見つけた 犬としあわせ

こころがどきどきするもの見つけたとき、それを作品にしたり、思わずなにかの形にして人に伝えたくなります。 見つけたとき感じたしあわせ感覚がひとしずくでも誰かに伝わったら、ダブルでハッピーです。

2008/05/31

ガザ黙殺と共犯で世界は恥を知れ


◇米軍の間でPTSDが46%に増大する
新たな数字が米軍の間で外傷後ストレス症候群(PTSD)の劇的な増大を示す。ペンタゴンによると、昨年PTSDの新たな症例が46%以上に急増し、5年間で総数4万人近くに至らせた。ブッシュ大統領が軍の勤務期間を延長して隊のサージ(大波)とやらの下でイラク占領を拡大したとき症例の数が増大した。

◇元報道官:ホワイトハウスはイラクに関して国民を操作した
ホワイトハウスの元報道官スコット・マクレランが、イラク戦争を行うため故意に国民を操作したとブッシュ政権を非難している。新著の回顧録でマクレランはこう書く、「2002年の夏までずっと、ブッシュのトップの補佐官らは、戦争をずぶといほど積極的に売り込むため、来るべきキャンペーンを慎重に画策するための戦略の輪郭を描いていた。永続するキャンペーン時代には、世論の情報源となるものを大統領に好都合な要因へと操作することにすっかり従事した。」
彼は続ける、「私にわかっているのは、戦争は必要なときにだけ行われるべきものだということで、イラク戦争は必要ではなかった。」マクレランはまた、ブッシュ政権にあまりにもやさしすぎたと言って、イラク侵攻前の品行のせいでホワイトハウス記者団をとがめもした。
彼はまた、ハリケーン・カトリーナの手際でもブッシュを非難する。カトリーナの後に続く最初の週をホワイトハウスが「絶縁状態」で費やしたとマクレランは言う。また、ホワイトハウスの対応について世間の批判を押しとどめこれに逆襲するため、カメラマンとの会見としてニューオーリンズを低空飛行する大統領専用機エアーフォースワンの儀礼飛行を、ホワイトハウスの代理人カール・ローヴが計画的にやって見せたと言う。
マクレランはブッシュの報道官として3年あまり務めた後、2006年4月に辞職した。

◇ブラックウォーター事件で大陪審がイラク人目撃者らの言い分を聞く
火曜日、昨年9月の軍事会社ブラックウォーターワイルドワイドに勤める護衛らによる17人のイラク人殺害を調査する連邦大陪審の前に、少なくとも3人のイラク人目撃者らが姿を現した。
Nissor Square大虐殺として知られるようになっている事件で告訴は起こされてきていない。ブラックウォーターは米国が押しつける法の下でイラクでの犯罪訴追手続きから免除される。米国でブラックウォーターを起訴できるかどうか、検察官らはまだ不確かだと言う。ひとりの目撃者は家族の写真をしっかり抱えて裁判所を後にした。

◇殺しの徹底的調査を始めるためツツ司教がガザを訪問
イスラエルと占領された自治領では、2006年イスラエル部隊による19人のパレスチナ人殺しに徹底的調査を開始するため、南アフリカのデズモンド・ツツ司教が火曜日ガザに到着した。イスラエル政府は彼の入国を拒否することで、国連に支援されるツツの調査をあらかじめ妨害していた。ガザ市で話をするツツは、ガザのパレスチナ人に対するイスラエルの扱いを非難した。
デズモンド・ツツ司教:「私たちには、ガザで起こっていることが容認できない。すでに私たちは、ほとんど人を激怒する気にさせるだけ見たり聞いたりしてきている。」
ツツはまたハマスにもイスラエルの町へのロケット攻撃を止めるよう求めて、双方の側が和平会談を始めるべきだと言った。

◇パレスチナ人がイスラエルの分離壁の拡大に抗議
同時に、西岸ではイスラエルの分離壁に対する抗議でイスラエルの兵士らがゴム弾を撃ったとき、少なくとも10人のパレスチナ人が負傷した。壁を故意に妨害しようとして、イスラエル人とパレスチナ人の抗議者数百人が西岸のニリン村の近くに結集した。占領する自治領に違法に建設されると国際法廷の決定が下されたにもかかわらず、イスラエルは壁の拡大を続ける。

◇元外交官:イラン攻撃を米国が計画
国務長官元補佐がブッシュ政権は今後2カ月以内にイランに対する空爆を計画していると主張しているのを、アジアタイムズが報じている。米国の攻撃はイラン革命防衛隊のエリートQuds(コッヅ)部隊の本部を標的にしたものだと匿名の職員は述べた。ブッシュの任期が終わる前にブッシュ政権はイランを攻撃する計画だとのイスラエルのニュース報道を、先週ブッシュ政権は否定した。

◇元アルゼンチン軍司令官の裁判が始まる
そしてアルゼンチンでは、1976年に始まるアルゼンチンの7年におよぶ独裁下での人権虐待で元陸軍司令官の審理が続いている。ルチアーノ・ベンジャミン・メネンデスは、ラ・ペルラとして知られる秘密の拷問センターでの左派の反体制の人の誘拐、拷問、殺しの告発に直面する。火曜日、裁判の開始をはっきり目立たせるため、数十人の活動家がコルドバの法廷の外に結集した。3万人が独裁下のアルゼンチンで死んだと考えられている。

2008/05/30

食えない、漁ができない、抗議運動



デモクラシーナウ!の5月27日ヘッドラインからーー。

◇IAEAが核の開示でイランを批判
国連の核監視役のトップが、核計画に関する質問に答えていないとイラン政府を非難している。最新の報告で、IAEA国際原子力機関は、原子力開発での軍の役割の申し立てに対し、イランは説明するべきであると言う。軍の関与の証拠は示されてきていない。

◇イスラエルが150個の核兵器を保有するとカーター
同時に、イスラエルがその兵器庫に少なくとも150個の核兵器を保有すると信じると、ジミー・カーター元大統領は明らかにしている。イスラエル政府は国の核兵器プログラムを一度も白状してきていない。だが、科学者のMordechai Vanunuが1980年代に政府の文書をリークして以来、その存在は広く知られてきている。カーターのコメントは、元米大統領がイスラエルの原子力兵器の数について話した 最初なのを際だたせる。カーターはまた、イスラエルのパレスチナ占領を「地球で最も大きな人権犯罪行為」のひとつと呼んだ。

◇ペンタゴンがプロパガンダ計画の調査に場所を与える
ペンタゴン(米国防総省)の検査官総務局は、軍の国内プロパガンダ計画に徹底的内部調査を発表している。積極的なニュース報道を発生させてイラク戦争を押しすすめるためペンタゴンが退職した軍人らを使っていたのを、先月ニューヨークタイムズ紙が暴いた。下院の徹底的調査は、計画が国内プロパガンダの政府資金供給を禁じる法に違反するかどうかの一点に集中することになるだろう。

◇チリが元独裁者の勢力に断固たる措置をとる
チリでアウグスト・ピノチェットの独裁政権下の元兵士と警察官およそ100人に逮捕状が発行された。1973年、選任されたアジェンデ政府の転覆で始まった17年の軍統治下の犯罪としては単一で最大規模の逮捕だ。容疑者らはコロンボ計画への関与で起訴される。コロンボ計画では少なくとも120人の反体制の人が殺された。政府は最後まで論拠を言い張るつもりだと、チリの内務省弁護士ボリス・パレデスは述べる。
ボリス・パレデス:「モンティグリオ判事の調査は告発的な調査です。これのために、彼らはそれは多くの責任を負わされます、国全体がこの犯罪、この恐ろしい犯罪で悪事をたくらんだのですから、それは必然です。
ゆえに、私たちは最後まで犯罪の責任を追及するつもりです。」
ピノチェットの統治下で3000人以上の人びとが死んだ。彼を公判に付する非常に多くの試みをかわした後、2006年12月、彼は死んだ。

写真は、パキスタンの労働者たちが総督官邸の外で最近の食品の値上げに抗議してデモをしている。もう一枚はやはり燃料費の高騰などで漁ができずに魚市場が閉鎖に追い込まれているフランス西部の漁師たちが抗議して、通行人に手渡すためスーパーマーケットから冷凍の魚を盗む。BBC NEWS 28 May「Day in pictures」から。

2008/05/29

キューザックのWar,Inc.


◇ジョン・キューザック 戦争に行く

ジョン・キューザックは怒っている。そして君らもまた怒るべきだと考える。型にはまった戦争の風刺を進歩させた、自殺的な映画の機会かもしれないものを受けるほど彼は怒っている。

主題としてイラク戦争は大作映画にはさえない墓場だった。だが、ロサンゼルスで5月23日公開された映画「War,Inc.」で、キューザックはいちかばちかの冒険をやっている。ヨシュア・セフテルが監督し、キューザックが共同で書いている映画は、軍隊の民営化に証拠を挙げて反対するのに、辛辣なユーモアと、独創性と個性的演出をはっきりうちだす映画監督の不条理主義者のレンズを使うことで、観客を揺さぶり強い影響を与えることだろう。

「すべてが外部委託される、すべてがもうけるため」だと、ヴェニスプロダクション事務所でのインタヴューで42歳の俳優・作家・監督は言った。「人が実際にこれを理解しているとは思わない。戦争自体がコストプラス方式(原価に協定利益を加算する方式)のビジネスだと言ってもよい程度まで、企業が戦争を民営化してきている。彼らは政府がすることになっている非常にコアな職務を掘り抜いている。彼らはATMとして国務省を活用しているんだ。」

「彼らは刑務所に送られるべきだよ。彼らは有罪と宣告されるべきだ。彼らのイデオロギーは面目をつぶされるべきだ。ボクたちは彼らに反抗すべきだ。ボクたちは彼らをもの笑いの種にしてあざけるべきだ。」

そこで彼が主役を演じるのは、ブランド・ハウザーという人物、「War,Inc.」の堕落した法人の暴利をむさぼる者だ。(「セイ・エニシング」から彼の映画の多くでたびたび共演するキューザックの姉のジョーンがハウザーの秘書を演じる。)

武装した従業員のいる民間企業が中東で米軍といっしょに軍事行動をとっていたのを初めて国民に気づかせた、イラク・ファルージャでの軍請負人グループの殺害の後、キューザックと友人のジェレミー・ピクサー(映画「ブルワース」を共同で書いた)とマーク・レイナーはこの映画のためのアイディアを考え出した。

今日、ブラックウォーターのような民間企業に雇われて、アメリカの元兵士らがイラクで整然と組織された軍の役割を演じて、国務省との契約の下に米国外交官の安全確保の手段を提供する。

政治が常に激しく議論される、シカゴのリベラルなアイルランド系カトリック教徒の家庭で成長したキューザックは、問題を黙殺したままではいられないと感じた。

「ボクたちが許しているのは、政府お気に入りの戦争で金持ちになる企業のための保護貿易主義のいかがわしいやり口だ」とキューザックは言った。彼は映画を作ることで「Baghdad Year Zero」の作者、ジャーナリストのナオミ・クラインの著作を激しく頼りにした。「ブラックウォーターのような会社は、ボクが市政学のクラスで学んだ、考えられる抑制と均衡(米国政治の基本原則)をどこで保たれるのか?」

確かに、キューザックは俳優としてエッジーな役柄を引き受けるのを決していやがってきていない。彼の成果は軽い作品(「理想の恋人」05年)から冷酷でグロテスクな作品(「アイスハーヴェスト氷の収穫」05年)まで幅広い。そしてインディ映画界のイコン(「ジョン・マルコヴィッチの穴」)。彼の演じたキャラクターのように、彼は危険を冒す人間だ。

メジャースタジオが「War,Inc.」を後援しないのを彼はよく承知している。代わりに、自主的に配給されればいいことになる(この映画の場合にはFirst Look Internationalから)。「従って、うまくやりとおせるか心配せずに、ボクらは、なんであれしたいことをすることにした。」とキューザックは言った。

ボックスオフィス(劇場のチケット売上金)の結果がどうであれ、映画は彼の意見を正直に表すとキューザックは考える。「まさしく君自身を表現して成功することが必要だ」とキューザックは言った。「この映画は会話を始めることを意味する。」

キューザックは「War,Inc.」のおどけた感性を、キューブリックの「博士の異常な愛情」のさっそうたる突進を有するマルクス兄弟の映画になぞらえる。キューザックが映画をどう描写するか紹介しよう。「原子破壊器に風刺と超現実主義と誠実をいっしょに入れて、それを全部まとめてブレンドする。」

そのアプローチを誰もが好きでないのは明らかだ。トライベッカ映画祭で上映された映画は賛否両論の評価を得てきている。ある批評家はそれを「気むずかしすぎる」と呼んだ。

アーティストのスタジオ産業ベニスの中にこじんまりとおさまるキューザックは、巨大な天窓のあるスペースを占有する。大部分のモノは彼の過去の作品で使われる小道具と家具だ。最も人目を引くのは2002年の映画「アドルフの画集」のセットで使われた大きな絵画だ。映画でキューザックはヒットラーを助けたユダヤ人アートディーラーを演じた。

ごたごたを起こすのが好きなのを彼は認める。ありきたりの映画スターになりたければ、彼は間違いなくそれになれた。彼には女性が愛する感じやすいあこがれの的(すてきな男性)的なアピールがあった。だが、それは彼向けのものではなかった。

彼は政治と映画の問題になると、俳優で第二次世界対戦の退役軍人の父親、ディック・キューザックの助言を重く頼りにしてきている。

「父はボクに多くのことを教えてくれた」とキューザックは言った。「正しく生きれば、後ろめたさを示さずにどんな男をもまともに見ることができ、くたばってしまえと言えるんだと彼は言った。温室に石を投げることになるので、多くの人たちに対してそれはできない。オヤジのようにボクはりっぱではないが、戦争で暴利をむさぼる連中はどうなんだ?彼らはくたばっていいよ。」

(By Tina Daunt, Los Angeles Times Staff Writer May 23, 2008)
tina.daunt@latimes.com

ワシントンの欺瞞の文化


言葉に意味がなくなったのはいつからか?とジャーナリストのロバート・フィスクは嘆いた。
計画的な悪用や曲解を重ねているうちに、言ってる本人にもわけわからなくなるというのがある。でも、ブッシュはどうなんだろう。自分の言ってることに感動してるふしがある。それに、ここまできてもなおブッシュ(&カンパニー)の言葉をその通り受け止め、うなずく、アメリカ人がいる。
以下、CNNニュースからーー。

◇「アメリカがテロ戦争に負けるとすれば、われわれがみずからをくじく場合のみ」だとブッシュ大統領は水曜、アメリカ空軍アカデミーの2008年度卒業生に語った。
曇り空のファルコンスタジアムで話す大統領は、イラクとアフガニスタンでの戦争をアメリカの前の戦争、特に第二次世界大戦になぞらえた。
「われわれの国はもう一度、怒り、憎しみ、絶望を広めようと努めるイデオロギー、イスラム過激主義のイデオロギーに対処している」と彼は言った。
「今日の苦闘で、われわれはもう一度、自由をさげすみアメリカをさげすみ、何百万人をその乱暴なルールに服従させようと意図する、邪悪な男どもにさらされている。」
「かつてわれわれはこの義務を引き受けた」と彼は言って、40万人以上のアメリカ人の命の損失を経験した戦闘、第二次世界大戦後のドイツと日本の再建に言及する。

