見つけた 犬としあわせ

ニュースのファンジン、世界のニュースのサンプリング。 一枚のCDを聴くように一枚のコラージュを眺めるようにこれを体験して欲しい。

2009/05/22

黒子が表舞台に


◇バラク・オバマ米大統領は21日、国家安全保障について演説し、公約通りキューバのグアンタナモ米海軍基地のテロ容疑者収容施設の閉鎖を実行する方針を改めて表明した。

前日、米上院は収容施設の閉鎖費用や収容者の移送費への支出を認めない補正予算案を賛成多数で可決。民主・共和両党の議員らはそろって収容者の米本土への移送に懸念を示した。

こうした動きに対し、オバマ大統領は、収容施設の設置は「失敗した間違った試み」だと指摘。イデオロギーやテロへの恐怖感に基づいたブッシュ前政権の対テロ政策を非難した。

また、危険度の高い国際テロ組織アルカイダの元メンバーらについては、米国内でも最も警備の厳重な刑務所に確実に移送すると表明。「テロリストは、組織を拡大し米国を同盟諸国から孤立させない限り、成功はできない。われわれ米国民が米国民たることに忠実であれば、決してそれは実現しない」と述べた。

その上で、グアンタナモの収容施設が米国のイメージを損ねたとして、1年以内に施設を閉鎖する方針を改めて強調した。

・チェイニー前副大統領と真っ向対決

一方同日、ディック・チェイニー前米副大統領は米有数のシンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所で行った講演で、ジョージ・W・ブッシュ前大統領の政策を強く擁護。拷問との批判を受けているCIAの過酷な尋問手法や、米法規を超越したグアンタナモの収容施設の設置を改めて正当化し、「同じ状況になれば、また同じことをする」と述べた。

また、グアンタナモに収容されている「最悪のテロリスト」らを米国内に移送することは「大きな脅威となる」と指摘。オバマ政権がブッシュ前政権やCIAの関係者の「魔女狩り」を行おうとしていると警告した。講演は全米にテレビ中継された。

(AFP 2009年5月22日)

◇今日の昼放映(日本)のabcNEWSより かいつまんで

グアンタナモ収容所に関してオバマ大統領:
国外に作れば安全が保たれると言うのは、間違っている。私たちの義務は、核の不拡散問題など、アメリカ国民を安全な環境に置くことだ。長期的に安全を守るには、基本的な価値観が大事である。正当な法律上の枠組みを作る、国民を守ると同時に憲法を守っていく、慎んできた価値。安全にする手段。
過去のは恐怖によるイデオロギー、つまり、私たちはコースをはずれていた。アメリカの敵が望むところにはまっている。これではダメ。水責め、きびしい手法をとれば安全だとする、これは全く違う。私たちの価値観に反する。
グアンタナモは正当なものではない。むしろ、テロを広げる。

同じ日の同じ時間に行ったチェイニー元副大統領による直接反論:
ブッシュのテロ対策を擁護する。きびしい手法はテロ計画を知ることだ。傲慢だというのは名誉毀損だ。
グアンタナモを閉鎖するのは無謀だ。

最近表に出てきてあちこちのメディア(デモクラシーナウ!にも登場)で大声を上げているチェイニーは、今日も、CIAメモを公開したことをはげしく非難。
安全を脅かした。グアンタナモを閉鎖してはならない、と読み上げる。
写真は、今日のabcNEWS から
http://www.abcnews.go.com/politics

◇米上院は20日、キューバのグアンタナモ米軍基地に収容されているテロ容疑者を、米本土に移送することを差し止めた。

オバマ政権は、グアンタナモ基地収容所の閉鎖費用として8000万ドルを請求。しかし上院は、収容者の米国移送を差し止める修正条項を盛り込んだ補正予算案の採決を行い、賛成90、反対6で可決した。下院でも先日、同様の修正法案が通過している。

民主党の上院議員らはオバマ政権に対し、同収容所閉鎖時の収容者の処遇について具体案をまず提示するよう求めており、政権側は厳しい批判を突きつけられた格好だ。

オバマ大統領は来年1月22日をめどに閉鎖する公約を掲げた同収容所を今後どうするかについて、21日に演説を予定している。

(CNN 2009年5月21日)

2009/05/20

ヘラクレスが墜落炎上


京都に行ってきました。毎年、4月中旬から下旬に行くんですが、今年は事情があって5月中旬にずれ込みました。
ホテルから歩いてすぐの京都御所には朝食前の散歩に行きます。ちょうど桜がそろそろ終わりかしらという例年から、新緑だけの景色に移っていて、京都御所ばかりか、宇治も上大崎(天王山入り口)も、力みなぎる緑で輝いていました。
帰りの日、京都のクラブで、グランドマスターフラッシュのライヴがある!のを発見。
その日ドライブ中に聴いた京都FMラジオ曲の選曲はグランドマスターフラッシュ。
「ホワイトライン」は別バージョン(ディランディラン)でしたが、昨日のプリンスの3枚組新譜からの選曲といい、京都FM1局はなかなかのものでした。

