見つけた 犬としあわせ

ニュースのファンジン、世界のニュースのサンプリング。 一枚のCDを聴くように一枚のコラージュを眺めるようにこれを体験して欲しい。

2008/01/05

change




昨夜のアイオワでの党員集会から、いまの大多数のアメリカ人の気持ちがブッシュ政権下のアメリカからの「Change」とリセット!であるのがよくわかる。最初の勝利を手にしたバラク・オバマはまったくの未知数なところが、これまでやはり未知数だった若者からの票を得て、支持された。その割を食ったのが既存政治家として経験のあるヒラリー・クリント。そして善戦したのがエドワーズだったのではないだろうか。目立つ2人のあいだにはさまれて彼の可能性にはあまり時間とページが割かれてないように思えるのは、彼の企業に厳しい姿勢、その企業にはメディアコーポレイトも含まれてることが主な理由なのかもしれない。
以下、昨夜のニュースと、私が個人的に注目するエドワーズを推薦すると最近ブログで告白しているマイケル・ムーアのコメントから抜粋ーー。

◇08年大統領選は「変化」への熱い思いで幕を開けた。全米に先駆けて3日、中西部アイオワ州で行われた党員集会は、ともにブッシュ政権のリセットと「希望」を掲げた民主党のオバマ上院議員、共和党のハッカビー前アーカンソー州知事が勝利を収めた。参加者数も予想を大きく上回り、米国を変えたいという草の根の意思が伝わってきた。
この日、州内約1800カ所で開かれた地区党員集会(コーカス)会場のひとつ、アイオワシティーの高校には、零下10度近い厳寒のなか、住民が続々と集まった。民主党会場では開始予定の午後7時を回っても参加者が途切れない。ホールの客席をロープで仕切った「陣地」を、人々が埋めていく。
最終集計でオバマ陣営はリードを広げたが、クリントン陣営はエドワーズ陣営にも抜かれ3位に。オバマ陣営のジム・コンガーさん(67)は「この7年で多くのアメリカンドリームが失われた。他の誰よりオバマはそれを取り戻してくれる」。
州全体で民主党の党員集会には23万人以上が参加。過去最高レベルだった前回04年のほぼ倍で、30歳以下の参加率は3倍だったとの情報もある。
アイオワ大学のコビントン准教授は「オバマ氏が勝ったのは、新たな票の掘り起こしに成功したから。肯定的なメッセージが人々を集会に向かわせた」と分析した。
オバマ氏の「勝利演説」に集った支持者は若者が目立った。クリスティナ・ソラウェツさん(22)は「女性としてクリントン陣営からの働きかけもあったけれど、彼女は言葉がきついし、ワシントンの政界に入りすぎている」。
クリントン氏は全米レベルで当初から優位に立っていた。だが、アイオワ州では出遅れた。夫のクリントン前大統領ともども、手あかのついた旧世代の政治家というレッテルはぬぐえなかった。
「変化」のメッセージを打ち出したのは、共和党でトップになったハッカビー氏も同じだ。
3日夜、勝利を受けて「アイオワ州民の選択は変化だった。民主党員とか共和党員とかでなく、米国人であることに再び誇りを抱けるようにすることがこれからの挑戦だ」。オバマ氏のお株を奪う言い回しで、党派対立を乗り越えた統合の大切さを訴えた。
党員集会を通じては、米国の政治の現状に対する不満と、変化を求める思いが党派を超えてはっきりと示された。ただ、次の関門である8日のニューハンプシャー州予備選をはじめとして、今後の指名獲得レースにどんな影響を与えるかは一様ではなさそうだ。
民主党では、オバマ、エドワーズ、クリントン各氏の「三つどもえの接戦」が崩れる可能性が指摘されるのに対し、共和党では、混戦模様が続くとの見方が支配的だ。
「<現状>が敗退し、<変化>が勝利を収めた」。この日の党員集会の意義は、エドワーズ元上院議員が語ったこの言葉に尽きるといえる。
州都デモインで集会に参加した民主党支持者の一人、リンダ・ベーコンさんは「ブッシュ政権があまりにもひどいので、(有権者から)<ノー>を突きつけられたのだ」と説明した。
「現状」に対する不信の矛先は現政権にとどまらず、「既成候補者」と見られたクリントン、ロムニー(共和)両氏にも容赦なく向けられた。
なかでも、クリントン氏の低調ぶりは大方の予想を超えるひどさで注目を集めた。
ニューヨークタイムズ紙(4日付電子版)は「指名獲得は既定の流れだと示そうとする(クリントン陣営の)戦略はズタズタになった」と指摘。米タイム誌エディターのハルペリン氏に至っては「これでオバマ氏が次の大統領になる可能性が強まった」とまで言い切った。
(朝日新聞2008年1月4日)