◇3年間にわたってブッシュ米大統領の代弁役を務めていたホワイトハウスのマクレラン元大統領報道官が、イラク戦争などをめぐってブッシュ氏を痛烈に批判する回想録を刊行した。腹心だった人物の裏切りに、ブッシュ大統領は政権末期の悲哀をかみしめているようだ。
マクレラン氏が執筆した回想録は「何が起きていたのか−ブッシュ・ホワイトハウスの内幕とワシントンの欺瞞(ぎまん)の文化」と題され、「ブッシュ大統領はイラク開戦の必要性を国民に売り込むために、真実を語らず、政治宣伝に狂奔した」などと書いている。
マクレラン氏は、長年ブッシュ大統領に付き従い、テキサス州知事時代にも報道官を務めた。2003年から2006年まで、大統領報道官の激務をこなした。
(時事通信 2008年5月28日)

◇イラク戦争についてマクレラン氏は、国民の支持を獲得・維持するためには誠実で率直な姿勢が是非とも必要だったが、ブッシュ大統領と補佐官はそれを宣伝キャンペーンと混同したと指摘。「この点において、大統領の上級補佐官、特に国家安全保障に直接かかわった補佐官は恐ろしく役立たずだった」と振り返った。
米国南部を襲った大型ハリケーン「カトリーナ」への対応をめぐっても「わが国史上最悪級の惨事は、ブッシュ氏の大統領職における最大級の惨事となった」とブッシュ政権の失策を批判している。
CIA工作員の身元が暴露された事件をめぐっては、ブッシュ大統領のため自分は真実を語らなかったと打ち明けた。
この事件ではホワイトハウスのルイス・リビー補佐官らが情報をリークした罪に問われたが、マクレラン氏は「私は欺かれてうその情報をそれとは知らずに伝えてしまった」と告白。それが原因で後に報道官としての職務をまっとうできなくなったとしている。2年後にマスコミが詳細を伝えるまで、自分が事実に反する発表をしたことは知らなかったという。
(CNN 2008年5月28日)

2008/05/27

ブッシュの言葉に意味はない


◇では狂気はどこで終わるのか?
内戦の集団墓地に埋められたあらゆるモンスターが掘り返されている
by Robert Fisk

なにが今週の最悪部分だったか私には確信がない。レバノンでの暮らしか?ジョージ・ブッシュのけしからぬ言葉を読むことか?幾度か私はこの疑問を自問している。言葉はその意味を失っているのかと。

そういうわけで、ベイルートのコクトーレストランでランチといこう。そう、そこはジャン・コクトーにちなんでつけられた、そしてそこは町で最もシックな場所のひとつだ。テーブルには堂々とした花、完ぺきなサービス、すばらしい食事。そうとも、前日、20ヤード離れたソデコで銃撃があった。レバノン政府の事実上の崩壊と、ヒズボラの勝利として認めなければならないこと(ジョージ・ブッシュにこれを理解しろと求めるな)をものともしないイスラム教スンニ派(そしてサウジ)と、さらに多くの通りでの銃撃の危険に、私たちはすでに気をもんだ。だが私は、些細なこと、10人か12人の民兵が捕まってレバノン軍に引き渡される前に殺された、レバノン北部での重要でない皆殺しを持ち出した。彼らの死体は、どうもこれは正しいようだ、死後手足をバラバラに切断された。

「彼らはそうなって当然だった」と私の左のエレガントな女性が言った。私はぎょっとし、当惑して、むかつき、深く悲しみに沈んだ。そんなことがどうして言えるものなのか?だが、ここはレバノン、多数の人、私のカウントでは62人がこの数日に殺されてきており、内戦の集団墓地に埋められたあらゆるモンスターが掘り返されていた。

私はコクトーでescalope du veauを選んだ。私がどれほど早くこれに決めるかにうんざりさせられる。そしてレバノンで目撃していることにどんなに激怒するか、親愛なるレバノン人(そして彼ら全員が私には貴重だ)の友人たちに説明するのに私は精力的だった。

3日前、アベド(長年のフィスクの運転手)がクルマで私を国の北部まで進ませたとき、弾丸がトリポリの壁に突き刺さっていて、それを見てぎょっとしたシリアとの国境の税関職員のひとりが私に、彼や彼の友人たちといっしょにとどまるよう求めた。私はとどまった。彼らはオーケーだ。

だが、逆の宗派の出身であることがまた突然決定的になる。君の運転手が誰で、君の大家の宗派がなんであるかが、突如として計り知れない重要な問題なのだ。

昨日の朝、海に面した私の一室の界隈で学校が再開し、見晴らしのよい断崖沿いの道路を自転車で下りていくヒジャーブ姿の女性を見た、そして今度のヨーロッパへの短い旅のことで旅行会社から電話があった。ベイルートの空港が再開した、そして私はレバノンが「平常に戻った」のを実感した。

道路がまた通れるようになった。目隠しをしたガンマンどもの姿はなかった。政府はヒズボラとの対決を断念していた。空港のシーア派イスラム教徒の警備主任の解雇(その人が一年前にシャンペン1本くれたのをどうやら私は憶えているらしい、彼がヒズボラの「スパイ」だと!)とヒズボラの秘密通信システムを解体するとの政府の要求は失敗の最後のしるしだった。そうして新聞を広げた私がそこで読んだのは?

「その地域全体のイスラム教徒らが、テロリストのビジョンのなさと彼らの大義の不正を認めるに従い、アルカイダ、ヒズボラ、ハマスは負かされるだろう。」と、エルサレムでジョージ・ブッシュが宣言したものだ。

狂気はどこで終わるのか?言葉はどこでその意味を失うのか?アルカイダは負かされてきていない。ガザのハマスの戦争と同じく総体で、ヒズボラはレバノン国内の戦争に勝ったばかりだ。アフガニスタン、イラク、レバノン、そしてガザは地獄の災難である。1948年パレスチナのチャーチルに関する記述をまた引用することで謝罪するまでもない、そしてこの愚かでバカで悪意のある男がまたもや世界に対してウソをついている。

どんな中東「和平」を指揮するにもずばぬけて不適任な男、Kut al-Amaraのブレア卿と、彼は「秘密」の会合を催した。思うに、このことが、会合が秘密である必要があった理由なんだろう。だが、彼はイスラエルの民主主義に世界の賛意を述べる。代々所有してきたパレスチナ民族の土地を彼らから奪い続けている民主主義から、まるでパレスチナ人たちが恩恵を受けるかのごとく。

私たちはこれを本当に受け入れる必要があるのか?「国連が、中東で最も自由な民主主義に対して世界の他のどこよりも多くの人権決議を採択するのは、恥さらしのもとだとわれわれはみなす」とブッシュは述べる。

パレスチナの土地を盗むことで、国連がイスラエルに足かせをはめられていない許可を与え続けることが、恥さらしのもとだというのが真実だ。これが、中東における唯一のアメリカの同盟国に対して国連が人権決議を採択することが(ワシントンにとって)恥さらしのもとであるその訳なのだ。

そして私が暮らすこの国でワシントンがなにをしているか?ワシントンはレバノン軍司令官に会いに行き合図で知らせるため、トップの軍司令官のひとりを送っている。レバノン政府へのワシントンの支援をなげうってきているのではというのが増大するフィスクの感づきだ。

なるほど、常に中東の軍隊にはいっそう多くの装備、武器、弾薬なのだが、もう一度言っておく(軍隊が好きではない私が繰り返すのだ)、レバノン軍が今週もっぱら私たちを救ったのだ。その軍の最高司令官、ミッシェル・スレイマン将軍が次期大統領になることになり、アメリカ人たちは彼を支持して、彼らが常にするように、担当するひとりの将軍を有して安全だと感じることだろう。レバノン人ならこう言うはずだ、「Chehabism(チェハブ主義)」が戻っていると。

だが、私はそれほど確信しない。スレイマンはダマスカスとうまくやっていく。彼が親米・ヒズボラとの戦いに彼の兵士たちを導くつもりはないだろう。そしてレバノン人は、ブッシュの正気でない「世界のテロ」との「ジハード(聖戦)」に仲間入りするつもりはない。

今週、レバノン北部でうれしい瞬間があった。チェックポイントのレバノン兵士がクルマの中にいる私を見つけて道路に走り出てきたとき、私の勇敢な友人アベドをことさら励ましたのだ。

「あなたはロバート氏ですよね!」彼が大声で言った。「TVで見ています!あなたの本を読みました!」そうして彼は親指をあげて「いいぞ!」の合図を送ってよこした。そして私はこの男を喜ばせなければならない。そして彼はきっとレバノンのために戦うだろうと私は考える。だが、アメリカ人のために彼が戦うとは思わない。

(UKインディペンデント紙 18 May 2008)

▲ロバート・フィスクの新著「The Age of the Warrior: Selected Writings」が、Fourth Estateから出版される。ロバート・フィスクは、現在レバノン在住の中東専門のイギリス人記者、インディペンデント紙などにコラムを掲載。

写真は、監督、プロデューサーのシドニー・ポラックです。5月27日亡くなりました。73歳。
映画「マイケル・クライトン(邦題:フィクサー)」に出ていたのが最後となりました。彼は40年間、ハリウッドをリードするスターたちと仕事をしてきています。

2008/05/26

タイソンとマラドーナとデル・トロ



チェ・ゲバラの半生を描いた映画「CHE」(スティーヴン・ソダーバーグ監督、来年日本公開)が21日夜、カンヌのコンペで上映された。
これには、元ヘビー級チャンプのマイク・タイソンと元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナが姿を見せた。2人ともゲバラの大ファンで、上映後には主演のベニチオ・デル・トロらと固い握手を交わした。
以下、BBCニュースからーー。

◇タフで現実的なパリの学校生活を描いたフランス映画「The Class」がカンヌ映画祭で羨望のパルムドールを受賞した。
審査委員長ショーン・ペンによって授与されるこの賞で、世界で最も信望のある映画祭は閉幕となった。
ローラン・カンテが監督する「The Class」は、彼らの人生の一年を記録にとどめるため、実際の生徒らと教師らを活用する。
IRAのハンガーストライカー、ボビー・サンズの人生の最後の6週間を記述する「Hunger」は、初監督作品のベスト作品に与えられるカメラドールを獲得した。
スティーヴン・ソダーバーグのキューバ革命家チェ・ゲバラの伝記で主役を演じたベニチオ・デル・トロが最優秀男優賞を受賞した。
「これをチェ・ゲバラ自身に捧げたい」と彼は観衆に語った。
デル・トロはソダーバーグの2000年の映画「トラフィック」での演技でアカデミー最優秀助演男優賞を受賞した。
「Line of Passage」でサンパウロの妊娠した母親役でブラジルのスター、サンドラ・コルベローニが最優秀女優賞を受賞した。
フランス映画祭閉幕のセレモニーでクリント・イーストウッドとカトリーヌ・ドヌーヴがその貢献で特別賞を受賞した。
・Moving movies(これもあれも感動させる映画)
カンヌでペンは、コンペに出品される映画の基準を称賛した。
「パワフルでエモーショナル、心を動かされる映画と演技の競争の場だった」と彼は言った。
「もうこれ以上興奮できないと思ったことが何度もあった。」
ペンがパルムドールを授与した作品「The Class」は、「驚くべき、驚くべき映画」だと。
壇上で10代のキャストらがいっしょに加わったカンテ監督は、「マルチプルで多面的で複雑な、フランス社会を反映」した映画を作ろうと試みたと言った。
「時には摩擦もある映画は、誤りをかばって隠そうとはしない」と彼は付け加えた。
ロベルト・サヴィアーナの小説をベースにし、ナポリで撮影した、イタリア人マフィア映画「Gomorrah」が次の賞のグランプリを獲得した。
3位に位置する審査員賞はパオロ・ソレンティーノ監督のジュリオ・アンドレオット元首相の記述、「Il Divo」となった。
授賞式の後、バリー・レヴィンソンの「What Just Happened?」のプレミア上映で映画祭は幕を閉じた。映画はロバート・デニーロ、ブルース・ウィルス、ショーン・ペンらが主演する、キャリアをあげることに精力的な、やがてしぼんで消えていく、ハリウッドのプロデューサーのおはなし。

写真は、パルムドールに輝いたローラン・カンテと彼のキャストたち、そしてチェ・ゲバラとカンヌと監督に感謝するベニチオ・デル・トロ

・最高のパルムドール受賞作品:「The Class」(ローラン・カンテ監督)
・グランプリ作品:「Gomorrah」(ゴモラ、マッテオ・ガローネ監督)
・特別賞:クリント・イーストウッド、カトリーヌ・ドヌーヴ
・監督賞:ヌリ・ビルゲ・セイラン(スリー・モンキーズ)
・審査員賞:「イル・ディーヴォ」(パオロ・ソレンティーノ監督)
・最優秀男優賞:ベニチオ・デル・トロ(チェ)
・最優秀女優賞:サンドラ・コルベローニ(リナ・デ・パッセ)
・最優秀脚本賞:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟( Lorna's Silence)
・カメラドール(新人監督賞):「Hunger」(スティーヴ・マックィーン監督)

2008/05/25

戦争は石油で起きるんだ、バカもん


現在、ペルシャ湾には、空母ハリー・トルーマンと空母エイブラハム・リンカーンの2隻の航空母艦が配備されている。
イラク戦争が始まったとき、サダム・フセインが石油の輸出をドル建てからユーロ建てに替えたこと、憶えているだろうか。いろいろ論議を呼んだ開戦の動機のひとつに、この「ドルの防衛」があった。
つい先頃、イラン石油省の高官がイラン国営TVで、「米ドルはわが国の石油取引から完全に排除されることになった。原油輸入国はこれから、ヨーロッパではユーロ建て、アジアでは日本円建てで取引することで合意した」と発表した。また、チェイニーがサウジに行った翌日、サウジ政府は、「イランのブーシェル原子炉が攻撃された場合を想定して、突然ふりかかる放射能汚染に対応する国を挙げての対策」を発表した。
わたしたちは、「またバカなアメリカ人!」と思うだけだが、イラク開戦前に「イラク=アルカイダ」を繰り返し唱え、国民の脳にインプットさせたウソへっちゃら大統領が4月10日の演説で、「今世紀、アメリカにとって最も脅威となる2つの勢力が、いまイラクに集結している。それはアルカイダとイランだ」と訴えたのだ。この「イラン=アルカイダ」、「イラン=アルカイダ」のチャントが始まっている。
ジャーナリストのジョー・ローリアがハフィントンポストに書いているーー。