で、本日、ブルームバーグにこんなコラムがあるのを見つけたので、ちょっと

◇ラップダンサーとコカインが信用危機の元凶なのか
 by マシュー・リン

今回の信用危機の原因をめぐって、さまざまな理論が取りざたされている。ノーベル賞受賞者たちはそれぞれの説を執筆するのに忙しい。

あるグループが正解を知っていると主張している。ロンドンの出版界だ。彼らも強欲や刹那(せつな)主義的考え方ではたいていのトレーダーに負けないが、ともかく、出版界に言わせれば、今回の危機で諸悪の根源はラップダンサーとコカインだということになる。

英国の本屋に行くと、金融業界の享楽主義的行き過ぎを描いた本が書棚にあふれている。「シティーボーイ」や「ビンジ・トレーディング」などの作品では、ストリップクラブでの夜の過ごし方や麻薬で勢いをつけてのトレーディングなどが描かれる。出版社は流行に飛びつき、同種の本が現在、多数準備中だ。

ある意味では罪のない楽しみだと言える。20代の若者があり余る金を持って夜遊びに明け暮れる話はおもしろい。だが、これらの読み物は実は有害だ。過去1年に起こった危機には深い根があり、それはラップダンサーやコカインとは何の関係もない。

こういう書籍が大量に出版されたことに気付かずにいることは不可能だ。先駆けは元ドレスナー・クラインオートのアナリスト、ジェラント・アンダーソン氏の作品だった。
同氏は「シティーボーイ」という自身のコラムを本にまとめ、大成功を収めた。同書は市場のエロチックな一面を部外者に垣間見させた。

・後続

その後、ゴールドマン・サックス・グループ出身のテツヤ・イシカワ氏の「How I Caused the Credit Crunch(どうやって信用危機を引き起こしたか)」が出た。フィクションの体裁を取っているが、市場参加者らの生活をほぼそのまま描いたものだ。セス・フリードマン氏の「ビンジ・トレーディング」はフィクションと取り繕うこともしていない。副題、「The real inside story of cash, cocaine and corruption in the City(シティの現金とコカインと腐敗に関する本物のインサイドストーリー)」が示す通りだ。

・9万部

電話インタビューに応じた出版エージェントのアンドルー・ローニー氏によると「今人気があるのは、現実逃避の本と何が起こっているかを説明しようとする本の2種類」なんだそうだ。出版社の狙いは見え見えだ。業界誌ブックセラーによれば、「シティーボーイ」はこれまでに9万部を売った。

これらの書物はどれも、報酬をもらい過ぎ、シャンペンをガブ飲みして、ナイトクラブのトイレでコカインを吸っていた若いトレーダーたちが危機を引き起こしたという見方を、暗に読者に押しつける。

それにもひとかけらの真実はある。ロンドンは他の金融センター同様、享楽主義の都となっていた。麻薬の売人やラップダンサーは金融バブルで荒稼ぎした。それを言えば、不動産仲介業者もシャンペン販売業者も高級車ベントレーのディーラーも同じだ。

そうではあるが、享楽主義は、2003-07年の偉大なブルマーケット(相場上昇)がもたらした数多くの症状のひとつにすぎない。稲妻が雷の原因でないのと同様に、享楽主義が信用危機の原因なのではない。

・需要と供給

これらの著者を責めるのは酷というもの。結局、彼らはトレーダーなのだ。ウォール街での何年かは少なくとも、需要と供給の法則を彼らに教えたことだろう。これらの書物には明らかに需要があるから、彼らはそれを供給することで暮らしを立てているのだ。

著者のひとり、イシカワ氏は電話インタビューで、これらの書物について「信用市場に関する退屈な本を、出版社にとって魅力のあるものにした」と語った。

ただ、それがすべてではない。過去2年で世界経済を席巻した危機には、数多くの原因がある。その多くは理解しがたい。ボーナスに重点を置いた銀行の報酬システムも原因のひとつだし、中央銀行の金融政策もそうだ。中国と世界の間の貿易収支の不均衡、その結果としてだぶついた巨額資本が問題の根源だったかもしれない。

ラップダンサーとコカインは、それらについて読むには面白いが実は危機とあまり関係がない。信用危機の本質を正しく認識することは重要だ。そうしなければ、同じ過ちをまた繰り返すことになろう。

▲マシュー・リンは、ブルームバーグ・ニュースのコラムニスト
(Lap Dancers, Cocaine Didn’t Cause Credit Crunchから抜粋)

写真は、インドネシア東ジャワ州マゲタンの田園に墜落して炎上したインドネシア空軍のヘラクレスC130輸送機(AFP 20 May 2009)、少なくとも97人が死亡(BBC)。