◇ローリングストーン誌が指名獲得に最も近い3人の民主党候補者にマイケル・ムーアがなんでも聞いていいよ!という企画をムーアに持ち込んだ。その際、3人ともがこれを受けるのが条件だった。バラク・オバマとジョン・エドワーズはこれを受けた、ところがヒラリー・クリントンが参加しないと言ってきた。これで企画はおじゃん。「オレに聞かれちゃ困るってか!」ヒラリーを推薦しない理由のひとつにマイケル・ムーアはこのことを挙げている。では彼がバラク・オバマを推薦しない理由についてはどうなんだろう。以下、彼のブログからーー。

「バラク・オバマは有能で人を奮起させる男だ。なんて気分をさわやかにしてくれるんだ!この国の事態をなんとかまともにしようとする彼の誠実さや肩入れは疑いようもない。だが、彼を知ってるか?つまりすごいスピーチをするって以外にだよ?どれくらいの国民が現実に彼のことを知っているか?彼がイラク戦争に反対だったのは知っている。どうやってそれがわかるか?開戦前の彼のスピーチでだ。でもな、上院に仲間入りして以降、彼は一方で撤退すべきだと言いながら、イラク戦争への資金拠出に賛成した。彼は重要でない微力の人を擁護すると言うが、重要でない微力の人の子どもが中国製のおもちゃの鉛の入った塗料を飲み込むとき、集団訴訟を起こすのをますます困難にさせる大企業に味方する法案に賛成する。それどころかオバマはウオールストリートが腐った有害なところとは思わない。彼は健康保険企業にオレらが新しい医療ケアプランを創出する手助けをしてもらいたがっている、そもそもこの混乱を引き起こしてきたのと同じ会社にだぜ。彼はまあどちらかといえば気苦労のないしあわせな状態だ、もし選ばれでもしたら、共和党候補者には朝飯前だろうと思うよ(ブッシュの懐刀カール・ローブはオバマに選挙戦の助言をしている。つまり彼が民主党大統領候補に指名されれば共和党にも勝ち目があるとみたのだろう。いくらでもつぶす手はあるってことだよ)優秀なスピーチなんかしていられなくなるぜ。」

では彼がジョン・エドワーズを推薦する理由についてはどうなんだろう?

「あまりにも多くの人々の暮らしをそれは惨めにさせている富裕な権力層と徹底的に対決し通している男であることに気づく。<この企業の食い意地と企業権力が私たちの民主主義の破ることのできない急所を握っていると完全に信じている>ってなことを言う候補者だ。ドードー。少なくとも世論調査の上位にいるやつで、このようなことを話すのを聞いてきていない。エドワーズがアイオワでうまく支持を集めているのはこのせいじゃないかと思う、他の2人が持つ金の隠し場所にはとうてい近づけないとはいえね。彼は企業の政治献金から高額チェックを受け取らない。それに選挙資金に制限を設けるのと公的資金の供給に同意するのは上位3人の候補者で彼だけだ。製薬会社と石油会社とアメリカの労働者を困らせている企業はどこもあとを追い回すと、彼はずばり言っている。メディアは明らかに彼を脅威と見ている、たぶんメディアの独占的権力もまた彼が追い回すだろうからだ。これはいわばルーズベルトとトルーマンの会話だ。そこがアイオワの有権者を共鳴させているところだ、オバマやヒラリーほどには注意を向けられてないけどな。彼に関する報道の欠如が明日の夜の第一位を損なわせるかもしれない。
先頭を行く3人のなかで唯一エドワーズだけに、他のすべての文明国にある共通の基準の支払人のようなものへ導く万人共通の健康保険介護計画がある。彼の計画はオレがほしいようには進んでいないが、健康保険会社が害であり、連中が地位を保つべきでないと正確に指摘しているのは彼だけなんだよ。」
(maichaelmoore.com 02 January 2008)