◇世界の文明人は石油を支えとする。世界は石油を使い果たしている。われわれがどれほど終わりに近づいているか、石油会社や政府は真実を伝えていない。チェイニーは、ハリバートンのCEOとしてロンドン石油学会で演説した1999年には、石油のピーク時の供給について承知していた。2010年にそれが来ると彼は予言した。そのあと、石油を使い尽くすのは時間の問題だ。残存する石油を支配する者が、誰が生きて誰が死ぬかに決着をつける。
この石油の60%がカンサス州の大きさの中東三角地帯内の領域にある。スピーチでチェイニーは言った。「世界の石油、しかも原価の安い石油の三分の二を有する中東は、究極の貴重な目的物がまだ眠るところだ」と。
この小さな中東のトライアングルは、クウェート、カタールとその首長国といっしょに、サウジアラビアの北東の油田とイラク、イランの南西部を一周して取り囲む。米国はすでにイラクを支配する。他の国々は愛想のよい友好的政府だ。
イランは例外だ。米国はいまイランを包囲する。
カンサスの大きさの地域を支配するのは米軍にとって難問であるはずがない。ただし、そこは人口が密集している地域で、三角地帯の人びとの多くがアメリカ人にいて欲しくないので戦うつもりでいることを除いての話だ。
アメリカに代替エネルギー源が必要なことは、少なくともこの30年、よく知られてきている。だが、ほかのもっとましなエネルギー計画の代わりに、われわれは、死にゆくビジネスに執着するオイルメンによってイラクに侵略してしまう。そして最後の一滴にしがみつくため、多数の人びとを殺すのをいとわない。米国はその地域から決して離れていない、またはイラクから一度も撤退していない。居つづけることではマケインは正しい、だが100年は長すぎる。石油は100年も長く存続しない。
次はイランだ。リーバーマンは先週、ペトレイアスにつけいって、イランが支援するグループがイラクで何百ものアメリカ人兵士を殺してきていると証言させた。金曜日、ゲイツはイラクでのイランの影響力を「有害」と呼んだ、そしてブッシュは、もしイランがイラクにちょっかいを出し続けるなら「そのときはわれわれが彼らを処罰する。」と言った。彼らは上院と国連での決議を用いた戦争の事情をでっちあげている。米国が占領しようとしているのは、イラクとの国境から150マイル入ったイラン西部だけのはず。そこにイランの石油はある。だが、イラン革命後30年のテヘランに傀儡みたいなイラン国王を復活させたにしても、米国はイランで卑劣な戦闘をもてあますことになるだろう。
サウジはイラン政権が消え失せるのを平気で見ているはずだ。だが、サウジもまたリストに挙がるかもしれない。米国はいつかそのうちサウジアラビアもまた不安定にさせて支配を必要とするかもしれない。1970年代ニクソン政権下でキッシンジャーにサウジ油田の米国の侵略と占領を立案する計画があったのを、数年前にウォールストリートジャーナル紙が暴いた。それらの計画が久しぶりに取り上げられかねない。
アメリカの石油戦争は、強みではなく、弱みから着手されてきている。アメリカ経済はぐらついてきており、残存する石油の支配なしには崩壊してしまう。アメリカのエリートにだけ十分な石油が残るとき、どんな場合でも大規模なカオスになるはずだ。
どちらも核兵器を所有して代替エネルギーを持たない石油で餓死する中国とインドを、アメリカに屈服させるか戦争を始めさせることになる。
それはもう欲深いとかの話ではない。生き残りをかけたものなのだ。この国の指導者らはあまりにも欲張りすぎて、石油からソーラー、風力、地熱、他の再生可能な代替エネルギーに移行できないでいた。おそらく今となっては遅すぎる。イラク侵略と占領に注がれた何兆ドルもの大金を他の再生可能な代替エネルギーに投入していたら、世界にはかすかな望みがあったかもしれなかった。今となっては確信からはほど遠い。
確かなのは、これらの戦争が民主主義で起きるんではないということだ。大量破壊兵器で起きるのではない。来るべき戦争もまったくイランの核兵器プロジェクトで起きるのではない。石油で起きるんだ、バカもん。
(The Huffington Post 24 May 2008)

写真は、イランを威嚇すると同時に、サウジには濃縮ウラン購入の仲介を誓約したブッシュ大統領とサウジのアブドラ国王

2008/05/24

クラスター弾全面禁止の圧力


◇不発弾が市民を殺傷しているクラスター爆弾について福田康夫首相が23日「もう一歩踏み込んだ対応が必要」と述べたことについて、2008年中の禁止条約締結を目指す軍縮交渉「オスロ・プロセス」に参加する各国代表団や非政府組織(NGO)は「大きな前進」と歓迎した。一方、30日に予定される条約採択までに日本が方針転換を決められるか不安視する声も出ている。
オスロ・プロセスは現在、アイルランドのダブリンで最終会議を開いている。参加している英政府代表団の一人は、ブラウン英首相が21日に英軍保有のクラスター爆弾の「見直し」を指示したことに言及し、「福田首相がブラウン首相と同じような立場を打ち出してくれたことは心強い」と話した。
また、交渉をリードするノルウェーのコングスタッド外務省国連局副局長は「日本が、西側主要国と足並みをそろえるということなら、とても前向きな動きだ」と歓迎。赤十字国際委員会のハービー軍備管理部長は「具体的にどうなるのか不明な点も残るが、ブラウン首相に続いて福田首相も動きを見せたことには勇気づけられる」と評価した。
会議では現在、禁止対象の定義をめぐって▽全面禁止を求める途上国グループ▽不発率が極めて低く、数も少ない「最新型」は例外にと主張する独仏やノルウェーなど先進国グループ▽最新型に加え、それより不発率が高い「改良型」も例外にと主張する日本、フィンランドなど4~5カ国、という構図ができている。交渉は「最新型」だけを例外とする方向でまとまりつつあり、議長国アイルランドは来週半ばまでに最終案を固める考えだ。
NGOの連合体「クラスター爆弾連合」のコーディネーター、トーマス・ナッシュ氏は「日本と同じスタンスの国は、もうほとんど残っていない。日本政府の動きは歓迎したいが、条約案確定までには残り数日しかない。それまでに結論が出るのだろうか」と、不安の表情も浮かべた。
(毎日新聞 2008年5月23日)

◇ストップクラスター:日本の声(4)民主党幹事長 鳩山由紀夫
政府は外交、安全保障問題で常に米国を意識し過ぎている。インド洋やイラクへの自衛隊派遣も米国との関係で行われた。クラスター爆弾でも日本の保有を議論する以前に、米国への配慮から全面禁止に踏み切れない。早く全面禁止に向けてかじを切り、世界をリードしてほしい。
正確性のあるクラスター爆弾は認め、不発率の高いクラスター爆弾は規制する議論がある。しかし、ある外務省職員は「良い悪いを分ける基準はない」と話した。そもそも人を殺傷する攻撃型兵器であり、「いいクラスター爆弾」などない。
超党派のクラスター爆弾禁止推進議員連盟が動き出したが、全国会議員の1割にも満たず、パワーアップが必要だ。国会決議のような何らかのメッセージが求められる。
(毎日新聞 2008年5月23日)

◇クラスター爆弾禁止条約作りを目指す「オスロ・プロセス」に参加する国際人権団体「ヒューマンライツウオッチ」(HRW)は22日、「米政府が同盟国に働きかけて、条約に<抜け穴>を作ろうとしている」と批判する声明を発表した。米国はクラスター爆弾を軍事的に有効だと重視している。HRWは開催中のダブリン国際会議で、「米国の圧力を受けたとみられる国々が、共同作戦への支障の恐れを過剰に強調している」と猛反発している。
(毎日新聞 2008年5月23日)
 
◇ブラウン英首相は21日、英軍が実戦配備しているクラスター爆弾についての「見直し」を国防省に指示した。2008年中の禁止条約作りをめざす軍縮交渉「オスロプロセス」がアイルランドのダブリンで大詰めの交渉を行っており、このタイミングでの「見直し」は全廃への方針転換を示唆するものだ。交渉で、全面禁止に抵抗を続ける日本の孤立はさらに深まりそうだ。
首相は、禁止条約締結へ向けて「精力的な交渉」を行うよう代表団に指示、「英軍が配備しているクラスター爆弾が民間人に危害を与えないか見直す」よう国防省に求めた。
英国は昨年3月、不発率の高い「旧型」を即時使用禁止にしており、今回の指示は残る「改良型」などが対象。会議の進展次第で、使用禁止や廃棄を認める用意があることを示唆したとみられる。
オスロプロセスに参加する独仏など主要国やノルウェーは、子爆弾それぞれが目標を識別して爆破し、不発弾が極めて少ない「最新型」を除いて禁止する方向で足並みをそろえつつある。外交筋は「最新型を例外にしても、全体の95%以上が禁止対象になる」と話しており、事実上「全面禁止」に近い案だ。
(毎日新聞 2008年5月22日)

◇スティーブン・マル米国務次官補代行(政治・軍事担当)は21日の記者会見で、不発弾による民間人被害が問題視されているクラスター弾の禁止は「不可能」と断言し、アイルランドのダブリンで開かれている有志国による国際会議「オスロ・プロセス」での議論をけん制した。
同プロセスには米国や中国、ロシアといったクラスター弾の主要製造・使用国は参加していない。マル次官補代行は、同プロセスがクラスター弾禁止で合意しても「結局のところ詐欺になる」と実効性を疑問視した。
マル次官補代行はクラスター弾が「米国防戦略上、重要な位置を占めている」と使用禁止は受け入れられないと強調。一方で「現実的で、効果的な方法での問題解決を目指す」と述べ、不発率を低くする技術開発や、使用時のルール作りに主眼を置くべきだと主張した。
(共同通信 2008年5月22日)

◇イスラエル軍のクラスター爆弾、停戦後も200人死傷
国際人権団体「ヒューマンライツウオッチ」(HRW、本部ニューヨーク)は、イスラエル軍が2006年夏、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘で使用したクラスター爆弾についての調査報告書を発表した。停戦後もレバノン南部に残された不発弾の爆発により民間人約200人が死傷したと指摘、クラスター爆弾使用は国際人道法違反と批判している。
クラスター爆弾は空中で子爆弾が多数分散し、戦闘後も不発弾による被害が絶えない。報告書は、クラスター爆弾禁止条約について討議する国際会議が18日からニュージーランドで始まったのに合わせて発表された。
報告書によると、2006年7〜8月の約1カ月の戦闘期間中、イスラエル軍は460万発の子爆弾を含むクラスター爆弾を使用。大半は停戦が確実になった戦闘最終盤の3日間に集中的に使われたと指摘している。
調査した在ベイルートHRWのナディム・フーリー氏によると、イスラエルとの国境に近いレバノン南部では、残された不発弾が風雨の影響で爆発したり、爆弾に誤って触れた子どもたちが被害にあったりするケースが続出。停戦後、今年1月までに20人以上が死亡、約180人が負傷した。不発弾の除去は進んでおらず、主産業の農業ができないため、地域経済にも打撃を与えている。
また、レバノン南部スールに事務所を構える国連地雷除去センターのファラン報道官によると、不発のクラスター爆弾はレバノン南部ほぼ全域で発見され、その数は「285カ所」にのぼる。「毎日、新たに30カ所で発見されている」と述べた。
イスラエル軍は、ヒズボラのロケット発射拠点を攻撃するためのクラスター爆弾の使用であり、国際法違反ではないと主張している。
(2008年2月19日)

◇日本の自衛隊も持っているクラスター弾
ペルーの首都リマで23日から開かれたクラスター弾禁止条約の制定を目指す国際会議に参加するため現地入りした米国のノーベル平和賞受賞者ジョディ・ウィリアムズさんが21日、共同通信など外国メディアと会見し、日本が条約参加への態度を保留していることについて「悲しむべきことだ」と失望感を表明した。
彼女は、日本の姿勢が「小泉前首相と安倍現首相の対米関係重視の姿勢や、憲法9条改正の動きの反映ではないか」と分析。地雷問題に熱心だった日本の国会もクラスター弾規制に関しては取り組みが鈍いと指摘した。
不発弾問題に関しては、非戦闘員が被害を被りやすいなどの面で非人道的であるとして、ノルウェーが呼びかけたクラスター爆弾禁止に関する国際会議で 2007年2月23日、クラスター爆弾に対し2008年までに使用・製造・移動・備蓄の禁止と同型爆弾の廃棄や使用された爆弾の撤去や被害者のケアを目指す「オスロ宣言」が採択された。なお同宣言に対し日本・ポーランド・ルーマニアは参加49ヶ国中で3国のみ宣言に加わらない意向を示している。
(2007年5月23日)

◇フランスNPO主催の国際映画祭 テーマは「地雷とクラスター爆弾」
ドキュメンタリー中心の映画祭「シネマベリテ国際ランデブー」が今秋、モナコとパリであった。主催は仏NPO法人インスティテュート・シネマベリテ。ジョエル・ソーラー代表は「映画が次々消費される今こそ興行網に乗りにくい作品を世に伝えたい」と話す。
ソーラー氏によれば、社会問題をえぐる映画はフランスも発表の場が少ない。モナコは、カロリーヌ王女に手紙で映画祭支援を頼み、会場提供などで助力を得たという。
映画祭の主題は「地雷とクラスター爆弾」。地雷被害にあったチェチェンの子どもの記録映画、カンボジアに消えたカメラマンの一ノ瀬泰造さんを描いた「TAIZO」など約50本を上映。地雷廃絶運動でノーベル平和賞を受けたジョディ・ウィリアムズさんも駆けつけた。
ソーラー氏はイラクの故フセイン元大統領の記録映画「アンクル・サダム」で各地の映画祭で受賞。獲得資金などでパリの中華料理店だった物件を買い、50席の上映施設も作った。上映機材は日本ビクターの提供だ。
映画祭はスポンサー提供の宝飾品などを競売し26万7000ユーロ集めた。ソーラー氏は「主題を変えて毎年やる。例えば<水>も一案。ぜひ日本からも出品を」。日本企業の支援を期待し、日本語サイトも始めた。
(朝日新聞 2007年12月3日)

この、かっこいい!写真は、ヴァニティフェア誌の特集記事「RFK」よりーー。
1968年、遊説中の民主党大統領候補ボビー・ケネディとその一行です。これだけでアメリカ60年代後半の空気が伝わってきます。ボビーの結末を考えると、2008年民主党候補指名が固まりつつあることで、こちらもとてもスマートで、スタイルのよいゴージャスなカップルだけに、不安がよぎります。先日、まるで暗殺をあおるかのような共和党元大統領候補者の全米ライフル協会会員に向けた演説もありました。

