしてケーシーはその国家の忠誠の義務のために犠牲を払いました。私は最愛の息子をなくしました、そのことが一番つらいです。
しばしば、平和と人命より当人のエゴを優先させる平和運動の範囲内で役立とうとやってもみました。この団体はあの団体とは一緒にやらない、彼女がここにいるつもりなら彼は参加しない、そしてとにかく、なぜシンディ・シーハンが全注意を引くのか?まさしくその運動があまりにもたくさん意見の不一致がある名をとって命名されるとき、平和のために役に立つのは困難です。
女性も男性もイラクにいる勇敢な若者たちは、破壊についてのチェスボード上のポーンのように兵士たちを動かす臆病な指導者らによっていつまでも無期限に見捨てられてきています。そして人よりも選挙について心配する人々によって、イラクの人たちは死にいく運命と死よりも悪い運命を定められているのです。しかしながら、5年、10年あるいは15年、わが国の軍隊は別の見下げはてた失敗で、くたくたに疲れて帰国することでしょう。そしてそれから10年か20年して、私たちの子どもの子どもたちが愛する家族が理由もなく死んだのを理解することになります。なぜなら祖父母らもまた腐敗したシステムに巻き込まれたからです。ジョージ・ブッシュが弾劾されることは決してないでしょう。民主党が深く掘りすぎても彼ら自身の墓に数体の骸骨を発見するのが関の山で、システムは永久に不滅でしょうから。
なんであれ私が残してきたものを引き受けるつもりでいます。自宅に戻り、残された子どもたちの母親になるつもりでいます、そして健康など失ったものを回復するつもりです。旅で見つけたとても前向きな人間関係を維持し、育てていくつもりです。
キャンプ・ケーシーはその目的を満たしています。売り出し中です。テキサス、クロフォードの5エーカーの美しい土地を買いたい人は?妥当な申し出を考慮に入れますよ。ジョージ・ブッシュもまた、まもなく引っ越すつもりだと聞きます。資産価値が上がるのでは。
これはアメリカの反戦運動の「顔」を辞任する私の手紙です。アメリカの帝国によって傷つけられる世界の人々を助けようとすることは絶対にあきらめません。でもこのシステム内、またはシステム外で役立つことは終えます。このシステムは助けられることに激しく抵抗し、なんとか助けようとする人々を食い尽くします。それが私や私が愛する人々や残りの私の資産をすっかり消費し尽くす前に、私は出て行きます。
さよならアメリカ.....アメリカは私が愛する国ではありません、私の犠牲の大きさなど気にしないことにやっと合点がいきました。あなたが望まない限り、私にはどうにもできません。
あなた次第です。

シンディ・シーハンの本は、「Peace Mom: A Mother's Journey through Heartache to Activism 」とシティ・ライツから出ている「Dear President Bush 」の2冊です。