写真は3日のアイオワの様子。クリックすると拡大版で見ることができます。

2008/01/03

今年も「いぬ年」



いよいよ明日(日本時間)です。2008年米大統領選の幕開けとなる米アイオワ州党員集会をCNNはウルフ・ブリッツァー、アンダーソン・クーパー、ルー・ダブスが共同司会を務める特別体制でニューヨークに新設された「CNN選挙センター」から報道します。
1月1日付地元有力紙デモイン・レジスターが発表した世論調査によると、民主党候補の支持率はオバマ32%、ヒラリー25%、エドワーズ24%の順で、オバマ候補が両候補を上回った。オバマ氏は1日、記者団に対し、「もうちょっとで特別な何かができそうだ」と勝利への自信を強調している。
一方、CNN TVが1日明らかにした世論調査の結果ではヒラリー33%、オバマ31%、エドワーズ22%で、ヒラリーがオバマをリード。米国政治の改革を訴えるオバマ候補と、政治経験をアピールするヒラリー候補の支持率の差が、現段階でもほとんどないことをうかがえる。
1日のローリングストーン誌の国内ニュースには、デニス・クシニッチ民主党候補が自分の支持者をオバマに入れろと客引きをしているとあります。

◇クシニッチは彼のアイオワの支援者に、もしそれぞれの選挙区に「クシニッチ」が存立できないようなら2番目の選択としてバラク・オバマを支持するよう求めている。これは指名の期待を民主党の基盤の左翼にぐいと引き寄せているエドワーズにとって痛い一撃である。

これに対する読者からの書き込みのなかに、
「もしアイオワに住んでたら、グラベルのほうにかたむいているだろうな。彼は池に石を投げたぜ。」とあった。
グラベル候補はほんと、ペンタゴンペイパーズを託された唯一の人物、グラベルにしか渡せなかったということで信頼できる人物なはず。だから絶対に彼が指名されることはない。

ということで、今年もよろしく
写真は2008年1月1日いつもの公園で出会った仲間が撮影してくれたうちのサンバとヴァーモスです。ヴァーモスの隣のラブラドールはジェナおばさん10歳です。うちは今年も「いぬ年」です。

2007/12/30

クラシックはベネズエラがおもしろい


ベネズエラからとっておきのクラシック音楽が!グスターボ・ドゥダメルって知ってますか。かっこいいし、まるでフットボールプレイヤーみたいですが、彼はクラシックプレイヤー、それもすごい指揮者です。ロスのフィルハーモニーの来期の音楽監督に就任が決まっており、先日ニューヨークフィルで指揮者デビューを飾った際の彼のすばらしさに、ニューヨークのクラシックファンからロスに取られた!と悔しそうな声があがったとか。以下、彼のニュースからーー。