2008/05/23

日本の調査捕鯨は窃盗罪


◇日本が鯨肉「窃盗罪」の真相にメスを入れる

東京地検が、日本の調査捕鯨から捕鯨船(日新丸)乗組員らが何トンもの鯨肉を横領するとの主張を調査する。
環境保護団体グリンピースによって告訴状が提出された違法行為の申し立てを検察官らが審理に乗り出すことを、BBCが調べた文書が確認する。
文書には、乗組員らが盗んだ鯨肉を宅配便の箱で自宅に送ったとある。
捕鯨船隊運営者の共同船舶は、ごく普通に、捕鯨終了の「みやげ」として少量の鯨肉を乗組員に与えていると言う。
水産庁は、共同船舶と政府の調査捕鯨の母体となる財団法人日本鯨類研究所(ICR)によって別々の徹底的内部調査が命じられていると言った。それは一週間以内に行われることになっている。
独自の内部調査のために、検察官の問題に関してICRはコメントを辞退した。
国際捕鯨規定の科学上の目的の捕鯨を許可する条約の下、日本は南氷洋で鯨を捕獲する。
・個人の手荷物
東京地検は、捕鯨船日新丸から12人の生産労働者(クジラ解体のベテラン)を調査することで確認した。
日新丸から送られた47個の箱を追跡した後、グリーンピースによって正式に提出された刑事告発で、労働者らは南氷洋の捕鯨から鯨肉を横領した罪で告訴される。
環境保護団体はまた、政府に指名された共同船舶とICRの職員らが窃盗を知っており、政府が正式に販売用に放出する前にレストランや取引業者が捕鯨船から直接、肉を買うと主張する。
推定11万円から35万円相当の23.5キロの鯨肉が入った箱を含め、先週、グリンピースは詐欺といわれるものの証拠を明らかにした。
ひとりの乗組員が自宅に送った4個の箱のひとつには、中に「段ボール」の入った個人の手荷物と記載されていた。代わりに、それにはクジラのベーコンに使われる貴重なもの、「ウネス」が入っていた。
グリンピースジャパンのクジラキャンペーン調整役、佐藤純一は、その科学的な調査捕鯨プログラムがどのように行われているかを検察官の調査が「初めて」日本の国民に示すことになるだろうと述べた。
「どうやって納税者の金がこのプログラムで悪用されるかを、いま日本の国民は知ることになります」と彼は言った。
水産庁の岩田毅は、「この調査捕鯨プログラムで納税者の金の悪用があるとは思わない」と言って、この主張をはねつける。
調査のあいだ、プログラムに補助金を支給するのを停止して共同船舶の捕鯨許可を一時停止にするよう、佐藤氏は日本政府に求めた。
だが、岩田氏は、調査が完了する前に政府が捕鯨許可を一時停止にすることは「全然ない」、すべての調査捕鯨は計画通りに続けられると言った。
南極船隊は港に戻っているが、北太平洋の捕鯨がこの時期解禁される。
・船荷の列
その間に、警察はまた運送会社西濃運輸からの苦情調査もしている。青森の北部の街の営業所から鯨肉の入った箱を盗んだと運送会社はグリンピースを非難する。
横領の主張を立証するため、箱を途中で横取りしたことをグリンピースは認めるが、日本の法律ではそのような取扱いは窃盗罪という性質ではないと言う。
箱を無断で借用したことを謝罪する手紙を西濃運輸に書いたと佐藤氏は述べた。
「会社の本社に謝罪の手紙を送りました」と彼は言った。「なぜ私たちがこれを行う必要があったかを、理解してくれるよう会社に頼みました。」
調査捕鯨を実行するため日本政府によって認可される非営利組織、ICR(鯨研)のために共同船舶は鯨肉を集め、加工処理し、販売する。共同船舶が水産庁に報告する。
南氷洋の捕鯨のみやげとして10キロほどの肉を乗組員各々に与えると会社は述べる。だが、グリンピースが追跡した47個の荷物は贈り物とは別だったとグリンピースは主張する。
・捕鯨の法的見地
反対(異論):国が正式にIWCの活動の一時停止に反対して適用の免除を宣言する。例:ノルウェー
科学上の調査:国が一方的な科学上の認可証を発行する、IWC加盟国はどこもこれができる。例:日本
原住民:IWCは最低限の生活の糧を理由に原住民グループに認可証を与える。例:アラスカのイヌイット
(BBC NEWS 22 May 2008 by Justine Parker)

◇調査捕鯨全貌の真相究明をーー。
見つかった「横領鯨肉」を水産庁などは「みやげ」と釈明している。だが、「みやげ」は冷凍にされ、大井水産埠頭からクール宅急便で運ばれたそうだ。青森で見つかった常温塩蔵の「ウネス」は、やはり横領鯨肉だったのではないか。複数の内部告発が、鯨肉を大量に南氷洋現地で捨てていると申し立てる。

告発された横領鯨肉を、水産庁、(財)日本鯨類研究所、共同船舶が「みやげ」としている問題について19日、グリーンピースジャパンは参議院議員会館で緊急集会を開き、問題全般の真相究明をあらためて訴えた。保坂展人衆院議員(公共事業チェック議員の会、社会民主党)は「調査捕鯨全体になにが起きているのかの問題だ。調査捕鯨の調査が必要なことを衆院法務委員会などで訴えていく」と受け止めた。
証拠品確保の手法が問われている問題についてグリーンピースは、西濃運輸や青森支店に対して文書でお詫びをしたことを明らかにした上で、検察や裁判所などの判断に従う意思を示した。顧問弁護士は「外形的には窃盗に見えるかもしれないが、それより問題なのは意思。不法領得の意思はなかった」と語った。塩蔵常温の「ウネス」23.5キロは現在、東京地検の要請により厳重保管中だ。

・「みやげ」も本来、国際条約違反では?
高値で取り引きされる横領「プレミアくじら」 解体部門の組織的関与かーー。
今回、横領鯨肉の問題が表面化し、水産庁などが「みやげ」などと釈明する事態は、複数の情報提供者やグリーンピースジャパンが懸念していたことだ。だが、複数の内部告発とグリーンピースの調査によれば、「みやげ」はクール宅急便(ヤマト運輸)で運ばれ、塩蔵された横領鯨肉は西濃運輸の常温宅配便(カンガルー便)で運ばれる。両者はまったく別物なのだ。
そして「みやげ」も、国際捕鯨条約(第8条)に違反していると思われる。調査捕鯨は、国の特別許可書に基づいて行われるが、「みやげ」は許可書の記載外だからだ。商業捕鯨以来の慣行がズルズルと続いてきたとしか思えない。水産庁は、横領鯨肉疑惑問題が明らかになるまで、この「みやげ」慣行を把握していなかった。
冷凍されない塩蔵の「ウネス」などは、いわば「プレミアくじら」として珍重され、函館、釧路、札幌、長崎、下関、広島、鹿児島、東京など各地のレストラン、鮨屋、高級料亭などに高値で出回っている。広島県内では「横領鯨肉」を入手し客に提供している寿司屋が見つかり、「永田町」にも出回っているとの情報もある。
解体現場の横領で「生産」された「プレミアくじら」は、年に6トンから8トンが流通していると想定され、鯨肉の高値横流しで家を建てたとウワサされる船員もいる。グリーンピースが調査した結果では、鯨肉の横流しが確認された船員12名はすべて「製造手」だ。クジラの解体現場のベテランばかりで、部署の組織的な関与も疑われる。OBに送られた「プレミアくじら」の存在も確認された。

・問われる日本の南氷洋「調査」捕鯨
鯨肉横領疑惑が明らかになって以降、グリーンピースインターナショナルの呼びかけに応じ、外務省には海外から届く真相究明などを求めるメールがすでに3万通を超えていた。真相究明が待たれるのは、証拠品確保をめぐる窃盗容疑ではなく、日本の南氷洋調査捕鯨という年に約5億円の公費が支出される公共事業そのものなのだ。
国際捕鯨委員会(IWC)が商業捕鯨モラトリアム(一時中止)を決定した後、ノルウェーなどと異なって日本は異議申し立てをしなかった。アメリカ政府の説得に応じてモラトリアムを受け入れ、1987・88年に始まったのが南氷洋の調査捕鯨だ。300頭もの捕獲計画(当初)には、「多すぎる」という声が当時からあった。
調査捕鯨は本来、調査目的が果たせないときのみ、やむを得ず年に多くて10数頭を捕殺することしか考慮にない。何百頭ものクジラを捕殺、鯨肉を広範に販売、非正規のモノまで出回るような事態は想定外なのだ。諸外国や人びとが日本の調査捕鯨を「制度の悪用」などと非難してやまない理由はそこにある。
しかも複数の提供情報によれば、ミンククジラで800頭を超える捕殺目標を設定した2005・2006年以後、20頭以上とれた日にはほとんどの鯨肉、7トン超ちかくを南氷洋に捨ててくるという。「鯨肉投棄」の現場は以前、グリーンピースインターナショナルによって写真撮影もされており、今回の内部告発はそれを裏付ける形となった。
調査目的からすれば捕殺は疑わしく、鯨肉は大量にあまって各地の給食やイベントなどに廉価で提供されている。しかも解体現場での横領疑惑まで明らかになった。検察や会計検査院、国会などは、今こそ「調査捕鯨」の実態そのものにメスを入れるべきではないのか。
(JANJAN 2008年5月20日 記事 by 荒木祥)

2008/05/21

「ナクバ」を世界の言葉にしよう


悪趣味というかサイテーの話ばかりが聞こえてきます。この手の狂気に終わりは見えない。
以下、デモクラシーナウ!2008年5月19日のヘッドラインよりーー。

◇オバマが撃たれると、ハッカビーがからかう(しかも、どいつもこいつも銃をぶっぱなしたくてうずうずしているような連中の眼前で言うとは!)
共和党の元大統領候補者、マイク・ハッカビーがニュースに戻る。金曜日、全米ライフル協会の面前で行うスピーチの中で、誰かが「バラク・オバマを暗殺する」とからかった。
マイク・ハッカビー:「だが現実は、そして私は気をもむ、というのも率直に言って、つまづいてびっくりするのはバラク・オバマだったのを、超えない(背景で大きな音)からだ。彼が話す用意をしていると、誰かが銃の照準を彼に向けた。そして彼は、床に沈んで見えなくなる。」

◇米国はアフガニスタンに40エーカー(1エーカー=4046.8平米)の敷地の刑務所建設を計画
カブール近くのアフガニスタンに米軍は新たに40エーカーの刑務所関連施設を建設するつもりでいる。6000万ドルの敷地がバグラム軍事基地の間に合わせの刑務所に取って代わることになる。現在、バグラムには米国が約630人の囚人を拘束している。バグラムの囚人には告発なしに5年間拘束されている人たちがいる。

◇サウジアラビアが核保有国計画を進めるのを米国が助ける
一日あたり原油30万バレルを追加増産するとのサウジアラビアによる約束にもかかわらず、原油価格は記録的高値のままである。ブッシュ大統領がサウジのアブドラ国王と会っている最中の金曜日、サウジアラビアが発表した。これと交換にブッシュはサウジの核保有国計画への米国支援を誓約した。この取引の一部として、サウジが原子炉に必要な濃縮ウランを買い入れるのをワシントンが助けることになる。

◇ナクバ(大惨事)60周年をはっきり示すパレスチナ人たち
金曜、パレスチナ人がナクバ、あるいは大惨事と呼ぶ、パレスチナ建国60周年をはっきり示すため、多数のパレスチナ人とアラブ系アメリカ人たちが国連に集結した。
コロンビア大学の学生 Saifeedan Anmousa:ナクバは60年前に起こった歴史上のできごとではありません。私たちがこれを記念している理由はそれなんです。単に歴史の話ではないということ。これは今日にまで続いている現実のことです。アラブ世界中のどのパレスチナ難民キャンプにも、ヨルダン川西岸のどのチャックポイントにも、ナクバはいまも弱まることなく保たれている、ガザに爆弾が投げ込まれるたびに、西岸で子どもたちが殺されるたびに、ナクバは消えずに生き続けます。」

◇「ナクバ」という言葉の使用をやめるようイスラエルが国連に促す
国連事務総長によるコメントの後、イスラエルが国連に「ナクバ」という言葉の使用を止めるよう求めているとアラブニュースが伝える。イスラエルの国連大使代理Danny Carmonはイスラエルのラジオに次のように述べた。「ナクバは、イスラエル国家樹立の正統をひそかにむしばむのに使われるアラブのプロパガンダの道具である。それが国連の語彙の一部であってはならない。」

写真は、フォトジャーナリスト広河隆一の、40年間記録し続けた数万枚の写真と1000時間の映像から生まれたドキュメンタリー映画「NAKBAナクバ」の写真
http://nakba.jp/

2008/05/19

ハンガーストライカー



◇映画「Hunger」は力づよくアイルランドに目をやる
カンヌ映画祭でイギリス映画「Hunger」は肯定的な論評が見えてくる。
「ハンガー」でボビー・サンズを演じるマイケル・ファスベンダーは、医療によって調整される突貫工事の急激な減量を続けた。ターナー賞を受賞するアーティストのスティーヴ・マックィーンが監督する映画は、IRAのハンガーストライカー、ボビー・サンズの生涯の最後の6週間にきびしい目を通す。(ターナー賞は現代美術界で最も重要な賞のひとつといわれ、秋の授賞式はTV中継され、翌日の新聞で受賞者が大々的に報道されるなど、英国の国民的行事となっている)
1981年、サンズは政治犯という特別な身分を要求するために始めた行動で、6週間食べずに通した。
IRAの囚人たちは、犯罪者ではなく、政治犯として扱ってもらいたかった。
要求は、マーガレット・サッチャー首相によって短い懺悔を言い渡された。サッチャーは「政治上の殺人、政治上の爆弾投下、政治上の暴力などというものはありません。」と言った。
「犯罪的な(けしからぬ)殺人、犯罪的な爆弾投下、犯罪的な暴力があるだけです。」
66日間食べずに通した後、サンズは27歳で北アイルランドのメイズ刑務所で死んだ。
北アイルランド当局の簡潔な声明には「メイズの囚人、ロバート・サンズ氏が本日午前1時17分に死亡」と書いてある。
家族に付き添われる彼は、医療スタッフによって死亡が宣言されるまで、48時間コーマ状態のままだった。
・苦闘
2ヶ月のあいだ新聞やニュースの定時放送で優位を占めた彼の記事は、ウエストロンドンに住む11歳の少年の心にしっかりと残った。
その少年は1999年にターナー賞を受賞することになるマックィーンだった。
そのアーティストで映画作家は、アイルランド共和国の囚人の苦闘の身の上話は一度も忘れたことがないと述べる。
「その下部に番号がついたTVに出た画像がこのボビー・サンズと呼ばれる男だった」と彼は回想する。
いまマックィーンはこの伝記を木曜夜にカンヌ国際映画祭の「ある視点」でプレミア上映された彼の初の主要映画にしている。
ある10分間の連続ショットの撮影は、撮影初日に北アイルランドで撮影されたもので、完ぺきにする試みで俳優マイケル・ファスベンダーとリーアム・カニングハムを使った。
マックィーンはこの二人のキーとなる登場人物の相互作用を、同時代の伝説のジミー・コナーとジョン・マッケンローのウインブルドンでの決勝の試合になぞらえる。
・動揺
「観客はどちらに同調するかわからずに、誰が優位に立つことになるかまたは不利な立場になるかわからずに座らされる。」
「ある意味では、彼らは登場人物と同じくらい会話にかかわり合うことになる。」
映画が結論に達するに従い、観客の体験はどんどん動揺することになる。
飢えでそこなわれ、傷でおおわれた、サンズの骸骨の姿は、最近の記憶のなかで最も挑戦的でむずかしいショットだ。
ファスベンダーはそのシーンを撮るために、医療によって調整される突貫工事の急激な減量を続けた。
「体重がもとに戻り始めた後、ボクの医師は、ボクが激やせ中に受付係が彼のところにやってきてボクが本物の病気ではないのか?ガンかなにかで死ぬのでは、と言ったのを教えてくれた」とファスベンダーは回想する。
「それを聞いたとき、ちょっとうれしかったから、変だったよ。」
それほど重くサンズと仲間のハンガーストライカーの身の上話に集中することで、映画はパルチザン(一味の者)だとの言いがかりに直面しそうだ。
とはいえ、マックィーンはそれが「彼の核心ではない」と言う、そして政治的な武器として彼らの肉体を酷使する人々の「ジレンマ」に彼は興味があると付け加える。
・緊張
「映画監督として、人がやりたいのは、その種の問題を持ち出すこと」だと彼は言う。
「私がおもしろいと興味を持つ普遍的対象は、聞き入れてもらうために、食べない人たち。」
ファスベンダーは、アブグレイブやグアンタナモベイにサンズの顛末に匹敵する現代のものがあることに同意する。
同時に、政治的武器として肉体を使うという考えは、中東やロンドンやニューヨークでの破壊的結果に使われてきている。
だが、彼は、映画が北アイルランドの古い緊張を復活させないことを願う。
「当座はすばらしい雰囲気がある」と、母親が北アイルランド東部の州のラーンという海岸の町出身の俳優は言う。
「あの敵対(争い)と面倒ごとの年月のすべてを修繕するのは、実際には旅の途中だ。」
そのような重大な主題に取り組むことが多くの初監督をひるませるのを証明してきているというのに、マックィーンは挑戦を楽しんだ。
「やってることで微塵も神経質にならないのは、時にはすばらしい、恐れがないからだ」と彼は言う。
(BBCエンターテイメントニュース 16 May 2008 by Razia Iqbal)