2009/05/18

途方もない失敗


◇6月7日のレバノン選挙はヒズボラに政権を導きかねないとCNNのカル・ペリーは伝える。ペリーは、それが中東和平に向けたオバマ大統領の努力の成果を揺るがすことになると言う。オバマは6月4日エジプトでモスリム世界に対し重大なスピーチを行うつもりである。
写真は、先週レバノン、トリポリの大多数の建物の外観に掲げられる選挙ポスター(記事共に CNN 17 May 2009)

◇バラク・オバマ米大統領は15日、ジョージ・W・ブッシュ前政権がキューバ・グアンタナモ湾の米海軍基地内に設置した「テロとの戦い」の容疑者を裁く特別軍事法廷について、一度は「失敗だった」と批判したにもかかわらず、証拠採用についての新たな規則や容疑者の人権保護強化などの改善を行った上で存続させると発表した。

オバマ氏の発表に対し、人権活動家らは怒りを表明し、グアンタナモ基地の「不公正」が存続することになると批判した。オバマ大統領は13日にも、容疑者に行われた虐待の写真の公開を見送ることを決めて、支持者らの落胆を買ったばかりだった。

オバマ氏は声明で、特別軍事法廷の改善策とその提案の理由を述べ、「われわれの確固たる価値観を維持しつつ、米国を防衛するための最善策」と語った。「これらの改善で特別軍事法廷は、法の支配に従う、合法な訴追機関として再開する」

オバマ氏は、1月に大統領就任後、グアンタナモ特別軍事法廷が機能していないとして、見直しが終わるまで訴追手続きを中断するよう指示していた。しかし、改善を行った上で再開させることについては、全く述べていない。一方、前年、当時大統領候補だったオバマ氏は、特別軍事法廷が「途方もない失敗」と語っていた。

オバマ大統領は、改善策の導入のため、国防総省が、訴追手続き中止の期間延期を求めることになると述べた。

オバマ氏は、特別軍事法廷が「正しく設計され適正に運営されている限り、戦争法規に違反した敵性戦闘員を裁くために適切である」と語った。

・改善策とは

特別軍事法廷に対しては、いくつかの大きな修正が行われる。

米中央情報局(CIA)の「残忍で非人道的で恥ずべき」尋問手法で得られた供述は、証拠として今後は採用しない。

伝聞情報の提供者は、今後は信頼性を証明しなければならない。ブッシュ前政権下では、伝聞情報に反論する側が証明しなければならなかった。

さらに、被告は弁護人をより自由に選べるようになり、証言を拒否する場合の被告の保護も強化される。

また、特別軍事法廷に裁判管轄権が認められるようになる。

ブッシュ前政権の「テロとの戦争」の残虐行為の代名詞として世界的に知られるグアンタナモ基地には、国防総省によると、現在も30カ国の容疑者241人が拘束されている。

(AFP 2009年5月16日)

2009/05/17

ラース・フォン・トリアーのアンチキリスト


◇第62回カンヌ国際映画祭が13日夜、フランス南部のカンヌで開幕した。オープニング作品は、ピクサー制作の3Dアニメーション「UP(カールじいさんの空飛ぶ家)」。カンヌ映画祭のオープニングをアニメが飾るのは史上初めて。
観客は3D用の眼鏡をつけて、オープニング作品を楽しんだ。
最高賞(パルムドール)を競うコンペティション部門では、クエンティン・タランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」(ブラッド・ピット)や、アン・リー監督の「Taking Woodstock」、菊地凛子主演の「マップ・オブ・ザ・サウンズ・オブ・トーキョー」(イサベル・コイシェ監督)など、計20本が出品される。

(CNN 2009年5月15日)

2006年パルムドールを受賞したケン・ローチがコンペに戻ってきた!
作品「Looking for Eric」はマンチェスターUでプレーしたフランスの元サッカー選手、エリック・カントナが彼自身の役で特別出演するコメディ映画。
そしてラース・フォン・トリアーも注目作品をひっさげて登場する!
1988年のマーティン・スコセージ監督の「最後の誘惑」でキリスト役を演じたウィレム・デフォーに悪魔の作った世界で主役を演じさせているホラー映画は「Antichrist」。彼の妻を演じるのがシャーロット・ゲンズブールだ。

「奇跡の海」(1996)、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(2000)といった映画の他に、TVシリーズ「キングダム」でよく知られるデンマークの鬼才ラース・フォン・トリアー監督。ドグマ95の提唱者である彼の作品は単なるホラーではくくれない暗示的な終末世界を描くことでファンを魅了する。おそらく問題作となる予感と期待のこの「Antichrist:アンチキリスト」、カンヌ映画祭でプレミア上映後、ヨーロッパでは順次公開が決まっている。アメリカでの上映は未定だが。

写真は映画「Antichrist」のポスター