◇いま中南米がクラシック音楽の新たな震源地として熱い視線を集めている。
それを象徴するのがベネズエラで活躍するシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラと、今年26歳の指揮者グスターボ・ドゥダメルだ。ドゥダメルは1981年にバルキシメントというベネズエラ北西部ララ州の州都で生まれ、父はトロンボーン奏者。12歳から地元ユース・オーケストラの指揮を始め、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラの音楽監督になったのは弱冠17歳。彼は今シーズンからスウェーデンのイェーテボリ交響楽団の首席指揮者に就任、2009年から翌年のシーズンには名門ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督就任がすでに決まっている。これは経験と年齢が重視される指揮者の世界としては驚異的に早い出世だ。この事実ひとつをとっても、この若きベネズエラ人指揮者の存在が欧米のクラシック音楽界でいかにセンセーショナルに受け止められているかわかるというものだ。
・麻薬や犯罪防止のための国家プロジェクトの成果
先ごろドイツグラモフォンから彼らの演奏によるベートーヴェンの「交響曲第5番&第7番」のCDが発売され、その高い音楽性、熱気、そして真実味あふれる演奏が世界的な話題になったのは記憶に新しい。続く新譜のマーラー「交響曲第5番」はさらにすばらしく、エリート的な演奏からは及びもつかない、まるで未熟で多感な若者が震えおののいているかのようなのが、すべてマーラーの音楽にプラスに働いているような名演だった。
彼らの音楽は、ラトル、アバド、バレンボイムといったヨーロッパの指揮者の巨匠たちからも絶賛を浴びているが、それには背景がある。
現在人口2600万人のベネズエラには全国30カ所に約130のユース・オーケストラと約60の子供オーケストラがあり、25万人の子どもたちがクラシック音楽に参加している。これらのオーケストラとそのトレーニングシステムは、実は国家ぐるみのプロジェクトによるものだった。クラシック音楽を演奏させることによって貧しい子どもたちを善良な市民に育成し、麻薬や犯罪から守り、社会の発展に寄与させることができるーー元文化大臣ホセ・アントニオ・アブレウ博士が提唱したこの国家的運動は、「ベネズエラ青少年・児童オーケストラ全国制度財団」によって推進されている。そのオーケストラの頂点がシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラなのだ。
「ベネズエラではベートーヴェンはシンボルだ。若者にとってベートーヴェンの音楽は非常に重要なものになっている。すべての人にとってそうではあるが、若い人たちには特にだ」とドゥダメルは言う。
混迷する経済と治安の悪化に苦しむベネズエラにとって子どもたちを銃や麻薬、非行から守り、また罪を犯した子どもたちを更生させる上で、いまではクラシック音楽教育が欠かせないものとなっている。それはプロの音楽家育成や富裕層の趣味とは本質的に異なっている。そしてそのベネズエラの若者たちが演奏するベートーヴェンが、本場ヨーロッパの音楽シーンを席巻し始めている。いま識者の間では、近い将来ベネズエラ人演奏家によってクラシック界は大きく変わっていく可能性があると真実味を持って語られている。
・演奏家も作曲家も、中南米には隠れた才能が眠っている
そもそもベネスエラばかりか中南米はクラシック音楽の演奏家という点では以前から隠れた「供給源」であり、特にピアノでは優れた人材を多く輩出してきた。アルゼンチン出身のダニエル・バレンボイム、マルタ・アルゲリッチ、ブルーノ・レオナルド・ゲルバー。チリ出身のクラウディオ・アラウ。ブラジル出身のネルソン・フレイレといったところが有名だろう。
だが最近はオペラ界での中南米系の歌手の活躍が目立っている。アルゼンチン出身のホセ・クーラ、マルセロ・アルバレス、ペルー出身のファン・ディエゴ・フローレス、メキシコ出身のロランド・ヴィラゾン、ラモン・ヴァルガス、チリ出身のクリスティーナ・ガイヤルド=ドマスなど。いずれ劣らぬ絶好調の一流歌手ばかりであり、彼らの存在を抜きにはザルツブルク音楽祭やミラノ・スカラ座やメトロポリタン・オペラの現在を語ることは不可能といっても過言ではない。
これだけ中南米系の新しい世代のスター歌手がいるということは、彼らが突然変異的に出現したというよりはむしろこうした新たな才能を続々と生み出すだけの基盤がすでに中南米各国の音楽的環境には備わっていると見るべきだろう。
さらに近年最も熱く注目されているのが中南米のクラシック音楽の作曲家である。長いことこのジャンルではブラジルのエイトル・ヴィラ=ロボス(1887ー1959)のみが知られていただけで、あとはほとんど無視されてきたというのが実情ではないだろうか。アルゼンチンのタンゴの革命児アストル・ピアソラ(1921—1992)、ブラジルのボサノバの創始者アントニオ・カルロス・ジョビン(1927ー1994)を、クラシック音楽家が演奏対象とする作曲家として評価するようになってきたのはここ10年くらいのことである。
だが最近では、中南米の作曲家を積極的に取り上げようという動きが目立つ。iTunes storeでは「新世界クラシック〜ラテンアメリカ編」と名づけた編集企画盤をリリースした。こうした中南米の作曲家たちに共通するのは身体感覚に近い親しみやすさ、ボサノバやタンゴ、ショーロと共通の風や土の匂いのする抒情的な旋律美である。今後、中南米の作曲家たちの中から、第2、第3のピアソラが誕生する可能性は十分にある。
(日経ビジネス 2007年9月10日)