◇第61回カンヌ国際映画祭で15日、「ある視点」部門に出品されたスティーヴ・マックィーン監督の作品「Hunger」がプレミア上映された。
IRAの活動家ボビー・サンズが主人公の伝記映画。北アイルランドのメイズ刑務所で、サンズら活動家は政治犯としての権利の復帰を目指してハンガーストライキを実行し、サンズはその66日後に死亡する。映画は、看守たちの過酷な暴力、そしてサンズの身体がやせ衰えていく様子も刻々と描く。
英国内では「テロリストの殉死を賞賛する映画」との批判が相次いでいるが、監督は「サンズを英雄とか殉教者扱いしているわけではない」と語る。「大人のとりすまされた世界で何が起こっていたかを人々に思い起こしてほしいと思って、この映画を作った。サンズの行動がいいか悪いか、わたしにはわからない。映画は、よい決定だろうが悪い決定だろうが何かを決定する人々、そしてその結果を描いている。」
その一方で、1981年に閉鎖されたメイズ刑務所で起きたことと、キューバのグアンタナモベイ米軍基地収容所、イラクの旧アブグレイブ刑務所で起こったことには共通点があると監督は言う。
サンズは、北アイルランドの英国からの分離・アイルランドへの併合を求めるIRAの武装闘争に参加し、銃器所持の罪で逮捕・収監された。サンズらは獄中、政治犯としての権利を剥奪されたことに抗議して、衣服の洗濯の拒否、房内の壁に糞尿を塗りたくる「ダーティープロテスト」など、様々な抗議活動を展開。
「どんな場合でも、人は何か手元にあるものを使うものだ。この場合は、身体であり、糞尿であり、とにかく使えるものはそういうものに限られていた」とマックィーン監督。
だが、当時の首相、マーガレット・サッチャーが要求をのまないと知るや、今度はハンストに突入する。このニュースが報じられると、世界中で同情論が起こるとともにサンズの人気は高まり、英下院議員に選出されるほどだった。だが、やがて帰らぬ人となる。ハンストでサンズを含む10人が死亡したことを受け、IRAはテロ活動を活発化させた。
1996年にサンズの自伝映画「Some Mother's Son」がカンヌで上映された際も、賛否両論を呼んだ。
マックィーン監督は、戦争画家としても知られ、1999年には現代美術アーティストに贈られるターナー賞を受賞している。最近では、イラク戦争で戦死した兵士の顔をプリントした切手のシリーズを製作して物議をかもした。
(AFP通信Rory Mulholland 2008年5月16日)

写真は、映画「Hunger」のワンシーンと監督、カンヌのオフィシャルサイトより

2008/05/17

ゲイカップルとサンフランシスコ市の勝利


◇カリフォルニアが同性婚禁止を取り除く
カリフォルニア州最高裁は同姓カップル間の結婚を禁止する州法は違憲だと裁定した。
「家庭関係を形成する権利」は、性別にかかわらず、すべてのカリフォルニア州民に適用されると州最高裁は言った。
同性婚禁止は2000年に有権者によって承認されたが、ゲイの権利を求める活動家やサンフランシスコ市によって異議申し立てられた。
州議会はゲイの結婚を合法化する法案を2度可決したが、アーノルド・シュワルツェネッガー知事がそれらを拒否した。
カリフォルニアの司法制度が判断を下すべき問題だと彼は言った。
7人の判事団のうち4人が、2000年の法令は差別的だと非難した原告に賛成した。
カリフォルニア首席判事ロン・ジョージは意見書の中で、「結婚の意味(指定)を男女間の結合に限定するのは憲法違反であり、法令から削除されねばならない。」と述べた。
・歴史に残る
裁定は法廷の外で同性婚支持者らから喝采で迎えられる。
「心から感謝する。これは歴史に残る日だ」と市の論拠を法廷に示したサンフランシスコ市の検事(代理人)デニス・ヘレナは言った。
「法の下に等しくすべての人に権利を与えることが、たぶんこの日を記憶にとどめておくだろう」と彼は言った。
同性婚を許すのはマサチューセッツ州に続き合衆国で2州目になる。
カリフォルニア最高裁の裁定は、今後全米にきっかけをつくらせる画期的な目標となる。
州は目下、家庭のパートナーとして登録する同姓カップルに男女間の結婚と同じ法律上の権利と責任を提供する。
他にヴァーモントやニュージャージーといった州には同類の市民結合規定(条項)がある。
カリフォルニアの有権者は2000年の住民投票で同性婚の禁止を是認した。法令は「カリフォルニアでは男女間の結婚のみが妥当、もしくは認められる」とはっきり申し立てる。
2004年初めに市長のGavin Newsomが同性婚認可証に権限を持たせて州議会は差別すると主張してから、サンフランシスコはゲイカップルが結婚できる米国で最初の場所となった。
同年8月、市長は彼の権限を踏み越えて何百という結婚を法的に無効にしたとカリフォルニア州最高裁は判断を下した。
最高裁に訴訟を起こすことで、ゲイの権利を守る団体Equality Californiaは、二十数組のゲイカップルとサンフランシスコ市を結託させた。
(BBC NEWS 15 May 2008)

◇米カリフォルニア州最高裁は15日、同性婚を禁じた州法を違憲とする判断を示した。米国で州最高裁が同性婚を法的に認めたのはマサチューセッツ州に次いで二例目。米最大の人口を抱えるカリフォルニア州が「合憲」としたことで、他州の審理や大統領選への影響も予想される。
7裁判官中、4対3と小差で決定された。多数意見に回ったロナルド・ジョージ首席裁判官は「州憲法はすべての州民に等しく基本的な市民権を保障している。誰もが生涯のパートナーと公的に認められた家族を持つ権利がある」とした。
同性婚に反対のシュワルツェネッガー知事は「州最高裁の判断を尊重する」とし「今回の決定を覆すような州憲法の改正は支持しない」とも述べた。
(東京新聞 2008年5月16日)

◇専門家は、今回の判決は米全土に影響すると見ている。米国では、カリフォルニア州、ニュージャージー州、バーモント州が同性愛カップルに夫婦としての法的権利を認める法律を持つものの、これまで同性婚を認めていたのはマサチューセッツ州のみだった。
(AFP通信 2008年5月16日)

2008/05/16

イーノとバーンのコラボレーション復活


昨日、やっとポール・トーマス・アンダーソンの「There Will Be Blood」見てきました。せりふなしの冒頭20分にはしびれた。監督みずからそう言いたくなるほど、ぞくぞくして、それは「いい線」いってました。物語の主人公のオイルマンの憎しみが地底からじわっとしみ出る石油とともにカリフォルニアのB面を邪悪に塗りつぶしていく不安感を、レディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドの音がぴたりと叙述する。
同じ神奈川県に住んでいながら、川崎チネチッタで映画を見るのは初めて。昨年は2位に落ちたというニュースで知ったことですが、これまで観客動員数でずっと1位だった映画館です。なるほど、いい映画館でした。まわりの雰囲気も「これが川崎!」とびっくりするほどしゃれたイメージに勉強して作られていました。思わずドイツビールがはずみます。上映前の待ち時間にブライアン・イーノのアルバムが流れていたのもうれしいことでした。以下、4月のイーノ関連のニュースからーー。

◇夢のアート・ロック・チーム復活
今週、デイヴィッド・バーンがずっとうわさされていた旧友ブライアン・イーノとの復活するスタジオ制作が、ほぼ完成するとアナウンスした。
夢のアート・ロック・チーム、デイヴィッド・バーンとブライアン・イーノが次なる奇妙な果実を有してまもなく復活することになると、元トーキングヘッズ・マンが最近NME.comに伝えた。

ニューヨークでのイヴェントで話すバーンは、結果として3枚のトーキングヘッズのレコードと1981年の名作「マイ・ライフ・イン・ザ・ブッシュ・オブ・ゴースト」となった70年代後半と80年代初めに育まれた関係をこの二人組が再燃させたことを明らかにした。

「30年前に仕事仲間だったミュージシャン、ブライアン・イーノとの録音を仕上げている」と4月9日のブルックリンアカデミーオブミュージックでのポール・サイモンとの共演のあとでバーンは言った。「ボクたちはいっしょに歌を録音した、そしてそれは発表されることになる。」

NYデイリーニュースは次のように付け加える:
この20年で初めて、双方が認める友人のブライアン・イーノとコラボレーションしているとバーンは語った。「ブライアンはたくさん曲を書いていたが歌詞を必要としていて、それをどうするかはボクがよくわかっている。どんなふうな音かって?エレクトロニック・ゴスペルだよ。それ以上は言わない。」

情報筋は、アルバムはどうやらNonesuch から発売されることになりそうだが、おそらく2009年になるのではないかと述べる。

同時に、デイヴィッド・バーンの出演契約エージェント、マーク・ゲイガー(ウイリアム・モリス・エージェンシー)は、バーンとイーノのライヴ公演で米国の幾つか異なるプロモーターからのオファーを求めてきている。そしてライブの少なくとも40%はイーノとトーキングヘッズ時代の曲からになると請け合う。受け手がいるかどうかはまだ教えない。ツアーの大部分がすでに申し込まれる。

Enowebから最新情報:
イーノのレーベル、Opalによれば、ブライアンがデイヴィッド・バーンとツアーに出ることはないとのこと、従って、どうも Daily Swarmの情報筋とすれ違っているらしい。
(The Daily Swarm 17 April 2008)

写真は、懐かしい頃のドリームチーム。イーノはこんなにやせていた!デイヴィッド・バーンの「狂気」の目もいまは穏やかに。
バーンは目下、ポール・サイモンとつるんでいて、「ポール・サイモンの歌をポール・サイモン以上に歌えるのはバーン」だと、NYデイリーニュースのゴシップ欄にはあります。

2008/05/14

劇場にはゴンゾの幽霊が


◇ゴンゾの映画が公開される 
昨夜、「Gonzo: The Life and Work of Dr. Hunter S. Thompson」を上映するサンフランシスコの歴史に残るカストロシアターに何千人もの人びとが詰め込まれた。映画はヴァニティフェア誌のエディター、グレイドン・カーターとオスカー受賞者のアレックス・ギブニー(受賞作「Taxi to the Dark Side」の監督)がプロデュースしたドキュメンタリーだ。

サンフランシスコ映画祭のクロージング作品でNRDCのために10万ドル以上を調達した映画は、鋭敏でまったくしらふのレンズ越しにハンター・S・トンプソンの知性と著作のひねりのきいたすぐれた才能を熟視する。りっぱなドクターの長年の友であるジョニー・デップがナレーターをつとめる。作家のトム・ウルフ、アーティストのラルフ・ステッドマン、伝記作家のダグ・ブリンクリー(ヴァニティフェア誌の寄稿編集人)を含め、ドクターの同僚と同時代人らがインタヴューを受ける。

目下のできごとに照らしてトンプソンのニクソン時代の嫌悪(と畏怖)のすべてがあまりにも予言的すぎるのに出くわして、この国の最もリベラルな都市のひとつ、ここサンフランシスコで実のところ共鳴に見舞われた。当惑させるほど類似したイラクとヴェトナムのイメージを映すフレームに画面が分割されるとき、どいつもこいつもパタゴニアのシャツを着たワインをがぶ飲みするヤッピー映画愛好家のその腕に痛みが走るほど、ぞくっと寒気を感じても不思議なかった。ゴンゾの幽霊が劇場にいた。

映画が終わり、ヴァニティフェア主催のひと組のクロージングパーティ会場、プラナレストランとテンプルバーに向かって映画好きがさわやかな海岸の空気のなかを進むとき、まだ鳥肌は立っていた、そのけば立ちはなにかと便利だ。

約600人のゴンゾファンがテンプルでパーティをした、同時に他の300人がハワードストリートを渡ってまっすぐ、なんかこうもっとプライベートなノリのプラナに向かった。プラナの参加者にはヴァネッサ&ビリー・ゲティ、デニス・ヘイル、フェスティバルディレクターのグラハム・レゲット、ステファニー&ピーター・コヨーテ、パブリッシャーのフィル・ブロンステインのようなベイエリア社会に長く居座っている人たちが含まれた。部屋がサンフランシスコSummer of Loveバンド、ジェファーソン・エアプレーンによるリミックス版の「Somebody to Love」をたたき出したとき、この有名なトンプソンの引用のことを考えるのは難しくなかった。「60年代は最高のリアリティの時代だった。オレは催涙ガスのニオイが恋しい。ぶちのめされる恐怖が恋しい。」そしてもうひとつ、「オレはディスコについて、ヘルペスで感じるのと同じように感じる。」
(ヴァニティフェア誌 May 9, 2008 by Claire Howorth)

◇ヤン・ウェナーとコーレイ・シーモアによって書かれる、このハンター・S・トンプソンの口述伝記は、ケンタッキーでの彼の幼年時代に始まり、2005年コロラド州ウッディクリークでの彼の死で終わる。
ある人たち、特に目に見えてトンプソンの2番目の妻は、この口述伝記はトンプソンを見苦しく描写すると不平を述べている。誤解させるトンプソンのイメージを与えることに関して、ボクは人材がゆがめられているかどうかを言う立場にない。トンプソンは型破りな人生を送った非凡な才能ある作家だったとボクは思う(ボクのお気に入りの本は1966年に出版された「ヘルスエンジェルス」だ)。そしてこの本を読むことでボクが学んだことが、彼は人間としてこうだったに違いないと想像するものと一致してないようには思えない。彼は友人たちにひどく忠実だったが、おそらく口ぎたなく、つらく当たりもした。彼の最初の妻、サンディは本のために広範囲にインタヴューされた。そしてあるときは愛すべき人物で笑わせていたのが次にはひどく軽率になる、きわめてカリスマ性のある男として、彼女のトンプソンの叙述は、本に彼らの顛末を提供した他の大部分のオピニオンをそのまま繰り返すように思える。
しかしながら、トンプソンと友達だった人たちのほとんどが生涯彼と友達のままだったと言及するのは興味深い。彼の欠点にもかかわらず、彼の気前のよさと愛とが、よくある行儀の悪いひと期間の埋め合わせをした。次にあるのはトンプソンの(むこうみずな)寛大さの一例だ。

ローリングストーン誌の元ニューヨーク支局長、ティム・フェリス:あの頃、ボクはデイヴィッド・ボウイとツアーに出ていてニューヨークを離れていた。ローリングストーン誌のエディター、ヤン・ウェナーはニューヨークだった、そしてボクらはミーティングをした。ボクは空港に行く途中に立ち寄ったからカバンを持っていた。そしてヤンはボクを首にした。景気下降の間中ずっと定期的にこういうことがあった。ボクがOwl Farm(フクロウ農場)に電話したとき、サンディーが出て、ウォーターゲートの自分の部屋にいたハンターと話をしていたところだと言った。仕事ははかどってるかと彼女に尋ねると、彼女は「ほとんど申し分なし、でもお金のことが心配だったの。それについて話していたところだった。私たち銀行に残金が400ドルしかなくて、次にどこから金が入ってくるんだかわからない。」と彼女は言った。もうちょっと話をしてから受話器を置くと、すぐにハンターから電話があった。彼は「どんなだい?」と言った。「ヤンに首にされたところだ。」とボクは言った。するとハンターが「金が必要だろ?400ドルなら貸せる。」と言った。

この本はトンプソンの的確な記述に限りなく接近すると、本能的な感触がボクに教える。ボクが正しいか正しくないか、いずれにせよ、それはまったく熱狂的傾向をもたらした。それを手に入れあけたとたん、どうにも読むのを止められなくなった。そしてボクは二日で一気に467ページを読破した。
(BoingBoing 14 January 2008)

ラウシェンバーグが死んだ


◇アメリカンアートのタイタン、ロバート・ラウシェンバーグが死んだ、82歳

画家、写真家、版画制作者、舞踏振付師、舞台の上でのパフォーマー、舞台デザイナー、そして最近はコンポーザーでもあったラウシェンバーグ氏は、アーティストがひとつの媒介やスタイルに固執するとのトラディショナルな考え方に大胆に反抗した。彼は押し分けて進み、つつき、たまに彼がやってのけた媒介のすべてを再想像した。(NYTimes 14 May 2008)

写真は、ロバート・ラウシェンバーグによる背景幕の前で踊る、アシュレイ・チェンとマーサ・カニングハムのダンサーたち
「ラウシェンバーグ氏は彼のアートによくクルマや宇宙船をほのめかした、本物のタイヤや自転車を組み込んだりもした。」
「これはいわば、彼自身の落ち着きのなさ、渡り歩くイマジネーションを反映したものだ。彼がダンスやパフォーマンスに従事したとき、必然的にムーヴメントというアイディアに全力を出した。」
Photo: Ruth Fremson/The New York Times

写真はクリックすると拡大版で見ることができます。

2008/05/13

オバマ The Game Changer


発売されたばかりのタイム誌の表紙
「And The Winner Is ...」とあります。

QUAKE 揺れるレバノンと中国



◇マグニチュード7.8の地震が中国南西部を襲ったとき、少なくとも1万人が死亡したと中国国営メディアは伝える。(BBC 12 May 2008)

◇国営メディアによると、四川省を震源とするマグニチュード7.8の地震により、同省では少なくとも学校8校、複数の化学工場、少なくとも1つの病院が倒壊、数百人が生き埋めになっているという。
中国にとって過去30年で最悪となるこの地震による死者数は、今後も増加する見通しで、四川省の省都・成都から約100キロにある震源地のブンセン県付近には、道路や鉄道の切断のために救援活動が届かない状態となっている。
同省の都江堰市では3階建ての学校が崩壊し、約900人の生徒が生き埋めになった。政府は救援活動のため軍隊や医療チームを派遣。温家宝首相も被災地入りした。
四川TVによると、死者数の7000人以上は同省北川県に集中し、同県では建物の80%が崩壊した。(ロイター2008年5月13日)

◇米国はレバノン国軍の向上に手を貸す用意があるのでヒズボラを無力にできるとジョージ・W・ブッシュがBBCに述べた。(BBC 12 May 2008)

ベイルート──レバノンのイスラム教シーア派原理主義組織ヒズボラ率いる反政府民兵は、与党支持者との市街戦を展開していた首都ベイルートから撤退したものの、11日に近郊の山地で新たな戦闘を開始した。
レバノン治安部隊によると、8日に始まった反政府民兵と与党支持者の衝突による死者は少なくとも44人、負傷者は140人以上にのぼった。11日の死傷者は含まれていない。当初ベイルートに集中していた戦闘は全国に拡大し、1991年の内戦終結以来では最悪の派閥抗争に発展した。北部の港湾都市トリポリでは停戦合意が成立したが、発効の可能性は不明だ。(CNN12 May 2008)

イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラなど「親シリア派」と「反シリア派」の衝突が続いたレバノンの首都ベイルートに11日入った。政府軍の要求に応じ、ヒズボラなど各派武装メンバーは市内から撤退。だが、親シリア派が制圧後に政府軍に引き渡した反シリア派の拠点にはいまも親シリア派の旗がはためき、住民はシリアへの憎悪をあらわにした。
西ベイルート随一の繁華街、ハムラ通りの南の高台には反シリア派の有力指導者サード・ハリリ氏(イスラム教スンニ派)の邸宅がそびえ、北には同じく反シリアのシニオラ首相(同)が入居するマンションがある。反シリア派の牙城とも呼べる地域だ。
しかし、ハムラ通りには親シリア派の「シリア社会民族主義党」の党旗が残る。「衝突の初めからヒズボラはいなかった。シリアの連中ばかりだ」。文具店経営のハリルさん(78)はそうつぶやき、衝突はシリアによるハリリ氏攻撃だと示唆した。
裏通りには空の薬きょうが散らばり、雑貨店の店先には狙撃手に射殺された少年(16)の葬儀を知らせるポスターが張られていた。親シリア派の武装メンバーは姿を消したが、無線機を手にした若者たちが通行人に目を光らせる。
親シリア派は街頭からの撤退後も、空港へのルートなど主要道路の封鎖を継続。空港の機能はマヒし、レバノンに入る経路はシリアに接する北部国境しか残されていない。
国境に近い北部ハルバでは10日、反シリアのハリリ氏派支持者がシリア社会民族主義党事務所を襲撃し、14人が死亡。同日深夜から周辺の村の住民とハリリ氏派がロケット弾を撃ち合うなど激しく衝突した。この村はシリアのアサド大統領と同じイスラム教アラウィ派が多数を占める。
ベイルートでの衝突はいったん収束に向かっているものの、レバノン国内の反シリア派のシリアに対する憎悪は、野火のように燃え広がっている。
レバノンでは、75年の内戦ぼっ発後、隣国シリアが20年近く実効支配を続け、いまも影響力を維持している。国内政治勢力は反シリア、親シリアに分かれて対立。反シリア派はイスラム教スンニ派、ドルーズ派、キリスト教徒などからなり、現シニオラ政権の支持母体になっている。親シリア派はイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラが中核。(毎日新聞 2008年5月12日)

写真は中国四川省での地震のつめあと

2008/05/11

ジーナ・ブッシュな精神状態


ヴァニティフェア誌のカルチャー欄にこんなコラムがありました。
アメリカの今の気分というので、ちょっと「しゃれてる!」と思いました。

◇ジーナ・ブッシュな精神状態(アルタードステイツ・オブ・ジーナブッシュ)
VF DAILY May 9, 2008
寂しくなるよ、ジーナ。過去8年間におよび国のあちこちのもぐり酒場でのお祭り騒ぎ、ダンス、失敗、人生に没頭するのを知ることで、私たちを笑わせてくれた。君は君のオヤジの政権の人間らしい顔だった。低いアルコール含有量があったにしても、血管には血が流れていた証拠だ。ところで、彼の任期が終わるのに従って、共和党の飼いならされてない美しいユニコーンとしての君のランも終わる。君の前ヒザはまっすぐにされて横隔膜にはカバーがついている、そして君はいまではもう著作を発表する作家で、読み書き能力活動家だ。君はラドローストリートからセサミストリートに移ることになる。そして君の変換に最後の封印を添えるため、明日、結婚する。だれあろう、カール・ローブの元助手のヘンリー・ハーガーのために。

君の出発に敬意を表して、私たちは大陸横断のはしご酒をオーガナイズしてきている。そしてこれを知って君のオヤジがとてもがっかりしていた、NY市警の君の最高の時を記念して、この国の全域に最後の喜びの種をまきちらして綴じることにする。
ジーナ、君の健康を祝して、絶対禁酒者にはならないと、これだけは請け合う。

2008/05/10

カンヌ2008



61回目となるカンヌ映画祭が今年も5月14日から開幕する。オープニング作品は4月30日コンペティション部門で追加発表された3本のうちの一本、ブラジルのフェルナンド・メイレレス監督の「ブラインドネス」だ。
この映画は住人が次々と視力を失う街を描いたサスペンスで、ジュリアン・ムーア、マーク・ラファロ、ダニー・グローヴァーらが出演している。フェルナンド・メイレレスはアカデミー賞にノミネートされた「シティ・オブ・ゴッド」や「ナイロビの蜂」の監督だし、「コラテラル」や「ゾディアック」で印象的だったマーク・ラファロも変に惹かれる役者なので楽しみである。
他にも見所は多い。計20本のコンペティション部門の出品作品には、クリント・イーストウッドのサスペンス「Changeling」、スティーヴン・ソダーバーグのエルネスト・チェ・ゲバラの人生と彼が生きた時代を描いた「Che」がある。ゲバラの映画は2部構成で上映時間4時間の大作。主演はソダーバーグの2000年のヒット作「トラフィック」にも出演しているベニチオ・デル・トロだ。彼もまた魅力的な役者だ。
そしてコンペ部門にはカンヌ常連のウッディ・アレン作品、スペインを舞台にした「Vicky Cristina Barcelona」も含まれる。出演者はペネロペ・クルス、スカーレット・ヨハンソン、そしてハビエル・バルデムだ。
さらに、エミール・クストリッツァがディエゴ・マラドーナを描いた作品「マラドーナ」を、ジェームズ・トバックがマイク・タイソンを描いた作品を出品する。
おまけに今年のカンヌの審査委員長は俳優のショーン・ペンなのだ。

◇これが「ウンザウンザ・ミュージック」だ!
「アンダーグラウンド」や「黒猫・白猫」などで映画界に衝撃をあたえ、世界3大映画祭を制した異色の映画監督エミール・クストリッツァが率いるバンドがノー・スモーキング・オーケストラ。彼らは旧ユーゴスラビアの共産主義に異議を唱え、警察の検閲などにあいながらも、体制に埋没することなく活動を続けてきた。いまや彼ら独自の音楽「Unza Unza(ウンザウンザ)・ミュージック」を引っさげ、フランス、イタリア、ドイツなどヨーロッパで絶大な人気を誇り、世界90カ国、500を超えるライブで「ミラクル」な大成功をおさめている。ボーカルのドクトル・ネレ・カライチによれば、「ウンザウンザ・ミュージック」とはバルカン諸国を発祥とした四分の二拍子に凝縮された「レゲエ以降に生まれた最も重要な音楽」ということで、独特のアップテンポの2ビートに乗せたジャズ、ラテン、スカ、ハードロック、そしてジプシーミュージックなどのすべてを混ぜ込んだロックサウンド。旧体勢に拳を振り上げ、無秩序に拡大を続けるグローバリゼーションに警鐘を鳴らす、彼らのライブがついに日本にやってくる。
2008年6月26日(木)開場18:00 開演19:00 東京ドームシティ内 JCBホールにて(チケット発売中)

◇ノー・スモーキング・オーケストラ
現リーダーのネレ・カライチが結成したバンド「ザブランイェノ・プシェニェ」から始まった。当時、彼らは音楽界における「新プリミティブ主義」の旗手となる。新プリミティブ主義とは、ポスト・チトー政権体制の時代に誕生した文化における反体制ムーブメントだった。
検閲やらなにやらでどん底状態にあったバンドに映画監督のエミール・クストリッツァが加わるのは1986年、彼が映画「パパは、出張中!」でカンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を受賞した翌年だった。新メンバーとともに3枚目のアルバムを発表、エミール・クストリッツァがその中の一曲のミュージックヴィデオを撮影するが、当時の彼の名声をもってしても、映像はユーゴの国で一度も放映されることはなかった。
1994年、バンドは活動の拠点をベオグラードへ移して「ノー・スモーキング・オーケストラ」と改名する。
メンバー編成は、ボーカル、ギター、アコーデオン、ベース、バイオリン、チューバ、ドラム、サックスの11人。1998年には、エミール・クストリッツア監督の「黒猫・白猫」(ヴェネチア映画祭銀獅子賞受賞)の映画音楽を担当する。
1999年以降、バンド名を正式に「エミール・クストリッツァ&ノー・スモーキング・オーケストラ」とし、定期的に海外ツアーを行って複数のアルバムをレコーディングする。2001年のアルバム「ウンザ・ウンザ・タイム」が世界的に話題を集めて一躍注目を集めることになった。

写真は、エミール・クストリッツァのディエゴ・マラドーナを描いた作品「マラドーナ」の公式サイトよりいただきました。監督とマラドーナ、そしてマラドーナの右腕のタトゥーはチェ・ゲバラです。
写真はクリックすると拡大版で見ることができます。

2008/05/08

LEVIEV 不買運動


◇ハリウッド映画に欠かせないダイヤモンドが紛争を増加させている
2月14日、昨年11月にオープンしたNYマジソンアヴェニューの高級宝石店「LEVIEV」の前には、バレンタインデーのダイヤモンドの不買運動を呼びかけて抗議の人びとが結集している。開店以降、レバイエブの前では毎週、抗議のデモが起こっている。抗議をしている団体アダラーNYは、イスラエルの富豪レブ・レバイエブとニューヨークの不動産業者ボイメルグリーンが、ヨルダン川西岸のパレスチナ占領地で違法な入植地の建設を拡大していると指摘する。

レバイエブ氏はダイヤモンド加工で財を築き「デビアスのカルテルに風穴を開けた男」と言われたイスラエルの事業家で、不動産業も手がける富豪です。 2007年にニューヨークタイムズ社のビルを購入したことでも話題になった。デモクラシー・ナウ!では、抗議団体アダラーNYのケイティ・アンガー(「占領に反対するユダヤ人」のメンバーでもある)とルブナ・ミケル(パレスチナ人弁護士)に話を聞きます。

番組への参加を断ったレバイエブ側のステイツメントは、「抗議は政治的なものである。会社の慈善活動などを故意に無視しており正確さを欠いている。」アンゴラでの人権侵害の抗議には、「ダイヤモンドは国際基準を満たしている。」

ルブナ・ミケル:ヨルダン川西岸のパレスチナ占領地で行われているユダヤ人入植地の建設の多くは、レバイエブ氏らの会社が手がけています。レバイエブとボイメルグリーンの2人が土地収奪の実行者です。不動産開発とは不法な入植地を増加、拡大することです。パレスチナのビリーン村では、パレスチナ人の土地をさらに奪うようにしてイスラエルが建てている分離壁に対し、非武装の抗議活動が続けられています。
この「分離壁」は2004年に国際司法裁判所が違法であると勧告していますが、壁の建設はその後も続けられています。これらの入植地と壁はパレスチナ人の土地をばらばらに分断し、パレスチナに住む人々が学校や病院へ行くといった普通の生活を著しく困難にしています。
レバイエブが大株主のムルアロン社はガザのエネルギーを独占しています。ガザへのエネルギー供給を75%カットしました。イスラエル軍の指示が12%カットだったのにです。
彼らのニューヨークでの蓄財は許さない。この事実を市民に知らせることに重きを置いた活動をしています。