◇ベネズエラのチャベス大統領に関して言えば、ブッシュが軍事介入するのではないかと言われたり、右派の宗教家パット・ロバートソン師が「暗殺せよ」と発言して物議を醸したり、アメリカとの関係はかなり悪化している。
そのベネズエラから11月末から12月にかけて「音楽大使」がニューヨークにやってきた。オーケストラの名はシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラで、それを率いてきたのが音楽監督のグスターボ・ドゥダメルだ。このオーケストラは、ベネズエラからコロンビア、エクアドルにかけての地域をスペインから独立させた英雄、シモン・ボリバルの名を冠した国営で、全国組織の青少年音楽教育プログラムの頂点に立つ存在だ。といっても普通の音楽エリート教育とは違っている。犯罪者の子どもや、非行に走りそうな貧困層の少年などの更生プログラムと連動している。
この青少年オーケストラとドゥダメルの公演はカーネギーホールで行われて盛況だった。また指揮者としてドゥダメルがニューヨークフィルへのデビューを飾った公演のほうは歴史に残るほどのできで、若い才能が成功への階段を駆け上ってゆくときに見せる、なんとも言えぬ輝きに満ちたコンサートであった。
弱冠26才の、テンポとリズムの感性が特徴的なドゥダメルは、実はニューヨーク滞在中にロサンゼルス・フィルハーモニーの音楽監督に就任が決まっている。ニューヨークのメディアからは「ロスに取られた」というような反応もあり、ニューヨークフィルの音楽監督に決まっているアラン・ギルバートはこれからは常にドゥダメルと比較されるプレッシャーを感じていることだろうと記事は書いた。
それにまたニューヨークフィルはこのデビュー公演で金庫にしまってあった故バーンスタインの3本のタクトのうちの1本をこの若者に託したそうなのだ。
興味深いのは、ちょうど彼らがニューヨークで公演をしている最中に本国ベネズエラでは憲法改正の国民投票が行われていたことだ。大統領の再選の無期限化やメディアの統制など、チャベス大統領は独裁強化を可能にする修正案を投票にかけたのだが、結果は否決される。その際にチャベス大統領は政治的な敗北を認める声明を出している。国の指導者としてチャベスを支持しながらも国民は独裁的な大権を与えなかった、そして指導者はそれを受け入れる。これには政治的な成熟が見られるといってよく、これによってアメリカとの無用な軋轢も減ることだろう。音楽大使としてドゥダメルにそうした政治的なメッセージがあったかどうかはともかく、ドゥダメルがニューヨークの街に受け入れられた、いや大喝采を浴びたというのは、ベネズエラとの緊張緩和の象徴だと言えるのではないだろうか。
(ニュージャージ在住の作家 冷泉彰彦氏の<from911USA レポート>より一部抜粋)

写真は26歳のグスターボ・ドゥダメル!