ケイティ・アンガー:アンゴラでのダイヤモンド生産に関して、レバイエブは人権侵害に関わっています。
ダイヤモンドの国際基準についてですが、紛争フリーダイヤモンドとは、生産地の認証によって、採掘からカット、研磨までの生産の全工程において暴力や人権侵害、児童労働、環境破壊などをともなっていないことが認証されたダイヤモンドのことです。ですが、注意を要するのは、国連の定義する「紛争ダイヤモンド」とは、アンゴラやシエラレオネのように内戦が長期化している国で、反政府勢力の資金源となり紛争の長期化を助長するとみなされるダイヤモンド(およびその他の宝石)だけを指すものです。要するに、国連がお墨付きを与えるキンバリープロセス認証は、国際的に承認された政府に対抗する勢力の支配下にある地域から輸出されたものでないのを保証するにすぎません。したがって、国際的に承認された政府の下で生産されたものであれば、どのような人権侵害や環境破壊があっても問題とはされず、アンゴラのダイヤモンド鉱山での劣悪な労働環境が問題視されていたとしても、キンバリープロセス認定書を添付する妨げにはなりません。
(デモクラシーナウ!2008年2月14日放送)

放送は以下のページから視聴できます。
http://democracynow.jp/submov/20080214-3

◇2007年4月30日、イスラエル実業家のレブ・レバイエブ氏率いる投資会社はニューヨークタイムズ本社ビルを5億2500万ドル(約630億円)で取得すると発表。ニューヨーク市内の超高級アパートを買い取るなど、同市内で活発に不動産を購入している。ダイヤモンド事業で成功した同氏の個人資産は41億ドルにのぼり、世界210位の富豪(米フォーブス誌調べ)。
(日本経済新聞2007年5月1日より抜粋)

2008/05/06

タイム誌の世界を変えた100人




タイム誌の「世界を形づくる人びと100人」が発表された。
ここにあるのは、彼らのパワー、才能、あるいは道義をわきまえた手本が世界を変えている100人の男女のリスト(TIME 5 May 2008)、とある。

ちなみに、ほんの一部ですが、こんな人の名が挙がっています。

◇アーティスト&エンターテイナー
・ジョージ・クルーニー
・ディキシー・チックス(「ブッシュが同じテキサス出身で恥ずかしい」発言から、クリアチャンネルが支配する全米のほとんどのラジオ局から干されたにもかかわらず、いつの間にか、カントリーの枠を超えたファンを獲得。アルバム「Taking the Long Way」が2007年のグラミー賞で主要4部門のうち3部門を制覇した。)
・フィリップ・シーモア・ホフマン
・ハワード・スターン(アメリカで最もリスナーが多く、最もエロく過激で、最も保守的な連中から嫌われているラジオのパーソナリティ。彼はただの下品野郎とは違う。彼は正真正銘の自由主義者だ。毎日のように南部のキリスト教右翼から「放送をやめろ」と抗議の電話が入り、実際にコロラドなどいくつかのラジオ局がキリスト教右翼のボイコットで放送を中止した。だが、それでも聴取率は圧倒的だった。全米のラジオ局の6割以上を独占するクリアチャンネルは、彼がブッシュをファシスト呼ばわりした4日後、放送を中止した。ハワード以外のクリアチャンネルのパーソナリティはほとんど右翼、彼らはイラク開戦を求める集会を開いたり、ディキシー・チックスのCDを焼き捨てるキャンペーンを行っていた。同時多発テロが起こったNYから、唯一彼の番組だけが通常通り放送を続けた。そして全米のTVやラジオが笑いを自粛した2ヶ月間、彼は笑いとエロとでアメリカを鼓舞し続けた。)
他に、メリル・ストリープ、リーズ・ウイザースプーン(契約料が一番高い女優)など。

◇サイエンティスト&思想家
・ジミー・ウェールズ(Wikipediaを作った人)

◇指導者&革命家
・No.1 ダライ・ラマ
・No.2 プーチン
・No.3 オバマ
・No.4 ヒラリー
・No.7 ジョージ・W・ブッシュ
・ムクタダ・サドル師(イラクシーア派の強硬な反米指導者)
・エボ・モラレス(ボリビア大統領)
・エレン・ジョンソン=サーリーフ(アフリカ初の女性大統領)
・ウゴ・チャベス(ベネズエラ大統領)
・アハマディネジャド(イラン大統領)
・アイマン・ザワヒリ師(アルカイダのナンバー2)
・コンドリーザ・ライス
・温家宝首相(中国のナンバー3)
・イスマイル・ハニヤ(ハマスのパレスチナ首相)
・小泉純一郎(日本の元首相)
・ビル&メリンダ・ゲイツ

◇ヒーロー&パイオニア
・ボノ(U2のミュージシャン)
・ラルフ・ローレン
・ポール・スミス
・アル・ゴア

◇建設者&タイタン
・フランツ・ベッケンバウアー(皇帝と呼ばれたドイツサッカーの名プレーヤー)
・トム・アンダーソン&クリス・デウォルフ(mixiの20倍を上回る会員7000万人以上を誇る米最大手のSNS、MySpace.comの共同創業者)
・シェイク・モハメッド(ドバイを湾岸地域の目もくらむ観光と商業の中心地に変えたドバイ首長国連邦の首長)
他に、スカイプを創業した男たち、No.78に村上隆など。

写真は、特に個人的に選ばれてうれしいディキシー・チックスとハワード・スターン
主流メディアから常にはじかれるノーム・チョムスキーはもちろんリストには挙がってませんが、一般投票の「100人」には入っていました。

2008/05/05

サンタクルスは富裕層の反乱



ボリビアのリッチな県が国の方針に逆らって勝手に自治権拡大の住民投票を行うとのニュースを知って、1985年に一度だけ訪れたことのあるサンタクルスの街を思い出した。
ニュースにもあるように、そこはボリビア9県のうちで一番リッチな県である。石油、ガス、その他の資源に恵まれているのはもちろん、臼型に作られた街の不毛なトップの高地から下に行けば行くほど裕福になるという仕組みの首都ラパスから行く者にすれば、その平らな街は空気もなにも、暮らしやすく感じたものだ。
とはいえ、ほんの数日滞在しただけの旅人の直感で、素朴なインディオが行き交うラパスとはぜんぜん違って白人ばかりが目につくサンタクルスのストリートに、なんとも鼻持ちならない傲慢な感じを嗅ぎ取ったのも事実だ。ラパスに戻ってほっとしたのをよく憶えている。以下、ニュースからーー。

◇ボリビアの最も豊かな県、サンタクルスの有権者たちが、公認されていない住民投票で、自治権拡大のための発議を支持していることが伝えられる。
サンタクルスの財源の監督権をもっと県に与えること、そして治安部隊を創設することを、80%以上が支持したのを地元TV局の出口調査が示す。
ラパスの当局らは投票は違法と宣言しており、結果は無視するつもりだと述べる。
散発的な暴力の勃発が投票をだいなしにした。
サンタクルスの多数が、左派のエボ・モラレス大統領の批判者である。
大統領は国の豊かな東部県をもっと貧しい西部の一助としたいと望む、土着の彼特有の支持者の大半が貧しい西部の出身だ。
・土地保有(所有権)
モラレス氏は、南米一の最貧国のボリビアを貧困から引きだすことを期待した過激な改革を断言してきている。
ボリビアの人口の約25%が居を構えるサンタクルスの指導者らは彼らの財源の地元監督権拡大を要求してきている。
彼らは土地保有の大幅な制限を発議する憲法草案におびやかされると感じる。
土地の分配と豊富な石油やガスの埋蔵量に関し、サンタクルスにさらなる監督権を与えることが盛り込まれる提議が日曜の投票で支持された。
・投票が危機の不安を突然起こさせる
日曜の投票のほとんどは平静だったが、モラレス氏の支持者らが投票用紙を燃やして投票所をあさりまわったとき、貧しい地域で暴力が突発した。
ある投票所が破壊されたと報じられ、と同時にどこかよその住民投票の反対者らが投石して投票で支持してもらいたい人たちとかち合った。
少なくとも20人が負傷したと当局は伝え、警察が群衆に催涙ガスを放ってひとりが死亡したと未確認情報は伝えた。
抵抗勢力が投票をボイコットすると言って以降、成り行きは常に自治権拡大に味方するものとなっていたと、BBCの南米特派員 Daniel Schweimler は伝えた。
わが特派員は次に何が起こるかが問題だと付け加える。他に3つの県が自治権拡大で住民投票を行うつもりだと言っている。
(BBC NEWS 5 May 2008)

◇南米ボリビア最大のサンタクルス県で4日に実施された、県政府の自治権拡大を定めた自治憲章案の是非を問う県民投票で、85%以上が賛成票を投じたことが地元テレビ局が行った初回の出口調査で明らかとなった。
ただし、エボ・モラレス大統領と大統領率いる社会主義運動(MAS)は、すでに投票結果の無効を宣言しており、今回の県民投票を違法かつ違憲とみなしている。
モラレス大統領は自治憲章案の県民投票は違憲であり分離主義的行動だとして、結果を承認しない意向を示している。
大統領は軍を派遣するとも警告していたが取り下げ、大統領支持派と県政府支持派の衝突は増加している。
(AFP通信 2008年5月5日)

◇昨年10月、南米ボリビアのサンタクルス国際空港ビルに地元住民らによるデモ隊が進入し同空港ビルを占拠した。
事件の発端は昨年10月16日、同空港に着陸したアメリカン航空機に対してサンタクルス国際空港の職員が連邦空港管理局ではなく、地元空港に対して空港使用料を支払うように要求したこと。
モラレス大統領は、空港職員の違法行為を理由に国軍と軍警察に出動を要請、220人の国軍兵士らが空港ビルを占拠した。同事件以後、ブラジルのゴル航空など数社が同空港向けのフライトを一時中止した。
ところが、軍隊出動と中央政府の姿勢に反発したルベン・コスタサンタクルス県知事が地元住民らにデモ参加を訴えかけた。その結果、18日までに約7000人の地元住民によるデモ隊が空港前に集結、県の旗などを振りかざしながら国軍撤退を要求していた。
ボリビアではモラレス大統領と財政的に豊かなサンタクルス県などの南部・東部数県の間で自治権拡大などをめぐって衝突が続いており、今回の事件も中央政府と自治権拡大を目指す各県のあつれきを象徴している。
また、AP電によると、今回の事件に先立ち、ボリビア政府がサンタクルス空港の責任者を地元関係者から選出するこれまでの慣習を変えて中央政府が選出した人物を空港責任者にあてたことも、地元の反発を招いていたという。
ボリビアの財政収入の多くは、農業生産が活発でなおかつ天然ガスなどの資源が豊富な、南部・東部数県からの税収に頼っており、財政不均衡に不満を持つサンタクルス県などが、広範な自治権の拡大を中央政府に求めている。
ボリビアは人口の過半数がインディオ系で、大統領府のあるラパスを含む北部県の多くはインディオ系住民が占めるが、サンタクルス県などでは白人の占める割合が多い。
(世界日報 2007年10月21日)

写真は、サンタクルスのデモと一部で暴力の勃発がーー。

2008/05/04

ディーン・カーメンのSlingshot




あの画期的な乗りもの「セグウェイ」を憶えているだろうか。ジョージ・W・ブッシュがうれしそうに自分とこのひろーい敷地で乗り回している映像を見た方も多いはず。あれを発明したディーン・カーメン氏がコメディセントラルの番組で実演した浄水器は、もとの水がなんであれ(海水、水たまりの濁った水、化学薬品の毒入り排水、尿やヒ素だって)従来の電力のわずか2%で一つの村に一日1000リットルの「きれいな水」を供給できる設計なんだそうだ。フィルターはまったく使用せず、捨てるものはなにもない。ただ蒸溜するだけ。
スターリングエンジン(セグウェイもそう!)で発電する「スリングショット(浄水器の開発コードネーム)」の目標価格は1000ドルから2000ドル。AP通信はそれを「水とパワーを個人の手に戻すことをめざしたダビデとゴリアテの物語」と形容する。
ワオー、この価格で実現すれば、少なくとも渇きのせいで死ぬ人はいなくなる。
以下、もうひとつの「きれいな水」のおはなしーー。

◇市販のミネラルウォーターよりきれい(オレンジ郡の施設長いわく)
カリフォルニア州ファウンテンバレー発:カリフォルニア州南部が深刻化する水不足に直面する中、同地域のオレンジ郡は4億8000万ドルの費用を投じ、排水を飲用可能になるまで浄化できる最先端のマイクロフィルトレーション(精密ろ過)システムを導入した。
このシステムは「Groundwater Replenishment System(地下水再補充システム)」と呼ばれ、2008年1月10日から、浄化された水の供給を開始している。
この種のシステムとしては世界最大級で、オレンジ郡で暮らす10万世帯以上に、他の地域から買い入れる水なみか、それ以下の安価で水を提供できるという。また、下水を浄化システムに取り込むため、天然の水源に捨てる排水の量も減らせるという利点もある。
新浄水施設が完成したのはここが初めてだが、同じカリフォルニア州内以外にもテキサス州やフロリダ州の多くの都市が導入を検討している。
1日あたり約26万キロリットルの水をオレンジ郡盆地の帯水層に還元するこの施設のろ過プロセスを、かいつまんで写真で紹介してみよう。

写真1:ていねいな表示と矢印がついたこれらのパイプ類は、この浄水施設になくてはならないものだ。一番上の青い管の内部には、細いシルバーのパイプが複数通っていて、マイクロフィルターでろ過された排水を次の工程に送る。
「backwash(逆流させてろ過器を洗う)」と書かれた管は、すでにろ過された水を数時間ごとに一度ずつマイクロフィルトレーションシステムに逆流させ、ろ過システムを通る水の流れをスムーズにしている。
システム全体は週に一度、圧搾空気と酸で徹底的に洗浄される。洗浄に使う空気は「air scour(空気洗浄)」と書かれた管を通って入る。

写真2:逆浸透(RO)シリンダーでは、強い圧力をかけられた処理水が何層もの薄い合成樹脂の膜を通過していく。
RO工程を経ることで、ウイルス、塩類、殺虫剤、その他ほとんどの有機化学物質は取り除かれる。医薬品成分など、取り除けない有機化学物質もあるが、それらは次の段階の紫外線処理で除去される。

写真3:紫外線処理は、カナダに本社のあるトロージャンテクノロジーズ社の紫外線装置「TrojanUVPhox」を使って行なう。
スチール製シリンダーの内部にランプが並んでいて、ここで水に紫外線を照射する。処理水に過酸化水素を加えて紫外線と反応させることで、マイクロフィルターや逆浸透処理で除去し切れなかった不純物をほぼすべて取り去ることができる。

浄化された水は、最後に米ジェネラルエレクトロニック社製の2000馬力の巨大モーターで帯水層へと戻される。この水は、もともとあった帯水層の水と混ざり、いつでも利用可能な状態に置かれる。
現在の浄化性能は1日あたり約13万キロリットルだが、この施設がフル稼働すれば、1日あたり約26万キロリットルの水を浄化し自然に戻すことができる。
この施設は、将来的に増築して処理量を2倍にまで増やせる設計になっている。それが実現すれば、現在オレンジ郡が他の地域から供給を受けている1日あたり約53万キロリットルの水をこの施設ですべてまかなえるようになる。
これは非常に大きなメリットだ。というのも、外部から引き入れている水の販売価格は市場で決まるため、水不足の時には価格が急高騰するのに対し、リサイクルされた水は固定価格で販売されるからだ。
(wiredvisionnews2008年3月11日)

2008/05/02

ミサイルは無人偵察機からやってくる


◇AP通信によると、イスラエルによる急襲がふたたび繰り返されているパレスチナ自治区では警戒感を強めているガザの武装勢力が双眼鏡を使って常に無人偵察機を見張っている。
「Glouchester Daily Times」紙に掲載されたAP通信の記事「パイロット不要の飛行機がイスラエルの主要兵器として登場」から引用するーー。

上空に無人偵察機を見つけると武装勢力の兵士たちは、携帯電話の電源を切ってバッテリーを外すようにトランシーバーを通じて仲間たちに警告する。イスラエルのハイテク装備によって自分たちの居場所を突き止められるのを恐れてのことだ。
ガザ地区南部の出身でイスラム聖戦グループに属する兵士によると、無人偵察機は主に個人を標的にする場合に使われ、建物は狙わない。
無人はたいてい有人よりはるかに高い上空を旋回飛行する。発射されるミサイルの多くは破壊力が非常に高いもので、着弾地点には深い溝ができる。
無人偵察機が標的とするのはたいてい歩いている人や道にできた穴を避けるために減速しているクルマなどの低速で動く対象物だとこの兵士は語った。
「無人偵察機は上空に小さな円を描いて飛んでるように見えるが、ミサイルを発射する直前になると減速する。他のとはまったく違う。ミサイルが発射された形跡も見えないし、音もほとんどしない」と兵士は述べた。

米国でも同様の目的で同じ戦術を幾度となく採用してきている。聖戦を行なうテロリストと疑われる人物を密かに狙い撃ちすることを目的にした、パキスタンで飛行している無人偵察機「プレデター」もその一例だ。2年前にパキスタン国境近くで行なわれ、女性や子供たちが巻き込まれた爆撃が「プレデター」によるものだったのをニューヨークタイムズ紙が記事にした。
(WIRED NEWSより)

写真は、イスラエルの無人偵察機から発射されたミサイルが近くに命中した瞬間のガザの人びとのリアクションだ。この普通の人びとの動きを見ても、交戦中のミサイル攻撃などというのでないことがわかる。仮にここで犠牲者が出ても、マスコミは戦闘中の死者と書くのだろうか。

写真はクリックすると拡大版で見ることができます。

グアンタナモ6周年 拷問モデル完成



◇カメラマンがグアンタナモから釈放される
アルジャジーラTV局のカメラマンがグアンタナモ湾での米国の拘留から釈放されたとアルジャジーラ放送は伝える。
サミ・アル=ハジは 6年以上におよび米国に収監されていた。彼は2001年アフガニスタンで拘留された。
彼はいま故国スーダンに戻っているとアルジャジーラは伝える。
「私たちは待望で盛り上がった興奮状態におり、喜びに感極まっている」とアルジャジーラのアラブ向け放送の常務取締役Wadah Khanfarは述べた。
米国の直接のコメントはなかった。
不特定の筋のことばを引用して、ハジ氏がグアンタナモから釈放され、スーダン行きの飛行機に乗ったと告げた。
彼はまもなくスーダンの首都ハルトゥームに到着すると思われるとアルジャジーラ放送は言った。
2001年12月、アフガンに接するパキスタン軍によって逮捕されたのちに米軍に引き渡されたとき、ハジ氏はアルジャジーラのカメラマンとして職務を遂行していた。
当時38歳だったサミ・アル=ハジは民兵組織との結びつきで訴えられたが告訴はされなかった。
彼が1990年代にボスニアとチェチェンでモスリム戦闘員への資金提供にかかわり合ったと米軍は申し立てた。
2007年はじめにハジ氏はハンガーストライキを開始した。彼は折に触れて幾度か強制的に食べ物を流し込まれたと彼の弁護士が言った。
彼に対する申し立てを彼は否定し、告発は政治的に誘導されているとアルジャジーラでの彼の雇い主は述べる。
(BBC NEWS 1 May 2008)

◇グアンタナモ米軍基地 テロ容疑者収容開始から6年目
米国がキューバのグアンタナモ基地に、「テロとの戦い」と称するもので捕らえた人びとを違法に拘束し始めたのは、2002年1月11日のことだ。この6年間に「敵性戦闘員」とされる800人以上の男性(未成年者も含む)が訴追手続きなしに収監されてきた。グアンタナモ収容所には米国の法律もキューバの法律も適用されずに、収容者は戦争捕虜としても扱われない。さらに、法による保護を奪われた収容者たちには、情報を引き出す手段として心理学や医療の力を借りた拷問が加えられている。
ロンドン在住のイエメン出身のライター、モギブ・ハッサンのいとこのファワズ・マフディは5年以上にわたってグアンタナモに収監されていた。彼は2007年6月に釈放されたが、心理的に重篤なトラウマを負っており、何度も自殺を図っている。イエメン人はグアンタナモ収容者の3分の1を占めるといわれる。かつては最大の収監者を出していたサウジアラビアが大幅に数を減らしたのに対し、イエメン政府はなんら有効な手段を講じてきていないとマフディは批判する。
従軍牧師の証言によって、グアンタナモでは囚人の精神をくじくために宗教が武器として使われていることが明らかになっている。また、グアンタナモにおいてCIAの拷問モデル(感覚器官、文化的感受性の攻撃、個人的な恐怖対象)が完成されたと歴史学者は述べる。
(デモクラシーナウ!2008年1月11日の放送より)

写真は、2008年2月のスーダンでの抗議。サミ・アル=ハジのポスターの前でグアンタナモ収監者に抗議して2人が黒い袋をかぶりオレンジ色の服を着て立つ。
スーダンではハジ氏の拘留に対する抗議がずっとあった。

2008/05/01

yellow dust


◇中国の殺し屋 イエローダスト
東アジアの黄砂嵐のシーズンが始まった。先週中国北東部で観測された黄砂によって、現在韓国や日本の一部で、学校が閉鎖されたり、工場が操業不能になったり、毒性の物質が蓄積したりしている。
この砂嵐は毎年3月から5月まで続くもので、モンゴルや中国の砂漠から風で吹き上げられた砂が、中国の工業地帯で汚染物質を吸着し、最終的に東部地域に到達する。
これによって生じる損害がどれだけになるか定かではないが、控えめな数字でも、製造業における損失は数十億ドルにのぼり、特にハイテク製品のメーカーに被害が大きいとされている。汚染物質は肺や免疫系疾患を引き起こす可能性もあり、影響はさらに大きくなる。(ロイターの記事によると、韓国政府の支援を受けている韓国環境研究所は、黄砂による1年あたりの経済的被害を58億ドル、死者は165人、病人は180万人と推定している。)
家畜を過剰に繁殖させることに起因する森林の減少や砂漠化によって、黄砂はますますひどくなりつつあるようだ。だが、確実なことを知るのは難しい。中国が黄砂について沈黙を守っているからだ。
中国は、モンゴル、日本、韓国との間で計画されていた監視プログラムを開始する予定だったが、最近これから離脱した。自国の設備を他国が気象データの収集に使用することを中国は拒否し、今後収集する情報を「国家機密」であるとし、共有しないと述べている。
この決定は、昨年制定された、国家の安全に重要であるとして気象観測データを外国と共有することを禁じた法律に沿うものだ。
このような秘密主義は理解に苦しむ。気まぐれな権力の誇示としての価値を除けば、外交的にも科学的にもなんの意味もないように思えるからだ。あるいは、中国の天候制御体制に、何か問題が起きているのかもしれない。
<以前ここで紹介したように、中国には中国全土で天候制御プロジェクトを展開する「人工影響天気事務室」がある。彼らは大砲を撃って人工雨を降らせ、北京オリンピックを晴天にするそうだ。>
(wiredvision 2008年3月5日)

今日知ったぎょっとする現実に、とてもわかりやすい環境破壊の報道があった。この地球上では、毎秒の速さでテニスコート48面分の広さの森林が破壊されており、砂漠化が進んでいる。
このあいだ見た映画「長江エレジー」の現場は山峡ダムで消えてなくなった村落と隣り合った町だった。中国は2009年に完成する山峡ダムの大プロジェクトでも、地球の環境破壊の加速化に貢献したはずだ。

写真は、NASA撮影の風に乗って移動する黄砂 
写真はクリックすると拡大版で見ることができます。

中国の約束


北京オリンピックの開催が決定した2001年、中国はこれに向けて国内の人権状況の改善を約束した。
ところがこれがまったく果たされないばかりか、オリンピックが近づくにつれ中国当局の取っている措置はチベットなどへの締め付け強化と言論の自由、開放への弾圧の強化だ。
昨日、CNNなどのアメリカのニュースはこの「中国の約束」について何度も繰り返し報じていた。「なぜ中国でオリンピックが開催できるのか」といえば、人権問題の改善と環境問題の改善を実行すると中国が約束したからだ。なのに、改善するどころか悪化しているではないか。「中国はウソつき」だ、欧米などで聖火リレーの妨害があってもしかたないことだと言っている。
以下、ニュースからーー。

◇人権問題に敏感な欧米諸国にとって、中国の約束は舌先三寸のでまかせで「裏切り」だと映ったとしても無理はない。その上、聖火リレーを「調和の旅」と言葉で飾られたのでは「悪いジョーク」か「大いなる皮肉」と言うしかあるまい。
「人間存在の最も初歩的な尊重と結び付くヒューマニズムを欠いて、五輪精神に何の価値が残るのか。この精神を侵害するのは、中国の指導者たちである」(仏ルモンド紙より)

◇オリンピックの遺産を汚す人権侵害
「北京オリンピックまで残すところ1年。中国政府は人権促進を約束したが、時間切れになりつつある。中国政府が今後1年で人権侵害をなくすための緊急措置をとらなければ、中国のイメージダウンとなり、北京オリンピックの遺産に汚点を残すことになるだろう」とアムネスティインターナショナル事務総長アイリーン・カーンは述べた。
北京オリンピックを前に人権状況を改善するという中国の約束がどの程度履行されているかに関するアムネスティの最新の評価報告書で、北京を拠点に活動する人びとの一部がいまだに「自宅軟禁」や警察の厳しい監視を受けていることがわかった。オリンピックを前に人びとの関心が北京に集中するにつれ、他の地域の活動家たちが受ける人権侵害もひどくなっている。また、ジャーナリストへの弾圧も続き、中国社会と開発に関する本を出版する出版社が閉鎖される事態になっている。
「人権擁護活動家や国内メディアに対する弾圧が続き、死刑問題や外国メディアの取材といった分野での改革がなかなか進まない。オリンピックが中国の人権状況を改善する一助となるという約束が果たされていないばかりか、警察はオリンピックを口実に、より多くの人びとを裁判なしで拘禁している」とアイリーン・カーンは語った。
アムネスティの評価報告書「中国:オリンピックのカウントダウン、人権の約束を果たすのに残された時間はあと1年」では、オリンピックに関連する4つの主要な人権分野(死刑、裁判なしの拘禁、人権擁護活動家、メディアの自由)に焦点をあてている。
最新の評価結果の主要部分は以下の通りであるーー。
死刑:2007年1月1日以降、最高人民法院が死刑事件の見直しを再開したことで、死刑の適用は10%減少したと政府は主張しているが、非暴力犯罪に対する死刑判決と執行は続いており、死刑に関する統計もいまだに公表されていない。すべての裁判所でより透明性を高めるという政府の約束は実行されておらず、弁護人や家族は相変わらず死刑囚と面会できないし、死刑囚の置かれている状況も知らされない。地域によって死刑の適用基準が違うため、死刑判決は恣意的であることが多いということを、国は最近になって公式に認めた。
裁判なしの拘禁:オリンピックに先立って北京を「きれいにする」ために、裁判なしで人びとを拘禁することがますます増えている。この中には、「薬物中毒の強制的なリハビリ」や、「労働を通じての再教育」を適用できるような微罪の範囲を拡大するといったことも含まれる。
人権擁護活動家:北京以外の地域で人権擁護活動家に対する人権侵害が強まっている。居住の権利に関する活動家、陳小明は医療恩赦で釈放された直後の7月1日に上海で死亡した。陳小明が拘禁中に拷問を受けたという報告があった。
人権侵害の被害者のために活動する弁護士や法律アドバイザーらが標的となった。6月16日、盲目の法律アドバイザー、陳光誠が獄中で別の囚人に殴られたが、こうした事件もその一環である。囚人に陳光誠を殴るよう命令したのは刑務官だった。陳光誠は山東省で投獄されたが、理由は、産児制限のために当局が地元の女性たちに強制中絶および不妊手術を受けさせたとして地元当局を告発しようとしたことだった。
オリンピック関連施設の建設計画によって住居を追われた人びとに対する関心を高めようとした活動家たちも標的となった。葉国柱もその一人で、昨年末には電気ショック棒で殴られたと伝えられている。
メディアの自由:国内メディアに対する弾圧が続き、ジャーナリストや作家は引き続き投獄され、メディアで働く人びとは強制解雇され、出版社は閉鎖されている。
インターネットは広範囲に検閲されウェブサイトが閉鎖されてもいる。最近、厦門ではインターネットユーザーの登録を本名にすることを義務付ける新法に反対する人びとを弾圧する動きがあった。
アムネスティは最新の評価報告書を中国当局とIOC国際オリンピック委員会に送り、これらは北京でのオリンピック開催およびオリンピック憲章の根本原則に直接関係がある問題だと指摘した。
「中国で深刻な人権侵害が続いていることは、<人間の尊厳保持>や<普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重>といったオリンピック憲章の根本原則を傷つけることである。IOCは人権の尊重と法の支配に基づいてオリンピックの正の遺産を奨励すべきだ。北京オリンピックまで、時間がない。中国が人権を尊重しなければ、オリンピックに取り返しのつかない汚点をつけることになる。中国当局は、人権状況を改善するという約束を実行し、2008年8月に中国の人びとがあらゆる意味で自国を誇りに思うようにすべきである」とアイリーン・カーンは述べた。
(アムネスティインターナショナル・ジャパン2007年8月7日の報告より)
http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=348

◇取材の環境悪化、殺害脅迫も=外国人記者クラブが声明
北京の中国外国人記者クラブ(メリンダ・リウ会長)は北京五輪開幕まで100日となった30日、西側記者への殺害の脅迫が行われるなど取材環境が悪化しているとし、中国政府に改善策を求める声明を出した。
中国当局はチベット問題などをめぐり、海外の「偏向報道」批判キャンペーンを展開。国民の西側報道への反発が強まる中、中国駐在の外国人記者少なくとも10人が匿名の殺害脅迫を受けたという。また、3月14日のラサ暴動以来、チベット問題取材に対する干渉が50件以上あった。 
声明は、「取材妨害や敵対的キャンペーンは五輪前の雰囲気を害する」と指摘。チベット自治区と周辺のチベット族居住区の取材容認など、規制緩和を中国当局に要求した。
(時事通信2008年4月30日)

写真は今日のニュース、9歳から16歳の子どもたちが中国南部の省の工場に過去5年にわたり労働奴隷として売られていて、その工場から救出された子どもたち。
農業の担い手が不足する日本でも相手は大人とはいえ、まるで奴隷のような人権上認められないひどい扱いをしているところがあるのを朝日新聞が報じていた。
研修生として中国人労働者を雇っているのだが、労働条件は過酷で安い上に生活環境は監禁状態に近く、パソコンを持つことも禁じられている。悪辣な労働が行われているのを知られたくないからなのか。これは栃木のいちご生産者農家の話で、人手が要らなくなり突然の解雇で強制送還になった中国人の話が語られている。